高等学校学習指導要領公民編解説とじっくり読む
2022年1月3日 07:21
全国の毒舌ファンの皆様 おはようございます。Tommyセンセです。
ということで、今年は元日が土曜日、2日が日曜日というカレンダー悪魔によって、仕事始めが超早い。もしかしたら、今日から仕事だというお方が多いかも?
ワタシは明日の4日に初出勤。5日(水)が始業式となります。したがって、6日(木)と7日(金)は授業!!!!! 40年前の記憶では、始業式は「松の内が明けた頃」だったように思われる。
3学期はこのように始まるが、あと3ヶ月で新年度が絶対に始まる。2022年の新年度は、高校にとってはいつもと違う大きな改革をともなう年となる。4月からの年度は、「新学習指導要領元年」となり、(1年生の)教科書も全面改定され、評価方法も変わり(10段階とか5段階などとは言っていいられない)、一人一台のタブレット端末が使われる年となる。突然全部変わるので、一部の高校ではこの全てに対応できていないところもあるだろう。
ワタシもただ遊んでいただけではなく、正月ウィークに隠れて、こそこそ、『高等学校学習指導要領公民編の解説』を読んで勉強していた。
【公民編】高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 (mext.go.jp)
正直な感想としては、「これほど変わっているとは!!!!!!!」
新学習指導要領が告示されたのは、今から4年前であるので、内容を知らなかったわけではない。ただ、全然切羽詰まっていなかったので、学習指導要領なんて薄っぺらくサラッと流し読みしただけだった。今回、じっくり、「4月からはこれを元に教えるのだぞ」という意気込みで読んでみたら・・・・
なんとなんと相当様変わりしているではありませんか。
ワタシの教える「公民」は、この学習指導要領で大きく変わらなければいけないはずの教科である。現代社会の様相は10年前とは大きく違うのは当然だ。でも、時の流れによって「見方・考え方」がこれだけ変化していると思うと感慨深い。(決していい方向だとは思っていないが)
今回の学習指導要領では「協同的な学習」という側面が相当重視されている。“みんなで解決しよう”ってことでそれほど悪くない。しかし、「公民」ではそれとは正反対の“自己責任論”が逆に強調されている。
以下の貼り付けは、文科省のHPから拝借した、新科目「公共」の解説からコピペしたものだ。(読み飛ばして構いませんけれど)自己責任論的な表現を太字で示してみる。
<コピッペ>
多様な契約については,契約が当事者の自由な意思の合致により成立する法的拘束力のある約束であること,誰とどのような内容の契約を行うかは,当事者の意思に基づくことを理解した上で,契約によって,売買,土地・建物や金銭の貸し借り,雇用などの多様な活動が行われること,このような多様な契約により様々な責任が生じることについて理解できるようにする。
その際,詐欺,強迫や判断能力が不十分であるために,不完全な意思表示に基づいて契約が行われる場合は契約が無効になったり,これを取り消したりすることができ
ることを理解し,例えば,未成年者が契約する場合は,親権者等の法定代理人の同意が必要であり,未成年者が法定代理人の同意なく締結した契約は,本人または法定代
理人が取り消すことができること,成人であると信じさせるために詐術を用いた契約などは取り消すことができないことについて理解できるようにする。
消費者の権利と責任については,消費者基本法や消費者契約法などを踏まえ,消費者の権利の尊重と消費者の自立支援の観点から考察できるようにすることに向けて,
消費者に関する問題を取り上げ,消費者と事業者との間で締結される契約である消費者契約を扱い,消費者が,情報の非対称性や自らの経済状況などのために,熟慮に基
づく自由な意思により契約することができない場合があること,そのために,消費者を守るための法的規制や行政による施策が行われていることを理解できるようにす
る。その上で,消費者が保護される存在としてだけではなく,自らの権利や利益を守り増進することができる自立した主体になることとともに,様々な人々の多様な生活の在り方を尊重しつつ,消費者としての自らの選択が現在及び将来の世代にわたって社会・経済の在り方や地球環境に影響を及ぼし得るものであることを自覚して,公正かつ持続可能な社会の形成に積極的に参画することが期待されていることを理解できるようにする。
多様な契約及び消費者の権利と責任…に関わる具体的な主題については,例えば,どのような場合に,契約が当事者の自由な合意とはいえないか,なぜ契約自由の原則
には例外が存在するのか,どのような点に気を付けて消費活動を行えばよいのか,といった,具体的な問いを設け主題を追究したり解決したりするための題材となるもの
である。
その際,例えば,売買,サービスの提供,土地・建物や金銭の貸し借り,雇用などを巡って,日常生活において生じる紛争を取り上げ,契約に際して,自由な意思決定
