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レーストラックアンチスキルミオンの動作実証に成功-次世代の情報デバイス開拓に期待-

著者: contributor
2024年9月9日 15:38

レーストラックアンチスキルミオンの動作実証に成功
─ 次世代の情報デバイス開拓に期待 ─

概要

早稲田大学理工学術院の望月維人教授、理化学研究所(理研)創発物性科学研究センター電子状態マイクロスコピー研究チームのグァン・ヤオ特別研究員、于秀珍チームリーダー、強相関理論研究グループの永長直人グループディレクター(最先端研究プラットフォーム連携(TRIP)事業本部基礎量子科学研究プログラムプログラムディレクター)、創発機能磁性材料研究ユニットの軽部皓介ユニットリーダー、強相関物質研究グループの田口康二郎グループディレクター、強相関物性研究グループの十倉好紀グループディレクター(東京大学卓越教授/東京大学国際高等研究所東京カレッジ)らの共同研究グループは、細線内に制限されたナノメートルスケールのアンチスキルミオン[1]を電流で駆動した際のダイナミクスの直接観察に成功し、アンチスキルミオンのレーストラック[2]輸送機能を見いだしました。

本研究成果により、トポロジカル構造を用いた、動作速度が大きくてかつ電力消費が少ないデバイスの実現が現実味を帯び、次世代の情報デバイスのさらなる開拓に期待が高まります。
今回、共同研究グループの成果により、ナノスケールの細線内に閉じ込められたアンチスキルミオンを電流で精密に制御できることが実証され、この結果から、スキルミオン[3]の反粒子であるアンチスキルミオンも次世代の高速かつ低消費電力の情報キャリアとして有望であることが明らかになりました。

本研究は、科学雑誌『Nature Communications』オンライン版(9月4日付)に掲載されました。

電流駆動アンチスキルミオンの概略図(a)とシミュレーションで得られたパルス運動結果(b)

背景

アンチスキルミオンは、磁気スキルミオンの反粒子で、室温においても安定なトポロジカルスピンテクスチャ(位相幾何的磁気変調構造)として、磁性体(Fe0.63Ni0.3Pd0.073P(Fe:鉄、Ni:ニッケル、Pd:パラジウム、P:リン、以下「FNPP」という)において発見されました1。スキルミオンは、渦状のトポロジカル構造であり、電流をスキルミオンに流すと、伝導電子はスキルミオンの創発磁場を受け、トポロジカルホール効果[4]を示します。その反作用として、スキルミオンは電流により偏向され、ホール運動をします。電流を流していない状態では、スキルミオンは試料中の欠陥などによってピン止めされ、安定に存在していますが、電流を流すと動き出します。具体的には、電流が閾値(しきいち)である臨界電流密度JCを超えると、スキルミオンは動き始め、さらに電流が大きくなると、電流の流れる方向と一定の角度(ホール角)を成しながら動く「フローモーション(流動)」(ホール運動)へ変化することがローレンツ電子顕微鏡(Lorentz TEM)[5]観察により明らかになっています2。また、スキルミオンのトポロジカルな性質により、運動するスキルミオンは欠陥を容易に回避できるため、スキルミオンを駆動する臨界電流密度は、磁壁[6]を駆動する臨界電流密度の10分の1の約1011アンペア毎平方メートル(A/m2)程度で済むという利点があり3、低消費電力な情報キャリアとして期待されています。

アンチスキルミオンは反渦構造をとっており、スキルミオンと同様にトポロジカルな性質を持つため、低電流で駆動できることが期待されていましたが、実証実験はまだ行われていませんでした。

注1)2021年1月26日プレスリリース「室温でアンチスキルミオンを示す新物質の発見」
https://www.riken.jp/press/2021/20210126_1/

注2)2021年11月24日プレスリリース「室温で単一スキルミオンの電流駆動に成功」
https://www.riken.jp/press/2021/20211124_1/

注3)2012年8月8日プレスリリース「電子スピンの渦『スキルミオン』を微小電流で駆動」
https://www.riken.jp/press/2012/20120808_2/

研究手法と成果

共同研究グループはまず、FNPPプレート(図1a、b)の長辺に平行なナノスケールのストライプ磁区[7]を生成し、その磁区内に約200ナノメートル(nm、1nmは10億分の1メートル)のアンチスキルミオンを閉じ込めました(図1c)。その後、ナノ秒パルス電流をストライプ磁区に平行に流しました。ローレンツ電子顕微鏡で観察した結果(図1c)、このアンチスキルミオンが電流方向に平行に移動することが確認されました。つまり、アンチスキルミオンがナノストライプ磁区に閉じ込められた場合、ホール運動が完全に抑制され、電流によるトポロジカル構造体のレーストラック輸送機能が実証されました。また、この観察結果は、シミュレーション結果(図1d)とよく一致し、計算により実験結果を再現できることが確認されました。

次に、FNPPプレートの短辺に平行するナノスケールのストライプ磁区を生成し、その磁区内に約600nmの長方形状のアンチスキルミオンを閉じ込めました(図1e)。その後、最初の実験と同様のナノ秒パルス電流をストライプ磁区に直交して流しました。ローレンツ電子顕微鏡で観察した結果(図1e)、このアンチスキルミオンは電流方向に垂直で、ストライプ磁区に平行して移動することが確認されました。つまり、アンチスキルミオンの移動方向は電流の方向によらず、ナノストライプの向きに制限されることが実証されました。この観察結果は、シミュレーション結果(図1f)とも一致しました。

図1 アンチスキルミオンの駆動ダイナミクスの直接観察
(a、b)アンチスキルミオンをストライプ磁区(細線)内に閉じ込め、その磁区に平行・直行してナノ秒(ns)パルス電流を流した実験のセットアップ(模式図)。
(c、d、e、f)ストライプ磁区(細線)に横電流を流した場合のアンチスキルミオンの平行移動(c、d)および縦移動(e、f)。(c、e)は実験結果、(d、f)はシミュレーション結果。ただし電流は、実験で流した方向と理論計算した方向が逆になっている。

系統的に電流駆動によるアンチスキルミオンの運動を調べた結果、ナノストライプ磁区に流れる電流の方向がアンチスキルミオンの運動速度に大きく影響することが分かりました。具体的には、電流をストライプ磁区に平行に流す場合と比較して、垂直に流した場合、アンチスキルミオンの運動速度が最大で6倍に増加することが明らかになりました(図2)。

