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「Recent advances on the mathematical analysis of Einstein’s field equations of general relativity」(2023/1/28)

著者: staff
2023年1月11日 12:44

演題:Recent advances on the mathematical analysis of Einstein’s field equations of general relativity

 

日時:2023年1月28日(土)15時00分~17時00分

 

会場:西早稲田キャンパス 55号館 N棟 2階 第1会議室 物理学科・応用物理学科会議室

 

講師:Philippe G. LeFloch(Research ProfessorLaboratoire J-L Lions and CNRS Sorbonne Université, Paris)

 

対象:学部生・大学院生、教職員、学外者、一般の方

 

参加方法:入場無料、直接会場へお越しください。

 

主催:先進理工学研究科 物理学及応用物理学専攻

 

問合せ:早稲田大学 理工センター 総務課

 

TEL:03-5286-3000

「Theoretical studies of optical materials doped with transition metals」(2023/1/26)

著者: staff
2023年1月11日 12:31

演題:Theoretical studies of optical materials doped with transition metals

 

日時:2023年1月26日(木) 10時30分~12時00分

 

会場:西早稲田キャンパス 55号館第1会議室

 

講師:Mikhail Brik(Institute of Physics University of Tartu Professor)

 

対象:学部生・大学院生、教職員、学外者、一般の方

 

参加方法:入場無料、直接会場へお越しください。

 

主催:基幹理工学研究科 電子物理システム学専攻

 

問合せ:早稲田大学 理工センター 総務課

 

TEL:03-5286-3000

「ゲノム分子情報にもとづく生命医科学分野におけるデータサイエンス」(2023/1/26)

著者: staff
2023年1月11日 12:21

演題:ゲノム分子情報にもとづく生命医科学分野におけるデータサイエンス

 

日時:2023年1月26日(木) 17:00 – 18:30

 

会場:早稲田大学120-5号館 121会議室

※ハイブリットで開催いたします。遠隔参加希望の場合は以下参照

 

講師:土方 敦司(東京薬科大学 生命科学部 准教授)

 

対象:学部生・大学院生、教職員、学外者、一般の方

 

事前申込先:[email protected]

「お名前」「所属」「メールアドレス」「講演会参加の目的」を明記下さい。

早稲田大学の学生の場合は、学籍番号もご記入ください。

申し込みいただいた方に、zoomアドレスをお送りします。

 

主催:早稲田大学 先進理工学部 生命医科学科

 

問合せ:早稲田大学 理工センター 総務課

 

TEL:03-5286-3000

高信頼Seamless Access Network開発

著者: contributor
2023年1月10日 12:20

サイバーフィジカルインフラに向けた高信頼シームレスアクセスネットワークに関する研究開発を開始

「サイバーフィジカルインフラに向けた高信頼シームレスアクセスネットワークに関する研究開発」が情報通信研究機構の委託研究に採択

三菱電機株式会社(東京都千代田区、執行役社長 漆間啓、以下、三菱電機)、学校法人早稲田大学(東京都新宿区、理事長 田中愛治、以下、早稲田大学)、学校法人立命館(京都府京都市、理事長 森島朋三、以下、立命館大学)、国立大学法人名古屋工業大学(愛知県名古屋市、学長 木下隆利、以下、名古屋工業大学)、一般財団法人電力中央研究所(東京都千代田区、理事長 松浦昌則、以下、電力中央研究所)、公益財団法人鉄道総合技術研究所(東京都国分寺市、理事長 渡辺郁夫、以下、鉄道総合技術研究所)は共同で、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT(エヌアイシーティー))の委託研究「Beyond 5G機能実現型プログラムのうち一般課題」(採択番号04901)に応募し、採択されました。

本研究では、100 GHz帯の大容量通信デバイスの大幅な高出力化(目標出力10 W級)とアクセス伝送技術により、高速移動体や広域での10 Gbps以上の無線通信を可能とする要素技術の開発を行います。さらに、その無線通信と光ファイバ通信を融合したシームレスネットワークの制御技術を開発してネットワークの高信頼化を進め、電力システムにおける「電力ネットワークのリアルタイムスマートデジタルツイン(RSDT)」や、鉄道インフラにおける「状態に基づいたメンテナンス(状態監視保全:CBM)」に利用可能なプラットフォーム構築技術の確立を目指し、インフラ監視システムのユースケースでの機能実証を行います。

本研究では、以下の項目に取り組みます。

1. シームレスアクセス要素技術の研究開発

1-a)アクセス伝送技術に関する研究開発(早稲田大学)
1-b)ハイパワーテラヘルツデバイス技術に関する研究開発(三菱電機)
1-c)大容量通信デバイスに関する研究開発(立命館大学)

2. シームレスアクセスネットワークに関する研究開発

2-a)有無線ネットワーク制御技術に関する研究開発(名古屋工業大学)
2-b)高信頼通信ネットワークに関する研究開発(電力中央研究所)
2-c)鉄道インフラ監視システムに関する研究開発(鉄道総合技術研究所)

※本委託研究における本学の研究代表者は、理工学術院 川西哲也教授です。

本委託研究は2022年度(令和4年度)から2025年度(令和7年度)までの4年間実施の予定です。契約は約5億円での単年度毎であり、継続評価を受け契約更新を行います。

(参考リンク)
NICTウェブページ「Beyond 5G研究開発促進事業(一般型)」に係る令和4年度新規委託研究の公募(第1回)の結果
https://www.nict.go.jp/publicity/topics/2022/08/05-1.html

アト秒レーザーで波動関数を可視

著者: contributor
2022年12月27日 14:55

アト秒レーザーによる高分解能での複素数の波動関数の可視化に成功

発表のポイント

  • アト秒レーザーを用いることで、複素数の電子波動関数の詳細な構造を可視化した。
  • 電子密度分布だけではなく、電子の「位相」分布の測定に成功した。
  • アト秒レーザーパルスの発生方法を制御し、2つの過程の干渉を用いることで、これまで分からなかった運動量空間での電子波動関数の詳細な構造を高分解能で明らかにした。
  • そのことにより、量子コンピューター等の計算アルゴリズムの発展・検証や、複素数の波動関数測定による、新たな物質解析と超高速の量子制御法の開発が期待される。

早稲田大学理工学術院の新倉 弘倫(にいくら ひろみち)教授らは、カナダ国立研究機構のD. M. Villeneuve博士と共同で、アト秒レーザーによりネオン原子から放出された電子の波動関数※1を、位相分布も含めて高分解能で可視化する方法を開発しました。電子の「位相」と「振幅」がどのように分布しているのかがわかることで、「複素数」の電子波動関数を可視化することができます。本研究により、様々な物質の構造や機能がどのように発現しているのかを、波動関数の観点から解き明かすことが期待されます。

本研究成果は、アメリカ物理学会発行の『Physical Review A』に、“High-resolution attosecond imaging of an atomic electron wavefunction in momentum space” として、2022年12月23日(金)にオンラインで掲載されました。

(1)これまでの研究で分かっていたこと

様々な分子(生体分子)やマテリアルの構造や性質は、その電子の状態が大きな役割を果たしています。紫外光よりも波長の短い極端紫外光や軟X線を物質に当てると、電子が放出されます(アインシュタインの光電効果)。放出された電子の運動エネルギーや、どの方向に放出されたかを測定する光電子分光法は、物質の電子状態や構造を調べる方法として、SPring-8等の放射光などを光源として広く利用されています(図1)。

図1:従来の光電子分光法

放出された電子は、「つぶつぶ(粒子)」として観測されます。例えば図2の実験例では、レーザーを当てると試料から電子がある角度に放出され、検出器の上に輝点となってあらわれます(筆者による測定)。測定を多数回繰り返すと、電子の“ぽつぽつ”によりある形を持った分布となります。この分布はMax Bornの確率解釈(1926年)によると、波動関数の自乗 |Ψ|2 に相当するものになります。この例では、ネオン原子の電子のf-波、磁気量子数m=0が主な成分となります(Science 356,1150 (2017))。