が阻害されていないか,合理的に判断するために必要な情報が十分に得られているか,当事者間の社会的,経済的な力関係が意思決定に不当な影響を及ぼしていない
か,どのようなリスクを考慮すべきか,契約の内容などに問題がある場合には,どのような解決を図ることが適切か,といった観点から,多面的・多角的に考察,構想
し,表現できるようにすることが考えられる。なお,その際,相談機能を担っている日本司法支援センター(法テラス)や消費生活センター等に触れ,それらが提供して
いる被害事例に関する情報を活用することなども考えられる。
また,この主題の下で行う学習の際,「私法に関する基本的な考え方についても扱うこと」(内容の取扱い)が必要である。これについては,私法に関する基本的な考え方を踏まえて,契約の意義や基本原則を理解した上で,契約には様々なものがあること及びその一つである消費者契約と関連付けて,消費者の権利と責任について理解できるようにすることが大切であることを意味している。
「私法に関する基本的な考え方」(内容の取扱い)については,全ての人は,自由で平等な人格であり,権利・義務の主体であること,生命,身体,プライバシーなどの
人格的な権利や所有権などの財産的権利を侵害されないこと,各人が自由な意思に基づいて生活関係を規律することができること,自らの意思に基づいて決定した結果に対して責任を負わなければならないこと,そして,それによって社会を作る人々のよりよい生活が実現されることを意味している。
なお,平成 30 年6月の民法の改正により令和4年4月1日から成年年齢が 18 歳に引き下げられ,18 歳から一人で有効な契約をすることができるようになる一方,保
護者の同意を得ずに締結した契約を取り消すことができる年齢が 18 歳未満までとなることから,自主的かつ合理的に社会の一員として行動する自立した消費者の育成のため,また,若年者の消費者被害の防止・救済のためにも,こうした消費者に関する内容について指導することが重要である。
<コピッペ終了>
そして、もう一つの自己責任論が、とうとう、社会保障の箇所で、「民間保険」が登場したことである。「自助・共助・公助」の順番にも注目して読んでもらいたい。
<コピペ 「公共」の指導要領から>
また,例えば,社会保障制度の在り方をめぐっては高福祉・高負担か,低福祉・低負担かなどの点から考えなければならないこと,社会保障制度を持続可能なものにす
るには将来の世代の受益と負担を考慮しなければならないこと,生活上直面する様々なリスクに対しては,自分でそれに備えたり,対処したりするだけではなく,近隣住民などと互いに助け合うことや行政による対応が欠かせないことなどの観点から,(センセ注 社会保障を学ぶにあたって、「自分で備えろ」や「近隣住民などと互いに助けあう」方が、行政よりも先なんだよ)
貯蓄や民間保険などにも触れ,自助,共助及び公助が最も適切に組み合わされるようにするにはどうすればよいか多面的・多角的に考察,構想し,表現できるようにすることが考えられる
(センセ注、とうとう、社会保険制度の中で、貯蓄や民間保険などという言葉が登場した!!!!!!)
では、新科目「公共」をより詳しく学ぶ「政治経済」ではどうか?
これも
<コピッペ>
少子高齢社会における社会保障の充実・安定化については,社会保障制度の充実に伴い,社会保障の目的は,生活の最低限度の保障から広く国民に安定した生活を保障
するものへと変化してきている。少子高齢化が進む日本では,労働力需給や経済成長など国民経済に大きな影響が出ており,また,生産年齢人口の減少や家族構成の変化
などにより,公的医療保険や公的年金保険などの社会保険をはじめとする社会保障費の財政負担の増大も大きな問題となっている。
このような現状を踏まえて,少子高齢社会における社会保障の充実・安定化につい
て,自助,共助及び公助による社会保障の考え方を対照させ,真に豊かで持続可能な福祉社会の実現という観点から探究できるようにする。
その際,例えば,少子高齢社会における問題点を,個人の生活様式や就労形態の多様化,家族構成の変化,低所得や貧困とその連鎖,介護と医療を必要とする人の増加,女性や高齢者の安定的雇用などだけでなく,消費水準を平準化させる機能や長生きに伴うリスクを減少させる役割を果たしている社会保障に関して,世代間及び世代内の公平性を確保できる受益と負担の均衡のとれた制度の在り方について,また,子育て支援や教育費の支援と生活保障など,日本のこれからの充実した福祉社会の在り方について自分の考えを説明,論述できるようにすることが考えられる。
さらに,社会保険の役割とともに,自助としての医療保険,生命保険,私的年金保険などの民間保険の役割なども調べ,広い視野から持続可能な社会保障の在り方について自分の考えを説明,論述できるようにすることも考えられる。
・・・・高校の「公民」でも、生命保険や私的年金保険などを扱うのか!!!!!!!! なんという国に成り下がってしまったのか!!!!!! トホホ。