図2 アンチスキルミオンの運動速度と電流密度
ストライプ(Str)磁区(細線)に平行(a)と垂直(b)に電流を流した場合のアンチスキルミオンの運動速度(v ̅)の電流密度(j)依存性。運動速度は、平行と比べ垂直の場合には6倍も速い。

今後の期待

本研究では、室温条件下でナノ細線中に閉じ込められたアンチスキルミオンの電流駆動ダイナミクスを直接観察し、その運動特性を初めて明らかにしました。特に、細線に流れる電流の方向がアンチスキルミオンの運動速度に与える影響を考察した結果、ナノ細線に垂直に電流を流すことで、運動速度が最大で6倍にも増加することを実証しました。スキルミオンだけでなく、その反粒子であるアンチスキルミオンの制御・利用が可能になることは、トポロジカル構造を活用した新たな高速電子デバイスの開発に向けた大きな一歩であり、スピントロニクス[8]分野における次世代技術の基盤を築く成果として非常に重要です。

論文情報

タイトル:Confined antiskyrmion motion driven by electric current excitations
著者名:Yao Guang, Xichao Zhang, Yizhou Liu, Licong Peng, Fehmi Sami Yasin, Kosuke Karube, Daisuke Nakamura, Naoto Nagaosa, Yasujiro Taguchi, Masahito Mochizuki, Yoshinori Tokura, Xiuzhen Yu
雑誌:Nature Communications
DOI:10.1038/s41467-024-52072-4

補足説明

[1] アンチスキルミオン
スキルミオン([3]参照)とは符号が逆のトポロジカル数「+1」を持つ反渦状の磁気構造体。トポロジカル数は、トポロジカル構造の安定性を表す指標で、ここでは渦の巻き数で定義される。アンチスキルミオンの中心を通る直線上のスピン配列は、面内に45°回転するごとにらせん型(スピンの回転面が伝搬方向と垂直である配列)とサイクロイド型(スピンの回転面が伝搬方向と平行である配列)交互に入れ替わり、90°回転するごとにスピンの回転方向が反転する。

[2] レーストラック
磁区の変化で情報を記録する媒体で、データが「トラック」(細い磁性材料のワイヤー)に沿って移動する様子がレースに例えられている。

[3] スキルミオン
固体中の電子スピンが形成する渦状の磁気構造体であり、トポロジカル数「-1」を持つ。スキルミオンの中心を通る直線上のスピン配列はどこを切っても同じらせん状である。内周スピン配列と外周スピン配列は反平行であり、その間のスピン配列は少しずつ方向を変えながら、渦状に配列している。

[4] トポロジカルホール効果
スキルミオンは電子に対し巨大な仮想磁場の源として働き、電子の運動を横方向に曲げることによりホール電圧が発生するが、これをトポロジカルホール効果と呼ぶ。

[5] ローレンツ電子顕微鏡(Lorentz TEM)
電子線が磁性体を通過する際にローレンツ力によって電子軌道の方向が変化する、その方向変化を可視化することにより、試料内部の磁気構造を観察する顕微鏡。

[6] 磁壁
磁性材料(磁石や強磁性体)の内部において、隣接する磁区(ドメイン)間で磁化の向きが異なる境界領域。

[7] ストライプ磁区
磁性材料内で磁化の方向が周期的に反転している磁区構造を示す。このような磁区は、細長い(ストライプ状の)構造を持ち、交互に反転する磁区が平行に並び、一定の周期性を持つ。

[8] スピントロニクス
電子の自転(スピン)現象を利用した電子工学。次世代の省電力・不揮発性の電子素子の動作原理を提供すると期待されている。

共同研究グループ

理化学研究所 創発物性科学研究センター
電子状態マイクロスコピー研究チーム
特別研究員           グァン・ヤオ   (Guang Yao)
基礎科学特別研究員(研究当時) ポン・リソン   (Peng Licong)
基礎科学特別研究員(研究当時) ヤシン・フェミー (Yasin Fehmi)
チームリーダー         于 秀珍     (ウ・シュウシン)

強相関理論研究グループ
基礎科学特別研究員(研究当時) リュウ・イーヂョウ(Yizhou Liu)
(現 客員研究員)

グループディレクター      永長直人     (ナガオサ・ナオト)
(最先端研究プラットフォーム連携(TRIP)事業本部基礎量子科学研究プログラム プログラムディレクター)

創発機能磁性材料研究ユニット
ユニットリーダー        軽部皓介     (カルベ・コウスケ)

強相関物質研究グループ
上級研究員           中村大輔     (ナカムラ・ダイスケ)
グループディレクター      田口康二郎    (タグチ・ヤスジロウ)

強相関物性研究グループ
グループディレクター      十倉好紀     (トクラ・ヨシノリ)
(東京大学卓越教授/東京大学国際高等研究所東京カレッジ)

早稲田大学 理工学術院
研究院講師           ツァン・シーチャオ(Zhang Xichao)
教授              望月維人     (モチヅキ・マサヒト)

研究支援

本研究は、理研 TRIP イニシアティブにより実施し、日本学術振興会(JSPS)科学研究費助成事業基盤研究(A)「電子顕微鏡によるトポロジカルスピン構造とそのダイナミクスの実空間観察(研究代表者:于秀珍、19H00660)」「スキルミオニクス創成に向けた基盤技術と材料の開拓(研究代表者:望月維人、20H00337)」、同学術変革領域研究(A)「スピン模型のトポロジカル相転移を検出する汎用的な機械学習手法の開発(研究代表者:望月維人、23H04522)」、同基盤研究(S)「磁性伝導体における新しい創発電磁誘導(研究代表者:十倉好紀、23H05431)」、科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業CREST「Beyond Skyrmionを目指す新しいトポロジカル磁性科学の創出(研究代表者:于秀珍、JPMJCR20T1)」、早稲田大学特定課題研究助成費(2024C-153)による助成を受けて行われました。

「海洋生態系の保全に向けて~野外調査・飼育実験・分子生態学的アプローチによる海洋生物の多様性 と生態を探る~」(2024/9/18)

