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【5月25日(水)開催】PEP卓越大学院プログラム5-6期生(2022年9月進入・編入、2023年4月進入・編入)募集説明会のお知らせ

著者: staff
2022年5月9日 10:01

文部科学省卓越大学院『パワー・エネルギー・プロフェッショナル(PEP)育成プログラム』は、
電力・エネルギー新産業創出に寄与する人材を輩出することを目的とした修士・博士後期 5年一貫の博士人材育成プログラムです。
この度、本プログラムの5-6期生(2022年9月進入・編入、2023年4月進入・編入)募集説明会を以下のように開催致します。
お気軽にお申込みください。

<概要>
対象:現在、電力系・エネルギーマテリアル系を専攻分野としている(あるいは現在それらの分野に関心がある)以下の学生、社会人
・学部3年生、4年生
・修士課程/一貫制博士課程1年、2年
・2022年9月・2023年4月に以下の参画専攻博士後期課程入学予定者
[本プログラム参画専攻]
・基幹理工学研究科(機械科学・航空宇宙専攻、電子物理システム学専攻)
・先進理工学研究科(応用化学専攻、電気・情報生命専攻、ナノ理工学専攻、先進理工学専攻)
・環境・エネルギー研究科(環境・エネルギー専攻)

日時:2022年5月25日(水)12:15~12:50
形式:Zoomミーティング(申請フォームから参加登録いただいた方にURL詳細等、メールでお送り致します。)

内容:
・PEP卓越大学院プログラム概要説明(研究指導・支援体制、カリキュラム、進路、経済的支援etc)
・5期生(2022年9月進入・編入)、6期生(2023年4月進入・編入)募集日程
・質疑応答(プログラムコーディネーター林 泰弘教授、PEP事務局が質問にお答えします。)

<申請フォーム>
PEPプログラムに少しでも関心のある方はお気軽に、以下URLよりお申込みください。
https://bit.ly/3vat7Gz

申込締切:5月25日(水)10:00まで

<お問合せ>
PEP卓越大学院プログラム事務局(53号館104事務室)
TEL:03-5286-3238 Email:[email protected]

逆の位置のエポキシド還元的開裂反応

著者: contributor
2022年5月6日 11:37

従来とは逆のエポキシドの還元的開裂反応に成功
~ジルコニウムと可視光に着目した触媒を開発~

発表のポイント

  • エポキシドからラジカルを与えるジルコノセン/可視光レドックス触媒系を開発。
  • チタノセン触媒では切れなかった炭素–酸素結合を開裂することに成功。
  • 糖やテルペンなどの天然由来分子を含む幅広いエポキシドの開環を達成。

早稲田大学理工学術院の太田英介(おおたえいすけ)講師山口潤一郎(やまぐちじゅんいちろう)教授らの研究グループは、世界初のジルコノセン/可視光レドックス触媒系を構築し、エポキシド (※1)の環を開き、ラジカル (※2)を生成する「還元的開環反応」の開発に成功しました。

エポキシドは反応性が高く、容易に合成可能なため、その有用化合物への化学変換は盛んに研究されてきました。一般的にエポキシドは他の分子の攻撃を受けて開環しますが、還元的開環反応ではエポキシドが開環した後、他の分子を攻撃することができます。この還元的開環反応には、チタノセン触媒 (※3)が古くから利用され、数々の反応がこの30年に渡って生み出されてきました。チタノセン触媒を用いる開環反応では、エポキシドの二つの炭素–酸素結合のうち、一方の結合が開裂します。今回、研究チームはジルコノセン触媒 (※4)により、チタノセン触媒では開裂しなかったエポキシドのもうひとつの炭素–酸素結合を開裂することに成功しました。チタノセン触媒と相補的に利用可能な触媒系の世界初の発見は、還元的開裂反応の進展に大きな役割を果たすと期待されます。

今回の研究では、ジルコノセンと可視光レドックス触媒 (※5)存在下、エポキシドに可視光を照射することで、炭素–酸素結合が開裂し、アルコールを合成することに成功しました。また、本触媒系を利用したアセタール形成反応や分子内環化反応も達成し、糖やテルペンなどの天然由来分子を含む40種類以上のエポキシドを様々なアルコールへと変換できました。

本研究成果は、Cell Press 社『Chem』のオンライン版に2022年5月3日(現地時間)に掲載されました。

論文名:Catalytic Reductive Ring Opening of Epoxides Enabled by Zirconocene and Photoredox Catalysis(ジルコノセン/可視光レドックス触媒系によるエポキシドの触媒的開環反応)

