共通テストであれ、前期記述テストであれ、英文読解演習する時は、模範解答に頼らないことだ。
全文訳のついている模範解答など、全く読まなくても問題ない。
それでは誤訳したり、意味を取り違えたりしたら、どうするのかという反論に対して、プロの翻訳家でも誤訳など日常茶飯事なのだから、素人の高校生や受験生が間違えるのは、当然だ。
英文解釈の「解釈」とは「自分はその意味どう考えるか」という定義なので、見解の相違、理解の食い違いが出て当たり前、いやそれぞれの解釈を述べあって討論することが大事なのである。
その討論の最中に化学反応が起こって、新しい発見が生まれていくのである。
たった1単語の解釈をめぐっても、正反対の解釈がプロの翻訳家では生じている。
推理小説=detective novelの世界で最も有名なセリフは
レイモンド.チャンドラ-の人気シリ-ズ「私立探偵 フィリップ.マロウ」の「プレ-バック」に出て来るあのセリフだ。
If I wasn't hard,I wouldn't be alive.
If I couldn't ever be gentle , I wouldn't tobe alive.
の前半のhardは翻訳家の間で「強い、タフ」の意味と「厳しい」の意味に別れている。
強い派は自分が強いと言う意味だが、厳しい派は他者に対して厳しいの意味で使っている。
私の解釈はこうだ。
「フィリップ.マロウシリ-ズ」は、設定がワンパタ-ンで殺人犯はほとんど女性、殺されるのはたいてい2人、凶器はピストル。
私立探偵マロウは犯人の女性を追い詰めていくが、その過程で犯人の女性に対して情に流される時があり、たびたび足をすくわれる。
その反省を込めて彼が言う。
「事件の捜査をしているときに、いちいち情に流されて殺人犯の女に惚れていたら、探偵稼業なんてやってられない。
だが、たとえ殺人犯であっても、情に流されてその女に惚れてしまうとしたら、それはそれで仕方がないじゃないか。」
(これは私の解釈)
つまりhardは「情に流されない」という意味だ。
それが一番強くでているのが最高傑作「A long good bye」だ。
主人公の女性は、売れっ子の小説家の妻だが、元夫の妻と現在の夫を殺してしまう。
私立探偵モロウは彼女に惚れてしまい、まずいことに巻き込まれる。
この後の結末は、村上春樹翻訳の「長い別れ」をどうぞ。
これがこの小説の翻訳決定版だ。