ノーマルビュー

血管から考えるがんの転移,新型コロナ感染症重症化(2025/1/17)

著者: staff
2024年12月24日 10:52

日時: 2025年1月17日(木) 16:00-17:40

会場:早稲田大学 120-5号館121会議室

講師:樋田 京子

対象:学部生、大学院生、教職員、学外者、一般

参加方法:入場無料、直接会場へお越しください。

主催:先進理工学部 生命医科学科

問合せ:早稲田大学 理工センター 総務課

TEL:03-5286-3000

Elliptic solitons: direct linearisation scheme and vertex operator(2025/1/9)

著者: staff
2024年12月20日 12:47

演題:Elliptic solitons: direct linearisation scheme and vertex operator

Part I: Elliptic direct linearisation scheme. (13時30分~14時20分)

Part II: tau function and vertex operator of elliptic solitons.(14時30分~15時20分)

日時: 2025年1月9日(木) 13:30-15:20

会場:早稲田大学西早稲田キャンパス62W号館1階大会議室A(東側)

講師:Dajun Zhang

対象:学部生、大学院生、教職員、学外者、一般

参加方法:入場無料、直接会場へお越しください。

主催:基幹理工学研究科数学応用数理専攻

リンク先URL: https://soliton.w.waseda.jp/kouenkai.html

問合せ:早稲田大学 理工センター 総務課

TEL:03-5286-3000

Gonality型不変量と3次元代数ファイバー空間のスロープ不等式(2025/1/24)

著者: staff
2024年12月20日 12:47

日時: 2025年1月24日(金) 16:30-18:10

会場:早稲田大学西早稲田キャンパス51号館 18-08教室

講師:赤池 広都

対象:一般

参加方法:入場無料、直接会場へお越しください。

主催:基幹理工学部 数学応用数理専攻

リンク先URL: https://sites.google.com/view/waseda-ag-seminar

問合せ:早稲田大学 理工センター 総務課

TEL:03-5286-3000

レニウム-オスミウム法による火山性塊状硫化物鉱床の生成年代決定

著者: contributor
2024年12月20日 09:44

レニウム-オスミウム法による火山性塊状硫化物鉱床の生成年代決定
日本列島における海嶺沈み込み現象のタイミングを確度良く制約

発表のポイント

  • 宮崎県延岡市および北海道下川町に胚胎する火山性塊状硫化物の生成年代をレニウム-オスミウム (Re-Os) 法によって決定し、宮崎県槙峰鉱床の生成年代は約8,900万年前、下川鉱床の生成年代は約4,800万年前であることを明らかにした
  • 日本列島における直近の中央海嶺 (イザナギ-太平洋海嶺) 沈み込み現象がいつ起こったのかを、鉱床の生成年代値から確度良く制約することに成功した
  • 地質帯の成り立ちが複雑な北海道や日本列島構造史の理解増進につながることが期待される

概要

早稲田大学理工学術院教授の野崎達生 (のざきたつお) 、東京大学大学院工学系研究科准教授の高谷雄太郎 (たかやゆうたろう) 、高知大学海洋コア国際研究所客員助教の中山健 (なかやまけん)、東京大学大学院工学系研究科教授ならびに千葉工業大学次世代海洋資源研究センター所長・主席研究員の加藤泰浩 (かとうやすひろ) の研究グループは、日本列島付加体中の現地性玄武岩を伴う別子型鉱床である宮崎県槙峰鉱床および北海道下川鉱床の生成年代をレニウム-オスミウム (Re-Os) 法によって決定し、白亜紀後期~古第三紀にかけて日本列島で起こった海嶺沈み込み現象のタイミングを確度良く制約することに成功しました。

本研究成果は、国際学術出版社であるNature Research社発行による『Scientific Reports』誌に2024年12月3日 (火) (現地時間) に掲載されました。

[論文情報]
論文名:Re-Os dating of the Makimine and Shimokawa VMS deposits for new age constraints on ridge subduction beneath Japanese Islands
DOI:10.1038/s41598-024-80799-z

キーワード:
火山性塊状硫化物 (VMS) 鉱床、別子型鉱床、日本列島、付加体、レニウム-オスミウム(Re-Os) 法、海嶺沈み込み、槙峰鉱床、下川鉱床

図:本研究により明らかとなった槙峰・下川鉱床のRe-Osアイソクロン年代と生成場

これまでの研究で分かっていたこと

我々の暮らしている日本列島の基盤岩は、主に過去4億年以降に形成された付加体※1から構成されています。この長い歴史の中で、日本列島には中央海嶺※2が複数回沈み込んだと考えられています。熱源である中央海嶺が沈み込むことによって、現在の日本列島に分布する『対の変成帯』※3や大規模花崗岩体 (バソリス)※4の形成およびそれに伴う構造浸食などが引き起こされたと考えられており、構造史※5を考えるうえで海嶺沈み込み現象は重要な地質学的イベントです。この海嶺沈み込み現象の起こった年代値 (タイミング) は、海嶺起源の玄武岩上に累重した堆積岩中に含まれる微化石年代※6などを用いて見積もられてきましたが、海嶺沈み込み現象に伴う熱的作用によって微化石の保存状態が悪くなってしまうなど,確度・精度良く数値年代を出す手法が限られていました。

付加体中には過去に海底で形成された鉱床が胚胎しており、現在の日本列島においても陸上で多種多様な鉱床が観察されます。本研究では、現地性玄武岩※7を伴う別子型鉱床※8に着目することで、海嶺沈み込み現象のタイミングを決定することを試みました。

今回の研究で新たに実現しようとしたこと、そのために新しく開発した手法

本研究では、四万十帯北帯に胚胎する宮崎県延岡市槙峰鉱床と日高帯に胚胎する北海道下川町下川鉱床を研究対象としました。両鉱床ともに現地性玄武岩を伴う別子型鉱床に分類されます。レニウム-オスミウム (Re-Os) 法※9を用いて、両鉱床を構成する硫化鉱物※10のRe-Osアイソクロン年代※9を求めた結果、宮崎県槙峰鉱床は8,940 ± 120万年前、北海道下川鉱床は4,820 ± 90万年前に生成したことが明らかになりました。

以下の地質学的・地球化学的特徴から、両鉱床が生成したのは陸源砕屑物 (砂岩・泥岩) が供給されるような大陸に比較的近い沿海の中央海嶺であることが明らかになりました;

  1. 鉱石を構成する硫化鉱物のRe-Osアイソクロン年代が鉱床母岩と接する堆積岩 (砂岩・泥岩) の微化石年代の範囲と類似すること
  2. 硫化物鉱石は現地性玄武岩を伴い、チャート※11を伴わないこと
  3. 硫化物鉱石は母岩の玄武岩に比べて放射壊変起源である208Pbに富む鉛同位体比組成※12を有すること
  4. 太平洋の中央海嶺玄武岩に比べて高く・幅広い硫黄同位体比組成 (d34S)※13を有すること
  5. 変質・変成鉱物組合せから見積もられる地温勾配が、槙峰地域は他の周辺地域に比べて高いこと