DOI: 10.1016/j.chempr.2022.04.010

(1)これまでの研究で分かっていたこと

エポキシドは反応性に富む、有機合成化学における基本的な構造です。多くの医農薬品にもこの構造が含まれており、通常は他の分子の攻撃を受けて開環します。一方、還元的開環反応を利用すると、エポキシドからラジカルを生成し、他の分子を攻撃することができます。この還元的開環反応は代替法がほとんどないユニークな反応で、現在有機合成分野で広く使われています。この反応の触媒にはチタノセンが頻用され、広範なエポキシドに適用できます。エポキシドの還元的開環反応では、まずチタノセン触媒が還元を受け、エポキシドが配位します。その後、エポキシドがもつ二つの炭素–酸素結合のうち一方が開裂します。チタノセン触媒を用いた場合は、安定な中間体(ラジカル)を与えるように炭素–酸素結合が開裂し、置換数の少ないアルコールを与えます。

その一方で、もう片方の炭素–酸素結合を切断しラジカルを生成する反応も、少数ながら報告されています。しかし、反応に利用可能なエポキシドや、開環後に攻撃できる分子が限られるという課題がありました。もし、チタノセン触媒反応と同様に、種々のエポキシドに適用でき、様々な分子へ攻撃できる反応が開発できれば、エポキシドから多様なアルコール類を合成でき、分子構築の幅が広がると期待できます。

(2)今回の研究で新たに実現しようとしたこと、明らかになったこと

早稲田大学の研究グループ(先進理工学研究科博士後期課程1年会田和広さん、修士課程2年平尾まりなさん、理工学術院太田英介講師山口潤一郎教授ら)は、ジルコノセン触媒を利用して、チタノセン触媒を用いた場合とは逆の位置で、エポキシドの炭素–酸素結合を開裂する触媒系の開発に挑戦しました。

研究グループの一部、右前が今回の研究の中心である会田和広さん

今回開発した還元的開環反応により40種類以上のエポキシドが様々なアルコールに変換可能であることが分かりました。複雑な構造を有する天然物誘導体のエポキシドを開環することも可能です。また、開裂によって生成したラジカルを利用して、様々な分子へ攻撃すること(官能基化)にも成功しました。

(3)そのために新しく開発した手法

今回、エポキシドの還元的開裂反応の開発にあたり、チタノセン触媒と同族元素をもつジルコノセン触媒に着目しました。チタノセンよりも酸素と強く結合するジルコノセンを用いれば、エポキシドの開環反応はより発熱的になると考えられます。物理化学の原理の一つBell-Evans-Polanyi則 (※6)に従うと、反応が発熱的になれば、遷移状態 (※7)の構造はより原系に近づくと予想されます。本研究では遷移状態の構造を変化させるアプローチで、今まで開裂しなかったエポキシドの炭素–酸素結合の切断を試みました。実際に、ジルコノセン/可視光レドックス触媒を利用した還元的開環反応では、チタノセン触媒を用いた場合とは逆の位置で、エポキシドの炭素–酸素結合を切断することに成功しました。

(4)研究の波及効果や社会的影響

今回開発した還元的開裂反応は、ジルコノセン触媒を炭素–酸素結合の開裂に利用した点において画期的です。古くから知られるジルコノセン触媒の新たな機能を引き出すことに成功しました。地殻内存在量が高いジルコニウムと可視光で駆動する本反応は、環境低負荷型反応の側面をもち、今後さらに改良を進めることで、将来的にはエネルギー問題にも貢献できる可能性があります。

(5)今後の課題

チタノセン触媒では切れなかった炭素–酸素結合の開裂に成功したものの、開裂する結合の選択性制御はまだ不完全です。また、エポキシド開裂後の変換反応が水素化、アセタール化、環化反応に限られることも課題です。今後は、より詳細な反応機構解明研究や綿密な反応設計、条件検討により、これらの課題を解決したいと考えています。

(6)研究者のコメント

本研究では、これまで類を見ないジルコノセン/可視光レドックス触媒系の開発に成功しました。前例のない触媒系の構築には苦労しましたが、この独自開発した触媒系を利用して、今後も様々な未踏反応の開発に挑戦します。

(7)用語解説

※1 エポキシド
三環性のエーテル化合物。有機合成に汎用され、容易に合成が可能。求核剤との反応に多用される。

※2 ラジカル
不対電子をもつ反応性の高い分子。化学結合が均等開裂することで生成する。

※3 チタノセン触媒
二つのシクロペンタジエニル基にチタンが挟まれた構造をもつ金属錯体。塩素原子をもつチタノセンジクロリドは最も代表的なチタノセン触媒。

※4 ジルコノセン触媒
二つのシクロペンタジエニル基にジルコニウムが挟まれた構造をもつ金属錯体。

※5 可視光レドックス触媒
可視光で励起され酸化還元反応を引き起こす光触媒。一つの触媒が酸化と還元の両反応を担うため、本触媒を利用した特徴的な反応が近年発見されている。