図2:電子は粒として測定される

一方、電子は粒子性と波動性の2つの性質※2を持っており、波としての性質は、電子の「位相」として表されます。しかし、この“位相情報”は検出器に当たったときに消えてしまいます。すなわち、本来は図2の赤線の2つの部分では、電子の「位相」(または符号)が異なるはずなのに、検出器上ではただの「粒」としてしか観測されません。(広い意味でのコペンハーゲン解釈による波動関数の収縮)。

アト秒(=10のマイナス18乗秒)科学の方法を用いることで、電子の量子的な性質である「位相」を測定することが可能になってきました。位相がわかることにより、波動関数の自乗|Ψ|2 ではなく、複素数の波動関数 Ψ そのものを得ることが出来ることになります。2004年に筆者らは、アト秒再衝突電子を用いる方法(Nature 417, 917 (2002))により、窒素分子の分子軌道のイメージングに成功しました(Nature 432, 867, (2004))。アト秒レーザーパルス列※3を用いる方法では、2001年に、ヨーロッパなどのグループにより、主に「エネルギーごとの」電子の位相を測定する方法が開発されています(Science 292, 1689 (2001))。近年、筆者らは奇数次と偶数次を含むアト秒レーザーパルス列を用いることで、ネオン分子から放出された電子の「角度ごとの」位相を測定し、部分波にわける方法を開発しました(Science 356, 1150 (2017) )。一方、この方法は電子の3つの干渉過程を用いるため、解析方法が難しく、角度ごとのみの解析に留まっていました。

(2)今回の研究で新たに実現しようとしたこと、明らかになったこと

そこで本研究では、2017年の方法を発展させ、より簡単・直接的な方法で「角度ごと・エネルギーごとをあわせた運動量※4ごとの電子の位相と振幅を測定し」「複素数の波動関数全体を可視化する」方法を開発しました。具体的には、アト秒レーザーパルスの発生方法を制御することにより、「2つのイオン化過程のみの干渉」が起こるようにしました。このことにより、角度ごとではなく「電子の運動量ごと」の振幅と位相を直接、決定できます。これは、図2でいえば「検出器上のある点に来る粒ひとつの」位相と振幅を求めることに相当します。また、解析が非常に短時間で行えるようになりました。これにより、「複素数の波動関数全体」のイメージングが可能になり、これまではわからなかった運動量空間での電子波動関数の詳細な構造(位相の違いなど)が高分解能で明らかになりました。

(3)そのために新しく開発した手法

電子の位相を測定するためには、干渉を用います。アト秒レーザーパルス列(高次高調波)は、極端紫外領域の波長(エネルギー)の異なる複数の高調波を含んでいますが、その発生過程を制御することにより、2つのイオン化過程A,Bのみの干渉が起きるようにしました(図3)。具体的には、過程Aでは第14次高調波による1光子イオン化過程、過程Bでは第13次高調波と赤外光による2光子イオン化過程となります。ここで、第15次以上の高調波はほとんど発生しないようにしています。このパルスを気相の原子に当てると、それぞれの過程A,Bで異なる対称性を持った電子波動関数が生成します。それぞれの波動関数は干渉し、その干渉の様子は高次高調波と赤外光との時間差 τ を変えることで変化します。その変化から位相と振幅を決定します。

図3:アト秒レーザーによる位相測定

この過程は、光や電子を用いた「2重スリット実験」との類似で考えることが出来ます。すなわち過程Aが片方のスリットを通るパス、過程Bがもう片方のスリットを通るパスに相当します。それぞれのパスを通過した光または電子は干渉して干渉縞を作ります。ここで、片方のパスの長さを変えると、干渉縞が移動します。その移動の様子から、位相を知ることが出来るというものです。本実験では、「片方のパスの長さを変えること」は「アト秒レーザーパルス(高次高調波)と赤外パルスの時間差をアト秒で変える」ことに相当します。なお実験装置等は早稲田大学西早稲田キャンパス51号館地下の新倉研究室で開発したものです。

実験結果:
アト秒レーザーパルスと赤外光の時間差 τ を変えて、ネオンガスから放出された電子の運動量分布を測定しました。それぞれの電子の運動量ごとの信号強度は、時間差 τ の関数として変動します。その変動の振幅の大きさと位相を求め、2次元の運動量上にマッピングしました(図4)。

図4:測定された波動関数

図4(a)が振幅、(b)が位相の分布を示します。(a)の振幅の大きさの分布に、6つのピークが見えています。例えば上と下のピーク(kx=0のところ)は、ほぼ同じ振幅の強度になっていますが、(b)の位相の値を見ると、赤・青の色の違いから、位相がπだけずれていることがわかります。この位相と振幅から、複素数の波動関数 Ψ を得ました。(c)と(d)に、複素数の波動関数の実部と虚部をそれぞれ示します。(c)の実部を見ますと、色の赤いほうがプラスの振幅、青いほうがマイナスの値の振幅になっており、区別がなされていることがわかります。また本研究では、振幅と位相、または実部と虚部という2つの量で特徴付けられる複素数の波動関数を1枚の図で表現するために、HSV(hue, saturation, value)表示を用いました。図5(a)は、上と同じ波動関数をこの表示で表したものです。(なお、全体の任意位相は(b)と(c)(d)、また図5とでは、シフトさせています。)色(hue)が位相(phase)、明るさ(value)が振幅(Amp.)を表します。”S”(saturation)の値は0.5にしています。図5(c)に、横軸を振幅、縦軸を位相としたときの2次元のHSVカラーマップを示します。このように表現することで、位相と振幅を含めた波動関数の詳細な構造がわかります。例えば高次高調波のエネルギー(波長)を少し変えると(図5(b))、測定される分布が大きく変わることがわかりました。

図5:測定された複素数の波動関数(HSV表示)

測定された波動関数 Ψ は、それぞれ過程Aと過程Bによって生成した波動関数の「積」になっています(Ψ=ψa ψ*b)。(過程Bのほうは複素共役をとります)。そこで測定された波動関数 Ψ を、過程1、過程2のそれぞれのイオン化過程によって生じた電子波動関数 ψa  と ψ*bとに分けるアルゴリズムを開発しました。図6にその結果を示します。

図6:個々のイオン化過程にわけた波動関数

このように分けることで、特徴的な6つのピーク構造の内側と外側の位相の違いは、主に過程Bによって生成したψ*b(第13次高調波+赤外光)の位相が異なっていることによって生じた、ということがわかりました。なお、Ψ の振幅の強度は対数スケールですが、ψa  と ψ*bはリニアスケールを用いて表示しています。

(4)研究の波及効果や社会的影響

本研究で測定された電子波動関数は、ネオン原子内の他の電子や、イオン核との相互作用が顕著な、低エネルギーの電子のものです。このような電子相関過程が大きな場合は、最新の計算機でも、その正確な計算が困難になります。計算結果と比較するためには、本研究で示されたような位相を含めた「複素数」としての物理量を測定することが必要になります。現在発達中の、量子コンピューターなどの計算アルゴリズムの発展や、その検証に使えることが期待されます。また本研究では、コヒーレントなアト秒レーザーを用いて、電子の波としての性質を利用することで、通常の光電子分光法では測定が困難な電子の位相の分布の測定を可能にしました。アト秒レーザーパルスはテーブルトップで極端紫外領域~軟X線領域の光を発生できますが、本研究により、電子の位相分布や複素数の波動関数イメージングをもとにした、新規な位相・運動量分解光電子分光法や物質測定・量子状態の測定法の開発につながります。複素数の電子波動関数がわかることにより、新たな機能を持つ分子の創生や、より高輝度の蛍光物質の作成などが期待されます。

(5)今後の課題

本研究では気相の原子についての測定を行いましたが、同様の原理を用いて、配列した気相の分子や固体試料でも同様に、電子の位相分布を求める方法を開発することが今後の課題となります。本実験では、当研究室で開発された「長時間アト秒時間差を維持できる」高安定な光学系を用いました。このアト秒高安定性を利用して、本方法を固体試料の顕微分光法などに応用し、「異なる部位から放出された電子の位相分布」、時空間でのイメージングを可能にする「アト秒位相分解・光電子顕微鏡」の作成などが目標となります。

