全国の毒舌ファンの皆様 おはようございます。Tommyセンセです。
ということで、今回はワタシが富士高校で理数科担任をしていた、2007年~2008年にかけて、高校教員(しかも県立高校の)としてはありえない体験をした話。
とりあへず、台本。


本物です。この前、終活の一環として書籍類を一括処分しましたが、その時に見つけた、今や宝物。
かるた小町 - Wikipedia
このドラマ、たかだか1話完結のドラマで、当時は「パンテーンドラマスペシャル」と称して、脚本家の発掘を主な目的としていたらしい。パンテーン(P&G社のシャンプーブランドだって)がメインスポンサーなので、髪の美しい若手女優さんが主役に選ばれていて、綾瀬はるかや新垣結衣も主役を務めたことがあるらしい。このドラマの主役は、夏帆さんと南沢奈央さん。
夏帆 | スターダストプロモーション (stardust.co.jp)
PROFILE | Nao's Room - 南沢奈央OFFICIAL WEBSITE (naosway.net)
ドラマのあらすじは、源平の戦い(富士川の合戦)から、800年の時を経て、富士のお宮(米の宮神社で実際にロケが行われた)で繰り広げられるかるた合戦に、かるたなんかに全然興味のない、小倉こまち(主役・夏帆)が塩崎ありさ(南沢奈央)と組んで出場して、勝利をを勝ち取るという単純なストーリー。
ただし、このドラマは、全編、富士&富士宮地区でロケが行われ、学校の風景はすべて、富士高で撮影された。
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でも、新垣結衣主演の方が、500円くらい高い!!!!!! 「なんてこった」
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ことの始まりは、職員室にかかってきた静岡県庁からの一本の電話である。フジテレビの制作室から、ドラマの背景が富士川の合戦であるので、どこかドラマ作りに協力してくれる富士山のよく見える高校を紹介して欲しいとの要望がありましたが、富士高はどうですか?という主旨だった。
フジテレビ側は、富士高がかるた競技の名門であることも知らない様子だったとのこと(悔しい)。しかしながら、静岡県庁でたまたまその電話に応対した方の友人が富士高かるた部の出身(後で中村仁美さんと判明)なので、とりあへず富士高校に電話してみたとのことだった。
富士高校側としては、この種の電話を誰が対応して良いかわからず、これもとりあへずかるた部の顧問(ワタシ)に繋いだ。こんな面白い話を断るハズがない。
とにかく前向きに考えると電話を切って、管理職連中には、「こういう話を断るわけにいかない」「光栄なことであり、むしろ、地域の進学高としての義務」とかなんとか理屈をつけて説得した。
管理職の回答は、「生徒の教育活動に支障がない」というのがたった一つの条件で、それ以外は何もなかった。
しかしながら、高校でドラマを作る限りは、その他にも規制があるらしく、富士高の制服を使ったものの、ネクタイはリボンに変えさせられた。主役達に制服を提供して貰うことになるのだけれど、この時は、かるた部のOG達の制服をちゃっかり借りた。また、放課後の部活動練習風景は、野球部の肖像権(なんと、野球部だけは肖像権が県高野連に所属すしているらしい)の関係で、野球のシーンが映り込まないような工夫が必要だった。
早速、東京からロケハン(ロケ地ハンティング)が着て、富士高のロケ場所(柔道場・職員室・定番の屋上)などをくまなくまわった。富士高以外のロケ地もいろいろ調べてまわっていた。
実は、このドラマの製作をきっかけに、NPOフィルムコミッション富士が正式に発足したのだ。
FCFUJI - フィルムコミッション富士 (fcfuji.com)
このドラマ以来、富士フィルムコミッションさんのお仕事をちょっとだけお手伝いしたことがあるのだけれど、今や、全国有数のドラマロケ地として、フィルムコミッション富士は大活躍である。(皆さんもエキストラとして参加して下さいな)
日曜劇場『さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~』|TBSテレビ
これも全編富士市ロケ。
富士高校内の撮影の責任者がワタシで、富士高以外のロケは、このフィルムコミッション富士が担当することになった。
富士高校で撮影されたのは、