※6 Bell-Evans-Polanyi則
活性化エネルギーとエネルギー変化の間に直線関係が成り立つという経験則。この原理に従うと、発熱的である反応ほど活性化エネルギーは低くなる。

※7 遷移状態
原系から生成系への反応過程において、最もエネルギーの高い状態。

(8)論文情報

雑誌名:Chem
論文名:Catalytic Reductive Ring Opening of Epoxides Enabled by Zirconocene and Photoredox Catalysis(ジルコノセン/可視光レドックス触媒系によるエポキシドの触媒的開環反応)
執筆者名(所属機関名):Kazuhiro Aida, Marina Hirao, Aiko Funabashi, Natsuhiko Sugimura, Eisuke Ota, and Junichiro Yamaguchi (Waseda University) (会田和広、平尾まりな、船橋藍子、杉村夏彦、太田英介山口潤一郎)(早稲田大学)
掲載日時(現地時間):5月3日午前11時
掲載日時(日本時間):5月4日午前1時
掲載URL:https://doi.org/10.1016/j.chempr.2022.04.010
DOI:10.1016/j.chempr.2022.04.010

(9)研究助成

本研究は、科研費(基板(B)、学術変革研究A「デジタル有機合成」、若手研究)、ERATO、住友財団、福岡直彦財団、里見奨学会、JXTG エネルギー株式会社(現・ENEOS株式会社)による支援を受けて行われました。

重要:5/2の学費口座引落が成立しなかった場合 / Important: In case the bank transfer for tuition and fees was not successful on 5/2

著者: staff
2022年5月2日 14:17

*English version follows Japanese

5/2に2022年度春学期分学費引落が成立しなかった場合は、7/1の第2回の学費引落にてお支払いください。

  • 振替結果については、ご自身で通帳等にてご確認ください。
  • 6月下旬に口座振替通知書(ハガキ)を発送の上、引落を行います。
  • 休学の場合を除いて、請求額に変更はありません(追加料金等は発生しません)。
  • 5/2の引落が成立しなかったことにより、直ちに退学になることはありません。
  • 口座情報や学費負担者情報の変更を行う場合は、5月中をめどにご対応ください。
  • 私費留学生の場合は、別途4/13に海外送金などに関する案内メールをお送りしていますので、ご確認ください。海外送金もしくはクレジットカード払いを希望の場合は、学費の支払い期日が通常とは異なります。詳細はメールに記載された通りです。

なお、2022年4月入学者は入学手続時に既に春学期分学費を納入済みのため、今回の引落の対象外となります(秋学期から引落が開始されます)。また、国の修学支援制度採用者や延長生の場合は、原則7/1が初回の請求日となります。
上記をはじめ、学費に関する詳細はこちらよりご確認ください。

 

In case the bank transfer for the tuition and fees for the AY2022 spring semester was not successful on May 2, please make your payment at the second bank transfer scheduled on July 1.

  • Please confirm the result of the transfer in your bankbook, etc.
  • The transfer will be made after sending a notification for bank transfer in the late June.
  • There will be no change in the total amount (no additional fees, etc. will be charged), except in case of a student taking a leave of absence.
  • You will not be immediately dismissed from the school due to the unsuccessful result of the transfer on May 2.
  • If you wish to change your debit account or tuition payer information, please take necessary procedures by the end of May.
  • If you are a privately financed international student, please check the separate information e-mail sent on April 13. If you wish a payment by international remittance or credit card, the due day differs from the originally planned. Please refer to the e-mail carefully.

Please note that students admitted in April 2022 are not eligible for this transfer since they have already paid tuition for the spring semester at the time of enrollment procedures (the transfer will begin in the fall semester). In addition, for students who are adopted by the New Aid System for Higher Education and Enchosei (extended students), the first bank transfer date is scheduled on July 1, in principle.
Please check here for more information on tuition and fees.

「TWIns」ってどんなところ?

著者: contributor
2022年4月28日 09:23

-「TWIns」では、どんな研究が行われている?