(6)研究者のコメント

「原子や分子などの電子状態はどのようになっているのか」は20世紀初頭の量子力学の発展により明らかにされてきました。物質や生体分子などの構造・機能を理解するためには、量子力学的な取り扱いが基本となっているため、物理だけではなく化学や生物系の分野でも波動関数などは必要な概念です。大学で量子力学・量子化学・物理化学などを学びますと、シュレーディンガーの波動方程式や、波動関数に出会うと思います。教科書には「波動関数の絵(計算結果)」が色分けされて掲載されていると思いますが、「計算結果ではなくて、直接、色(位相)をわけた波動関数を測定する」ということが、ひとつの目標でした。今回、アト秒レーザーパルスを用いた新たな光電子分光法により、位相の分布や複素数の波動関数を高分解能で可視化できることになりましたが、ぜひ教科書や講義等で、ご紹介いただければ幸いです。
【ご参考】https://www.f.waseda.jp/niikura/NHdenshi22.pdf

(7)用語解説

※1 波動関数
シュレーディンガー方程式の解としての、物質の波としての性質を現す複素数の関数(Ψ)。「波動関数の自乗|Ψ|2は粒子の存在確率を表す」という確率解釈が提唱され、実際の実験結果と関係付けられました。いわゆる「電子雲」と呼ばれることもあるものは、この「電子波動関数の自乗」に相当します。しかし、電子の存在確率を表す「波動関数の自乗」は、※2の図で言えば「振幅の自乗」に相当し、位相成分は測定されません。原子や分子などの電子状態は、自乗をとらない複素数の波動関数そのもの Ψ を元に表現されるため、電子の「確率分布(電子雲)」だけではなく「位相の分布」を得ることが重要でした。

※2 電子の粒子性と波動性
電子は粒として観測されますが、波としての性質を持っています。電子の振る舞いは、「波」を表す数式で記述でき、さまざまな現象は、電子を波として考えるとよく説明できる、という意味です。電子の波としての性質は、通常の波動と同じように「振幅」「位相」「周期」で決まります。波の大きさが振幅、波が基準となるところからどれだけ横にずれているのか、が位相となります。振幅と位相の2つの物理量をまとめて書くと、複素数での表示になり、実数の部分(実部)と虚数の部分(虚部)で表されます。

図7:電子は波として表される

※3 アト秒レーザーパルス(高次高調波)
高強度の赤外のレーザーパルス(基本波)を原子などに集光すると、極端紫外領域のレーザーパルスが発生します。そのスペクトルは、基本波の奇数次倍のエネルギー(または奇数次分の1の波長)を持つ高調波の列になります(高次高調波)。本研究では、基本波とその2倍波を重ねて高次高調波を発生しているため、第13次(基本波790nmのエネルギー1.57eVの13倍のエネルギー(または13分の1の波長))に加えて、偶数次である第14次も発生します。
【ご参考】「アト秒科学 かんたん解説」https://www.f.waseda.jp/niikura/attosum.htm

※4 運動量
電子は、ある方向にあるエネルギーで原子から放出されます。これはまとめて「あるkx,kyという運動量を持つ電子が放出される」と言い換えることが出来ます。本研究で用いた測定装置(Velocity Map Imaging)では、高いエネルギーを持つ電子はわっかの外側に、低いエネルギーをもつ電子は内側に検出され、角度とエネルギーの両方の「運動量分布」を測定できます。実際には3次元で電子は放出されますが、それを2次元に射影しています。

図8:電子の運動量測定

(8)論文情報

雑誌名:Physical Review A 106, 063513 (2022).(アメリカ物理学会誌)
論文名:High-resolution attosecond imaging of an atomic electron wavefunction in momentum space
執筆者名(所属機関名):中嶋 孝史(なかじま たかし)(早稲田大学理工学術院先進理工学研究科)、篠田 祐(しのだ たすく)(早稲田大学理工学術院先進理工学研究科)、D. M. Villeneuve (カナダ国立研究機構&オタワ大学)、新倉 弘倫(早稲田大学理工学術院先進理工学部)*
*責任著者
掲載日(現地時間):2022年12月23日
掲載URL:https://journals.aps.org/pra/abstract/10.1103/PhysRevA.106.063513
DOI:https://doi.org/10.1103/PhysRevA.106.063513

(9)研究助成

研究費名:科学研究費補助金 基盤研究A 18H03903
研究課題名:アト秒位相分解波動関数イメージング法による新規な量子選択性の研究
研究代表者名(所属機関名):新倉弘倫(早稲田大学)

「ラジカル種を用いた新奇固体反応の開発: 環状アルコールの開環型フッ素化反応・芳香族臭化物とアルキルピリジニウム塩 との還元的カップリング反応」(2023/2/11)

著者: staff
2022年12月26日 15:46

演題:ラジカル種を用いた新奇固体反応の開発:

環状アルコールの開環型フッ素化反応・芳香族臭化物とアルキルピリジニウム塩

との還元的カップリング反応

 

日時:2023年2月11日(土)16:30-18:00

 

会場:早稲田大学 121号館 共通会議室

 

講師:一色 遼大(北海道大学 化学反応創成研究拠点(WPI-ICReDD)特任助教)

 

対象:学部生・大学院生、教職員、学外者、一般の方

 

参加方法:入場無料、直接会場へお越しください。

 

主催:先進理工学研究科 応用化学専攻

 

問合せ:早稲田大学 理工センター 総務課

 

TEL:03-5286-3000

「新薬 vs. ジェネリック」(2023/1/25)

著者: staff
2022年12月26日 15:44

演題:新薬 vs. ジェネリック

 

日時:2023年1月25日(水)16:30-18:00

 

会場:早稲田大学 121号館 コマツ記念ホール

 

講師:内川 治(東和薬品株式会社上席執行役員 大地化成株式会社代表取締役会長)

 

対象:学部生・大学院生、教職員、学外者、一般の方

 

参加方法:入場無料、直接会場へお越しください。

 

主催:先進理工学研究科 応用化学専攻

 

問合せ:早稲田大学 理工センター 総務課

 

TEL:03-5286-3000

「Frei Otto, Thinking by Modeling」(2023/1/19)

著者: staff
2022年12月26日 15:41

演題:Frei Otto, Thinking by Modeling

 

日時:2023年1月19日(木) 16時30分~18時00分

 

会場:オンライン(Zoom)による開催

 

講師:Georg Vrachliotis (デルフト工科大学, 教授

Full Professor,ChairTheory of Architecture & Digital Culture, Department of ArchitectureTU Delft)

 

対象:学部生・大学院生、教職員、学外者、一般の方

 

参加方法:時間になりましたら下記URLよりご入室下さい。

 

https://list-waseda-jp.zoom.us/j/92365124295?pwd=WGVhUEV4NzVDUW90WkxSMVVIbm9Zdz09

 

 

主催:創造理工学研究科 建築学専攻

 

問合せ:早稲田大学 理工センター 総務課

 

TEL:03-5286-3000

銀河系を伝播する宇宙線を高精度観測

著者: contributor
2022年12月20日 12:43

国際宇宙ステーション搭載の高エネルギー電子・ガンマ線観測装置(CALET)による測定

宇宙線が銀河系内を伝播する様子の高精度観測に成功

発表のポイント

国際宇宙ステーション(ISS)・「きぼう」日本実験棟搭載の宇宙線電子望遠鏡(CALET)が、宇宙線が銀河系内を伝播する間に生成されるホウ素の流量をTeV領域まで高精度に観測しました。
宇宙線が銀河系内を伝播する距離・時間の正確な観測には広いエネルギー領域での原子核の高精度な測定が望まれる一方、ホウ素の高エネルギー(TeV)領域での観測が困難な状況でした。
今回の観測成功により、これまで十分には解明されていなかった、星の元素合成では生成されないホウ素の宇宙空間における生成メカニズムの解明に重要な貢献が期待されています。