したがって、両鉱床のRe-Osアイソクロン年代は、中央海嶺が現在の宮崎県あるいは北海道を形成した地質帯に沈み込む直前の数値年代を表していると考えられます。

研究の波及効果や社会的影響と今後の展望

本研究により、付加体中の現地性玄武岩を伴う別子型鉱床の生成年代 (Re-Os年代) を求めることによって、海嶺沈み込み現象が起こったタイミングを確度良く数値年代で追跡できることが明らかになりました。このような鉱床学的・地球化学的研究を進めることで、地質帯の成り立ちが複雑な北海道の成り立ちや日本列島構造史、また同手法を世界中の別子型鉱床に適用することによって地球史の理解増進につながると期待されます。さらに、このような過去の海嶺沈み込み現象が起こったタイミングを決定していくことで、新たな別子型鉱床の発見に繋がることも期待されます。

研究者のコメント

日本は資源のない国だと思われることが多いですが、海洋プレートが沈み込んでいる上の島弧に位置しているため、海底鉱物資源だけでなく陸上にも多種多様な鉱床が胚胎しています。鉱床は資源の供給源だけでなく、過去に起こった元素の異常濃集プロセスの産物であるため、地球史の記録媒体とも見なせます。鉱床学と最新の地球化学的分析手法を組合せることで、今後も我々が地球をより良く、より深く理解することに貢献できると確信しています。

用語解説

※1 付加体
海溝やトラフにおいて海洋プレートが沈み込む時に、海洋底にたまっていた堆積物が剥ぎ取られて陸側に押し付けられていくが、この作用を付加作用と呼び、その結果陸側に形成された地質体を付加体と呼ぶ。したがって、付加体には過去の海洋底で生成した鉱床も胚胎する。

※2 中央海嶺
大洋の中央部を走る比高2~3 km、長さ数千kmの海底山脈。中央海嶺は地殻熱流量が大きく、固体地球内部から放出される熱エネルギーの大部分は中央海嶺から火山活動として放出されている。したがって、中央海嶺はいわば海洋プレートが生産される場である。

※3 対の変成帯
高圧型変成帯と低圧型変成帯が対をなして並走する場合、これを『対の変成帯』と呼ぶ。日本における典型的な例は、西南日本の三波川変成帯と領家帯である。

※4 バソリス
露出面積が100 km2以上の大規模な花崗岩体のこと。底盤とも呼ばれる。

※5 構造史
ある地質体やそれを構成する岩石などが,どのような過程を経て今に至っているかを表す歴史のこと。

※6 微化石年代
同定に種々の顕微鏡を必要とする化石のことを総称として微化石と呼ぶ。堆積岩には、放散虫、有孔虫、コノドントなどがしばしば含まれており、これらの種の産出組合せから決定した堆積年代のこと。

※7 現地性玄武岩
陸源砕屑物の堆積場において噴出もしくは貫入した緑色岩 (玄武岩) のこと。槙峰・下川地域の現地性玄武岩は、陸源砕屑物 (砂岩・泥岩) を伴うにも関わらず、その全岩化学組成は島弧玄武岩ではなく、中央海嶺玄武岩に類似する。

※8 別子型鉱床
海底⽕⼭・熱⽔活動に伴う噴気性堆積鉱床で、⽕⼭岩を⺟岩とする鉱床を火山性塊状硫化物 (VMS = Volcanogenic Massive Sulfide) 鉱床と呼ぶ。VMS鉱床のうち、特に過去に中央海嶺で生成して陸上に取り込まれたものを別子型鉱床、島弧・背弧の海底熱水鉱床に由来するものを⿊鉱鉱床と呼ぶ。

※9 レニウム-オスミウム (Re-Os) 法
Re、Osは原⼦番号75番、76番の元素であり、Osは6つある⽩⾦族元素の1つ。Reには185Reと187Reの2つの同位体が存在するが、これらのうち187Re量が半分に減少するまでの時間 (半減期) は416億年で、β線を放射して187Osを⽣じる。この放射壊変系を利⽤した年代決定法がRe-Os法である。化学分析により得られる187Re/188Os ⽐と187Os/188Os⽐から近似直線 (等時線:アイソクロン) を引き、その傾きから年代値 (Re-Osアイソクロン年代) を計算することができる。

※10 硫化鉱物
鉱物の分類上で、硫黄と結合している鉱物群。本研究に用いた硫化物鉱石試料は、主に黄鉄鉱 (FeS2)、磁硫鉄鉱 (Fe1-xS)、黄銅鉱 (CuFeS2)、閃亜鉛鉱 (ZnS) などから構成される。

※11 チャート
二酸化ケイ素 (SiO2) を主成分とする硬く緻密な珪質堆積岩の総称。主に放散虫と呼ばれる二酸化ケイ素の骨格を持つ海生浮遊性プランクトンの死骸が、陸域から遠く離れた深海底に降り積もってできた岩石。

※12 鉛同位体比組成
天然の鉛を構成する4種の安定同位体 (204Pb,206Pb,207Pb,208Pb) の存在比。一般には非放射壊変起源の204Pbに対する206Pb/204Pb比、207Pb/204Pb比、208Pb/204Pb比を指し、鉱床を構成する金属元素の起源の解明などに用いられる。

※13 硫黄同位体比組成 (δ34S)
試料の34S/32Sから標準物質の34S/32Sの差分を取り、それを標準物質の34S/32Sで割り算して、1,000を掛けたもの (=千分率を取ったもの)。式で表すと δ34S = ((34S/32S)sample-(34S/32S)standard))/((34S/32S)standard) x 1000。標準物質として、一般的にVienna-Canyon Diablo Troilite (VCDT) が用いられる。δ34Sの単位はパーミル (‰:千分率) (参考;パーセント、%:百分率)。

論文情報

雑誌名:Scientific Reports
論文名:Re-Os dating of the Makimine and Shimokawa VMS deposits for new age constraints on ridge subduction beneath Japanese Islands
執筆者名 (所属機関名):野崎達生 (早稲田大学・海洋研究開発機構・東京大学・神戸大学)、高谷雄太郎 (東京大学・早稲田大学・海洋研究開発機構)、中山健 (高知大学)、加藤泰浩 (東京大学・千葉工業大学)
掲載日時 (現地時間):2024年12月3日 (火)
掲載URL:https://doi.org/10.1038/s41598-024-80799-z

研究助成

研究費名:日本学術振興会 科学研究費補助事業 学術変革領域研究 (B);JP23H03812
研究課題名:局所マルチ硫黄同位体分析から読み解く熱水鉱床生成における微生物活動の寄与
研究代表者名 (所属機関名):野崎達生 (早稲田大学)

研究費名:日本学術振興会 科学研究費補助事業 基盤研究 (B);JP23K26607
研究課題名:熱水鉱床形成における微生物活動の寄与を定量化する~生物鉱学の創成を目指して~
研究代表者名 (所属機関名):野崎達生 (早稲田大学)

研究費名:日本学術振興会 科学研究費補助事業 基盤研究 (S);JP20H05658
研究課題名:地球環境変動・資源生成の真に革新的な統合理論の創成
研究代表者名 (所属機関名):加藤泰浩 (東京大学)

新技術でCFRPから炭素繊維を加熱・薬剤レス、エネルギー効率10倍で回収

著者: contributor
2024年12月18日 09:11

新技術でCFRPから炭素繊維を加熱・薬剤レス、エネルギー効率10倍で回収
資源循環型社会の構築に向け、処理困難な材料の前処理法として期待

発表のポイント

  • 電気パルス直接放電法を用いて炭素繊維強化プラスチック(CFRP)から炭素繊維を効率的に回収する手法を開発
  • 開発技術は、加熱や薬剤を必要とせず、従来の破砕法に比べ長繊維で、加熱法に比べ高強度の炭素繊維を回収可能。また、従来の電気パルス法をさらに改良し、エネルギー効率10倍増を達成
  • 現状では有効な解体方法がないCFRP廃棄物の前処理法として有望