著者: staff
2024年9月5日 09:27

演題:海洋生態系の保全に向けて~野外調査・飼育実験・分子生態学的アプローチによる海洋生物の多様性と生態を探る~

日時:2024年9月18日(水) 14:00 – 15:40

会場:早稲田大学 120-5号館121会議室

講師:安田 仁奈(東京大学大学院農学生命科学研究科教授)

対象:学部生・大学院生、教職員、学外者、一般の方

参加方法:入場無料、直接会場へお越しください。

主催:早稲田大学 先進理工学部 生命医科学科

問合せ:早稲田大学 理工センター 総務課

TEL:03-5286-3000

「Ectogenic Desires – from cultures to labour」(2024/9/23)

著者: staff
2024年9月4日 16:29

演題:Ectogenic Desires – from cultures to labour

日時:2024年9月23日(月)16:30-18:30

会場:早稲田大学 先端生命医科学研究施設(TWIns)3Fセミナールーム3

講師:Ionat Zurr 西オーストラリア大学デザイン学部・准教授(アーティスト)

対象:学部生・大学院生、教職員、学外者、一般の方

参加方法:入場無料 直接会場へお越しください。

主催:先進理工学部 電気・情報生命工学科

問合せ:早稲田大学 理工センター 総務課

TEL:03-5286-3000

関連リンク: https://www.facebook.com/events/921951276626517

注意:祝日につき、施設のゲートが閉まっています。施設右側の入り口の近くに張り紙をしておきますので、その指示に従ってください

「Facile Access to Chiral Phosphorus Compounds via Transition Metal-catalyzed Asymmetric Hydrophosphination」(2024/9/23)

著者: staff
2024年9月4日 14:32

演題:Facile Access to Chiral Phosphorus Compounds via Transition Metal-catalyzed Asymmetric

Hydrophosphinationphination

日時:2024年9月23日(月)16:20~18:00

会場:早稲田大学 121号館 コマツ100周年記念ホール

講師:汪君(香港浸会大学・教授)

対象:学部生・大学院生、教職員、学外者、一般の方

参加方法:入場無料、直接会場へお越しください。

主催:先進理工学部 応用化学科

問合せ:早稲田大学 理工センター 総務課

TEL:03-5286-3000

「Root structure and photosynthate allocation determine interactively spatial patterns in the maize rhizosphere microbiota」(2024/9/16)

著者: staff
2024年9月4日 11:25

演題:Root structure and photosynthate allocation determine interactively

spatial patterns in the maize rhizosphere microbiota

日時:2024年9月16日(月) 15:30 – 17:10

会場:西早稲田キャンパス 50号館3階セミナールーム

講師:Claudia Knief(ボン大学教授)

対象:学部生・大学院生、教職員、学外者、一般の方

参加方法:入場無料、直接会場へお越しください。

主催:早稲田大学 先進理工学部 生命医科学科

問合せ:早稲田大学 理工センター 総務課

TEL:03-5286-3000

 

「Hydrogen peroxide production and elucidation of the reaction mechanism using organic photocatalysts containing azine rings (アジン環を含む有機光触媒による過酸化水素の生成と反応機構の解明)」(2024/9/3)

著者: staff
2024年8月30日 09:41

演題:Hydrogen peroxide production and elucidation of the reaction mechanism using organic photocatalysts containing azine rings (アジン環を含む有機光触媒による過酸化水素の生成と反応機構の解明)

日時:2024年9月3日(火) 15:30-17:00

会場:西早稲田キャンパス 環境資源工学科 学科ゼミ室 (51-11-11)

講師:Cai Wenan(九州工業大学大学院工学部博士後期課程)

対象:学部生・大学院生、教職員、学外者、一般の方

参加方法:入場無料、直接会場へお越しください。

主催:創造理工学部 環境資源工学科

問合せ:早稲田大学 理工センター 総務課

TEL:03-5286-3000

「創薬を志向した、分泌タンパク質リーリンの機能調節機構の解明」(2024/9/11)

著者: staff
2024年8月28日 11:24

演題:創薬を志向した、分泌タンパク質リーリンの機能調節機構の解明

日時:2024年9月11日(水) 16:00 – 17:40

会場:西早稲田キャンパス 50号館セミナールーム2

講師:服部 光治(教授)

対象:学部生・大学院生、教職員、学外者、一般の方

参加方法:入場無料、直接会場へお越しください。

主催:早稲田大学 先進理工学部 生命医科学科

問合せ:早稲田大学 理工センター 総務課

TEL:03-5286-3000

「アンチセンス核酸への応用を目指した人工核酸の創製」(2024/9/11)

著者: staff
2024年8月28日 10:23

演題:アンチセンス核酸への応用を目指した人工核酸の創製

日時:2024年9月11日(水)17:00-18:40

会場:西早稲田キャンパス 63号館03会議室

講師:小比賀 聡(大阪大学大学院薬学研究科教授/大阪大学大学院薬学研究科長/大阪大学薬学部長)

対象:学部生・大学院生、教職員、学外者、一般の方

参加方法:入場無料、直接会場へお越しください。

主催:先進理工学研究科 化学・生命化学科

問合せ:早稲田大学 理工センター 総務課

TEL:03-5286-3000

「量子化学計算が先導する有機合成化学」(2024/9/2)

著者: staff
2024年8月21日 11:59

演題:量子化学計算が先導する有機合成化学

日時:2024年9月2日(月)16:30-18:10

会場:西早稲田キャンパス 62号館 1階 大会議室A

講師:美多 剛(北海道大学化学反応創成研究拠点(WPI-ICReDD)教授)

対象:学部生・大学院生、教職員、学外者、一般の方

参加方法:入場無料、直接会場へお越しください。

主催:先進理工学研究科 化学・生命化学科

問合せ:早稲田大学 理工センター 総務課

TEL:03-5286-3000

「Plant response to extracellular ATP: More important that generally realized」(2024/9/4)

著者: staff
2024年8月21日 11:31

演題:Plant response to extracellular ATP: More important that generally realized

日時:2024年9月4日(水) 15:00 – 16:40

会場:早稲田大学 120-5号館121会議室

講師:Gary Stacey(ミズーリ大学 教授)

対象:学部生・大学院生、教職員、学外者、一般の方

参加方法:入場無料、直接会場へお越しください。

主催:早稲田大学 先進理工学部 生命医科学科

問合せ:早稲田大学 理工センター 総務課

TEL:03-5286-3000

「Innovating the Future of Fertilizer at Pivot Bio」(2024/9/4)

