日本製鉄がアメリカのUSスチ-ルを完全子会社化した。
かつてのUSスチ-ルを知る者としては、驚きを隠せない。
トヨタがフォードやGMを完全子会社化するようなもので、アメリカ工業界のシンボルを乗っ取ってしまった。
橋本氏は歴代社長会長と異なり、東大法学部経済学部の出身ではない。
日本製鉄は前身の新日本製鉄、八幡製鉄の時代から国策企業とよばれ「鉄は国家なり」のスロ-ガンを掲げてきたので、東大卒が経営者となるしきたりだった。
橋本氏は一橋大商学部卒だが、それ以前の経歴も以降の経歴も異色だ。
彼自身が「家が貧しくて小学校まで靴を履いたことが無かった。」と言っている。
同じ時代を生きた私でも、そんな生徒は見たことも聞いたこともない。
九州の片田舎に育ち公立高校から一橋大に進み、新日本製鉄に入社したが、本流の管理部門からはすぐに外された。
理由は上司にもはっきりとものを言う「直言型」だったので、煙たがれたのだ。
直言型とはずばり、ケンカも辞さない闘士、闘将で最前線にたって部隊を引っ張るタイプだ。
営業部門の典型的凄腕リーダ-だ。
当時は傍流と見なされた営業部で特にアメリカでの販売に実績を上げた。
鉄鋼製品はすでに国内需要が満杯になっており、海外に販路を伸ばす以外に成長の道が無かったが、新日鉄が成長する海外分野で業績を拡大し続づけた。
バイデン大統領にUSスチ-ル買収を却下されると、即座にアメリカでの裁判に打って出た。
アメリカ政府相手にケンカ上等だぜ、と反撃に出たのだが、日本国内の反応はおいおいそこまでやるか、というものだった。
今回は同じくケンカ野郎のトランプ大統領を説き伏せての買収成功劇だ。
だが、本当の敵はアメリカ国内にはいない。
本当の敵、USスチ-ルを倒産寸前にまで追い込んだ正体は、安売り戦法で市場を奪った中国の鉄鋼メーカ-だ。
安売りの背後には資金を提供した中国政府がいる。
中国政府とのケンカにも勝ち抜いてくれることを願っている。
同世代の異端の経営者、ケンカ上等の同じタイプの橋本会長に注目している。