早稲田大学理工学術院総合研究所主任研究員(研究院准教授) 赤池 陽水(あかいけ ようすい)、早稲田大学名誉教授・CALET代表研究者 鳥居 祥二(とりい しょうじ)、イタリア・シエナ大学研究員 Paolo Maestroらは、神奈川大学、立命館大学、東京大学宇宙線研究所、弘前大学、宇宙航空研究開発機構(JAXA)及び国内他機関とのイタリア、米国の国際共同研究グループ(以下、本研究グループ)として、国際宇宙ステーション(ISS)・「きぼう」日本実験棟搭載の宇宙線電子望遠鏡(CALET、※1)がホウ素の流量をテラ電子ボルト(TeV)領域(※2)まで観測し、宇宙線が銀河系内を伝播する様子を高精度に明らかにしました。

本研究成果は、アメリカ物理学会発行の『Physical Review Letters』に、“The Cosmic-ray Boron Flux Measured from 8.4 GeV/n to 3.8 TeV/n with the Calorimetric Electron Telescope on the International Space Station”として、2022年12月16日(金)<現地時間>にオンラインで掲載されました。

図1:「きぼう」船外実験プラットフォームに設置されたCALETの様子。

(1)これまでの研究で分かっていたこと

宇宙線は、星の進化の過程で核融合反応により生成された元素が、進化の最終段階で超新星爆発などにより加速されて、宇宙空間に飛び散ったものです。しかし、地球上などで見られるリチウム、ベリリウム、ホウ素などの元素は、星の進化の過程では生成されないため、宇宙線が銀河系内を伝播する間に星間物質(ガス)と衝突して二次的に生成されたものであると考えられています。したがって、これらの原子核は、これまでよくわかっていなかった、宇宙線が銀河系内にどのくらいの時間閉じ込められ、どのように銀河系外へ漏れ出していくのかを知ることができるユニークな情報をもたらしてくれます。

この中でもホウ素(B)は、それより少し重い炭素(C)が星間物質と相互作用して生成される確率が高く、両者の比(B/C)の観測により宇宙線が銀河内をどれくらいの距離と時間で伝播するかを、明らかにすることが可能になります。宇宙線は銀河磁場(※3)によって散乱されて拡散的に伝播するため、エネルギーが高くなるほどより直線的に進むことにより、地球に到達するまでの距離が短くなり、それに比例して星間物質との衝突確率が減ることになります。

この結果、エネルギーが高くなるほど、ホウ素の生成確率がさがりB/Cはエネルギーの増大とともに減少することになります。この減少の様子(正確にはB/C比のエネルギースペクトル(※4)の形状)は、宇宙線の散乱に寄与する銀河磁場の構造や宇宙線が衝突を起こす星間物質の分布を反映します。このため、それらの理論的推測に基づく宇宙線の銀河内モデルが数多く提案されており、そのモデルの決定のために広いエネルギー領域でのB/C比の高精度な測定が望まれていました。しかし、高エネルギーになるほどホウ素の量は極めて少なく、TeV領域では炭素の数%ほどに減少するため、観測は困難な現状がありました。

(2)今回の研究で新たに実現しようとしたこと、明らかになったこと

ホウ素は宇宙空間で二次的に生成される原子核であるため、宇宙線が生成されてから地球に到達するまでの”歴史”を理解する鍵として、これまでに多くの観測が行われてきました。そのうち、2010 年代以降の代表的な観測として、PAMELA衛星や国際宇宙ステーション搭載AMS-02といった磁気スペクトロメータや、気球に搭載したカロリメータ型検出器(ATIC, CREAM など)が挙げられます。今回CALETは、図2に示すように、広いエネルギー測定範囲と確実な装置較正により、磁気スペクトロメータとカロリメータ型検出器によってカバーされていた領域を、単独の検出器として核子あたりのエネルギーで8.4ギガ電子ボルトから3.8テラ電子ボルトという広いエネルギー領域で、B/C比を高精度に観測することに成功しました。特に、高エネルギー側では宇宙線の銀河内伝播モデルの決定に重要なテラ電子ボルト領域での観測により、これまで未解決であった加速領域(超新星残骸)におけるホウ素の生成量について定量的な評価を与えています。

ほぼ同時に、同じカロリメータ型検出器DAMPEによって観測結果が報告されていますが、この観測ではB/C 比の結果のみが報告され、CALETのようにホウ素及び炭素のエネルギースペクトルの測定結果に基づくB/C比の観測ではなく、ホウ素や炭素の絶対値が報告されていません。このため、B/Cの観測結果に対する系統的誤差の見積もりが困難であり、誤差の評価が難しい状況にあります。今回の本研究グループによるCALETの観測では、炭素、ホウ素の絶対値に関する系統誤差に基づいて、B/C比の誤差を正確に求めており、正確なモデル選別のために貴重なデータを提供しています。

図2: CALETにより得られた核子あたりのエネルギーで8.4ギガ電子ボルトから3.8テラ電子ボルトの領域で得られたホウ素(B)、炭素(C)、及びB/C比のエネルギースペクトルの観測結果を、他の観測結果と比較して示す。ホウ素と炭素のエネルギースペクトルの縦軸にはエネルギーの2.7乗が積算されている。黄色のハッチ領域はCALETの系統的誤差を表し、その他の観測の誤差は統計誤差のみを示す。

(3)そのために新しく開発した手法

CALET は世界で初めて宇宙機に搭載された宇宙線シャワーを可視化できるカロリメータ型の観測装置です。CALET開発以降では、同種の観測装置である中国のDAMPE と米国のISS-CREAM が打ち上げられています。カロリメータ型の観測装置に対して、磁石を採用したマグネットスペクトロメータ型のPAMELA とAMS-02 が、電荷の正負の判定による反粒子を含む観測に現在成果を挙げています。カロリメータ型装置は、電荷の正負は判定できないものの、エネルギー測定がテラ電子ボルト以上まで可能です。これに対して、マグネットスペクトロメータ型装置は、テラ電子ボルト領域以下の観測に限られています。このため、両者はお互いの利点を生かして相補的な観測を実施しています。こうしたなかで、CALETはこれまで高精度観測が困難で未開拓な領域であったテラ電子ボルト領域での観測において成果をあげています。

(4)研究の波及効果や社会的影響

宇宙線は星の進化の過程で生成された元素が、特にその最終段階で超新星爆発などにより宇宙空間にばら撒かれ、超新星残骸で生成された衝撃波によって加速されると考えられています。しかし、この衝撃波加速やその後の宇宙空間への拡散などについては、まだまだ不明な部分が多く、その解明には宇宙線諸成分のエネルギースペクトルの高精度観測が不可欠です。今回の成果は星の元素合成では生成されない元素であるホウ素が、炭素と星間物質との相互作用により宇宙空間でどのようにして生成されるかを解明するために必要なB/C比の観測を世界で最も高精度にテラ電子ボルト領域まで達成しています。このことにより、これまで謎につつまれていたホウ素の起源を定量的に明らかにするために不可欠なデータを提供しています。

(5)今後の課題

星の元素合成で生成される宇宙線(一次成分)のエネルギースペクトルに加えて、それらの星間物質との相互作用によって宇宙空間で生成されるベリリウム、リチウム、ホウ素などの宇宙線(二次成分)の観測は、宇宙線の加速領域や銀河磁場構造の理解にとって重要です。しかし、これらの二次成分は絶対数が少ない上に、エネルギーの増大とともに一次成分に対してさらに減少します。そのために、これらの正確な理解のためには観測の継続により観測量を増やし、それぞれのエネルギースペクトル観測の精度をあげるとともに、より高エネルギー領域での観測が必要になります。このことにより、宇宙線の超新星残骸や銀河空間での伝播機構のさらに高精度な理解を目指します。

(6)研究者のコメント

CALETは2015年8月から約7年間の観測を継続的かつ安定して行い(※5)、これまでの観測が達成できなかった、テラ電子ボルト領域に及ぶ宇宙線諸成分の高度観測を達成しています。今回の研究成果は特に宇宙空間で二次的にしか生成されないホウ素の観測に成功し、これまで不確定性の大きかったホウ素の生成メカニズムを解明するために不可欠なデータを発表しています。