著者: staff
2024年8月21日 10:56

演題:Innovating the Future of Fertilizer at Pivot Bio

日時:2024年9月4日(水) 16:50 – 18:30

会場:早稲田大学 120-5号館121会議室

講師:Karsten Temme(Pivot-Bio Chief Innovation Officer and Co-Founder)

対象:学部生・大学院生、教職員、学外者、一般の方

参加方法:入場無料、直接会場へお越しください。

主催:早稲田大学 先進理工学部 生命医科学科

問合せ:早稲田大学 理工センター 総務課

TEL:03-5286-3000

「Plant Growth Promoting Rhizobacteria: All roads lead to Rome」(2024/8/28)

著者: staff
2024年8月21日 10:01

演題:Plant Growth Promoting Rhizobacteria: All roads lead to Rome

日時:2024年8月28日(水) 16:30 – 18:10

会場:早稲田大学 120-5号館121会議室

講師:GOORMACHTIG SOFIE ANNIE E(ゲント大学教授)

対象:学部生・大学院生、教職員、学外者、一般の方

参加方法:入場無料、直接会場へお越しください。

主催:早稲田大学 先進理工学部 生命医科学科

問合せ:早稲田大学 理工センター 総務課

TEL:03-5286-3000

「Crossroads between Geometric Numerical Integration and Scientific Machine Learning」(2024/8/22・23)

著者: staff
2024年8月8日 17:29

演題:Crossroads between Geometric Numerical Integration and Scientific Machine Learning

日時:2024年8月22・23日(木・金) 13:00~17:00

会場:西早稲田キャンパス 51号館 3階 第二会議室

講師:Michael Kraus(Max Planck Institute for Plasma Physics, Senior Researcher / Research Group Leader)

対象:学部生・大学院生、教職員、学外者、一般の方

参加方法:入場無料、直接会場へお越しください。

主催:基幹理工学部 機械科学・航空宇宙学科

問合せ:早稲田大学 理工センター 総務課

TEL:03-5286-3000

関連リンク:http://www.yoshimura.mech.waseda.ac.jp/

8/19 公開イベント 「宇宙で生活する。宇宙と地球の日常性とは? 快適ECLSS(エクルス):宇宙での快適な暮らしと循環をデザインする」

著者: staff
2024年8月4日 10:10

2024 年8月19日(月)16時より、理工学術院、SHIBUYA QWS Innovation 協議会、産業競争力懇談会「フード・サステナビリティ実現に向けたwell-being代替タンパク質の開発と社会実装」プロジェクトの合同主催によるイベントを開催します。

テーマは「宇宙で生活する。宇宙と地球の日常性とは?:宇宙的日常性:宇宙での快適な暮らしと循環をデザインする」です。本イベントに興味のある方であれば誰でも参加できますので、奮ってご参加ください。

◆日時:8月19日(月)16時00分~19時30分
◆会場: SCRAMBLE HALL・CROSS PARK (SHIBUYA QWS内)
◆対象者: プロジェクトに興味のある方であれば誰でも参加できます
(高校生、大学生、大学院生、教職員、教諭、研究員、社会人 他)
◆参加費: 無料
◆モデレーター:朝日 透(早稲田大学理工学術院 教授)

・詳細はこちら
・参加申込はこちら

【オープンキャンパス】建築学科企画会場変更のお知らせ

著者: staff
2024年8月3日 18:17

2024年度オープンキャンパスにおける創造理工学部・建築学科の以下の企画につきましては、実施会場が変更となります。

【学生作品展示】9:00~16:30
変更先会場:57号館地下1階スタジオ

【模擬講義「海外設計事務所での経験について」】8月4日(日)10:00~10:40
変更先会場:63号館2階03・04・05室

※8月4日(日)15:35~の学科説明会と15:50~の模擬講義「建築構造の世界」は57号館201教室で変更ございません。お間違えのないよう、ご注意ください。

 

 

若い超新星残骸SN1006で「磁場増幅」の証拠を発見~宇宙線加速のジレンマ解消にむけ、新たな一歩~

著者: contributor
2024年7月26日 13:29

若い超新星残骸SN1006で「磁場増幅」の証拠を発見
~宇宙線加速のジレンマ解消にむけ、新たな一歩~

ポイント

  • 若い超新星残骸SN1006の電波とX線の観測データを詳細に解析
  • 電波スペクトルの折れ曲がりと衝撃波の厚みから、100倍以上の磁場増幅を発見
  • 超新星残骸での宇宙線加速を示唆する、新たな証拠を提示

早稲田大学大学院先進理工学研究科の田尾 萌梨(たおもえり、修士課程1年)と、同大学・理工学術院の片岡 淳(かたおかじゅん)教授らの研究グループは、甲南大学理工学部の田中 孝明(たなかたかあき)准教授と共同で、約1000年前に爆発した超新星残骸SN1006で生ずる衝撃波で、磁場が100倍以上も増幅される確実な証拠を突きとめました。

我々の宇宙には「宇宙線」と呼ばれる高エネルギーの粒子が満ちており、その起源は謎に包まれています。宇宙線のスペクトルは1015電子ボルト(1ペタ電子ボルト:1PeV)に特徴的な折れ曲がりを持ち、それ以下の宇宙線は超新星爆発で生成されるとする説が有力です。ところが、加速される宇宙線の最大エネルギーは磁場に比例し、弱い星間磁場(1~10マイクロガウス:10-6~10-5G)では1PeVまで粒子を加速するのは困難で、未解決の難問(ジレンマ)となってきました。今回、研究チームは超新星残骸SN1006の衝撃波で磁場が100倍以上も増幅されていることを発見し、PeVのエネルギーを持つ宇宙線でも加速できる示唆を得ました。

本研究成果は、2024年7月24日(水)午前10時(英国夏時間)に『Astrophysical Journal Letters』のオンライン版で公開されました。

【論文情報】
雑誌名:Astrophysical Journal Letters
論文名:Observational Evidence for Magnetic Field Amplification in SN 1006
DOI:10.3847/2041-8213/ad60c7

