ノーマルビュー

附属中2期末テスト 社会科についてコメント

2025年9月3日 11:26
今回の社会科期末テストは、地理分野で高校地理の「地理探究」を意識したいい問題だった。
いくつかの点でコメントを追加する。
九州地方の工場分布に関する問題では、造船業よりも出荷額が多い自動車工場の図が抜けている。
福岡県と大分県に自動車工場が集中している。
九州はかつてシリコンアイランドと呼ばれるほど半導体工場が多く展開していた。
だが、日本は半導体の世界戦略に破れたために、半導体産業は一気に衰退して九州の半導体工場も撤退を余儀なくされた。
地域経済に深刻な影響が出た九州各県は、半導体に代わる産業として自動車工場を誘致するために、工業港や高速道路網などのインフラ整備に多くの予算を投入した。
今では近畿地方中部地方関東地方に次いで、自動車工場が集中している。
一方で衰退産業として消滅するかと思われた半導体工場は、世界最大の半導体メーカ-である台湾のTSMCが熊本県に工場を建設してから、一気に風向きが変わった。
日本政府も一度は失敗した半導体政策に懲りて、多額の予算を「九州の半導体工場」建設の補助金として支出している。
TSMC熊本工場などは、ほとんど日本政府の補助金で建ったようなものだ。
漁業に関する問題で、育てる漁業は漁業者にとってどのようなメリットがあるかという問いの、参考グラフは残念ながらピントがずれている。
出すべきグラフは「海面漁業生産量」と「魚介量類の食糧需給」だ。
国勢図会の第14章図14-2がそれだ。
魚介類の国内生産量の低下を見事に補って代替しているのが、輸入量だ。
市場に魚介類を安定して供給しているのは、養殖ではなく輸入である。
これは重要なポイントで高校入試には出る内容である。
今の漁業者を安定して食わせているのは2つのビジネスで、1つは日本漁業の闇にかかわる問題だが、ここでは触れない。








高校地理はなぜ社会科入試の最重要科目なのか 

2025年9月3日 10:38
化学が理科入試の最重要科目である理由と、地理が社会科入試の最重要科目である理由には共通点がある。
化学は物理と生物と重複する分野が多い。
気体と熱化学は物理そのものだし、天然高分子は生物由来の有機物だ。
地理では、世界史の現代史は全て地理の対象であり、政治経済の政治4章以降の内容と経済全章も地理の出題範囲だ。
入試科目としての地理は、高校で学ぶ社会科を包括する科目ゆえに、高校社会のチャンピオンと言える。
さらに、最近台頭してきた「地経学」と呼ばれる分野とも類似点が多い。
地政学は良く知られた言葉、学問分野だが、地経学はまだよく知られていない。
地政学は「軍事、防衛上の地理学」で国家の安全保障を政治と軍事の両面から考察する。
地経学は「経済も含めた地政学」と言える学問で、経済分野での安全保障を目指している。
今年の共通テスト地理に出題された「中国の一帯一路政策」は、まさに中国の地経学上の戦略である。
米中の軍事政治上での対立が深まるにつれて、近年、アメリカ市場での中国製品締め出しの機運が高まってきた。
反目しあったオバマ政権とトランプ政権も、対中国では「中国敵視」という点で、見事に共通してる。
そこで中国はアメリカ市場に代わって「ユーラシア大陸全体」を中国の市場とすべく、陸路と海路の両面から拠点都市を展開していった。
アメリカと中国という2大超大国の間に挟まれた日本は、地政学のみならず地経学上の綱渡りを迫られている。
入試科目の地理は生物と同様に、流行や時流の話題に敏感な科目だ。
メデイアの話題にも注意を払って受験勉強を進めよう。
トランプ大統領は地理の入試問題にも影響を与える迷惑なヤツだ。
貿易収支と資本収支の統計にはよく目を通しておこう。


❌