概要

炭素繊維強化プラスチック(CFRP)※1は、高強度かつ軽量な特性から航空機や自動車、風力発電など広く利用されていますが、そのリサイクルは困難であり、資源循環型社会の構築において大きな課題となっています。

早稲田大学理工学術院の所千晴(ところ ちはる)教授、同大学大学院院創造理工学研究科博士課程1年の佐藤啓太(さとう けいた)、同大学カーボンニュートラル社会研究教育センターの犬束学(いぬつか まなぶ)准教授、同大学理工学術院の小板丈敏(こいた たけとし)講師らの研究グループは、電気パルス直接放電法を用いて、CFRPから炭素繊維を効率的かつ高純度に回収する新技術を開発しました。

従来の電気パルス水中破砕法と比較し、新規法ではジュール熱発熱と絶縁破壊による樹脂の気化と膨張力を活用して、炭素繊維の長さや強度をほぼ維持したまま回収可能であることを示しました。さらに、新規法ではエネルギー効率が従来法の約10倍高いことも確認されました。本研究は、従来の破砕法や加熱法だけでは困難であったCFRP廃棄物の高効率で低環境負荷なリサイクルに新たな可能性を提供するものです。

図:本研究にて開発した電気パルス直接放電法

本研究成果は、国際学術出版社であるNature Research社発行による『Scientific Reports』誌に2024年11月30日(土)(現地時間)に掲載されました。論文名:Efficient recovery of carbon fibers from carbon fiber-reinforced polymers using direct discharge electrical pulses

キーワード:
サーキュラーエコノミー、資源循環、マテリアルリサイクル、CFRPリサイクル、革新的リサイクル技術、炭素繊維、廃棄物削減、風力発電、水素タンク

これまでの研究で分かっていたこと

CFRPは、軽量で高い強度を持つため、航空機、自動車、風力発電、スポーツ用品など、多岐にわたる分野で使用されています。一方で、CFRPのリサイクルは困難であり、特に樹脂マトリックスから炭素繊維を分離するプロセスが課題となっています。

従来のリサイクル方法として、粉砕、熱分解、化学分解が検討されてきました。しかし、粉砕では炭素繊維が短くなり、その強度が著しく低下します。熱分解では、樹脂を高温で燃焼させることで分離が可能ですが、CO2排出への懸念や、炭素繊維の強度が50~85%低下するという問題があります。化学分解では、有機溶媒を使用して樹脂を溶解しますが、高価な設備と環境への影響が課題となっています。

近年、電気パルスを用いた手法として、水中破砕法が提案されました。この方法では、水中の電気パルス放電より生じる衝撃波を利用して材料を破砕しますが、数百回の放電が必要であり、炭素繊維と樹脂の選択的な分離には限界があります。

このように、CFRPにはより効率的で環境負荷の低いリサイクル技術の開発が求められてきました。

今回の研究で新たに実現しようとしたこと、そのために新しく開発した手法

CFRPのリサイクルにおいて効率化と環境負荷の低減を実現するため、従来課題とされていた炭素繊維と樹脂の分離プロセスに革新をもたらす「電気パルス直接放電法」を新たに開発しました。この方法では、高電圧パルスをCFRP内部に直接放電することで、ジュール熱と樹脂の気化による膨張力を利用し、効率的に繊維と樹脂を分離します。

従来の電気パルス水中破砕法は、水中への放電によって生じる衝撃波を利用して分離を行っていましたが、直接放電法は電気パルスのエネルギーをより直接的にCFRP内部に伝えることが可能です。この結果、回収された炭素繊維は元の強度の81%を保持し、従来法に比べエネルギー効率が約10倍高いことが確認されました。また、直接放電法で得られた繊維には付着樹脂が少なく、表面のクラックや劣化もほとんど見られず、再利用の可能性が飛躍的に向上しました。

研究の波及効果や社会的影響

本研究では、CFRPリサイクルの課題であった高エネルギー消費と炭素繊維の品質低下を同時に解決できることを示しました。ジュール熱の利用により、短時間で樹脂を気化させ、繊維を効率的に分離するこの技術は、環境負荷を最小限に抑えながら、航空機や風力発電などで発生するCFRP廃棄物の持続可能な資源循環型社会構築に貢献すると期待されます。さらに、この技術は、リチウムイオン電池など他の複合材料や産業廃棄物への応用可能性も秘めており、幅広い分野での資源活用を促進し、持続可能な社会の実現に大きく貢献することが期待されます。

課題、今後の展望

本研究で開発した電気パルス直接放電法は、CFRPのリサイクルにおいて多くの可能性を示しましたが、いくつかの課題が残されています。まず、1回のパルス照射で回収される炭素繊維の量が少ないことが挙げられます。このため、繰り返し照射を含むプロセスの最適化や、よりCFRP内部に効率的に放電を誘導できる電極構造の改良が求められます。

さらに、回収された炭素繊維の方向性が揃っていない点は、再利用プロセスにおける課題となっています。これを解決するためには、回収繊維を均一に処理できるプロセスの開発や、新たな用途への適用可能性を検討する必要があります。

また、現在の実験室規模から、産業的スケールへの拡大に際して効率やコストの検証が必要です。本技術を工業的にスケールアップする際には、現在使用している装置が特殊であることから、装置製造コストの低減や大規模処理への対応が重要です。この点について、装置の汎用性を高める設計や運用コストを削減する方法の検討が必要です。

研究者のコメント

サーキュラーエコノミーを実現するためには、本研究で取り組んだような解体技術の高度化が必要不可欠です。これまでは破砕粉砕や人手による作業に依存していましたが、環境負荷を低減し、労働集約的でないプロセスを実現するには、従来の方法に代わる革新的な技術が求められます。本研究で提案した電気パルス直接放電法のような新たな外部刺激を利用した技術は、処理が困難な材料の前処理法として大きな可能性を秘めています。今後もこれらの技術を発展させ、資源循環型社会の構築に貢献していきたいと考えています。

用語解説

※1 炭素繊維強化プラスチック(CFRP)

炭素繊維強化プラスチック(Carbon Fiber Reinforced Plastic:CFRP)は、強化材として炭素繊維と母材(マトリックス樹脂)としてプラスチックを複合してできる素材。炭素繊維が持つ「導電性・耐熱性・低熱膨張率・反応特性・自己潤滑性・高熱伝導性」といった特徴を兼ね備え、様々な用途へ幅広く使われる。

論文情報

雑誌名:Scientific Reports
論文名:Efficient recovery of carbon fibers from carbon fiber-reinforced polymers using direct discharge electrical pulses
執筆者名(所属機関名):所千晴* (早稲田大学理工学術院)、佐藤啓太(早稲田大学大学院創造理工学研究科)、犬束学(早稲田大学カーボンニュートラル社会研究教育センター)、小板丈敏(早稲田大学理工学術院) *責任著者
掲載日時(現地時間):2024年11月30日(土)
DOI:https://doi.org/10.1038/s41598-024-76955-0

研究助成

科研費 基盤研究B 電気パルスを外部刺激とした高選択性分離技術確立のための機構解明 所千晴(早稲田大学)23K25037

倉俣史朗 <視覚のもうひとつ奥>の世界(2025/1/22)