これまでの研究で分かっていたこと

図1:宇宙線スペクトルの概観と「knee」

我々の宇宙には「宇宙線」と呼ばれる高エネルギーの粒子が満ちており、観測史上、最も高いエネルギーでは1020eV(eVは電子ボルト。エネルギーの単位)を超える粒子の存在が知られています。スイス・ジュネーブにある、人類最高の加速器Cern-LHCですら加速できる粒子のエネルギーは1013eVであることから、宇宙にははるかに効率が良い、未知の「巨大加速器」が、そこかしこに眠っていることになります。

宇宙線のスペクトルを詳細に見ると、図1のように1015eV(1PeV)付近に特徴的な折れ曲がりがあります。この構造は人間の体にたとえ、「knee(ひざ)」と呼ばれています。これまでの研究から、knee以下の宇宙線は我々の銀河系の中で生成され、knee以上の粒子は銀河系の外から到来すると考えられています。とくに、knee以下の宇宙線は星が最期におこす大爆発(超新星爆発)で、効率よく加速されると考えられています。実際、銀河系内で超新星爆発は約30年に1度の頻度で起きており、その都度1044ジュール(J)ものエネルギーを解放します。このうち1%でも宇宙線加速に消費されれば、エネルギー収支としては十分に賄える計算となります。

ところが、個々の粒子をkneeまで加速することは、簡単ではありません。衝撃波加速の理論では、加速される粒子の最大エネルギーは

と表されます。ここで、磁場強度が星間空間と同程度であれば は B~ 1 – 10μGμGは 10-6G。磁場の大きさ)、 ηは1~10程度の定数です。若い超新星残骸では年齢が概ね1000年(Tage ~ 1000 yr)、衝撃波の速度は概ね数千キロ/秒(Vsh~ 1000 – 3000 km/s)のため、最大エネルギーEmax は1PeVに遠く及ばない計算となります。Kneeに到達するには、100倍から1000倍も強い磁場が必要なのです。

これまで多くの若い超新星残骸では電波からガンマ線にわたる観測が行われ、多波長スペクトルからそこでの磁場は星間磁場と同程度の  が示唆されます。一方で、若い超新星残骸 RXJ1713.7-3946(Tage ~ 1600 yr)とカシオペアA(Tage ~ 300 yr) では、X線で明るく示される「ホットスポット」が数年の間に点滅する様子が確認されました(※1)。ここで、X線(keV:キロ電子ボルト程度)は、衝撃波で加速された電子のシンクロトロン放射(※2)と考えられ、放射で冷える時間は

で与えられます。つまり、X線の点滅はミリガウス(1mG = 1000μG)の強い磁場を示唆しますが、スペクトルから求めた磁場(10μG)とは大きく矛盾します。また、ほかの超新星残骸では磁場増幅の兆候は見つかっていません。この混沌とした状況に、多くの研究者が頭を悩ませてきました。

今回の研究で明らかになったこと

図2:超新星残骸SN1006。青はチャンドラ衛星によるX線観測、赤は電波観測、黄色は可視光による観測の合成画像(©NASA)

本研究では、超新星残骸の「プロトタイプ」とも呼べるSN1006に着目し、多波長スペクトルと画像解析から磁場増幅と宇宙線加速の謎に挑みました。

SN1006は、その名の通り西暦1006年に出現した超新星で、距離は太陽系から約6000光年で「おおかみ座」の方向にあります。爆発時には-7.5等級まで明るくなったことが知られています。これは歴史上最も明るく、昼間でも見ることができた明るさで、藤原定家の「明月記」、中国の「宋史」にも記載があります。

約1000年経った現在におけるSN1006の姿を図2に示します。電波やX線では縁部(シェル)が明るい美しい球状の構造を持ち、まさに爆発による衝撃波が、星間空間を対称に広がっていく様子が見て取れます。1995年には日本の天文衛星「あすか」で初めて精密なX線分光観測が行われ、明るいシェルの部分は強いシンクトロン放射であることが確認されました。これは超新星爆発で、実際に衝撃波加速が起きている動かぬ証拠です(※3)。その後のチャンドラ衛星(米国)、ニュートン衛星(欧州)の詳細観測では、X線の衝撃波面が10秒角(地球までの距離6000光年から計算して、実際の厚みは~3光年)程度ときわめて薄いこと、また電波もX線も B~ 10μG の磁場中で生ずる、一連のシンクロトロン放射である、とする統一見解が得られました。しかしながら、この程度の磁場強度では、SN1006でPeVまでの宇宙線加速はできないはずです([式1]を参照)。

本研究は以下のアプローチで、この難問の解決に挑みました:

(A)Planck(プランク)衛星を加えた1-100GHz の広帯域電波スペクトル解析

(B)MeerKAT 望遠鏡とチャンドラ衛星による高解像度の電波/X線画像の直接比較

(C)多波長スペクトル解析による検証

図3:広帯域電波スペクトル。30GHz以上がPlanck衛星のデータ

(A)Planck衛星は、ヨーロッパ宇宙機関(ESA)が打ち上げたマイクロ波背景放射を観測する衛星で、これまで観測できなかった数十~100GHz(GHzは109Hz)での電波観測を行うことが可能です。本研究では既存の電波望遠鏡の観測結果とあわせることで、初めて1-100GHzの広帯域電波スペクトルを導出しました。結果を図3に示します。これまで、電波のスペクトルは折れ曲がりなく一直線にX線まで伸びると信じられてきましたが、本研究で( Vbrk = 36 ± 6 GHz)に折れ曲がりがあることが分かりました(※4)。これは、電子が強い磁場中で急激にシンクロトロン放射によりエネルギーを失う結果と考えられます。折れ曲がりの周波数は磁場の強さと超新星残骸の年齢(Tage = 1000 yr)に依存するため、ここから電波放射に寄与する磁場の下限値 B > 2mG  が得られました。