 東京女子医科大学 × 早稲田大学

早稲田大学の工学の技術、東京女子医科大学の医療の技術を組み合わせ、 今までにない新しい医療機器の開発を行っています。

早稲田大学の岩﨑研究室では、膝の靱帯断裂の治療に用いる、体内で再生する治療機器を東京女子医科大学と共同開発しています。

学部 × 学科

あらゆる生命系の実験ができる、学生実験室があります。

先進理工学部生命医科学科と創造理工学部総合機械工学科の学生たちが それぞれの専門を活かし、共同で研究を行っています。

先進理工学部生命医科学科、武岡研究室のナノシートと呼ばれる厚さ数十~数百ナノメートルの高分子超薄膜の技術と、創造理工学部総合機械工学科、岩田研究室の電子デバイスの基盤技術を融合させ、ナノシート上にエレクトロニクスを実装する取組みを行っています。

ナノシートは生体適合性が高いため、電子化することで皮膚一体型のデバイスが実現可能であり、例えば皮膚密着型のウェアラブルチケットとして、イベント会場等への応用が期待出来ます。

研究室 × 研究室

壁に仕切られない実験スペースで、分野の異なる様々な研究が行われています。

ここはオープンラボと呼ばれる研究室ごとの仕切りのない実験スペースで、海外では珍しくないですが日本で導入している研究施設はまだ数少ないです。TWInsでは、先進理工学部生命医科学科の全研究室がここで研究活動を行っています。

仕切りがないことで他研究室の実験の様子もわかりやすく、「なにをやっているの?」というところから、共同研究のヒントが見つかることも。

また、TWInsの1階では、教育学部生物学専修と先進理工学部電気・情報生命工学科という異なる学部学科の学生たちが、隣接する同じフロアで研究活動を行っています。

いかがでしたか?少しTWInsでの活動を知っていただけたでしょうか。

今後もTWInsで行われる様々な先進的研究をご紹介していきます。

この度、公式youtubeチャンネルも開設したので、ぜひチャンネル登録をお願いします!

TWIns(東京女子医科大学・早稲田大学 連携先端生命医科学研究教育施設) – YouTube

自然とつながるデライトフルな建築へ Delightful Architecture that connects with Nature (2022/6/29)

著者: staff
2022年4月25日 11:15

演題:自然とつながるデライトフルな建築へ

Delightful Architecture that connects with Nature

 

日時:2022年6月29日(水)10:40~12:10

 

会場:オンライン(Zoom)による開催

 

講師:川島 範久(明治大学 講師)

 

対象:学部生・大学院生、教職員、学外者、一般の方

 

参加方法:下記URLより事前登録を行ってください。

https://zoom.us/webinar/register/WN_2y9xXuhKR5avkrIU73MVOA

ご登録後、ウェビナー参加に関する確認メールが届きます。

 

主催:早稲田大学 創造理工学部 建築学科

 

問合せ:早稲田大学 理工センター 総務課

 

TEL:03-5286-3000

ダイズおよびイネの生育を促進する土壌微生物の単離解析と利用 (2022/6/10)

著者: staff
2022年4月25日 11:08

演題:ダイズおよびイネの生育を促進する土壌微生物の単離解析と利用

 

日時:2022年6月10日(金)16:00~17:30

 

会場:オンライン(Zoom)による開催

 

講師:大津 直子(東京農工大学農学研究院 生物生産科学部門 教授)

 

対象:学部生・大学院生、教職員、学外者、一般の方

 

参加方法: 事前申込先:[email protected]

「お名前」「所属」「メールアドレス」「講演会参加の目的」を明記下さい。

早稲田大学の学生の場合は、学籍番号もご記入ください。

申し込みいただいた方に、zoomアドレスをお送りします。

 

主催:早稲田大学 先進理工学部 生命医科学科

 

問合せ:早稲田大学 理工センター 総務課

 

TEL:03-5286-3000

 

【受験生の皆さまへ】2022年度基幹・創造・先進理工学部一般入試における記述解答問題の出題意図について

著者: staff
2022年4月25日 10:10

2022年度 基幹・創造・先進理工学部一般入試(2月16、17日実施)の「数学」「物理」「化学」「生物」「空間表現」の記述解答問題について、出題の意図を公表いたします。

2022年度理工一般 出題意図(数学)
2022年度理工一般 出題意図(物理)
2022年度理工一般 出題意図(化学)
2022年度理工一般 出題意図(生物)
2022年度理工一般 出題意図(空間表現)

※一般入試問題およびマーク解答問題の解答については、こちらを参照ください。

Research and Design -Focusing on “Baby Rooms”- (2022/5/11)

著者: staff
2022年4月25日 10:00

演題:Research and Design  -Focusing on “Baby Rooms”-

 