著者: staff
2024年12月16日 10:31

日時: 2025年1月22日(水) 14:00-15:40

会場:早稲田大学西早稲田キャンパス56号館 104教室

講師:藤井 由理

対象:学部生、大学院生、教職員、学外者、一般

参加方法:入場無料、直接会場へお越しください。

主催:創造理工学部建築学科/専攻

問合せ:早稲田大学 理工センター 総務課

TEL:03-5286-3000

「外の建築」(2025/1/7)

著者: staff
2024年12月16日 10:19

日時: 2025年1月7日(火) 13:00-17:00

会場:早稲田大学西早稲田キャンパス63号館201教室

講師:増田 信吾

対象:学部生、大学院生、教職員、学外者

参加方法:入場無料、直接会場へお越しください。

主催:創造理工学部建築学科

問合せ:早稲田大学 理工センター 総務課

TEL:03-5286-3000

【理工系研究者・学生対象】12月24日(火)知財セミナー「知的財産は研究の羅針盤」のご案内

著者: contributor
2024年12月12日 17:46

リサーチイノベーションセンター 知財・研究連携支援セクション(知的財産本部)は、理工系研究者等を対象に、知的財産に関する知識を高め、研究活動に活かしていただくための「知財セミナー」を独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)から講師を招聘の上、開催します。奮ってご参加ください。

セミナー前半では、知的財産本部の嶋野邦彦所長(研究戦略センター 教授)より、特許等の知的財産制度の概要と学内ルールや、大学の研究成果を権利化し社会実装に結び付けるうえで、研究者が注意すべき点について説明します。

後半では、知的財産に関する情報提供、普及啓発、ユーザー支援等を包括的に実施しているINPIT の鷲崎亮知財戦略部長から INPIT の大学支援事業をご紹介いただきます。特に、特許情報を活用した研究シナリオの検討支援(共同研究先や技術移転先の探索)について説明していただきます。

 

【開催概要】

セミナー詳細チラシ

開催日時:2024 年 12 月 24 日(火)14:00~15:30

会 場:55 号館 N 棟 1 階第二会議室 (対面とオンラインでのハイブリットで開催)

対 象:本学教職員・研究員、学生

申 込 み:当日、飛び込みの参加でも差し支えございませんが、なるべく事前申し込みの上、ご参加ください。(下記のフォームからお申込みいただいた方にZoomのリンクをお知らせします。)

主 催:リサーチイノベーションセンター 知財・研究連携支援セクション(知的財産本部)

詳細:添付のチラシをご確認ください。

【お問合わせ】

リサーチイノベーションセンター 知財・研究連携支援セクション(知的財産本部)[email protected]

 

 

【12/10申込締切】2024年度 材研オープンセミナー「カーボンニュートラルに向けたセラミックスおよび関連技術の展開」 12/13 開催

著者: contributor
2024年12月12日 17:42

2024年度 早稲田大学各務記念材料技術研究所 オープンセミナー

カーボンニュートラル実現に向けた取り組みが世界的に盛んに行われています。本セミナーでは、カーボンニュートラルに関する我が国の政策をはじめ、セラミックス関連分野における最先端の材料・技術開発と今後の展望について講師の先生方をお招きして講演いただきます。

1.日時

2024年12月13日(金)13:00〜16:50

2.場所

早稲田大学西早稲田キャンパス 63号館2F 04〜05会議室
アクセス – 早稲田大学 理工学術院

3.開催概要

  • テーマ:「カーボンニュートラルに向けたセラミックスおよび関連技術の展開」
  • 主催:早稲田大学各務記念材料技術研究所
  • 協賛:早稲田大学カーボンニュートラル社会研究教育センター, 早稲田物理会, 早稲田機友会, 早稲田材料工学会, 早稲田電気工学会, 公益社団法人 日本材料学会, 公益社団法人 日本化学会, 公益社団法人 日本鋳造工学会, 一般社団法人 日本鉄鋼協会, 一般社団法人 日本ファインセラミックス協会, 公益社団法人 化学工学会, Chem-Station,公益社団法人 日本金属学会

4.プログラム

時間 講座題目等 講師等
13:00-13:05 所長挨拶 早稲田大学理工学術院 教授
各務記念材料技術研究所
所長 菅原 義之
13:05-13:10 開会挨拶 早稲田大学理工学術院 教授
オープンセミナー実行委員会
委員長 下嶋 敦
13:10-13:50 カーボンニュートラルに向けた化学と材料の今後 早稲田大学 理工学術院 教授
関根 泰 先生
13:50-14:30 TOTOグループのカーボンニュートラルに向けた取り組み TOTO株式会社
成田 純也 氏
14:30-14:45 休憩
14:45-15:25 低炭素、脱炭素に向けたセメント系材料の研究開発の現状と展開 島根大学 総合理工学部 物質化学科
新 大軌 先生
15:25-16:05 セラミックス常温衝撃固化現象の発見とエアロゾルデポジション(AD)法の将来展望 国立研究開発法人 産業技術総合研究所
明渡 純 先生
16:05-16:45 自己治癒技術で拓くセラミックスのリマニュファクチャリング・リファービッシュ 横浜国立大学 大学院工学研究院
中尾 航 先生
16:45-16:50 閉会挨拶 早稲田大学理工学術院 教授
オープンセミナー実行委員会
副委員長 鈴木 進補
17:00〜18:30 懇親会

5.対象

本学学生、教職員、一般(学外の方のご参加も歓迎いたします。) / 参加費:無料

※学外者の方はオンラインによるご参加も可能です。

6.申込手続き

  • 申込方法

以下よりお申込みをお願いします。皆様のご参加をお待ちしております。

  • 申込締切日

2024年12月10日23:59

7.お問い合わせ

早稲田大学各務記念材料技術研究所 オープンセミナー係(担当: 小粥・若山・山本)

〒169-0051 東京都新宿区西早稲田2-8-26
TEL 03-3203-4782 FAX 03-5286-3771
E-mail: zaikenjimu@list.waseda.jp

【12/16開催】早稲田大学次世代ロボット研究機構 講演会のご案内~Special Lecture by Assoc. Prof. Abhinav Shrivastava, Univ. of Maryland

著者: contributor
2024年12月12日 17:40

早稲田大学次世代ロボット研究機構 講演会のご案内
Special Lecture by Assoc. Prof. Abhinav Shrivastava, Univ. of Maryland


米国メリーランド大学(University of Maryland)の Abhinav Shrivastava 准教授を次世代ロボット研究機構の講演会にお招きし、コンピュータビジョンと深層学習に関する最近の研究活動を紹介していただきます。同教授はコンピュータビジョンの分野で若手にもかかわらず、毎年トップレベルの国際会議(CVPR “IEEE Computer Society Conference on Computer Vision and Pattern Recognition” 等)に数多くの論文を掲載されています。本講演では、同教授が最近トップレベルの国際会議に掲載された論文の内容を数件、ご紹介いただきます。
是非、参加いただければと思います。参加希望者は、以下のリンクからオンラインで申請をしてください。

An associate professor Abhinav Shrivastava at the University of Maryland will be invited to give a Special lecture at the Future Robotics Organization to introduce recent research activities related to computer vision and deep learning.
Despite being young in the field of computer vision, the professor publishes numerous papers every year at top-level international conferences (CVPR “IEEE Computer Society Conference on ComputerVision and Pattern Recognition”, etc.).
In this lecture, he will introduce several papers that have recently been published at top-level international conferences.