(7)用語解説

※1 CALET

CALorimetric Electron Telescope(CALET)はカロリメータ方式の宇宙線電子望遠鏡で、日本の宇宙線観測としては初めての本格的な宇宙実験です。高エネルギー電子の高精度観測に最適化されたユニークな装置となっています。CALETの主となる検出装置は「カロリメータ」と言い、ここに飛び込んでくる宇宙線を捉えて観測することになります。カロリメータは、図3のように3つの層からできています。図3の第1の層(CHD)では粒子の電荷を測定し、原子番号を調べます。第2の層(IMC)では、粒子が飛んできた方向を測定します。そしてもっとも厚みのある第3の層(TASC)で、宇宙線が吸収されて生じる「シャワー」の発達の様子からその宇宙線のエネルギーや種類を特定します。この3つの層から得られる情報を統合することで、その宇宙線について知るべきことがほとんどわかります。特に第三の層の厚さや使われている物質によって、どれだけ高いエネルギーの粒子まで観測することができるかが決まるのですが、CALETはとりわけここが従来の観測装置に比べて高い性能を持っています。

図3:CALETの主検出であるカロリメータ部の装置概要。上から電荷測定器(CHD)、撮像型カロリメータ(IMC)、全吸収型カロリメータ(TASC)。1TeVの電子シャワーのシミュレーション例が上書きで示されている。

※2 TeV領域

エネルギーの単位の一つとして用いられる電子ボルト(eV)は、1ボルトの電位差を抵抗なしに通過した際に電子が得るエネルギーを1電子ボルトとして定義されています。ここではその1兆倍のエネルギーがテラ電子ボルト(TeV)です。なお、現在地上で人工的に粒子を加速できるもっとも高いエネルギーは6.5TeVです。

※3 銀河磁場

銀河系内に存在する大局的な構造としての磁場のことで、宇宙線は電荷を帯びているので銀河内を運動する間に、磁場との間にはたらくローレンツ力によってその進行方向が変化します。このため、宇宙線が加速源から地球に到達するまでの時間や距離は、銀河磁場の強さや構造を反映します。

※4 スペクトル

本稿ではすべてエネルギースペクトルの意味で用いています。横軸をエネルギー、縦軸を流束とした図をエネルギースペクトルと言います。宇宙線各成分のスペクトルは概ね冪形状となっていて、その冪の値は大体 -2.7 程度ですので、高いエネルギ―になるにつれ急激に流束が減少します。

※5 これまでのCALETによる観測

2015年8月に国際宇宙ステーション・「きぼう」日本実験棟の船外実験プラットフォームに設置され、同年10月より宇宙線観測を開始して以来、現在まで7年間以上にわたって順調に観測を継続しています。その結果、電子、陽子、ヘリウムから鉄、ニッケルまでの宇宙線各成分やガンマ線の観測で成果をあげています。このほか、太陽活動にともなう宇宙線流量の長期変動や宇宙天気予報観測を継続して実施しています。図1に、「きぼう」に設置されたCALETを示します。

(8)論文情報

雑誌名:Physical Review Letters
論文名:The Cosmic-ray Boron Flux Measured from 8.4 GeV/n to 3.8 TeV/n with the Calorimetric Electron Telescope on the International Space Station
著者名:Yosui Akaike (Waseda University), Paolo Maestro (Siena University), Shoji Torii (Waseda University) et al. (CALET Collaboration)
掲載日(現地時間):2022年12月16日(金)
掲載日(日本時間):2022年12月17日(土)
掲載URL:https://journals.aps.org/prl/abstract/10.1103/PhysRevLett.129.251103
DOI:10.1103/PhysRevLett.129.251103

(9)研究助成

研究費名 : 科学研究費補助金 基盤研究(S)
研究課題名:  CALET長期観測による銀河宇宙線の起源解明と暗黒物質探索
研究代表者名(所属機関名): 鳥居祥二(早稲田大学)

研究費名 : 科学研究費補助金 基盤研究(C)
研究課題名: 宇宙線原子核の直接観測による銀河宇宙線の加速・伝播機構の研究
研究代表者名(所属機関名): 赤池陽水(早稲田大学)

Discovering Rare Red Spiral Galaxy Population from Early Universe with the James Webb Space Telescope

著者: contributor
2022年12月16日 11:50

Discovering Rare Red Spiral Galaxy Population from Early Universe with the James Webb Space Telescope

The first image of NASA’s James Webb Space Telescope reveals a detailed morphology of highly redshifted spiral galaxies

Morphology of galaxies contain important information about the process of galaxy formation and evolution. With its state-of-the-art resolution, NASA’s James Webb Space Telescope has now captured several red spiral galaxies in its first image at an unprecedented resolution. Researchers from Waseda University have now analyzed these galaxies, revealing that these are among the furthest known spiral galaxies till date. The analysis further detected a passive red spiral galaxy in the early universe, a surprising discovery.

Spiral galaxies represent one of the most spectacular features in our universe. Among them, spiral galaxies in the distant universe contain significant information about their origin and evolution. However, we have had a limited understanding of these galaxies due to them being too distant to study in detail. “While these galaxies were already detected among the previous observations using NASA’s Hubble Space Telescope and Spitzer Space Telescope, their limited spatial resolution and/or sensitivity did not allow us to study their detailed shapes and properties,” explains Junior Researcher Yoshinobu Fudamoto from Waseda University in Japan, who has been researching galaxies’ evolution.

Now, NASA’s James Webb Space Telescope (JWST) has taken things to the next level. In its very first imaging of the galaxy cluster, SMACS J0723.3-7327, JWST has managed to capture infrared images of a population of red spiral galaxies at an unprecedented resolution, revealing their morphology in detail!

Against this backdrop, in a recent article published in The Astrophysical Journal Letters on 21 October 2022, a team of researchers comprising Junior Researcher Yoshinobu Fudamoto, Prof. Akio K. Inoue, and Dr. Yuma Sugahara from Waseda University, Japan, has revealed surprising insights into these red spiral galaxies. Among the several red spiral galaxies detected, the researchers focused on the two most extremely red galaxies, RS13 and RS14. Using spectral energy distribution (SED) analysis, the researchers measured the distribution of energy over wide wavelength range for these galaxies. The SED analysis revealed that these red spiral galaxies belong to the early universe from a period known as the “cosmic noon” (8-10 billion years ago), which followed the Big Bang and the “cosmic dawn.” Remarkably, these are among the farthest known spiral galaxies till date.

Rare, red spiral galaxies account for only 2% of the galaxies in the local universe. This discovery of red spiral galaxies in the early universe, from the JWST observation covering only an insignificant fraction of space, suggests that such spiral galaxies existed in large numbers in the early universe.

As a remarkable improvement over previous IRAC image (above), JWST’s unprecedented spatial resolution and high IR sensitivity reveals the morphological details of the red spiral galaxies (below) RS13 and RS14. This facilitates a detailed analysis revealing hitherto unknown features of red spiral galaxies belonging to the early universe.

The researchers further discovered that one of the red spiral galaxies, RS14, is a “passive” (not forming stars) spiral galaxy, contrary to the intuitive expectation that galaxies in the early universe would be actively forming stars. This detection of a passive spiral galaxy in the JWST’s limited field of view is particularly surprising, since it suggests that such passive spiral galaxies could also exist in large numbers in the early universe.

Overall, the findings of this study significantly enhances our knowledge about red spiral galaxies, and the universe as a whole. “Our study showed for the first time that passive spiral galaxies could be abundant in the early universe. While this paper is a pilot study about spiral galaxies in the early universe, confirming and expanding upon this study would largely influence our understanding of the formation and evolution of galactic morphologies,” concludes Fudamoto.