日時:2022年5月11日(水)10:40~12:10

 

会場:オンライン(Zoom)による開催

 

講師:仲 綾子(東洋大学ライフデザイン学部人間環境デザイン学科 教授)

 

対象:学部生・大学院生、教職員、学外者、一般の方

 

参加方法:時間になりましたら下記URLよりご入室下さい。

https://zoom.us/j/99452664180?pwd=SXNGeURVa09TSHJTT0lzRUxBWXlEQT09

 

主催:早稲田大学 創造理工学部 建築学科

 

問合せ:早稲田大学 理工センター 総務課

 

TEL:03-5286-3000

宇宙線の鉄/ニッケル成分の高精度観測

著者: contributor
2022年4月19日 09:05

宇宙線の鉄・ニッケル成分の最高エネルギー領域に至るスペクトルを測定

発表のポイント

国際宇宙ステーション(ISS)搭載の宇宙線電子望遠鏡(CALET)が、世界で最も高いエネルギー領域での宇宙線の鉄とニッケル成分の高精度な観測に成功した
これまで測定された宇宙線スペクトルの形状はスペクトル全体の総合的理解が困難な状況であったが、CALETの測定結果は、首尾一貫した実験的描像を描くことを可能にした
CALETで得られた信頼性の高い宇宙線原子核スペクトルは、天文学の他分野でも使用される重要な基礎データとなり得る

早稲田大学理工学術院主任研究員(研究院准教授)赤池陽水(あかいけようすい)、シエナ大学研究員Caterina Checchia、Francesco Stolziと、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)及び国内他研究機関、イタリア、米国の共同研究グループは、早稲田大学理工学術院名誉教授 鳥居祥二(とりいしょうじ)が代表研究者を務める国際宇宙ステーション(ISS)の「きぼう」日本実験棟の船外実験プラットフォームに搭載された宇宙線電子望遠鏡(CALET: 高エネルギー電子・ガンマ線観測装置)を用いて、銀河宇宙線中の鉄とニッケルの世界最高エネルギー領域に至る高精度なスペクトルの観測を成功しました。

ISSで5年間以上の定常観測を継続しているカロリメータ型検出器CALETは、核子あたり10ギガ電子ボルトから2.0テラ電子ボルトの広いエネルギー領域で、宇宙線中の鉄成分のスペクトル*3、*4の高精度直接観測を行い、テラ電子ボルト領域に至るまでスペクトルの冪(べき)は-2.60で一定であることを測定しました。さらに、宇宙線中のニッケル成分についても、核子あたり8.8ギガ電子ボルトから240ギガ電子ボルトの領域で観測を行い、鉄成分と同様にスペクトルの冪(べき)は-2.51で一定であることがわかりました。今回の結果は、より軽い原子核のスペクトルに一般的に見られているスペクトルの硬化が存在しないことを示しており、今まさに活発に議論されている銀河宇宙線の加速*5・伝播機構のモデル検証のために重要な情報を提供するものです。これまでの観測結果との比較を含めて、研究コミュニティへ速報する意義があると判断され、鉄成分の結果は2021年6月14日に、ニッケル成分は2022年4月1日に、それぞれ国際学術雑誌Physical Review Letters』誌に掲載されました。

宇宙線は約100年前に発見されて以来、素粒子や宇宙の謎を解明する重要な情報をもたらしてきました。しかし、高エネルギーの宇宙線がどこでどのように加速されるのかは、まだ未解明な部分が多く残されています。これまでの多岐にわたる観測から、我々が住む銀河系内を起源とする宇宙線(銀河宇宙線)は「超新星爆発に伴う衝撃波で加速され、銀河系内を星間磁場により拡散的に伝播して地球に飛来する」という“標準モデル”による理解が一般的です。

このモデルでは、地球で観測される宇宙線スペクトルの形状は単調な冪型(べきがた)のスペクトル(指数関数形状のスペクトル)が予測されます。しかし、近年の気球や人工衛星、ISSによる直接観測で、陽子やヘリウム、さらに炭素や酸素などの原子番号(電荷:Z)が6程度以下の軽い原子核では、単純な冪形状からのズレ「スペクトル硬化」が報告されています。これは“標準モデル”では理解できない結果であり、宇宙線の加速・伝播機構モデルについてパラダイムシフトの必要性を示唆しており、その解釈をめぐって現在活発な研究が繰り広げられています。その解明の重要な鍵となるのが、星の核融合反応による元素合成の最終段階で生成される鉄(Z=26)とニッケル(Z=28)です。これより重い原子核は、星が超新星爆発を起こす直前にはほとんど存在しないため、この鉄とニッケルが星の進化の最終段階や加速機構の直接的な情報をもたらす重要な宇宙線成分となっています。