If you wish to participate, please apply online from the following link.

概要 Outline

講演日時 Date:2024 年12月16日(月)16:00~17:00
Mon. December 16, 4pm to 5pm
場所 Venue     :早稲田大学西早稲田キャンパス52号館303号室
Buliding No.52 Room 303 Nishiwaseda Campus
講師 Lecturer: Assoc. Prof. Abhinav Shrivastava (Dept. of Computer Science, University of Maryland)
https://www.cs.umd.edu/~abhinav/
講演会の言語 :英語(日本語への同時通訳はありません)
参加費    :無料 No charge
主催 Host :早稲田大学次世代ロボット研究機構 Future Robotics Organization, Waseda University
申込フォーム  Registration form:https://shorturl.at/LNs6g

「金融/投資機関による自然関連情報開示促進と国際標準化を前提としたネイチャーフットプリントの開発と実証事業」が本格稼働(内閣府BRIDGE)

著者: contributor
2024年12月12日 17:38

「金融/投資機関による自然関連情報開示促進と国際標準化を前提としたネイチャーフットプリントの開発と実証事業」が本格稼働(内閣府BRIDGE)

 

早稲田大学(所在地:東京都新宿区、総長:田中愛治)および株式会社価値総合研究所(所在地:東京都千代田区、代表取締役会長:栗原 美津枝)を代表機関として、研究開発とSociety 5.0※1との橋渡しプログラム(BRIDGE※2)の中で「金融/投資機関による自然関連情報開示促進と国際標準化を前提としたネイチャーフットプリントの開発と実証事業」が始動しました。 

■本事業の背景

気候変動や生物多様性の減少といった環境問題は、人間の経済活動が自然環境に大きな負荷をかけていることがひとつの大きな要因となっています。世界では環境・社会・ガバナンスの3つの視点(ESG)を重視する投資家が増加し、企業は環境負荷の削減努力やその開示を求められています。

このような状況下において、ネイチャーフットプリント※3は、企業活動における自然への影響を定量的に評価し、開示するための重要な指標として注目を浴びています。

■全体概要

本事業は、テーマ1「LIMEを拡張したネイチャーフットプリント用影響評価手法の開発」(代表機関:早稲田大学、研究開発責任者:理工学術院教授 伊坪徳宏)と、テーマ2「ネイチャーフットプリントを用いた金融/投資機関における活用のための実証事業」(代表機関:株式会社価値総合研究所、研究開発責任者:山崎清)が連携し、大学・研究機関が中心となって、国際的に環境影響を解析する手法の1つであるLIME3(Life cycle Impact assessment Method based on Endpoint modeling 3)※4を発展させ、ネイチャーフットプリントの影響評価手法を開発します。これまで生物多様性の影響評価や生態系サービスの経済的評価は個別に実施され、それらを統合したモデルは存在しませんでした。本事業では、LIME3に新たな生物種のリスク評価や生態系サービスの経済的価値評価などを取り入れることで、統合化されたモデルの確立を目指します。

開発した手法は、金融機関、国内事業者と連携しながら活用方法を実証し、その有用性を世界に向けて発信していきます。

期待される効果

一連の研究成果は実務者用のガイドラインとして取りまとめて国内外に公開するとともに、複数の国際会議に報告することで、研究成果の国際標準化を目指します。

また、ネイチャーフットプリントの開発だけでなく、実際に企業や金融機関で活用するための実証実験も進めていきます。将来的には、この指標が広く普及し、企業の環境経営を大きく変革するとともに、持続可能な社会の実現に貢献することが期待されます。

■参画機関(大学、民間企業等)

テーマ1:LIMEを拡張したネイチャーフットプリント用影響評価手法の開発

早稲田大学、国立研究開発法人産業技術総合研究所、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構、国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所、大学共同利用機関法人人間文化研究機構総合地球環境学研究所、東北大学、京都大学、関西学院大学

テーマ2:ネイチャーフットプリントを用いた金融/投資機関における活用のための実証事業

政策研究大学院大学、株式会社価値総合研究所、株式会社日建設計、株式会社日建設計総合研究所、味の素株式会社、トヨタ自動車株式会社、積水化学工業株式会社、住友林業株式会社、株式会社資生堂、AGC株式会社、JX金属株式会社、太平洋セメント株式会社、パナソニックホールディングス株式会社、日本電気株式会社、農林中央金庫、MS&ADインシュアランス グループ ホールディングス株式会社、三菱UFJ信託銀行、株式会社LCAエキスパートセンター、一般社団法人サステナブル経営推進機構、TCO2株式会社、MS&ADインターリスク総研株式会社、ほか都市銀行、地方銀行など金融機関多数

■用語解説

※1 Society 5.0:
サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)。
狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く、新たな社会を指すもので、第5期科学技術基本計画において我が国が目指すべき未来社会の姿として初めて提唱されました。

※2 BRIDGE:
内閣府総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)の司令塔機能を生かし、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)や各省庁の研究開発等の施策で生み出された革新技術等の成果を社会課題解決や新事業創出、ひいては、我が国が目指す将来像(Society 5.0)に橋渡しするため、官民研究開発投資拡大が見込まれる領域における各省庁の施策の実施・加速等に取り組むプログラムです。
ウェブサイト:https://www8.cao.go.jp/cstp/bridge/index.html

※3 ネイチャーフットプリント:
自然に注目したLCA(ライフサイクルアセスメント)を指します。特に、生物多様性(質)、生態系サービス(量)に注目して、気候変動、水消費、土地利用などによる自然・生態系への影響を定量的に評価します。資源の採掘から、素材生産、輸送、組立、使用、リサイクル・廃棄までを網羅した分析を通して、ネイチャーポジティブに向けた効果的な影響低減策の選定や関係者間におけるコミュニケーションを促進するための情報源として活用されることが期待されます。 

※4 LIME3(Life cycle Impact assessment Method based on Endpoint modeling 3) :
日本発のライフサイクル影響評価手法として、LCA国家プロジェクトにおいて開発されたLIMEは、最新の自然科学と社会科学の知見と解析手法を活用し、LCAに限らず、環境効率、環境会計、フルコスト評価等様々な分野において活用されています。LIME3は、LIME2までは日本に限定されていた対象地域を世界に拡大したことで、グローバルビジネスを展開する事業者のLCA実施を可能にしました。また、定量化した環境負荷を経済価値指標に換算することもでき、企業経営にわかりやすい判断材料としても用いられています。

2025年度 社会文化領域コース進入説明会(1/9オンライン実施・要事前登録)のご案内

著者: staff
2024年12月10日 10:06

総合機械工学科向けの社会文化領域コース進入説明会を、2025年1月9日 (木)にオンラインで開催します。
関心のある学生は、以下のポスターおよび社会文化領域ウェブサイト上の情報をよく確認し、必要な手続きをとってください。

散乱法による高分子構造化学(2024/12/23)