Reference

Title of original paper: Red Spiral Galaxies at Cosmic Noon Unveiled in the First JWST Image
DOI: 10.3847/2041-8213/ac982b
Journal: The Astrophysical Journal Letters
Article Publication Date: October 21, 2022
Authors: Yoshinobu Fudamoto1,2, Akio K. Inoue1,3, and Yuma Sugahara1,2
Affiliations:
1Waseda Research Institute for Science and Engineering, Faculty of Science and Engineering, Waseda University
2National Astronomical Observatory of Japan
3Department of Physics, School of Advanced Science and Engineering, Faculty of Science and Engineering, Waseda University

「General Multivariate Hawkes Processes and Induced Population Processes: exact results and large deviations」(2023/1/17)

著者: staff
2022年12月14日 12:12

演題:General Multivariate Hawkes Processes and Induced Population Processes:

exact results and large deviations

 

日時:2023年1月17日(火)15:00-18:00 ※登壇予定時間 15:00-16:30

 

会場:西早稲田キャンパス 63号館1階 数学応数会議室

 

講師:Michael Robertus Hendrikus Mandjes

(Full professor of Probability, Korteweg-de Vries Institute for Mathematics, University of Amsterdam.)

 

対象:学部生・大学院生、教職員、学外者、一般の方

 

参加方法:入場無料、直接会場へお越しください。

 

主催:基幹理工学部 応用数理学科

 

問合せ:早稲田大学 理工センター 総務課

 

TEL:03-5286-3000

センサ位置決定 新アルゴリズム開発

著者: contributor
2022年12月14日 10:49

膨大な数の空間点データからなる現象を少数のセンサ情報から表現する

最適なセンサ位置を決定する新たなアルゴリズムを開発

広範な学術・産業応用や実用化前進に期待

発表のポイント

少数のセンサで複雑な現象を計測する技術が昨今注目を集めていますが、効率良く効果的に最適なセンサ位置を決定するための既存の計測手法は、コストや計測精度に難があり実用化に課題が多く存在していました。
一度に全センサ位置の最適な組み合わせを選択する新たなアルゴリズムを開発しました(図1)。この新たな計測手法を用いて、ノイズを多く含む実験データで精度検証を行い、その有効性を実証しました。
新たな計測手法の課題となる計算コストを低減するため、量子インスパイアード技術である富士通の「Fujitsu Quantum-inspired Computing Digital Annealer」(以下、「デジタルアニーラ」)を用いたことで、高速に解を得ることができました。

早稲田大学大学院創造理工学研究科修士課程の井上智輝(いのうえともき)と同大学理工学術院教授の松田佑(まつだゆう)、ならびに東北大学流体科学研究所教授の永井大樹(ながいひろき)と同大大学院工学研究科博士課程後期の伊神翼(いかみつばさ)、愛知工業大学工学部教授の江上泰広(えがみやすひろ)らの研究グループ(以下、本研究グループ)は、センサ位置最適化問題を解消するため、従来研究されてきた方法論とは全く異なるアプローチで、60万点強の空間点データからなる多自由度の現象を、数十から数百点でのデータ情報を基に表現するための位置選択アルゴリズムを開発しました。また、実際にノイズを多く含む実験データへの応用を行い、その有効性を実証しました。さらに、組合せ最適化問題を高速に解く量子インスパイアード技術*1である富士通の「デジタルアニーラ」*2を用いることで、高速に解を得ました。

本研究成果は、オランダのエルゼビア社が発行する『Mechanical Systems and Signal Processingに2022年12月8日(木)(現地時間)に掲載されました。

(1)これまでの研究で分かっていたこと(科学史的・歴史的な背景など)

少数のセンサで複雑な現象を計測する技術が注目を集めています。少数のセンサでの計測が実現できれば、低コストで現象を把握できます。またデータ取得・解析を高速に行うことができるため、これにより迅速な意思決定も可能になります。しかし少数のセンサで効果的な計測を行うためには、センサの位置を適切に決定する必要があります。このような問題はセンサ位置最適化問題*3と呼ばれています。

センサ位置最適化問題を解く方法として、凸緩和法*4や貪欲法*5が提案されています。しかし凸緩和法では計算コストが大きく、多くの空間点からなるデータの解析には不向きです。また凸緩和法は、ノイズを多く含む実際の実験データには有用でないことが指摘されていました。一方、貪欲法は計算コストが小さいものの局所解に陥ることが多いことが知られており、特にセンサ数が一定数を超えた場合、センサの位置をランダムに決定する乱択法よりも推定精度が低下してしまうという問題がありました。

(2)今回の研究で新たに実現しようとしたこと、明らかになったこと

貪欲法においてはセンサ位置を1点ずつ順にその選定時に最適となるように決定していきます。このとき、互いに似通った情報をもつ点を選択するようになると、貪欲法はセンサ位置の推定精度が悪化する特徴を有することに本研究グループは着目しました。

そこで本研究では、互いに近傍となる位置を選ばないように、またセンサ位置を1点ずつ順に選ぶのではなく、一度に全センサ位置の最適な組み合わせを選択することで貪欲法の問題点を解決できると考えました。例えば図2のように、貪欲法では1点ずつ順に1から5までの5点を選ぶときに各時点で最適な位置を選択します。このとき以前に選択した位置を考え直すということを行いません。これに対して本研究で提案した手法では、1点ずつ順に選ぶよりも5つの点の組み合わせとしてより適切な組み合わせが得られるのではないかと考えました。

(3)そのために新しく開発した手法

センサ位置最適化問題は、現象を効率的に表現する少数のセンサを選択する問題です。これは特徴的な挙動を示す位置を選ぶことであると言えます。本研究グループは、特徴的な挙動を示す位置を選びつつ、一方で似たような特徴を示す位置を選ばないような、センサ位置の組み合わせを選択するアルゴリズムを考えました。

そこで、任意の2つの空間位置に対して、現象の特徴を良く表し、かつ互いに類似性が低い場合に大きな値をとる重みを考えました。このように考えると、各空間位置をノード*6とし各ノード間を結ぶエッジ*7を上記の重みとするグラフと捉えることができます(図3)。すると目的とするセンサ位置の組み合わせは、一定値以上の重みをもったエッジを残した無向グラフにおいて、最大クリーク問題*8の解を与える組み合わせと考えることができます。最大クリーク問題は、その補グラフ*9に対する最大独立集合問題*10と等価であることが知られており、この最大独立集合問題を解くことでセンサ位置の組み合わせを決定しました。

なお、最大クリーク問題も最大独立集合問題もNP困難*11であることが知られています。本問題を通常のコンピュータで計算するには、たくさんの候補点からセンサ位置の組み合わせを決定することになり、計算コストが大きく困難です。そのため、本研究では、量子コンピュータなどで注目度の高い組み合わせ最適化問題に特化した新しいコンピュータの1つである富士通「デジタルアニーラ」を用いることで高速に解を得ました。

本研究では、提案した手法によって得られた解の妥当性を評価するために、NOAA-STTデータ(National Oceanic and Atmospheric Administration(アメリカ海洋大気庁)の提供している海水面温度変化データ)を用いた精度検証を行いました。これにより従来法と遜色なく少数の点での温度データのみから元の海水面温度分布を再現できることを示しました(図4)。

また実際にノイズを多く含む実験データに提案手法を適用しました。実験データは流れに直角に置かれた角柱後方にできるカルマン渦*12を感圧塗料法*13によって計測したもので、60万点強の空間点からなるデータであり非常に大きなスケールの対象です。またこのデータには非常に大きなノイズが含まれています(図5の左図)。本論文では、このような複雑な現象について、数十から数百点でのデータ情報を基に表現するためのセンサ位置の最適な配置を決定しました(図5の中図のピンク色の点)。そして、選択されたセンサ位置の情報を基にノイズを低減したデータを再構成しました(図5の右図)。この再構成されたデータを、半導体圧力センサによって計測したデータと比較しました。ここで半導体圧力センサは、感圧塗料法とは異なり計測点を設置した場所での計測値しか得られませんが、非常に精度が高いことが知られています。提案手法によって再構成したデータは、この半導体圧力センサでの計測結果と0.3%以下のずれであり非常によく一致することを確認し、本研究の有効性を示しました。