鉄成分のエネルギー領域は、これまで磁気スペクトロメータ (PAMELA, AMS-02) とカロリメータ(ATIC, CREAM, NUCLEONなど)の2種類の検出器によって別々に観測されていましたが、全領域を単独の検出器で高精度に観測できたのは今回のCALETの観測が初めてです。また、ニッケル成分の観測はその存在量の少なさゆえに、高エネルギー領域での高精度な観測はこれまでほとんど行われていませんでしたが、今回観測に成功しました。

これらの観測結果から得られた重要な成果として、鉄とニッケルのエネルギースペクトルは誤差の範囲内で単一冪の形をしており、軽い原子核で観測されていたスペクトルの硬化について否定的な結果です。最終的な結論は、今後のさらに高統計かつ高エネルギー領域での観測の結果で確認する必要がありますが、今回のCALETの測定結果は、宇宙線の加速・伝播機構モデルにおける積年の懸案事項を解決し、首尾一貫した実験的描像を描くために重要な示唆を与えることが期待されます。さらに、信頼性の高い宇宙線原子核スペクトルは、天文学の他分野でも使用される重要な基礎データになりえます。

論文情報】

・雑誌名:Physical Review Letters 126, 241101, 2021
・論文名:Measurement of the Iron Spectrum in Cosmic Rays from 10 GeV/n to 2.0 TeV/n with the Calorimetric Electron Telescope on the International Space Station
・著者名:O. Adriani et al. (CALET Collaboration), corresponding Authors: Yosui Akaike, Caterina Checchia and Frncesco Stolzi
・DOI: 10.1103/PhysRevLett.126.241101
・紙面掲載:Volume 126, Issue 24, 14 June 2021

・雑誌名:Physical Review Letters 128, 131103, 2022
・論文名:Direct Measurement of the Nickel Spectrum in Cosmic Rays in the Energy Range from 8.8 GeV/n to 240 GeV/n with CALET on the International Space Station
・著者名:O. Adriani et al. (CALET Collaboration), corresponding Authors: Yosui Akaike, Gabriele Bigongiari, Caterina Checchia and Frncesco Stolzi
・DOI: 10.1103/PhysRevLett.128.131103
・紙面掲載:Volume 128, Issue 13, 1 April 2022

ウェブ掲載:

宇宙航空研究開発機構 JAXA https://humans-in-space.jaxa.jp/kibouser/pickout/73228.html

早稲田大学 https://www.waseda.jp/top/news/79755

(1)これまでの研究で分かっていたこと

近年の目覚ましい発展により明らかになってきた、エックス線やガンマ線を含む宇宙における高エネルギー放射の最終的な理解には、その源となっている荷電宇宙線*2解が必須となります。これは、電波や赤外・可視光等の電磁波スペクトル*3に,黒体輻射(ふくしゃ)に代表される熱的放射を観測しています。これに対し、冪型スペクトルによって特徴づけられる非熱的放射の背景には必ず宇宙線の加速*5と伝播が隠されているためです。

地球に降り注ぐ宇宙線、そのなかでも特に銀河宇宙線を観測するには、大気の希薄な高い高度で直接捉える(直接観測)ことが不可欠です。そのため、国内外で飛翔体を用いた様々な装置が考案され観測が実施されてきました。この結果、「超新星残骸における衝撃波によって加速され、銀河磁場によって拡散的に伝播して銀河外へ漏れ出す」という”標準モデル“による理解が進んでいます。

さらに2000年代に入って以降、素粒子実験で開発された粒子検出技術を駆使した宇宙線の直接観測が本格化し、南極周回実験や宇宙空間における観測が実施されています。その結果、陽子、ヘリウムや炭素、酸素等の主要な原子核成分に対し、単純な冪形状からのずれ、「スペクトル硬化」が示唆されています。これは宇宙線の加速や伝播機構に新たな仮説を導入した理論モデルの必要性を示唆しており、数多くの理論モデルが提案され、活発な議論が繰り広げられています。宇宙線の主成分である陽子についは、CALETの観測でもスペクトルの硬化を既に報告していますが、ヘリウム、炭素、酸素などの原子番号(電荷:Z)が6程度の軽い元素と、鉄、ニッケルといった重い元素におけるスペクトルの高精度観測による、両者のスペクトル構造の違いに注目が集まっています。