著者: staff
2024年12月5日 15:06

日時: 2024年12月23日(月) 16:00-17:00

会場:早稲田大学西早稲田キャンパス63号館03・04・05会議室

講師:廣井 卓思

対象:化学系学部生・大学院生・教職員・一般

参加方法:入場無料、直接会場へお越しください。

主催:先進理工学部 化学・生命化学科

問合せ:早稲田大学 理工センター 総務課

TEL:03-5286-3000

12/1 公開イベント「これからの宇宙ビジネスとイノベーション: 快適エクルス研究開発拠点が目指す産学官連携」

著者: staff
2024年11月27日 18:00

2024 年 12 月1 日(日)、 早稲田大学グローバル科学知融合知研究所・快適 ECLSS(エクルス) 研究開発拠点が、「これからの宇宙ビジネスとイノベーション:快適 エクルス研究開発拠点が目指す産学連携」 と題する公開イベント を開催します。 プロジェクトに興味のある方、研究テーマに関して情報交換したい方、産学連携の取り組みに興味のある方は、 是非ご参加ください。

◆日時:12月1日(日)18時00分~20時30分
◆会場: 渋谷スクランブルスクエア 15 階 SHIBUYA QWS クロスパーク
◆対象者:  プロジェクトに興味のある方であれば誰でも参加できます(高校生、大学生、大学院生、教職員、
教諭、研究員、社会人 他)

◆参加費: 無料

・詳細はこちら
・参加申込はこちら

「糖尿病治療へ向けたヒト膵島を用いたトランスレーショナルリサーチ」(2024/12/23)

著者: staff
2024年11月26日 16:59

演題:「糖尿病治療へ向けたヒト膵島を用いたトランスレーショナルリサーチ」

日時: 2024年12月23日(月) 16:30-18:10

会場:早稲田大学 TWIns 生命医科学科会議室

講師:白川 純

対象:学部生、大学院生、教職員

参加方法:入場無料、直接会場へお越しください。

主催:先進理工学部 生命医科学科

問合せ:早稲田大学 理工センター 総務課

TEL:03-5286-3000

銅酸化物高温超伝導体Bi2212の紫外・可視光領域における大きな光学的異方性の起源を解明

著者: contributor
2024年11月20日 16:36

銅酸化物高温超伝導体Bi2212の紫外・可視光領域における大きな光学的異方性の起源を解明

発表のポイント

  • フローティングゾーン法によりさまざまなPb含有量のBi2-xPbxSr2CaCu2O8+δ単結晶を育成し、紫外・可視光をそれら結晶に透過させることで、透過測定によってBi2Sr2CaCu2O8+δ(Bi2212)の特徴的な「うねり構造」が光学的異方性に与える影響を調べました
  • Pb含有量を増加させることで、光学的異方性の大きさが単調に減少することから、光学的異方性の起源がその「うねり構造」に関連していることを明らかにしました
  • Pb置換によって光学的異方性が大幅に低減されることで、光学活性や円二色性のより正確な測定が可能になり、高温超伝導のメカニズムに関する議論において重要な対称性の破れの存否を探求することが可能となります

早稲田大学理工学術院の朝日透(あさひとおる)教授、同大学総合研究機構の中川鉄馬(なかがわけんた)主任研究員(研究院講師)、同大学大学院先進理工学研究科修士2年の時田桂吾(ときたけいご)、東北大学金属材料研究所の藤田全基(ふじたまさき)教授らの共同研究グループは、世界で初めて銅酸化物高温超伝導体Bi2Sr2CaCu2O8+δ(Bi2212)の紫外・可視光領域における大きな光学的異方性の起源と結晶構造の関連性を明らかにしました。

本研究成果は、国際学術出版社であるNature Research社発行による『Scientific Reports』誌に2024年11月7日(木)(現地時間)に掲載されました。

図:本研究により明らかとなったBi2212の結晶構造と光学的異方性との関連性

【論文情報】

論文名:Wavelength dependence of linear birefringence and linear dichroism of Bi2-xPbxSr2CaCu2O8+δ single crystals
DOI:10.1038/s41598-024-78208-6

キーワード:
銅酸化物高温超伝導体、光学的異方性、不整合変調、一般化高精度万能旋光計(G-HAUP)、透過測定

これまでの研究で分かっていたこと

銅酸化物高温超伝導体Bi2Sr2CaCu2O8+δ(Bi2212)※1は、その超伝導転移温度がバーディーン・クーパー・シュリーファー(BCS)理論※2で説明される限界を超えるほど高いため、広く研究が進められて来ました。超伝導の発現に重要なクーパー対の形成に関与するメカニズムは、BCS理論における電子-フォノン相互作用では説明できず、この分野における未解明の課題の一つとなっています。銅酸化物高温超伝導体の構成要素であるCuO2層は、高温超伝導体において最も重要な役割を果たすと広く認識されており、その物理的特性は、さまざまな角度から集中的に調査されています。当研究グループの過去の研究においても、一般化高精度万能旋光計(G-HAUP)※3を使用して、紫外・可視光領域におけるBi2212のc軸に沿った光学的異方性※4の波長依存性を測定したところ、a軸およびb軸の格子定数はほぼ同じであるにも関わらず、大きな光学的異方性のピークが観察されることが明らかになっていました。

今回の研究で新たに実現しようとしたこと、明らかになったこと

Bi2212は、b軸方向に不整合変調※5を示すことが知られています。この変調の周期性は基本構造の周期性とは一致しません。本研究では大きな光学的異方性のピークの起源がこの不整合変調にある可能性があると考え、フローティングゾーン法※6という単結晶育成法を用いて、不整合変調を抑制したさまざまなPb含有量(x = 0、0.4、および0.6)のBi2-xPbxSr2CaCu2O8+δ単結晶を育成しました。育成したBi2-xPbxSr2CaCu2O8+δ単結晶の光学的異方性のパラメータである直線複屈折及び直線二色性の波長依存性をG-HAUPを用いて測定し、不整合変調と光学的異方性の関連性を検証しました。初めに、異なるPb含有量xを示すBi2-xPbxSr2CaCu2O8+δ単結晶(x = 0、0.4、および0.6)について、走査型透過電子顕微鏡で観察した結果、x = 0では変調周期が結晶のb軸方向の格子定数の4.8倍、x = 0.4では12.7x = 0.6ではほぼ無限大となり、Pb含有量の増加とともに不整合変調が消失することが確認されました。この結果は過去文献と一致しており、電子回折測定においても、不整合変調に由来する衛星反射がPb含有量の増加とともに消失することが確認されました。また、紫外・可視光領域における透過吸収スペクトルは、全てのPb含有量の試料で類似したパターンを示し、この領域では、鉛の含有量によってエネルギーギャップに大きな変化がないことが明らかになりました。一方、光学的異方性のパラメータである直線複屈折および直線二色性の大きさは、Pb含有量によって変化することが確認され、不整合変調の抑制に伴い光学的異方性も抑制されることが明らかとなりました。

研究の波及効果や社会的影響

本研究の注目すべき点は、Bi2-xPbxSr2CaCu2O8+δ単結晶の劈開性を活かし、作製した超薄片単結晶試料に紫外・可視光を透過させることで、透過測定によってこの大きな光学的異方性の起源を解明したことです。紫外・可視光をプローブとして用いた透過測定のアプローチは我々の研究グループ独自のものであり、これにより銅酸化物高温超伝導体の光物性とエネルギーギャップを含む電子バンド構造、とくに「外殻電子の遷移」に関する知見を得ることができました。さらに、Bi2212結晶におけるBiのPb置換は、不整合変調の抑制と同時に、直線複屈折や直線二色性といった光学的異方性を大幅に低減させることが明らかとなりました。この光学的異方性の低減は、将来の実験において光学活性や円二色性の測定精度を向上させる上で重要な成果です。これにより、高温超伝導のメカニズム解明において重要な課題である擬ギャップ相※7および超伝導相における対称性の破れの有無を検討することが可能となり、さらなる高温超伝導体の開発につながることが期待されます。

