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銀河宇宙線ヘリウム 高精度観測に成功

著者: contributor
2023年5月9日 15:05

銀河宇宙線のヘリウム成分を250テラ電子ボルトまで直接観測に成功
30テラ電子ボルト以上でスペクトル軟化の兆候を検出

国際宇宙ステーション・「きぼう」日本実験棟搭載高エネルギー電子・ガンマ線観測装置(CALET)による測定

発表のポイント

国際宇宙ステーション・「きぼう」日本実験棟搭載の宇宙線電子望遠鏡(CALET)が、銀河宇宙線の一つであるヘリウムのエネルギースペクトルを250テラ電子ボルトまで高精度に観測することに成功し、30テラ電子ボルト以上でエネルギー軟化の兆候を検出しました。
陽子とヘリウムは核子当たりのエネルギーで60テラ電子ボルトまで、スペクトルの冪の変化においては同様な構造を持つことがわかりました。
一方で、冪の傾きが陽子とヘリウムでは異なっていることから高エネルギー領域では何か異なる加速・伝播機構がある可能性が生じたため、その理論的な検証が求められています。

早稲田大学理工学術院総合研究所主任研究員 小林兼好(こばやしかずよし)早稲田大学名誉教授・CALET代表研究者 鳥居祥二(とりいしょうじ)、シエナ大学研究員 Paolo Brogi、と宇宙航空研究開発機構(JAXA)及び国内他機関、イタリア、米国の国際共同研究グループ(以下、本研究グループ)は、国際宇宙ステーション(ISS)・「きぼう」の船外実験プラットフォームに搭載された宇宙線電子望遠鏡(以下、CALET*1:高エネルギー電子・ガンマ線観測装置)を用いて、銀河宇宙線*2のヘリウムのエネルギースペクトル*3を250テラ電子ボルトまで高精度に観測し、30テラ電子ボルト*4以上の領域でエネルギースペクトル軟化*5の兆候を観測しました。

本研究成果は、アメリカ物理学会発行の『Physical Review Letters』に、“Direct Measurement of the Cosmic-Ray Helium Spectrum from 40 GeV to 250 TeV with the Calorimetric Electron Telescope on the International Space Station”として、2023年4月27日(木)<現地時間>にオンラインで掲載されました。

(1)これまでの研究で分かっていたこと

宇宙線は星の進化の過程で生成された元素が、特にその最終段階で超新星爆発などにより宇宙空間にばら撒かれ、超新星残骸で生成された衝撃波によって加速されると考えられています*6。しかし、この衝撃波加速やその後の宇宙空間への拡散などについては、まだまだ不明な部分が多く、その解明には宇宙線諸成分のエネルギースペクトルの高精度観測が不可欠です。

宇宙線の生成、加速、伝搬過程は「超新星残骸における衝撃波によって加速され、銀河磁場によって拡散的に伝播して銀河外へ漏れ出す」という”標準モデル”による理解が進められてきました。このモデルでは、地球で観測される宇宙線スペクトルの形状は単調な冪(べき)型のスペクトル*7が予測されます。しかし、この予測に反する数100ギガ電子ボルトにおけるスペクトルの単一冪からのズレとして、宇宙線の主成分である陽子やいくつかの原子核についてはテラ電子ボルト領域に至る漸次的な「スペクトル硬化*8」が報告されています。これは”標準モデル”では理解できない結果であり、宇宙線の加速・伝播機構モデルについてパラダイムシフトの必要性を示唆しており、その解釈をめぐって現在活発な研究が繰り広げられています。

「きぼう」で定常観測を継続するCALETはこれまでの実験に比べ、高精度なエネルギースペクトルの直接観測に成功してきました*9。既に陽子を始め、ホウ素、炭素、酸素でスペクトル硬化を報告しており、スペクトル硬化の高精度観測に注目が集まっています。さらに陽子ではエネルギーのより高い領域で「スペクトル軟化」も観測され、昨年発表しました。

近年の目覚ましい発展により明らかになってきた、エックス線やガンマ線を含む宇宙における高エネルギー放射の最終的な理解には、その源となっている荷電宇宙線の理解が必須となります。これは、電波や赤外・可視光等の電磁波スペクトルが主に、黒体輻射に代表される熱的放射を観測しているのに対し、冪型スペクトルによって特徴づけられる非熱的放射の背景には必ず宇宙線の加速と伝播が隠されているためです。

(2)今回の研究で新たに実現しようとしたこと、明らかになったこと

陽子ではエネルギーの高い領域で新たにスペクトル軟化が観測されましたが、陽子固有の現象なのか、スペクトル硬化のように複数の原子核で共通の現象なのか、陽子の次に重い原子核、ヘリウムにも同様にスペクトル軟化の傾向があるのかが注目されています。2021年にはDAMPE(DArk Matter Particle Explore)*10実験によりヘリウムのテラ電子ボルト領域に至る漸次的なスペクトル硬化および30テラ電子ボルト付近からスペクトル軟化の兆候が報告されました。そこで今回我々はヘリウムの高精度解析を行い、40ギガ電子ボルトから250テラ電子ボルト*2と、DAMPE実験が観測した80テラ電子ボルトよりも高いエネルギー領域まで、宇宙線ヘリウムスペクトル*3、4の高精度直接観測に成功しました。