①富士高野球部の炊き出し部屋(あのトタン屋根のボロい部屋、なぜか、撮影監督のお気に入りとなった)
②校舎の屋上(ドラマを見ていると、よく屋上のシーンが使われるが、理由は、他に誰も来ないという単純な理由からだ)
③職員室(いろんな先生にエキストラとしてでてもらった)
④正面玄関(このロケでは、時計を隠すが大変だった。実際の時刻が映されるとまずい)
⑤体育館の始業式風景。
さあ、この体育館の始業式風景がヤバイ。とにかく全校生徒並のエキストラを集めなくてはいけない。しかも、高校生限定だ。ワタシ達が選んだのは、進研模試の日。休日なのに全員登校する模試のあとで、ロケをやってしまおうという魂胆だ。しかし、あくまでも希望者だけであるので強制は出来ない。ことあるごとに生徒にお願いして、進研模試の終了後に残ってもらうことにした。ありがとう、当時の現役生のみなさん、お陰様で無事に撮影することができました。
次に大変だったのが、夜、独りぼっちでたたずむ主役の撮影と、かるたの練習風景。
独りぼっちで夜にトタン小屋にいる風景など簡単と思いきや、道路に隣接しいるがために、本番中に車の音が聞こえると撮り直しになってしまい、なんと深夜2時頃まで撮影が長引いた。体育館柔道場を借りての練習風景は、これも生徒が帰った後におこなったので、深夜になった。
さあ、最後は、米の宮神社でのかるた合戦のロケである。ところがこの日、ワタシは横浜で大会があり、部活動の引率で富士市を離れなければならなかった。夜の10時頃、ロケ地に慌てて馳ずるとまだ、ロケは終わっておらず、最後の大団円には間に合った。
てなことで、てんわやんわのロケが終わるのだが、教員としての仕事では味わえないスリリングな日々を経験した。教員って本当にのんびりした職業だと思う。忙しいと言っても相手は(大人とはくらべものにならないくらい)従順な生徒達である。授業が多少遅れても、一年間のどこかでリカバリーすればいいので、そんなに焦ることはない。困ったら定期テストの範囲を少なくすればいいだけの話である。
ところがだ、ドラマ撮影で、一番の激務はタレントさんのスケジュール管理である。分刻みでスケジュールが組まれて、ワンシーンが撮影されていく。撮影が無駄になればギャラも増える。しかも、天気は素直に従ってくれない。今回は雨にはたたられなかったものの、極寒の1月~2月の撮影だった。女優さん達の防寒着を持って待機するADさんやマネージャーさんも大変だ。 これらの撮影スケジュールは、助監督が担当していた。助監督は2人くらいいて、いつも激論していた。テレビドラマの世界では、誰もが監督に憧れるものであるが、このクソ忙しくて責任の重い助監督時代を経ないと監督の地位には上がれないのだ。
そういえば、かるたの指導としてお台場のフジテレビ本社にも一度出かけた。観光客(見学者)としてではなく、立派な関係者としてあのフジテレビ本社ビルに入っていくのは気持ちがいいものである。ただ、あのお台場本社は交通の便が悪く、タレントさん達からは評判がわるいらしい。一度行ったきりのワタシでさえそう思った。新橋からの道のりが面倒くさい。
こういう外部との接触って、我々「井の中の蛙」状態の教員にとってはとても大切なことだと思う。
教員と教員、生徒と教員との関係さえこなせば、実際にはこまらないのだけれど、それだけでは人間的に豊かにはなれない。これは若い教員達への還暦老人からの大きなメッセージであるが、教員以外の仕事を垣間見るのは本当に大切だと思うよ。
彼らTV業界の人達の、「即断、即決、即行動」のスピードは信じられないほど速かった。
今、再任用教員として、生徒に一番要求しているのは、「起立・礼・着席」のスピードである。
教員が授業教室に入る、生徒はチャイムがなるまで先生方を無視している。まるで、先生など存在しないかのように振る舞っている。チャイムがなると係の生徒が号令をかける。そうして、今度はクラスと生徒がやっと立つ。やっと全員立ち上がると、今度は、「気をつけ」(?)の号令をかける。やっとみんながしっかり背筋を伸ばして、やっと、「礼」の号令がかかり、その後も、気をつけの姿勢に戻ったのを確認して、「着席」の声がする。
おいおい、こんなゆっくりに挨拶する業界など、学校以外にないよ。
どこのテレビドラマでも、上司が部屋に入ってきた途端に、部下は立ち上がり頭を下げるだろう。このスピードが大切なんだ。
さあ、そろそろ、清水東高校時代の話にうつろう。