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Received — 2024年5月6日 tommy先生の「世相を斬る」

還暦老人清水東を振り返る④

著者: tommyjhon
2024年5月6日 06:40
全国の毒舌ファンの皆様 おはようございます。Tommyセンセです。

 ということで、GWの後半、楽しい楽しいお出掛けとはいかず、なんと5/3に痛風を発症。3日は息子&孫家族と一緒に魔界の牧場(まかいの牧場)に付き添って行けたものの4日の日本平動物園は見送り、5日も一日中家の中。3年前に偽痛風発症の時にいただいた鎮痛剤(ロキソニン)のお陰で今は日常の生活できるまでに回復した。またもや四つん這いでトイレに向かうという情けない格好をしてしまった(泣)。


 さて、痛風の激痛も治まったので、還暦老人の“教員人生を振り返るの記”を続けることにする。


 2013年(平成25年)の春、ワタシは富士高校から清水東高校に転勤した。(静岡県下では)言わずと知れた名門進学高の両校であるが、いざ転勤してみると学校体制でみると大きな違いがあった。富士高校は文字通り富士山のような山容だと喩えればいいだろう。どっしりとして広大な裾野を持ち、高くそびえるにはこのような形になるのかなと簡単に想像できるような形をしている。生徒の学力分布もその通りで、頂点の数人から裾野が広がるように秀才達が存在している。ところが、清水東は、八ヶ岳や北アルプスのように、大きな山帯のもっと上に、一人一人の個性が天を突くような急峻さでそそり立っている。
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(富士山=広く大きい裾野の上に頂点が存在する=富士高)
 
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(日本海側からの剱岳などなど=個性的な面々がそれぞれ天を窺う様相=清水東)


どちらも英才&秀才(あくまでも静岡県内)が集まるのだが、富士高は集団として強さと大きさがより備わっていて、清水東は個性的な強さの集合体のような印象だった。
 過去の業績を見てもまさしくその通りで、清水東の理数科は静岡県の高校理数科としては一番の伝統を誇っている。なんと、調べた時点(今から6年くらい前)では、理数科の過去通算の最多進学大学は東大だそうだ。(卒業生の進学先で最多なのは東大ってこと、信じられる?????)
また、サッカー界でも同じ事がある。
内田篤人君おめでとう、史上初 清水東高校の快挙 : tommy先生の「世相を斬る」 (exblog.jp)

これは、清水東高校が、ギネスに申請したら認められるであろう世界記録である。世界的には高校単体でサッカークラブのある国など見当たらないので、この5大会連続OB選出は、絶対的な世界レコードだ。中山雅史と長谷部誠を輩出した藤枝東高校は、2006年のワールドカップドイツ大会を逃している。(ワールドカップロシア大会は、小野伸二&川口能活の清水商業コンビが選出された)
 このような突き抜けた才能をボコボコとでてくる下地みたいなものが清水東高校にはあるのだろう。実際に赴任してみても、そのタレントの集まりに驚いた。


 日本の高校では、文化祭や体育祭に名称をつける。富士高校は富嶽祭(ふがくさい、腐が臭い)であるし、静高は卬高祭(うこうさい、高きを仰ぐ、)である。清水東は、単に“学校祭”であって、その他に言い方はない。これは、県下では他に浜松北高くらいしかないずうずうしさ(おおらかさ)である。他の学校を意識する感覚がないんだ。
この学校祭での出来事はワタシは仰天した。おそらく、清水東高校の関係者ならば全く普通の感覚なのであろう。なんと、この学校祭のテーマ曲(清水東では、賛歌と呼ぶ)が、生徒の有志バンドによる完全オリジナルの楽曲なのだ。しかも、応募数が多い場合には、オーディションをもって「テーマ曲」を決定するという。作詞も作曲もアレンジも完全なオリジナルで、もちろん、そのバンドが学校祭のオープニングを飾るというのは、全国探しても、そうあるものではない。
Youtube動画にも残っているよ。
【公式】2015年度 静岡県立清水東高等学校 学校祭 賛歌 「Story」 - YouTube

・・・このバンドのメインボーカルは東大に現役合格している。


 ただし、学習や進路の方も、どことなくこの個性を大事にはするが、学校の組織として進学させようという体制は完成していない感じがした。(富士高校の進学体制は県下有数の組織力の賜物である)、顕著な例をあげる。