CALETによって科学観測を開始した2015年10月13日から2022年4月30日までのデータを用いて、測定されたヘリウムのエネルギースペクトルを図1に示しました(赤点)。灰色のバンドはCALETの観測に伴う現時点での系統誤差を含む全誤差です。青色で示したDAMPE実験とは絶対値も誤差の範囲内で一致しています。さらにDAMPE実験が観測した80テラ電子ボルトよりも高い、250テラ電子ボルトまでスペクトル軟化の傾向が続いていることを明らかにしました。

図2では昨年発表した陽子のデータを用い、陽子とヘリウムの比の核子当たりのエネルギースペクトルを示しました(赤点)。先行実験から大幅に誤差を縮小し、傾きが大きく変わることなく核子当たり60テラ電子ボルトを超える領域まで続くことがわかりました。また、図からわかるように、エネルギーの増大とともに陽子に対するヘリウム割合が増えていることがわかります。”標準モデル”からは変化しないことが予測されることから、陽子とヘリウムには高エネルギー領域では何か異なる加速・伝播機構があるということを示唆しており、今後に理論的な検証が必要な課題となっています。

(3)そのために新しく開発した手法

CALET は世界で初めて宇宙機に搭載された宇宙線シャワーを可視化できるカロリメータ型の観測装置です。これまでは磁石を採用したマグネットスペクトロメータ型のPAMELA とAMS-02 が、電荷の正負の判定による反粒子を含む観測に現在成果を挙げていますが、カロリメータ型装置は、電荷の正負の判定ができないものの、よりエネルギーの高いテラ電子ボルト以上まで可能です。CALETはこれまで高精度観測が困難で未開拓な領域であったテラ電子ボルト領域での観測を行い、ヘリウムのスペクトル軟化兆候を得ることができました。

(4)研究の波及効果や社会的影響

本研究グループによる今回の成果は、CALETが昨年発表した宇宙線の主成分である陽子の10テラ電子ボルト以上でのスペクトルの軟化に続き、ヘリウムでもスペクトルの軟化が起こっている兆候を観測しました。陽子とヘリウムは核子当たりのエネルギーで250テラ電子ボルトまで、スペクトルの冪の変化においては同様な構造を持つことがわかりました。スペクトルの軟化が何らかの共通の原因で陽子とヘリウムで起こっており、今後、宇宙線の加速・伝搬機構の議論が活発化することが予想されます。

(5)今後の課題

スペクトル硬化の現象はこれで陽子、ヘリウム、ホウ素、炭素、酸素で観測されました。これまでの宇宙線加速・伝播機構の理論的解釈では、”標準モデル”により説明することが難しく、新たな加速もしくは伝播機構による解明が急がれています。今のところCALETでは酸素より重い原子核である、鉄、ニッケルでは観測されておらず、より高いエネルギー領域でスペクトル硬化が起こるのか、検証を進めてきます。

一方で、陽子、ヘリウムのスペクトル軟化の1つの解釈として、”標準モデル”による超新星残骸における衝撃波加速は、電荷に比例した加速限界を予見します。超新星残骸で達成可能な最高エネルギーは典型的に、陽子で60テラ電子ボルト、ヘリウムで120テラ電子ボルトと見積られています。一方で地上観測実験により3ペタ電子ボルト付近でスペクトル軟化(スペクトルの形状が足の膝に似ているので、ニー:Kneeと呼ばれている。) が測定されています。これは超新星残骸での衝撃波加速が限界を迎え、宇宙線組成が電荷に比例して軽原子核からより重原子核へシフトすることによる構造と考えられています。地上観測実験では粒子の判別が困難なため、上記の超新星残骸モデルの検証には、陽子、ヘリウムを始めとする原子核の系統的なスペクトル軟化を宇宙空間で計測するCALETによる観測は決定的な役割を果たすことができます。

CALETは今後、さらにデータを蓄積し、また高エネルギー側での系統誤差を減らすことにより、酸素よりも重い重原子核成分の核子あたり10テラ電子ボルト付近でのエネルギー硬化、また核子あたり10テラ電子ボルトを超えるエネルギー領域の陽子・ヘリウムスペクトル軟化を高精度に決定することで、さらなる宇宙線加速、伝搬機構の検証を目指します。

(6)研究者のコメント

本研究で観測しているエネルギー領域の宇宙線は超新星爆発が起因で、地球に届く過程で加速、伝搬が起こり地球にたどり着くため、宇宙線を観測すると宇宙の多くのことがわかります。CALETでの観測で電子、陽子、今回のヘリウムを始めさまざまな原子核でのスペクトルを解明してきました。これからも安定的な観測を続け宇宙の謎を解明していきたいと考えています。