研究者のコメント

「常温超伝導」の実現は長年の人類の夢であり、そのためには高温超伝導体における電子対形成や超伝導メカニズムの解明が必要です。常温超伝導が実現すれば、超低損失送電やリニア、医療用MRI、量子コンピュータなど、さまざまな分野で社会的・経済的な恩恵が期待されます。本研究により得られた知見を元に高温超伝導体のメカニズムに関する理解が深まることで、常温超伝導の実現に一歩近づき、これらの技術革新に大きく貢献する可能性があります。

用語解説

※1 銅酸化物高温超伝導体
CuO2層を含む構造を持ち、従来の金属超伝導体よりも高温で電気抵抗がゼロになる特性を持つ材料。その超伝導メカニズムは従来のBCS理論では説明できず、世界中で精力的に研究が続けられている。

※2 バーディーン・クーパー・シュリーファー(BCS)理論
金属の超伝導メカニズムを説明するために考案された理論。通常、金属中では電子が自由に動き、電気抵抗が生じますが、超伝導状態では電子が特定の相互作用(フォノンを介した引力)で対(クーパー対)を形成し、抵抗ゼロで電流を流せるようになります。発明者のバーディーン・クーパー・シュリーファーは、この業績により1972年のノーベル物理学賞を受賞しました。

※3 一般化高精度万能旋光計(G-HAUP)
固体状態の光学的異方性とキラル光学的性質を測定可能な独自の分光装置。結晶や配向性薄膜といった固体状態では、固体状態特有の異方性により、そのキラル光学的性質の測定が、上述のような汎用的な分光装置ではできない。

※4 光学的異方性
材料の方向に対して異なる屈折率や吸収を示す現象。本研究では、2つの直交する直線偏光に対する屈折率・吸収の差である直線複屈折・直線二色性を測定した。

※5 不整合変調
結晶構造内で基本的な周期性に一致しない周期的な構造変化。材料の物理化学的性質や電子状態に影響を与え、超伝導体や強誘電体などで特に注目されている。

※6 フローティングゾーン法
固体原料の一部を局所的に溶融させ、結晶を成長させる単結晶育成技術。るつぼを使用しないため、不純物の混入が少なく、高品質な結晶を育成するのに適している。

※7 擬ギャップ相
銅酸化物高温超伝導体で観測される現象で、超伝導転移温度より高温でエネルギーギャップが部分的に開く。この相の起源の解明が、超伝導のメカニズム解明に重要な役割を果たすだろうと考えられている。

論文情報

雑誌名:Scientific Reports
論文名:Wavelength dependence of linear birefringence and linear dichroism of Bi2-xPbxSr2CaCu2O8+δ single crystals
執筆者名(所属機関名):時田桂吾(早稲田大学), 中川鉄馬*(早稲田大学), チョウコン(早稲田大学), 岡野洸明(早稲田大学), 松本匡貴(上海交通大学), 中西卓也(早稲田大学), 藤田全基(東北大学), 朝日透*(早稲田大学) ※共同筆頭著者 *共同責任著者
掲載日時(現地時間):2024年11月7日(木)
掲載URL: https://doi.org/10.1038/s41598-024-78208-6

研究助成

研究費名:みずほ学術振興財団 (旧河上記念財団) 第59回工学研究助成
研究課題名:銅酸化物高温超伝導体Bi2Sr2CaCu2O8+xにおける空間・時間反転対称性の破れの検証
研究代表者名(所属機関名):中川鉄馬(早稲田大学)

研究費名:東北大学金属材料研究所 2023年度・2024年度国際共同利用・共同研究拠点課題
研究課題名:銅酸化物高温超伝導体Bi2.2-xPbxSr1.8CaCu2O8+δの結晶成長と光学的性質測定
研究代表者名(所属機関名):中川鉄馬(早稲田大学)

医療機器からサイボーグ昆虫まで 梅津先生が注目するマイクロ技術とは?

著者: contributor
2024年11月20日 16:34

2024年度の「教えて! わせだ論客」のテーマは「健康とは何か?」。複数の専門家の視点から、健康について考えます。今回のゲストは、ヘルスケアデバイスなどのセンサーやシステムの技術開発に取り組む梅津信二郎教授(理工学術院 創造理工学部総合機械工学科)です。

そんな梅津先生が、これまでタッグを組んできた共同研究者がいます。昆虫とコンピュータを融合した世界初の「サイボーグ昆虫」の開発者として知られる、南洋理工大学(シンガポール)の佐藤裕崇教授です。今回は佐藤先生にも同席いただき、ヘルスケア分野の技術開発と今後の展望について伺いました。

医療・ヘルスケア分野で、梅津先生はどのように機械工学を活用されているのでしょうか?注目の最新技術を教えてください!

疾患の早期発見や予防を目指して開発を進めているのが、高精度の超小型センサーによるバイタルデータの解析です。昨今は、これまで未活用だった汗や、いまだ十分に解明されていない脳波といったデータも注目を集めています。デバイスを超小型化する技術は、健康管理ができるウェアラブルデバイス、さらには災害現場での実用化が期待される「サイボーグ昆虫」にも活用されています。

INDEX
▼汗からの健康診断も可能に? 「マイクロセンサー」による高精度なバイタルデータ解析
▼人々の健康と命を守るマイクロマシン技術
▼専門領域の掛け合わせや研究者との出会いで広がる研究開発の可能性

汗からの健康診断も可能に? 「マイクロセンサー」による高精度なバイタルデータ解析

梅津先生が専門としている研究内容について教えてください。

梅津:私は医療・ヘルスケアの測定機器およびその解析システムの研究開発を行っています。より高精度かつ超小型化センサーの開発、そしてAI解析機能の向上という二つの面からのアプローチを同時に行い、双方に生かしていることが強みで、より高精度な判定を目指しています。解析の対象となるバイタルデータは、血管の硬さや詰まりを測定できる脈波や、心電図、脳波などさまざまです。

梅津信二郎教授(理工学術院)

例えば過去には、心原性脳梗塞(※1)の予兆とされている心房細動(不整脈の一種)などを早期発見するシステム開発に取り組みました。心房細動は定常的に起こるものではないため、定期検診でも見逃されやすく、発見が難しいのが現状です。そこで、私たちの研究チームは超小型センサーを用いてバイタルデータを取得し、その事前兆候を判定できるAIシステムを構築しました。この超小型センサーは、ウェアラブルデバイスとして手軽に身に着けられ、日常生活を送りながら測定ができます。さらに、脈波以外にも心電図など複数のバイタルデータを同時に測定することが可能で、このような統合的なデータ解析によって、より高精度な解析を実現しました。

(※1)心臓内でできた血栓が脳の血管を閉塞(へいそく)して起こる脳梗塞のことで、重篤性が高い疾患。

統合的なデータ解析のイメージ

現在、特に力を入れている研究は何でしょうか?