 ワタシが清水東に転勤した2013年は、センター試験の必須科目がやや変化した年であった。2013年のセンター試験においては、公民科目での「倫理・政治経済」が導入され、今までの「現代社会」・「政治経済」・「倫理」に加え、倫理50点分、政治経済50点分のミックス科目である「倫・政」が新設された。しかも、この「倫・政」が東大から旧帝大、千葉大、神戸大、横国大などの難関大の文系では、必須科目となったのである。つまりは、このような文系難関大に行くには、「倫・政」をセンター試験において受験しなければならず、その為には、授業でも倫理と政経を勉強しなければならない。
 前任地、富士高校はこの変更に備えて、文系生徒は「倫理・政経」を4単位で両方学習するようにカリキュラムを変更していた。ワタシが学年主任の時代、東大から旧帝大までの難関大に64名の富士高最多合格者をだしたのだが、この数字には、文系の旧帝大(特に名古屋、東北)で荒稼ぎしたことが大きい要素となっている。ワタシは、「倫理・政治経済」が必修化されることが判って以来、着々と「倫理」の教材研究を進めていて、それほどの負担にならずに、「倫理・政経」の必修科目を教えてこれた。(今では、倫理が一番教えやすい、伊豆中央でも、それなりの倫理政経対応は整っていた)


 ところが、清水東高校では、全くの無関心・無対策のままであった。カリキュラムには、「倫理」という科目が存在しない。生徒達には、「個人的に予備校で勉強しろ」というメッセージがあっただけだった。しかも、ワタシの前任者(つまり、公民の担当)は進路課長の職にもついていた方である。この変更を知らないはずがない。
一担当に託せられる仕事ではないことも確かだ。もっと恐ろしいことに、この「倫理」が開設されていないという大問題を、先生方がそれほど大きく考えていないことにも驚いた。清水東高校は伝統ある理数科の開設校でもあり、やSSH(スーパーサイエンスハイスクール)の認定校でもあるので、理系の教育には伝統的な強さがあるが、文系の進学などあまり興味がないようにも思えた。(東大の文科や一橋に行った卒業生もいるが、彼らは文転生である)


 なので、公民科として転勤したワタシは、当然たった一人の公民科教師でもあったので、「倫理・政経」問題の解決に対処した。科目「政治経済」は3年生で文系必修科目であったので、「倫理」を課外(正規の授業以外)のゲリラ的な授業として、朝7:10~8:10まで、毎週火曜日に行うことにした。これを続けながら、土曜日の「土曜講座」でも倫理を講義し、夏休みの補習でも「倫理」を講義した。そうして、やっとこさ、旧帝大以上の難関大志望者のセンター試験受験の下地作りが出来上がった。
もちろん、難関大の合否は個別試験で決まるので英数国の方が重要である。それ故、「倫理」などの科目で貴重な学習時間を割いて欲しくない。ワタシの「倫理」「政治経済」の授業・補講の目的は、「それほどの時間を費やすことなしで、高得点をとるか」であって、「哲学」などの深い理解を目指すモノではなかった。


 結果的に、この年の受験において文系難関大で目立った成果は上げられなかったのではあるが、体制作りだけは(ワタシの勤務時間を度外視した仕事ではあったものの)、整った。


 同じような問題は、良くも悪くも清水東高校の学校体制に垣間見られた。よく言えば「個性を大切にする」悪くいえば、「生徒任せ」の進学指導体制は、個性的な人材が少なくなっている現状では、ややおおきなリフォームが必要であることは明白だった。例えばの、60分授業である。一昔前、多くの進学高は65分授業を採用していた。一般的には50分授業であるが、数学や理科などの実験や長い考察が必要な科目では65分という長尺授業の方が都合が良い場合がある。しかし、もはやセンター試験(2014年当時)に見られるように、今やマルチ科目必修の時代になり、65分ではまともなカリキュラムがくめなくなっていった。
 それを、清水東高校では、65分⇒60分というマイナーチェンジで乗り切ろうとしていたのだが、誰かがここで大鉈をいれる必要があった。(これを4年後に担当するとは思ってもみなかったけれど・・・・・)


 そうして、1年目は終わろうとしていた。次回は、3学期のワンシーンから始めます。 


 
  




 




 














 






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