(B)続いて、超高解像度の電波画像とX線画像を直接比較し、SN1006の衝撃波面の厚みを比較しました。MeerKAT望遠鏡は南アフリカに設置された口径13.5メートル、64台からなる電波望遠鏡群で、1.4GHzの観測帯で過去最高の解像度(8秒角)を誇ります。一方で、チャンドラ衛星はX線領域で過去最高の解像度(0.5秒角)を持ち、これらの画像を直接比較することで新たな示唆が得られると期待されます。ここで、電波とX線は、エネルギー(または波長)にして8桁(約1億倍)もの開きがあることに注意が必要です。衝撃波面の厚みは、衝撃波の速度 Vsh と電子の冷却時間  の積で与えられるため、もし電波とX線が同じ磁場強度を持つシンクロトロン放射であるならば、[式2]より電波の厚みはX線よりも10,000倍も「厚い」はずです。その場合、電波ではシェル構造が見えず、全体がほぼ一様な球のように光って見えると考えられます。ところが図4を見ると、電波でも明るいシェルが見られ、X線との厚みの違いは高々10倍程度であることが分かります。これは、電波に寄与する磁場がX線領域よりもずっと強く、非常に速く冷却しているからに他なりません。この事実からも、電波に寄与する磁場の下限値   が得られます。一方で、X線を出す電子はエネルギーが高いため、 B~ 10μGで観測されたシェルの厚みを説明することが可能です。

図4:(a)-(d) SN1006の北東シェル、南西シェルの電波、X線画像の比較 (e)-(f) それぞれ1-4の白線に沿って作成した電波(緑色)とX線(赤色)の断面図。電波のシェルはX線より太いが、高々10倍程度であることが分かる

(C)上記ではSN1006で電波を出す領域の磁場の強さが非常に強く、かつX線を出す領域の磁場とは全く異なる可能性を示しました。

図5:SN1006の電波からガンマ線にわたる多波長スペクトル。電波とX線はシンクロトロン放射と考えられるが、別の成分で滑らかにつながらないことが分かる

それでは最後に、電波からガンマ線をつなぐ多波長スペクトルからSN1006で何が起きているのか、謎解きをしてみたいと思います。図5は、今回新しく解析した広帯域の電波スペクトル(図中青色)を加えた多波長データとなります。ここではさらに、可視光・紫外線の過去の観測から見積もった強度(図中黒丸)を新たに加えています。ここで、電波からX線は高エネルギー電子のシンクロトロン放射と考えられますが、今回検出された折れ曲がりのある第1成分(図中緑:ホットスポット)、さらには可視・紫外線とX線で滑らかにつながる第2成分(図中ピンク:全体平均)が混在していることが分かります。第2成分については、高エネルギーのガンマ線放射(同じ電子からの放射だが、逆コンプトン放射(※5)という別な放射)との強度比から、磁場が約 10 – 20μG と正確に求められました。これは従来の観測から得られる示唆と矛盾せず、また他の超新星残骸で信じられている磁場の強さでもあります。一方で、第1成分の電波放射を作るには、約100倍以上磁場が強められることが必要です。つまり、電波とX線では放射に主に寄与する磁場の強さが全く異なる、すなわち放射領域が異なることが初めて示されました。

研究の波及効果-宇宙線加速の謎解明へ

超新星残骸における磁場増幅は、宇宙線加速の観点からも極めて重要な問題です。今回の発見で超新星残骸SN1006のシェルには、磁場が100倍以上に増幅された領域が混在し、それが電波スペクトルの「折れ曲がり」と同時に「細いシェル」を説明することが分かりました。一方で、磁場強度が違うにも関わらず、電波とX線で観測されるシェル構造が似通っているのは何故でしょうか?また、他の若い超新星残骸RXJ1713.7-3946やカシオペアAで観測されたホットスポットの点滅は、SN1006では見えないのでしょうか?ここではその原因を考察します。

まず、電波とX線の画像が似ていることは、磁場が100倍以上も増幅された領域がシェルに沿って、ほぼ一様に広がっていることを示唆します。これらは衝撃波面に沿ってパッチ(ホットスポット)のように点在している可能性もありますし、極めて薄いシート状に広がっているのかもしれません。シンクロトロン放射の強度は磁場の2乗に比例するため、大まかに磁場増幅された領域の体積を見積もることができます。SN1006の場合、シェル全体の10万分の1程度しかないはずです。このような小さな(あるいは薄い)領域は、チャンドラ衛星の解像度をもってしても画像で分解することができません。また、仮に分解できたとしても、 Vbrk = 36 ± 6 GHzで折れ曲がった第1成分が、果たしてX線まで伸びているかも定かではありません。もちろん、今後の観測で、RXJ1713.7-3946やカシオペアA で観測された時間変動が見られれば、より強い制限を与えられることになります。

最後に、図4で求めた電波とX線の画像から、さまざまな位置で電波とX線のシェルの厚みを比較したプロットを図6に示します。全てのシェル領域で、磁場の増幅が見られ、増幅率は100-300倍程度であることが分かります。超新星残骸のプロトタイプともいえるSN1006で磁場増幅の確かな証拠が得られたことで、宇宙線加速の長年の謎であった「超新星残骸ではPeVまで加速できない?」問題に、重要かつ新たな示唆が得られたことになります。

図6:電波とX線のシェルの幅(図4)から求めた、衝撃波面での磁場圧縮率。場所ごとに差はあるが、概ね 100~300倍に圧縮していることが分かる

今後の課題

本研究では、有名な超新星残骸SN1006に対し、Planck衛星の広帯域電波観測、またMeerKAT電波望遠鏡、チャンドラ衛星を総動員した最先端の観測を駆使し、超新星残骸の磁場増幅、さらには宇宙線加速の問題に迫りました。もちろん、SN1006以外にも若い超新星残骸はたくさんあります。たとえば1604年に爆発したケプラー(Kepler)、1572年に爆発したティコ(Tycho)はチャンドラによるX線観測で細いシェルが明確に見えており(図7)、MeerKATを用いた同様な電波画像との比較が待たれます。また、約3700年前に爆発したPuppis AはPlanck衛星による電波観測で折れ曲がりが見えており、これらとSN1006の比較も重要な課題です。今後、研究チームではより広範な種類と年齢の超新星残骸で、磁場増幅の検証を行っていく予定です。

図7:現在、解析を進めているSN1006以外の若い超新星残骸の例

研究者のコメント

宇宙を飛び交う高エネルギー粒子「宇宙線」は1912年に、オーストリアの研究者 ヘス(V.HESS)による気球実験で発見されました。大型の加速器が作れない当時、宇宙線を利用した研究は素粒子物理の花形で、多くの発見をもたらしました。そして100年以上を経た現在、いまだに人類は自然界を超える加速器の製作に成功しておらず、また宇宙のどこで・どのように宇宙線が生成されるのかは、物理学・天文学共通の最重要な研究テーマとして君臨しています。今回の研究は、超新星残骸SN1006に着目したものですが、研究チームが開発した「スペクトルと画像を多波長で横断するアプローチ」は、超新星残骸以外のさまざまな天体への応用が可能で、宇宙に隠れた加速器の真の姿を照らしてくれるに違いありません。今後の研究にご期待ください。

