還暦老人教員生活を振り返るの記最終章3
2024年5月28日 04:33
全国の毒舌ファンの皆さま おはようございます。Tommyセンセです。
ということで、伊豆中央清流際まで、あと4日
【公式】静岡県立伊豆中央高等学校(@izuchuo_hs_official) • Instagram写真と動画
さて、死に場所としての伊豆中央高校の進路課長。今日は、何回も訪れる「進路課長講話」の件。
3年部では当たり前だが、1,2年部からも依頼が来る「進路課長講話」、とうとう最後の方はネタ切れで正直困ってしまった。
それでも、どうにか生徒をひきつけなければならない。
学年の最初の方では、風船を小道具として使った。
「ここに、一つの風船があります。」
(ただ、一つの風船を手に入れるのはかなりの手間で、ヒャッキンのお店で60ケ入の風船を一袋買ってしまった)
「一度膨らませます。もう60歳の老人ですので、案外気合を入れないと膨らみません」
「せーーーーのっ」
やっとのことで、目一杯まで膨らませる。
「では、この風船の空気を一度抜きます」
「ぷしゃー」
そうしてから、同じ風船をもう一度膨らませる。
「萎んでしまったので、もう一度、膨らませる」
「ブオーーーーーーン」
「今度は簡単に膨らみましたね」
「ハイ、この通りです。ワタシ前々から考えていましたが、風船を膨らませる場合、一番最初が一番大変で、一番エネルギーを使います。」
「でも、その次からは、簡単に同じ量を膨らませることができます。」
「勉強も、同じことだと思います。先生方は、経験があるので後ろで頷いてくれてますけど、一度、思いっきり勉強してしまうと、それ以後は、同じ時間同じ量の勉強が、楽にできるようになります。」
「さあ、これから本格的な勉強をしようとしているみなさん、最初に一番長く多くやってみなさい。少しずつ量を増やそうと思ってもそれは精神的なエネルギーを浪費するだけです。脳は風船と同じです。まずは、脳の容量を大きくしてしまうこと、これからはじめさない。」
こんな感じ。
模試に関しては、
「模試は、自分の学力を測るものではありません。(少しはその意義もありますが) 模試は、初出の問題を5000円で買うことです。5教科なら1科目1000円。まあ、やや安めの問題集です。いつもは、授業の進度応じて、学力の定着を調べるために模試を使いますが、3年生の希望者による模試は、問題を手に入れることが、大事なのです。突然、手にするやや難問。これをどのように攻略していくかの練習です。大学受験用の模試なので、今の自分には荷が重いと後ずさりする君たちは、練りに練った高級問題集を買うチャンスを逃すことになりますよ」
受験勉強って何ですか?という単純な問いには、
「模試の復習をみっちりやることです。模試の復習って、時間がかかります。本気になって取り組むと簡単な教科でも2時間くらいかかります。そうするとルーティーンの勉強以外に1週間で10時間から15時間くらいの勉強量が増えます。これを受験勉強といいます」
基礎基本て何ですか、
「基礎基本とは、最初からやり直すことではありません、難しい問題にぶつかって、それを克服するために、その問題の構造を理解することです。そうして基礎基本が何であるかをわかることです。」
「基礎基本からやり直すのではなく、基礎基本が何なのか?を発見することです」
①具体的な方法論
こういう話もあった。、
「先生、数学が苦手なんですけど・・・・」
それはね、家で数学の勉強を後回しにするからだよ。一番最初に数学から初めていけば・・・・勉強は、無意識に苦手なことを避ける傾向があるので、計画の中で、取り組む順番をきっちり決めておくことが大切だ。理想的な形は、月曜日「英数国」火曜日「数国英」水曜日「国英数」とローテーションを組むことである。(学力の高い、進学実績の良い高校は、月曜日が数学の単元テスト、火曜日が英語の週テスト、水曜日が国語の「実践トレーニング」(通称、じっとれ)の小テスト、と曜日ごとに重要なテストがあり、この科目ごとのローテーションが構造的に仕組まれていた。(テストばかりで子供が可哀そうだ、とこぼす親がいるが、勉強の強弱を作るトレーニングなんです。)
②ターゲットを絞る
生徒の上位10%は、たぶん聞いていない。それは自分なりのモチベーションと自分なりの方法論が確立されている生徒なので、相手にはしていない。生徒の下位10%もたぶん聞いていない。彼らは最初から受験に向いていない生徒なので対象外だ。講話の基礎基本は“ターゲット層を絞り込むことである”(富士高でも清水東でも、成績層別の講話をやったことがある。
③受験の構造を理解させる
例えば国公立大学の受験。これは、共通テストと個別試験に分かれていて、しかも、「自己採点・業者判定」という中間発表がある、摩訶不思議な構造をしている。このシステムを上手につかうと、国公立の定員が最上位から最下層まで、きっちり組み分けられて全員合格できる構造なのだ。というようなこと。
例えば、3年生になると授業がつまらないという。これは、授業の目的が、授業と授業の間の家庭学習コントロールに変化してきて、新しいことをやるのが授業ではなくなっているからだよ。
④偏差値にこだわらない
偏差値より度数分布、度数分布より素点、素点よりも順位。偏差値が一番、生徒の実力をわからなくする。
これは、一度教えても定着しないので、進路課長として先生方にお知らせする「共通テスト模試の速報」は、すべて素点と校内順位にした。
だって、合格結果って最終順位であるし、順位は、素点の合計値なんだから。
3年生最後の講話は、必ず「戦友論」
ワタシは、このブログでもそうだが、「教え子」とか「先生」という言葉をあまり使っていない。生徒達に対して「教えた子」という実感はほとんどないし、「先生」というステレオタイプを演じていたわけでもない。(ブログでの自己紹介は、キャパクラ風の“センセッ”)
普通科進学校に勤めながら、やっていたことは、「自分も勉強した」し、「生徒も勉強した」だけである。小論文の指導なんて、自分でも小論らしい文章を書いてみないと教えられない。「地歴公民」という教科指導も、相当時間の勉強をした。偉そうに話している偉そうな話は、だいたいが、偉大な先人たちや書籍から勉強したことだ。
今、あまり本を読んでも面白くない。それは、文章を読む感覚が、「文に入り込む(小説を読み入る感じ)」のではなく、「使える」という視点でしかないからだ。
「あっ、これ使えるフレーズ」という視点で本を読むと、小説なんか全然面白くもない。
なので、生徒とワタシ達は、同じ相手(受験とか学問とか)に向かって一緒に戦った(戦っている)仲間なのである。
だから、ワタシが生徒に感じる意識って、「戦友」が一番近い。部活動だと一層「戦友」感覚は大きくなる。
受験って、生徒と教員が一緒になって戦うものなんだ。
最後に(これは生徒に対して絶対言えないことだけど)、生徒に対してマウントをとることだけを生きがいにしている(しているような)先生が一番嫌いだ。
<用語解説>
「マウントを取る」とは、自分の優位性を相手や周囲に示す行為を指します。また、同じ意味で『マウンティング』とも呼ばれます。
例えば、「おまえはそんなこともできないのか」というような相手を見下した発言は、人を精神的に攻撃している状態や、マウンティングと捉えられます。
<用語解説終了>