国公立医学単科大学と国立総合大学で医学科だけ別問題出す大学では、数学の問題に大きな特徴がある。
国立大では、東大京大を除いて、医学科のみ数学は一部別問題という場合が多い。
これは、要求される医学部学生の資質が、他の理系学部とはかなり異なっているからだ。
国立大では、その中核部門は理工学系の学部と大学院である。
戦後、産業立国を掲げて、重化学工業中心の高度経済成長に日本の将来をかけていた日本政府は、国立大の編成を極端に理工学部系、特に工学部に重点を置いていた。
予算総額、教授の数、学部学生の定員の全てで、工学部最優先であった。
工学部で養成する大卒者は、大企業の生産現場で、先端技術を駆使するエリ-トエンジニアであった。
そこで使われる数学は、微積分法だ。
そのため、高等学校の微積分法は、理工系エンジニアとして活躍する数学ユーザ-になる人々のための基本的な準備をする、という教育的な配慮に基づいて設計されていて、それは今も大筋で変わっていない。
その結果、レオンハルト.オイラ-によって切り開かれた純粋数学の理論的な入試問題よりも、微積分法の優れた使い手を選別する入試問題が優先された。
だが、医学科の学生は、大企業の生産現場とは無縁だ。
また、医学科の入試問題を作る数学教授は、理学部数学科で先端数学を研究し、現在もそれに携わっている。
すると、現代数学の中心に位置するゼータ関数につながる入試問題を、出題しようする。
実際に、テイラ-展開、ゼ-タ関数、フーリエ解析、直交関数に関する入試問題が医学科入試では頻繁に出されている。
全て高校数学の完全な範囲外で、大学で数学を専門に学ぶ大学数学の範囲だ。
なぜこんなことになってしまったかと、言えば1つには「医学入試の異常な難しさ」のせいだ。
私立文系学部のみならず、全般的に楽になった大学入試の中で、とびぬけて今も昔も、いや今のほうが異常に難しいのが医学科入試だ。
この難関を突破するために、毎年、何万人という受験生が必死に勉強している。
当然、受験生の学力は伯仲するので、入試の得点で差が着かない。
得点差をつけて選抜するために、「最も得点差が着く数学問題」を難しくしようとするが、高校数学の範囲内では問題は出し尽くされてしまっている。
そこで出題者は、自分達が最も得意とする「大学で学ぶ数学」の範囲から出題する。
得意分野なので、出題ミスも起こりにくい。
これらの問題を演習問題として出すと、公立高校の生徒は、完全に「何が何だか、全くわかりません。」となる。
静高理系3年生も、東大京大理系合格者の10名程度以外は、お手上げなので演習の機会が無い。
ところが、東京、神奈川、千葉、大阪、兵庫、奈良、京都に集中する東大京大に50名以上合格する私立進学校の生徒は、学校内の演習でみっちり学ぶ。
だが、この差は乗り越えなければならない。
そこで、誘導形式という形の専用教材を作りました。
問題パタ-ンが多いので、B4サイズで50Pくらいになってしまった。
通常授業ではやる時間が無いので、休暇中の短期講習に使う予定だ。