(4)研究の波及効果や社会的影響

センサ位置最適化問題では凸緩和法の高速化と貪欲法の高精度化の研究が主に行われていますが、本研究グループはこれらとは本質的に異なる新しいアプローチを提案するとともにその有効性を示しました。今後、センサ位置最適化問題の学術・産業応用へ大きなインパクトを与えると期待されます。

あわせて、センサ位置最適化問題は、NOAA-STT(海水面温度変化)のセンシングや流体力学に留まらず広範な応用が期待されています。同様に、本研究で応用例として扱った感圧塗料法は航空機・鉄道・自動車の空力設計への応用を通じ、安全性の向上や空力抵抗の低減に大きく貢献することが期待されています。これまで、感圧塗料法では計測ノイズが障害となり鉄道・自動車分野への応用は難しいとされてきました。しかし、本アルゴリズムによって感圧塗料法はこれらの問題への応用へ向けて前進すると考えられます。

量子コンピュータ、デジタルアニーラなど新しいタイプのコンピュータが注目されています。ただし上記のような実応用を見据えた技術への応用例はまだ数が少なく、このたびの研究成果は、これらのコンピュータの新しい応用としてもインパクトが大きいと考えています。

(5)今後の課題

複雑な現象を対象としたときに、どの程度の現象再現能に対してどの程度のセンサ数が必要なのか明らかにしたいと考えています。これによって実際の機械や環境モニタリングへの応用を行う際に、必要なセンサ数を決定することが可能となります。また実応用では事前に得られる情報に制限があることが想定されるため、このような場合にも有効なセンサ位置最適化についても研究を重ねたいと考えています。

(6)研究者のコメント

本研究では、センサ位置最適化問題に対して新しいアプローチを提案いたしました。センサ位置最適化問題はこれまで凸緩和法や貪欲法などを用いた解法が提案されています。このたび開発した新たな手法はこれらの手法と同等以上の結果を得ることができます。特に、従来の手法に比べてもセンサが満たすべき条件を素直に立式した直感的に理解しやすい方法となっているところが特長です。仮に問題や条件がかわっても、新手法のコンセプトを用いることで、比較的容易に問題に合わせて定式化を行い、解を得ることができる点が特に優れていると考えています。

(7)用語解説

※1 量子インスパイアード技術

量子現象に着想を得たコンピューティング技術で、現在の汎用コンピュータでは解くことが難しい「組合せ最適化問題」を高速で解く技術

※2 Fujitsu Quantum-inspired Computing Digital Annealer(デジタルアニーラ)

現在の汎用コンピュータでは解くことが困難な組合せ最適化問題を高速に解く富士通独自の量子インスパイアード技術。https://www.fujitsu.com/jp/digitalannealer/index.html

※3 センサ位置最適化問題

少数の位置でのデータから効率的に現象の表現を実現するための位置を決定する問題。

※4 凸緩和法

非凸の目的関数を凸関数で近似表現し計算する方法。

※5 貪欲法

一つ一つ順にその時に最適になるように解を決定する方法。

※6 ノード

グラフの頂点。本稿ではセンサ位置の候補点。

※7 エッジ

ノード間を結ぶ辺。

※8 最大クリーク問題

全てのノードの組にエッジが存在するグラフの部分をクリークと呼び、最大の大きさのクリークを見つける問題を最大クリーク問題という。本研究では全てのセンサ位置候補同士が、現象の特徴を良く表し、かつ互いに類似性が低い場合に大きな値をとる重みでつながれている必要があるためにクリークを考える。最大クリークを見つけることで、現象を表現するセンサ位置をもれなく選定することができる。

※9 補グラフ

エッジの有無を入れ替えたグラフ。すなわち元のグラフにおいて存在するエッジを削除し、エッジがないノード間にエッジを設けたグラフ。

※10 最大独立集合問題

どのノードもクリークに含まれないような集合のうち最大のものを見つける問題。エッジの有無を入れ替えたグラフ(補グラフ)に対する最大独立集合問題を考えることは、もとのグラフの最大クリーク問題を考えることと同じになる。

※11 NP困難

NPはNondeterministic Polynomialの頭文字。問題の大きさに対して、その多項式で表される時間で解くことができる問題をクラスNPと呼ぶ。これらの問題よりも多くの時間を要する問題をNP困難と呼び、問題が大きくなるほど膨大な計算時間を要する。近年、NP困難を解くためのツールとして量子コンピュータをはじめ新しいコンピュータが提案されている。

※12 カルマン渦

流れの中に角柱や円柱を置いたときに、これらの物体の後方で見られる特徴的な渦。角柱、円柱の両端から交互に渦が出ているように見える。

※13 感圧塗料法(Pressure-sensitive paint; PSP)

感圧塗料(PSP)は、一般に酸素消光作用を有するりん光分子とこれを模型表面に保持固定するためのバインダから構成される。PSP計測法では、このりん光分子の放つ発光の強度が圧力に応じて変化することから、PSPの発光強度分布を計測することで圧力分布を計測する。

(8)論文情報

雑誌名:Mechanical Systems and Signal Processing
論文名:Data-Driven Optimal Sensor Placement for High-Dimensional System Using Annealing Machine
執筆者名(所属機関名):井上智輝(早稲田大学大学院生)、伊神翼(東北大学大学院生)、江上泰広(愛知工業大学教授)、永井大樹(東北大学教授)長沼靖雄(富士通株式会社)、木村浩一(富士通株式会社)、松田佑*(早稲田大学教授)
掲載日時(現地時間): 2022年12月8日(木)
掲載URL: https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0888327022010251
DOIhttps://doi.org/10.1016/j.ymssp.2022.109957

(9)研究助成(外部資金による助成を受けた研究実施の場合)

研究費名:科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業個人型研究(さきがけ)
「計測技術と高度情報処理の融合によるインテリジェント計測・解析手法の開発と応用」(研究統括:雨宮 慶幸)

研究課題名:圧縮センシングを活用した高精度空力診断システムの構築 JPMJPR187A
研究代表者名(所属機関名):松田佑(早稲田大学)
研究費名:東北大学流体科学研究所一般公募共同研究:J22I020
研究課題名:構造化照明を用いた高精度PSP計測手法の開発
研究代表者名(所属機関名):松田佑(早稲田大学)、永井大樹(東北大学)

初期宇宙の赤い「渦巻銀河」を発見

著者: contributor
2022年12月14日 10:48

初期宇宙に存在した赤い渦巻銀河を発見

発表のポイント

  • 地球が属する天の川銀河と同様の渦巻構造をもつ「渦巻銀河」は、いつ・どのように生まれ、形作られたのかなどについて、望遠鏡の感度や空間分解能の限界から、分かっていなかった。
  • 米国NASAが2022年から運用開始したジェームズウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)のデータをもとに分析した結果、80億年から100億年前の宇宙に、これまで見られなかった赤い渦巻銀河を初めて発見した。
  • 本パイロット調査をもとに、さらに詳細に渦巻銀河形成についての分析を進めることで、いまだ謎多き銀河の成り立ちに関し、新たな知見を加えることが期待できる。

概要

早稲田大学理工学術院総合研究所 次席研究員・国立天文台アルマプロジェクト特任研究員の札本 佳伸(ふだもと よしのぶ)と同大理工学術院 教授の井上 昭雄(いのうえ あきお)および同大理工学術院総合研究所 次席研究員・国立天文台アルマプロジェクト 特任研究員の菅原 悠馬(すがはら ゆうま)の研究グループは、これまで確認されていなかった特異な「赤い渦巻銀河」を発見し、さらにそれが80億年から100億年前という初期の宇宙に存在することを明らかにしました。本成果は、2022年から米国NASAで運用が開始されたジェームズウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)のデータを元にした成果としては、国内の研究機関から初めて出版された論文となります。
本研究成果は、『The Astrophysical Journal Letters』(論文名:Red Spiral Galaxies at Cosmic Noon Unveiled in the First JWST Image)にて、2022年10月21日(金)に掲載されました。