用語解説

※1 若い超新星残骸で見つかった、X線ホットスポットの強度変化:
・ “Extremely fast acceleration of cosmic rays in a supernova  remnant”, Uchiyama, Y., Aharonian, F. A., Tanaka, T., Takahashi, T., & Maeda, Y. (2007), Nature, 449, 576
・ “Fast Variability of Nonthermal X-Ray Emission in Cassiopeia A: Probing Electron Acceleration in Reverse-Shocked Ejecta”, Uchiyama, Y., & Aharonian, F. A. (2008), The Astrophysical Journal, 677, L105

※2 シンクロトロン放射
高エネルギーに加速された粒子が、磁場中で出す放射。粒子の質量の4乗に比例して放射しづらくなるため、実際に観測されているのは軽い電子によるシンクロトロン放射だけである。

※3 ASCA衛星による SN1006の観測
・“Evidence for shock acceleration of high-energy electrons in the supernova remnant SN1006”,  K. Koyama, R. Petre, E. V. Gotthelf, U. Hwang, M. Matsuura, M. Ozaki & S. S. Holt, (1995), Nature, 378, 255

※4 SN1006 の電波スペクトルに折れ曲がりがあることは、以下の論文が最初に発表
・”Planck intermediate results: XXXI. Microwave survey of Galactic supernova remnants”, Planck collaboration, (2016), A&A, 586, A134

※5 逆コンプトン放射
高エネルギーに加速された電子が、エネルギーの一部を低エネルギーの光子(SN1006場合は、宇宙マイクロ波背景放射)に与えることで生ずる、高エネルギーの放射。

論文情報

雑誌名:Astrophysical Journal Letters
論文名:Observational Evidence for Magnetic Field Amplification in SN 1006
執筆者名:Moeri Tao1、Jun Kataoka1 and Takaaki Tanaka2

1.早稲田大学理工学術院 先進理工学研究科 物理学及応用物理学専攻 田尾  萌梨、片岡  淳 (論文責任著者)
2.甲南大学理工学部 物理学科 田中  孝明

掲載日時(英国夏時間):2024年7月24日(水)午前10時
掲載日時(日本時間):2024年7月24日(水)午後6時
DOI:10.3847/2041-8213/ad60c7
掲載予定URL:https://doi.org/10.3847/2041-8213/ad60c7

研究助成

本研究は、JST 戦略的創造研究推進事業 ERATO「片岡ラインX線ガンマ線イメージングプロジェクト」(R3~8年度;グラント番号 JPMJER2102)および科学研究費補助金 基盤研究(B)「超新星残骸で加速される宇宙線総量の測定と粒子加速における注入問題の解決」(R2~5年度;グラント番号19H01936)の支援を得て実施したものです。

光でタンパク質の凝集を誘導するツールがアルツハイマー病患者等の脳に生じるタウ凝集生成メカニズムの新たな理解を導く

著者: contributor
2024年7月26日 13:28

光でタンパク質の凝集を誘導するツールがアルツハイマー病患者等の脳に生じるタウ凝集生成メカニズムの新たな理解を導く

ポイント

  • アルツハイマー病を含むタウオパチーと総称される神経変性疾患の患者脳では、タウと呼ばれるタンパク質が異常に集まり、大きな塊(アルツハイマー病では神経原線維変化※1)となって観察されます。その前段階には小さな塊(オリゴマー)がありますが、どのようにそれらが形成するかは十分に解明されていません。
  • 光感受性タンパク質CRY2oligを用いてタウタンパク質の小さな塊から大きな塊までの凝集過程を制御する実験系を構築しました。
  • この研究は、タウタンパク質の凝集メカニズムの一端を明らかにしており、タウオパチー病態理解のための基礎的知見が得られました。。

概要

早稲田大学理工学術院の坂内博子教授、学習院大学理学部生命科学科の添田義行助教、大学院生の小池力さん、高島明彦教授、椎葉一心助教、東京大学大学院理学系研究科の吉村英哲助教らからなる研究グループは、アルツハイマー病を含むタウオパチーと総称される神経変性疾患の患者脳に観察される特定の変異を持つタウタンパク質が、どのようにして異常な凝集体を形成するのか、その過程を明らかにしました。特に、光反応タンパク質CRY2oligを使用することで、タウタンパク質の動きを制御し、病気の進行メカニズムを解明する手がかりを得ることができました。

本研究成果は、タウタンパク質の凝集メカニズムの理解を促進し、アルツハイマー病等のタウオパチー病態理解のための基礎的知見の蓄積に貢献します。本研究成果は、2024年7月20日午前1時(日本時間)にCell Press(米国)の科学雑誌Structureに掲載されました。

研究の背景

タウタンパク質は、細胞の中に存在し、微小管という細胞の構造を安定させる細胞骨格に結合することが知られています。しかし、アルツハイマー病などの神経変性疾患では、タウタンパク質が異常リン酸化される等により、微小管から離れること、また水溶性の状態から不溶性の塊を作ってしまうことが知られています。この異常なタウタンパク質の密な塊(凝集体)が、病気の進行に関与していると考えられています。したがって、タウタンパク質が液体のような状態から固体の塊に変わる過程が病気の理解に重要でありますが、その研究は十分に行われておりません。この過程を理解するために、青色の光で反応するシロイヌナズナという植物由来のタンパク質の変異体CRY2olig使って、タウタンパク質の凝集を制御し、その過程を詳細に観察しました。

研究の内容

光照射によるタウタンパク質の変化

凝集しやすいP301L変異を持つタウタンパク質に光感受性タンパク質CRY2oligを融合させたタウタンパク質OptoTauを使用し、光照射に応答して変化するタウタンパク質の挙動をリアルタイムで操作しました。青色光の照射で、OptoTauは病気で観察されるようなリン酸化状態に変わり、また、細胞内でタウ同士が集まるクラスター形成が促進されました。このクラスターは細胞核の周りに集中しており、アグリソームという凝集タンパク質を処理するためのシステムに隔離されていることが観察されました。

