人工中絶と映画「ブレ-ドランナー」
2022年10月17日 18:42
今、アメリカが中間選挙を控えて「人工中絶」の問題で大揺れである。
最高裁判所が「人工中絶」を禁止する判決を出したために、民主党支持者は猛反発をしている。
そもそもアメリカ最高裁は「人工中絶は合憲」であるという立場であったが、トランプ前大統領が保守派の判事を送り込んで、その判例をひっくり返し「人工中絶は違憲」にしてしまった。
そこでバイデン大統領は再度、進歩派の判事に代えるために「上院議員選挙」での勝利を目指している。
アメリカは州によって法律もまちまちであるので、「人工中絶」は州ごとに許可と禁止が別れていたが、1910年までにすべての州で禁止となっていた。
全面禁止になっても人工中絶は、止むことはなかった。
そこで流行したのが闇医者による中絶手術だ。
闇医者だけでなく,正規の医者も「闇の中絶手術」を行っていた。
闇医者だろうが正規の医者だろうが手術を行えば犯罪であり、バレれば逮捕された。
そこで彼らは手術道具を置かずに、看板も出さない闇の場所で、中絶手術を行った。
手術器具は、毎回電話一本で運んでくれる「闇の運び屋」に依頼する。
この商売は繁盛して、運び屋たちは「闇病院」を走り回って、手術道具を配達し回収していた。
そこで彼らの事を隠語で「ブレ-ドランナ-」と呼んだ。
ブレ-ドとは手術用のメスのことである。
このタイトルを付けた映画「ブレ-ドランナ-」はSF映画の金字塔と呼ばれている。
あら筋はかなり省略して書くと、近未来に遺伝子工学によって人造人間=レプリカントと呼ばれる人間が生まれる。
彼らの寿命は本物の人間とは異なり、かなり短いため自分達を製造した「製造元」に寿命を延ばす措置をするように要求する一団が現れる。
人造人間が勝手に行動することを危険視した政府は闇の暗殺者を雇い、次々とレプリカント(人造人間)を始末していく。
この暗殺者を隠語でブレ-ドランナ―と呼んだ。
勿論、闇で中絶手術をする闇医者の手先の呼び名からとったものだ。
彼は「人間であって人間でない人造人間」を密かに殺す暗殺者だった。
ここで「人間であって人間でない」という言葉に注目してほしい。
人造人間はまだSFの世界の話だが、今現在も「人間であって人間でない存在」が大量に始末されている。
それは胎児である。
胎児は法律的には一定の月日未満では人間と見なされず、殺しても犯罪とはならない。
人間でないから、第3者の都合で殺すことを許すのか、許さないのか、ちっとやそっとの議論で片が付く問題ではない。
生まれてしまった赤ん坊は人間だが、生まれる前の胎児は人間ではないとする論理を今一度、再検討する必要がある。