梅津:汗を解析対象とするセンサーの開発に注力しています。これまで、汗はバイタルデータとして全く利用されてきませんでした。というのも、汗は皮膚の上にとどまったり流れ落ちたりする性質から、リアルタイムで解析対象として扱うことが困難だったのです。まだ学会発表前の研究のため詳しくはお伝えできませんが、微少量の汗を解析する新たな測定技術によって統合的なデータを取得し、さまざまな疾患との関連性を見いだせるのではと期待しています。

人々の健康と命を守るマイクロマシン技術

梅津先生と佐藤先生の共同研究についてもお聞かせください。

梅津: 私と佐藤先生は、ヘルスケア分野でも活用されているMEMS(マイクロマシン)(※2)の研究者でもあります。私たちは早稲田大学の理工学部出身で、博士課程の時に出会いました。私が当時注力していたMEMSの基礎研究に、佐藤先生が興味を持ってくださったのがきっかけです。その時佐藤先生は、MEMSでもよく用いられる無電解めっきの研究をしていらっしゃいました。この共通点が、光造形3Dプリンター装置とめっきを組み合わせる共同開発につながりました。

(※2)Micro Electro Mechanical Systemsの略称で、微小な電気機械システムの意味。

梅津先生と佐藤先生が共同開発した光造形3Dプリンターで作製した、複雑な形状の金属・樹脂の精密3次元構造体

佐藤:一般に3Dプリンターで扱う材料はプラスチックもしくは金属のどちらか一方のため、プラスチックで作製した構造に金属製の回路やアンテナを形成することは難しく、電子機能に限界がありました。梅津先生と共同開発した無電解めっきを使った3Dプリンターでは、プラスチックと金属の複合部品の作製が可能になり、この限界を克服しました

佐藤裕崇教授(南洋理工大学)

お二人が取り組んでいるMEMSの技術は、現代社会でどのように活用されているのでしょうか?

梅津健康状態を正しく解析する上で、計測機器のセンサーを最小化する技術は非常に重要です。例えば皮膚の上から脈波を計測する際、皮膚とデバイスの間にわずかなすき間やズレが生じるとエラーや不正確な数値が出てしまいます。従ってセンサー部分を小型にすればするほどフィット感が高まり、エラーなどを減らすことができるんです。現在、あらゆるバイタルデータの計測において、マイクロレベルで繊細な動きを捉えられるような技術開発が求められています。

佐藤:MEMSの技術は健康・医療領域はもちろん、私が注力している「サイボーグ昆虫」の研究開発でも大いに役立っています。サイボーグ昆虫とは、本物の昆虫の背中部分に電子基板を装着し、刺激信号によりその行動をリモート操作する技術です。人間や救助犬が入れないごく狭い場所に潜り込み、搭載された超小型の人体検知センサーでがれき内の人体の位置を特定します。移動そのものに電気エネルギーを消費しないので、電池のエネルギーのほとんどを無線通信やセンサーの駆動に充てられるメリットがあり、災害現場での小型探索機としての実用化を目指しています。本来なら健康で寿命を全うできたはずの人が、災害によって健康を損ねる、ないし命を落としてしまうリスクをなくします。

開発中のサイボーグ昆虫。南海トラフ地震や首都直下型地震の懸念が高まる今、一刻も早い実用化が求められる

ヘルスケア領域の技術開発で、昨今関心を寄せているトピックがあればお聞かせください。

梅津:汗と同じく、脳波にも注目しています。脳波はさまざまな研究者が研究対象にしている一方で、いまだに不明瞭なことが圧倒的に多い領域です。喜怒哀楽といった感情ごとの脳波さえ、本当に正しく判別できるかが問われているような段階なのです。もし今後測定技術の向上に成功すれば、現在の脳の状況が分かり、例えばいつどのような介入をすれば集中を持続できるのかといったことを明らかにできる可能性があります。

佐藤:サイボーグ昆虫の開発技術を人の健康に応用することもできます。サイボーグ昆虫の中心技術は、電気信号を発することができる小型の電子デバイスです。これを、脊髄損傷などによって手足が不随になってしまった患者のサポートに応用するというものです。手足が不随になっても、脳からは依然として神経信号が発信されています。この信号をブレインマシーンインターフェース(BMI)(※3)で読み取り、小型の電子デバイスで手足の筋肉を刺激することで、不随となった手足を動かすことも可能になります

しかし、医学の専門家ではない私が、単独で技術を医療分野に応用するのは現実的ではありません。倫理的な観点からも、医療分野のエキスパートを巻き込んだ医工連携のさらなる加速が不可欠です。この領域でも医工連携を実現できれば、事故などに遭った方のクオリティーオブライフ(QOL)を向上できます。

(※3)脳と機械を接続する技術や機器のこと。脳派や神経信号を読み取ってコンピューターを操作することができる。

専門領域の掛け合わせや研究者との出会いで広がる研究開発の可能性

お二人が研究開発を通して実現したいビジョンについてお聞かせください。

梅津:一言で言えば、「健康寿命の延伸」がテーマです。ただ長生きできればいいというわけではなく、高齢者が健康な状態をキープしながら、生き生きと暮らせる社会を目指したいですね。

また佐藤先生のサイボーグ昆虫も、災害時のような非常事態における健康寿命の延伸に欠かせない役割を果たすものです。今後も広い視野を持って、医療・健康領域のデバイス開発やAIの利活用を推進していくつもりです。

佐藤:サイボーグ昆虫を一刻も早く災害現場で実用化します。人の命を救うには、災害が起きてから対策を考えるのでは遅すぎます。また、自分一人の力で研究開発は成り立ちません。多くの支援者や公的機関、民間企業、財団法人に研究を手助けいただいていますので、その支援に報いるためにも実用化を早くに進めます。

最後に、早大生に向けてメッセージをお願いします。

梅津早稲田大学には、いろいろな研究者と出会えるチャンスがあります。私自身、佐藤先生と出会えたのは在学時のこと。「この分野ならこの人に尋ねてみよう」「この人との共同研究で新しい発見があるかもしれない」と、ぜひ周りの研究者にも目を向けてみてください。自身の研究をさらに磨き、共同研究者になりえるような実績を積み上げておくことも重要です。早稲田ならではの環境を生かして、研究開発の可能性を広げてもらえたらうれしいです。

佐藤:私はこれまで電気化学、電子工学、機械工学と複数の分野を横断して研究に取り組んできました。これら一つ一つの分野では恩師や先輩方にかないません。一方で、これらを学んだからこそ、サイボーグ昆虫を生み出すことができましたある一つの専門分野にとらわれず、さまざまなことを学び、経験して、それらを組み合わせて新しいフィールドを自分で作り、挑戦するという生き方も面白いですよ多種多様な学部・学科と人がいる早稲田大学はそれができる素晴らしい場所です。

梅津先生の研究室がある喜久井町キャンパスにて

梅津 信二郎(うめず・しんじろう)

理工学術院教授。博士(工学)。専門は機械力学、メカトロニクス/ロボティクス、知能機械システム。独立行政法人理化学研究所基幹研究所基礎科学特別研究員、東海大学工学部機械工学科助教、講師を経て、2014年に早稲田大学創造理工学部総合機械工学科に着任、2019年より現職。

佐藤 裕崇(さとう・ひろたか)

南洋理工大学(シンガポール)機械航空学科教授。博士(工学)。専門は金属めっき、電気化学、電子工学、機械工学、ナノ・マイクロシステム。ミシガン大学博士研究員、カリフォルニア大学バークレー校博士研究員を経て現職。

取材・文:市川 茜(2017年文化構想学部卒)
撮影:橋本 千尋
画像デザイン:内田 涼

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