(2)今回の研究で新たに実現しようとしたこと、明らかになったこと

現在の宇宙線の直接観測は、主に磁気スペクトロメータとカロリメータの2種類の検出器による観測が主流です。

磁気スペクトロメータは磁場を持つ検出器で、通過する粒子の曲がり具合とその向きから粒子の運動量と電荷の正負を測定する検出器です。原理的に高精度な観測を達成することが可能ですが、観測エネルギーがテラ電子ボルト以下に制限されます。その代表的観測装置であるAMS-02はISSにおいて、2011年から現在まで観測を継続し、鉄までの重原子核成分について高精度な観測結果を報告しています。

カロリメータ型検出器は、高エネルギーの入射粒子が生成する粒子シャワーを、厚い物質量を持つ検出器で吸収することでエネルギー測定します。このため、高エネルギー領域での観測に適しており、その代表例としてCALETがあげられます。CALETは世界で初めての宇宙空間での観測のために開発された本格的なカロリメータ型検出器です。そして、広いエネルギー測定範囲と確実な装置較正により、磁気スペクトロメータと従来のカロリメータ型検出器によってカバーされていた領域を単独の検出器として初めて観測し、AMS-02では困難なテラ電子ボルトを上回る高いエネルギー領域まで原子核成分の観測を達成しています。

(3)そのために新しく開発した手法

CALETは2015年8月にISSに搭載され、同年10月より宇宙線観測を開始し、現在まで5年以上観測を順調に継続しています。原子核のエネルギースペクトルを測定するためには、高い電荷選別性能とエネルギー測定性能を持つ検出器で長期間観測し、データを蓄積する必要があります。CALETは日本の本格的な宇宙線観測装置で、特に高エネルギー電子の観測に最適化されていますが、図1に示すように原子番号(Z)が1から28の陽子からニッケルまで、エネルギーと種類を判別できる電荷測定性能と1ギガ電子ボルトから1ペタ電子ボルト*1の6桁に及ぶ広いエネルギー測定性能を持ち、陽子や原子核成分の観測にも優れた測定性能を発揮します。

CALETは図2に示すように3種類の検出器を組み合わせて構成されている装置です。検出器上部に電荷測定器(Charge Detector: CHD)を配置し、入射粒子の電荷を測定します。中央の解像型カロリメータ(Imaging Calorimeter: IMC)は、粒子が入射した位置と飛来した方向を測定します。最下部の全吸収型カロリメータ(Total Absorption Calorimeter: TASC)は、地球大気より厚い物質量を持ち、高エネルギーの入射粒子が生成するシャワー粒子のエネルギーを測定します。この3つ検出器から得られる情報を統合することで、その宇宙線について知るべきことがほとんどわかります。特にTASCの厚さや使われている物質と信号の読み出し方法によって、どれだけ高いエネルギーの粒子まで観測することができるかが決まるのですが、CALETはとりわけここが従来の観測装置に比べて高い性能を持っています。

図3はテラ電子ボルト領域のエネルギーを持つ鉄の原子核の観測例を示しています。上層から入射しCHDを通過した鉄がIMC内で核相互作用によって粒子シャワーを起こし、シャワーエネルギーがTASCによって測定されます。入射粒子のエネルギーがほぼ全て吸収される電子とは異なり、検出器からの漏れ出しは大きくなりますが、シャワーエネルギーの測定精度は高く、テラ電子ボルト領域まで含めて一様なエネルギー応答を有しています。これは磁気スペクトロメータでは得られない重要な特徴です。さらに、CHDとIMCを組み合わせること入射粒子の核種を正確に決定することができます。

(4)今回の研究で得られた結果及び知見

2015年10月13日から5年間以上にわたる継続的な観測で得られたデータを用いて、CALETにより測定された鉄とニッケルのエネルギースペクトルを図4に、他の観測データと比較して示します(赤点)。

黄色のバンドはCALETの観測に伴う現時点での統計誤差であり、緑色のバンドは系統誤差を含む全誤差です。図に示されているように、CALETの鉄のスペクトルの絶対値はAMS-02に比べて有意に低い観測結果でしたが、スペクトルの形状はAMS-02ともよく合致した結果となっています。一方CALETのニッケルの結果は、まだエネルギー領域が200GeV/nに限られるものの、鉄とのスペクトルの比はエネルギーによらず一定の値を示しており、両者がほぼ同じ加速・伝播機構で説明できることを示しています。

カロリメータによる原子核測定は独自の利点はあるものの難しさも大きく、系統誤差の見積もりも容易ではありません。CALETでは、加速器ビームによる性能検証実験やシミュレーション計算を駆使して詳細な系統誤差の評価を実施しています。さらに、鉄のスペクトルはAMS-02以外の多くの観測結果とは、誤差が大きいものの絶対値を含めて一致する傾向を示しています。AMS-02との絶対値の違いについては、まだ未知の系統的誤差に関する慎重な相互検証が必要です。