図1:渦巻銀河の例M74(出典 NASA)。渦巻構造中に見える赤い領域は活発な星形成活動を行っている領域。我々の住む地球が属する天の川銀河も、このような構造を持っていると考えられており、近傍の宇宙には比較的数多く存在する銀河である。

(1)これまでの研究で分かっていたこと

エドウィン・ハッブルによる銀河の分類法「ハッブル分類」にも見られるように、現在の宇宙には、楕円銀河や渦巻銀河など、見た目から分かりやすい形を持った銀河が多く存在します。なかでも渦巻銀河は、銀河中心に「バルジ」と呼ばれる楕円体の構造を持ち、特徴的な渦巻状の腕「渦状腕(かじょうわん)」を持つ、美しい円盤銀河です(図1)。現在の宇宙にある渦巻銀河は多くが比較的活発な星形成活動を行っており、我々の住む天の川銀河もそのひとつです。

これまでの研究では、このような渦巻構造を持つ銀河がいつ・どのように生まれ、どれほど過去の宇宙に存在するのか、分かっていませんでした。特に、80億年以上前の初期宇宙では、米国NASAのハッブル宇宙望遠鏡などによる観測の結果から、不規則な形態を持つ銀河が多いことが知られ、渦巻銀河はほとんど発見されていませんでした。このことから、渦状腕など銀河の形が整うためには銀河が生まれてから長い時間が必要で、もっと時代が下った、現在に近い時代の宇宙にしか存在しないのではないかと考えられてきました。

また近年、日本のすばる望遠鏡によって行われた大規模な探査によって、現在の宇宙にある渦巻銀河の98%は比較的活発な星形成活動を行っており、星形成活動が止まってしまった「年老いた」渦巻銀河※1は2%程度しか存在しないことが明らかになりました(嶋川 他、2022)。年老いた渦巻銀河の数が少ないということが、現在の宇宙だけの特徴なのか、それとも過去の時代の宇宙にある銀河を見れば現在とは異なる様子が見られるのかという疑問に対しては、望遠鏡の感度や空間分解能の制限から答えを得られていませんでした。

(2)今回の研究で新たに実現しようとしたこと、明らかになったこと

本研究チームは、2022年から運用を開始した米国NASAの宇宙望遠鏡ジェームズウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)が世界に向けて初公開したデータ、特に、これまでの観測では捉えられていなかった特異な銀河「赤い渦巻銀河」に注目しました。これらの「赤い渦巻銀河」はハッブル宇宙望遠鏡やスピッツァー宇宙望遠鏡による観測でも検出はされていたものの、空間分解能や感度の制限からその詳細な形態や性質については知られていませんでした。今回、スピッツァー宇宙望遠鏡より10倍の空間分解能、50倍の高感度をもつJWSTの革命的な性能によってその詳細な形態が初めて明らかになりました(図2)。

図2:本研究で詳細を調査した「赤い渦巻銀河」の代表例RS13とRS14の画像。上段が従来のスピッツァー望遠鏡による観測データ(約4ミクロンの赤外線単波長データを使用)。下段が、今回JWSTによって同じ銀河に対して得られたデータ(約1ミクロンから4ミクロンの赤外線波長データを用いて作られた擬似カラー画像)。JWSTの極めて優れた分解能と感度によってRS13、RS14ともに渦巻構造を持っていることが初めて明らかになり、さらに「赤い渦巻銀河」というこれまで知られていなかった銀河種族の存在が明らかになった。

我々は、この赤い渦巻銀河がどのような性質を持つのかを調べるパイロット調査として、最も赤い色を持つ2つの銀河(RS13、RS14:図2)について、JWSTから得られた測光データや分光データを元に分析を行いました。その結果、これらの赤い渦巻銀河が、80億年から100億年程度過去の、初期宇宙に存在する銀河であることが分かりました。さらに、RS14は星形成を行っていない、年老いた銀河であることも明らかになりました。年老いた渦巻銀河は現在の宇宙では極めて珍しいものの、今回のJWSTの初期観測データというほんの小さな領域の観測から発見されました。このことから、年老いた銀河は遠方宇宙ではこれまで考えられてきたよりも多く存在する可能性が示唆されます。一方で、初期宇宙に存在する赤い渦巻銀河や年老いた渦巻銀河はどのようにして形成されてきたのか、といった疑問が新たに生じる結果となりました。

(3)研究の波及効果や社会的影響

JWSTが初めて公開した画像の中に見られた特徴的な銀河「赤い渦巻銀河」についてパイロット調査を行うことで、初期宇宙においても渦巻銀河は多数存在し、またその中には年老いた渦巻銀河といった、近傍宇宙では極めて珍しい銀河も存在することを初めて示しました。これらの発見から、渦巻銀河形成の歴史や、ひいては宇宙の歴史全体の中で銀河の形態がどのように変化してきたのかについての研究に、新たな視点を与えることができたのではないかと考えています。

(4)今後の課題

本研究では、JWSTの画像に多数見られた赤い渦巻銀河のうち、最も赤い色を持った2つの銀河に対してパイロット調査を行いました。今後、さらに多数の赤い渦巻銀河について調査を行い、過去の宇宙に存在する渦巻銀河や年老いた渦巻銀河に対する研究を進めていくことで、いまだ謎多き銀河の成り立ちに関し、新たな知見を加えることができるものと考えています。

(5)研究者からのコメント

今回、従来の宇宙望遠鏡よりも10倍の空間分解能、50倍の感度を持つJWSTの驚異的な性能によって初めて得られた画像を目の当たりにして、これまでの我々が触れることができなかった宇宙の姿が明らかになってきました。本研究テーマである赤い渦巻銀河もその一つであり、今後も多様な発見が行われるものと考えています。JWSTによる新たな観測データは、我々の宇宙に対するこれまでの知識を大きく変えるものとして、これからも注目していく必要があると考えています。

(6)用語解説

※1 年老いた銀河
パッシブな銀河、とも呼ばれる。星形成活動がほとんどなく、その内部に存在する星は形成されてから比較的長い時間が経っているため年老いている。星形成活動に必要なガスが存在しない、赤い色を持つなどの特徴を持つ。

(7)論文情報

雑誌名:The Astrophysical Journal Letters
論文名:Red Spiral Galaxies at Cosmic Noon Unveiled in the First JWST Image
執筆者名(所属機関名):札本 佳伸(早稲田大学理工学術院総合研究所 次席研究員・国立天文台アルマプロジェクト 特任研究員)、井上 昭雄(早稲田大学理工学術院 教授)、菅原 悠馬(早稲田大学理工学術院総合研究所 次席研究員・国立天文台アルマプロジェクト 特任研究員)
掲載日時:2022年10月21日(金)
掲載URL:https://iopscience.iop.org/article/10.3847/2041-8213/ac982b
DOI:10.3847/2041-8213/ac982b

(8)研究助成

研究費名:国立天文台ALMA共同科学研究事業 No.2020-16B
研究課題名:ALMA HzFINEST:高赤方偏移遠赤外線星雲輝線研究
研究代表者名(所属機関名):井上 昭雄(早稲田大学)

「いくつかの楽しい分子との出会い」(2023/1/27)

著者: staff
2023年1月24日 09:57

演題:いくつかの楽しい分子との出会い

 

日時:2023年1月27日(金)16:30-18:00

 

会場:西早稲田キャンパス 52号館 2階 202教室

 

講師:友岡 克彦(九州大学先導物質化学研究所・教授)

 

対象:学部生・大学院生、教職員、学外者、一般の方

 

参加方法:入場無料、直接会場へお越しください。

 

主催:先進理工学研究科 化学・生命化学専攻

 

問合せ:早稲田大学 理工センター 総務課

 

TEL:03-5286-3000

2023年度第1回 社会文化領域コース 進入説明会(1/12オンライン実施・ 要事前登録)のご案内

著者: staff
2022年12月8日 14:57

社会文化領域コース進入説明会(総合機械工学科向け)を、2023年1月12日 (木) にオンラインで開催します。
関心のある学生は、以下のポスターおよび社会文化領域のホームページ上の情報をよく確認し、必要な手続きをとってください。

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