岸田首相のタイムリーヒット
2021年10月14日 05:53
全国の毒舌ファンの皆様 おはようございます。Tommyセンセです。
ということで、学校もいよいよ受験モードに入り、ワタシも「平日講習(という名の8時間目)」や「出願指導(志望理由書の添削)」「小論文指導」と放課後が消滅し、忙しくなってきた。今日もきっと大変な日になりそうだ。
さて、ワタシは高校で教える身であるので、高校生が解る範囲での理解しか語らない。有名な経済評論家や、どこかの財務省事務次官のように立派な論文を出すこともできない。(公務員が、露骨に選挙妨害をしていいのかね)
矢野事務次官の寄稿は「財務省の事務方トップが“会計学に無知識である”ことを世界に晒した」 ~高橋洋一氏が指摘(ニッポン放送) - Yahoo!ニュース
大人の方々も、高校の時に、AスミスとかJMケインズとかはかろうじて勉強したことがあるでしょう。そして、その頃は、「見えざる手」だとか、「大きな政府」とか「小さな政府」とか教わったと思います。
これを、もう一度思い起こす、とてつもないい言葉が、岸田首相の口から飛び出しました。
岸田首相「成長なくして分配はない」成長戦略優先の考え示す - 社会 : 日刊スポーツ (nikkansports.com)
「成長なくして分配なし」です。これは、経済の仕組み(マクロ経済学)を企業側(サプライサイド)から説明する理屈です。企業が成長しなければ社会が豊かにならない。アダムスミス的な発想ですね。このアダムスミスの理論は、経済の絶対的な恒等式、S=Dに基づいています。「S」がサプライ(供給)、「D」がディマンド(需要)
ただし、このS=Dを日本語に訳すのが難しい。優秀な高校生でも苦労します。この「S=D」を日本語に訳すと、“作れば売れる”となります。
この発言に対して、立憲民主党の枝野代表が、「分配なくして成長なし」と全く逆の言葉を持ってきました。
立民「分配なくして成長なし」 富裕層に課税、公約を発表(共同通信) - Yahoo!ニュース
これも、経済の仕組み(マクロ経済学)では正しい理屈です。ただし、消費者(需要・ディマンドサイド)から説明しています。確かに(分配を多くして)消費者の購買力が増加しなければ、物は売れません。JMケインズ先生的な発想です。
これは、経済学の式で考えると、「S>D」となります。つまり、「供給能力は十分にあるのだけれど、買ってくれない」となります。ケインズ先生は、この式を、「S=D+α」として、均衡状態に戻せばいいと考えました。この+αの部分を財政支出とか表現しています。もし、この「S=D+α」が、「S<D+α」くらいにまで、需要の大きさを増やせば、経済は絶対に成長していきます。
この経済理論の正反対の考え方は、どこに根源を持ってくればいいのでしょうか?それを、ワタシ(高校の先生目線)は、Aスミスの時代は、“不足の時代”(近代資本主義のはじめ、そもそも物がなかったので、作れば売れた時代)であり、JMケインズの時代は“余剰の時代(生産力に購買力が追いついていない状態)”だと、定義したいと思います。
では、「成長なくして分配なし」なのか「分配なくして成長なし」なのかは、どちらの方が正しいのでしょう? 「不足の時代」なのか「余剰の時代」なのか?
これは、今の社会が、「インフレ」なのか「デフレ」なのかで答えがハッキリします。インフレとは、供給<需要の状況で“買いたいのに物が足りないので買えないから値段が上がる”時です。「デフレ」とは、供給>需要で、“ものはあるけど、買いたくない(買えない)”から値段が下がる状況です。・・・・今は「デフレ」です。
考え違いをしないで下さい。今、日本企業の供給能力は余りに余ってます。
当月の結果概要|鉱工業指数(生産・出荷・在庫、生産能力・稼働率)、製造工業生産予測指数|製造業の動きから見る日本の景気|経済産業省 (meti.go.jp)
足りない時には、稼働率も生産指数も100を超えます。
したがって、この論争は、「分配なくして成長なし」で決着がつくと考えます。(これが、高校の経済分野の授業目線で見る結論です)。
いよいよ、選挙モードに入ってきました。
今日のお題は、「岸田首相のタイムリーヒット」ですが、これは安倍やスガよりも、はるかに頭のいい岸田首相が、思わず、“経済政策の最重要なポイント”を解りやすく国民に説明してしまい、国民がとっても理解しやすい対立軸を作ったことを、賞賛して付けだ題名です。岸田首相!やりました!!!! 誠実な岸田首相らしい、立派な言葉です。国民に解りやすい“選挙の争点”を提示してくれました。サプライサイダー(企業側)にたつか、ディマンドサイド(消費者側)に立つか、これほど鮮明な論争は、今までにありませんでした。
なにやらよくわからないアベノミクスという言葉、選挙が近づくと東アジアの緊張した状勢を作り上げて“改憲”とか、“日米同盟関係”とかで盛り上がらせておいて(ここまで考えての生方発言なのかなあ?)、いたづらに選挙の争点を混乱させた今までとは違い。全くの正反対言葉で説明してくれた、“誠実な”岸田首相に感謝します。