さらに、CALETは今後の観測データの蓄積により、原子核あたり100 テラ電子ボルト領域に至る陽子・原子核スペクトルを決定することで、電荷に比例する加速限界の発見を目指します。これは、超新星残骸における衝撃波加速のエネルギー上限に対する直接検証となります。一方、加速限界が見られず冪スペクトルが100テラ電子ボルト領域まで伸びている場合も、非常に重要な観測結果となります。衝撃波近傍における磁場増幅等により加速限界が実際に増大しているということを、荷電粒子の観測により直接示すことになるためです。

(5)研究の波及効果や社会的影響

CALETの観測には国内外から多くの関心が寄せられ、特に観測項目の一つである暗黒物質は宇宙における最大の謎の一つとして、新聞雑誌だけでなく国外向けのTV番組などでも放映されています。このことにより、CALETの科学成果だけでなくISSにおける「きぼう」の意義が再認識されるという成果も挙がっています。今回の成果もこれに続く波及効果を生むと期待されます。

(6)今後の課題

これまでに観測された荷電宇宙線のスペクトルは、硬化の現象が陽子、ヘリウムや炭素、酸素では既に確認されています。しかしスペクトル硬化の原因として提案されている理論モデルの正否の判定には、ここで報告した鉄やニッケルのようなさらに重い原子核におけるスペクトルのより精密な測定が非常に重要になります。さらに、ホウ素/炭素比のエネルギー依存性の観測も重要な役割を果たします。鉄やニッケルは星の元素合成過程の最終段階で生成され、超新星爆発に伴う衝撃波で加速され星間空間に放出される一次成分のみで構成されていますが、ホウ素は一次成分の宇宙線が銀河内を伝播中に星間物質と相互作用してできる二次的な成分です。このため、両者の測定が加速機構に加えて銀河内伝播の拡散過程を定量的に理解する上で重要になります。CALETはホウ素/炭素比テラ電子ボルト領域までの観測も実施しており、これまでの観測結果を総合することにより、スペクトル硬化の解明への貢献が可能になると考えられます。

(7)用語解説

*1 電子ボルト

エネルギーの単位です。1ボルトの電位差を抵抗なしに通過した際に電子が得るエネルギーが1電子ボルトです。ここではその109倍のギガ電子ボルト、1012倍のテラ電子ボルト、1015倍のペタ電子ボルトのエネルギー領域を扱っています。

*2 スペクトル硬化

冪の絶対値が小さくなる方向のスペクトル変化を表し、エネルギーに対する流束の減少割合が減っていくことを示します。逆に、エネルギーに対する流束の減少割合が増えていくことは、スペクトルの軟化と呼ばれています。

*3 宇宙線

宇宙空間は、何もないように見えますが、じつはとてもたくさんの粒子が飛んでいます。それらは陽子・原子核、電子などの粒子で、宇宙空間で手をかざしたら一秒間に100個以上が手にあたるほどたくさん飛んでいます。そのような粒子を宇宙線と言います。宇宙線は約100年前に発見されて以来、常に物理学の最先端テーマでした。宇宙線の研究から、陽電子や中間子の発見など、人類の知識を大きく広げる成果があがっています。宇宙線は、太陽や天の川銀河(地球がある銀河系)など宇宙の様々な場所から飛んできます。特に高いエネルギーをもったものは、私たちが暮らす太陽系の外からはるばるやってきています。そのうち特に銀河系内の超新星爆発などで加速された宇宙線は銀河宇宙線と呼ばれています。

*4 スペクトル

本稿ではすべてエネルギースペクトルの意味で用いています。横軸をエネルギー、縦軸を流束とした図をエネルギースペクトルと言います。全宇宙線スペクトルは冪形状となっていて、その冪の値は大体 -2.7程度ですので、高いエネルギ―になるにつれ急激に流束が減少します。

*5 宇宙線加速

高エネルギーの宇宙線がどこからきてどのように加速されたのか(=高いエネルギーを得たのか)についてのもっとも有力な説明は、「超新星爆発」です。超新星爆発とは、質量の大きな星がその一生の最後に起こす爆発で、そのとき甚大なエネルギーが放出されます。そのエネルギーによって加速されて地球まで飛んできた粒子が高エネルギーの宇宙線だと考えられていますが、加速されるメカニズムの詳細については、まだわからない点が多く残されています。

 

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