アグリソームの破壊実験

微小管の形成を阻害する薬(ノコダゾール)を使用し、アグリソームを破壊しました。実験では、青色光の照射によってOptoTauが細胞全体に散在し、アグリソームではなく膜のない構造体が形成されました。これは、生命科学分野で注目されているトピックの1つである液-液相分離※2で形成されるドロップレットでありました。このような結果は、タウタンパク質は液滴のような構造から固体の塊に変わる過程が観察されたことを示しています。

N末端欠失OptoTauの効果

このOptoTauを真ん中付近で切断したN末端※3が欠失しているOptoTau-ΔNは、青色光の照射によってOptoTauより強力な凝集体を形成することが分かりました。また、これが正常なタウをタウ線維※4に変換させる種(シード)として機能することが示されました。この結果から、N末端の欠失がタウタンパク質の相互作用を強化し、液滴から安定した凝集体への変化を促進することがわかりました。さらにそのタウは、正常なタウを異常凝集タウに変換させる能力を持つこともわかりました。

本研究成果が社会に与える影響(本研究成果の意義

本研究は、特定の変異を持つタウタンパク質がどのようにして異常な凝集体を形成するのか、その過程を明らかにしました。特に、光反応タンパク質CRY2oligを使用することで、タウタンパク質の動きを制御し、病気の進行メカニズムを解明する手がかりを得ることができました。これにより、アルツハイマー病などの治療法開発の基礎的知見の蓄積に貢献できる可能性があります。

発表者

添田 義行 学習院大学理学部生命科学科 助教
吉村 英哲 東京大学大学院理学系研究科化学専攻 助教
坂内 博子 早稲田大学先進理工学部電気・情報生命工学科 教授
小池 力 学習院大学⼤学院⾃然科学研究科 博士課程3年生
椎葉 一心 学習院大学理学部生命科学科 助教
高島 明彦 学習院大学理学部生命科学科 教授

論文情報

論文名:Intracellular Tau Fragment Droplets Serve as Seeds for Tau Fibrils
雑誌:Structure
著者名:Yoshiyuki Soeda, Hideaki Yoshimura, Hiroko Bannai, Riki Koike, Isshin Shiiba, Akihiko Takashima
DOI:https://doi.org/10.1016/j.str.2024.06.018

研究助成

本研究は、文部科学省科学研究費補助金新学術領域研究「シンギュラリティ生物学」(領域番号8007) (課題番号18H05414および18H05410)、科学研究費助成事業(Grant Number 20K06896、23K05993、23H02102 、23K18116、22K15399、22H05574および24H01327)、武田科学振興財団、安倍能成記念教育基金学術研究助成金および日本医療研究開発機構(AMED)の課題番号JP15km0908001の支援により実施されました。また、本発表は学習院大学グランドデザイン 2039「国際学術誌論文掲載補助事業」より掲載費の助成を受けています。

用語解説

※1 神経原線維変化
神経原線維変化は、脳の神経細胞内でタウと呼ばれる微小管結合タンパク質が異常に凝集し、蓄積したものです。これは神経変性疾患の1つであるアルツハイマー病の病理学的特徴になっています。タウが異常蓄積する神経変性疾患はアルツハイマー病以外にもピック病や慢性外傷性脳症などがあり、それらの疾患はタウオパチーと総称されています。

※2 液-液相分離
液-液相分離(えき-えきそうぶんり)とは、2つ以上の液体が混ざり合わずに別々の層を形成する現象のことです。タンパク質でも起こり、形状は球状でタンパク質局所濃度を増加させると考えられています。液-液相分離して起こる球状の構造体はドロップレット、コンデンセート、コアソルベート等と呼ばれています。

※3  N末端
タンパク質の先頭は、アミノ基のもつN(窒素原子)に由来してN末端と呼ばれます。タウにおいては、図のN-terminalという部分が該当します。

 ※4 タウ線維
アルツハイマー病等の神経変性疾患において、タウタンパク質は多数集まることで凝集状態になっています。凝集状態は小さな塊から大きい塊に変化することで生じます。大きな塊には、タウが線維化したものが多数含まれます

<公務員・理系>【7/31】地方公務員セミナー ~東京都庁「技術職員」のしごと・働き方を知ろう!~

著者: contributor
2024年7月18日 14:06

 

都市づくり、環境、産業、文化、福祉など、一国に匹敵するほどのフィールドを持つ東京都。
当イベントは東京都庁職員の方にお越ししただき、東京都庁『技術職員』のしごとの魅力・働き方、キャリア、試験制度についてお伝えします。
今回は、都庁技術職の早大卒業生もご登壇いただきますので、しごと理解と合わせて、各自のキャリアへの視野を広げるきっかけとしてください。

タイトル

地方公務員セミナー
~東京都庁「技術職員」のしごと・働き方を知ろう!~

開催日時

2024年7月31日(水) 14:00~15:30(90分)
※90分のプログラムの後に、全体質疑応答・職種別個別対応(参加自由)の時間を取ります。

場所

キャリアセンター「セミナールーム」
(戸山キャンパス学生会館3階)

プログラム

1.東京都の技術職員のしごと・魅力
2.早大卒業生(東京都技術職員)による「私のキャリアストーリー」
<登壇者>(予定)
・土木職
・建築職
・電気職
3.東京都庁の人事制度、働き方
4.採用試験制度(秋試験)に関する新たな取り組みについて

対象

全学年(理系学生)
※東京都庁技術職員(土木・建築・機械・電気)を検討中の方
※公務員(東京都庁)のしごとや技術職のしごとについて興味がある方
※学部1,2年生大歓迎

主催・共催

東京都人事委員会事務局
早稲田大学キャリアセンター

予約方法

①My waseda のキャリアコンパスにログイン
※初めて利用する方はこちらを参照の上、利用手続きをお願いします

②「ガイダンスに参加する」をクリック

③「ガイダンス一覧」から「地方公務員セミナー ~東京都庁「技術職員」のしごと・働き方を知ろう!~」をクリック⇒「申し込む」をクリック

※キャリアコンパスからの申し込みが難しい場合は、問合せ先記載の連絡先よりご連絡ください。

 

【問い合わせ】
早稲田大学キャリアセンター公務員支援担当
Email: career-govt#list.waseda.jp  ※#を@に変更のうえご送付ください。

 

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