(7)用語解説

1:CALET(高エネルギー電子・ガンマ線観測装置)

2015年8月にISS・「きぼう」に搭載され、同年10月より宇宙線観測を開始した宇宙線電子望遠鏡「CALET」は、日本の宇宙線観測としては初めての本格的な宇宙実験で、すでに7年以上安定的な観測を行っています。高エネルギー電子の高精度観測に最適化されたユニークな装置ですが、確実な電荷決定と広いエネルギー測定範囲により、陽子や原子核成分の観測にも強力な性能を有しています。CALETの主となる検出装置は「カロリメータ」と言い、ここに飛び込んでくる宇宙線を捉えて観測することになります。カロリメータは、図3のように3つの層からできています。

図3の第1の層(CHD)では粒子の電荷を測定し、入射粒子の電荷を測定します。第2の層(IMC)では、主に粒子が飛んできた方向を測定します。そしてもっとも厚みのある第3の層(TASC)で、宇宙線が吸収されて生じる「シャワー」の発達の様子からその宇宙線のエネルギーや種類を特定します。この3つの層から得られる情報を統合することで、その宇宙線についてかなり広範囲に理解することが可能と考えています。特に第三の層の厚さや使われている物質と信号の読み出し方法によって、どれだけ高いエネルギーの粒子まで観測することができるかが決まります。CALETはとりわけこの点においてCALET以前の観測装置に比べて高い性能を保有しています。

2:宇宙線

宇宙空間は、何もないように見えますが、じつはとてもたくさんの粒子が飛んでいます。それらは原子よりもさらに小さい陽子や電子などの粒子で、宇宙空間で手をかざしたら一秒間に100個以上が手にあたるほどたくさん飛んでいます。そのような粒子を宇宙線と言います。宇宙線は約100年前に発見されて以来、常に物理学の最先端テーマでした。宇宙線の研究から、陽電子や中間子の発見など、人類の知識を大きく広げる成果があがっています。宇宙線は、太陽や天の川銀河(地球がある銀河系)など宇宙の様々な場所から飛んできます。特に高いエネルギーをもったものは、私たちが暮らす太陽系の外からはるばるやってきています。

3:スペクトル

本稿ではすべてエネルギースペクトルの意味で用いています。横軸をエネルギー、縦軸を流束とした図をエネルギースペクトルと言います。宇宙線スペクトルは冪形状となっていて、その冪の値は大体 -2.7程度ですので、高いエネルギーになるにつれ急激に流束が減少します。

4:電子ボルト

エネルギーの単位です。1ボルトの電位差を抵抗なしに通過した際に電子が得るエネルギーが1電子ボルトです。ここではその109倍のギガ電子ボルト、1012倍のテラ電子ボルト、1015倍のペタ電子ボルトのエネルギー領域を扱っています。

5:スペクトル軟化

スペクトル硬化とは逆に、冪の絶対値が大きくなる方向のスペクトル変化を表し、エネルギーに対する流束の減少割合が増えていくことを示します。

6:宇宙線加速

高エネルギーの宇宙線がどこからきてどのように加速されたのか(=高いエネルギーを得たのか)についてのもっとも有力な説明は、「超新星爆発」です。超新星爆発とは、質量の大きな星がその一生の最後に起こす爆発で、そのとき甚大なエネルギーが放出されます。そのエネルギーによって加速されて地球まで飛んできた粒子が高エネルギーの宇宙線だと考えられていますが、加速されるメカニズムの詳細については、まだわからない点が多く残されています。

7: 冪型スペクトル

変数xに対しする分布関数がxα になる分布を、冪の値がαの冪関数型分布と呼びます。変数をエネルギー(E)にとった場合の流束の分布をエネルギースペクトルと言い、宇宙線スペクトルは冪形状となっていて、Eγで表されます。冪の値はマイナスでγの値は2.7程度であるので、高いエネルギ―になるにつれ急激に流束が減少します。電波や赤外・可視光等の電磁波スペクトルが主に、黒体輻射に代表される熱的放射を観測しているのに対し、冪型スペクトルによって特徴づけられる非熱的放射の背景には必ず宇宙線の加速と伝播が隠されているためです。

8:スペクトル硬化

冪の絶対値が小さくなる方向のスペクトル変化を表し、エネルギーに対する流束の減少割合が減っていくことを示します。

9:これまでのCALETによる宇宙線諸成分(電子、水素(陽子)、炭素、水素、鉄、ニッケルなど)の観測
10: DAMPE

中国科学院が2015年12月に打ち上げた宇宙線観測を目的とした初めての科学観測衛星。

(8)論文情報

雑誌名:Physical Review Letters 130, 171002, (2023)
論文名:Direct Measurement of the Cosmic-Ray Helium Spectrum from 40 GeV to 250 TeV with the Calorimetric Electron Telescope on the International Space Station
執筆者名(所属機関名):O. Adriani et al. (CALET Collaboration), Corresponding Authors: K. Kobayashi, P. Brogi
掲載日時(現地時間):2023年4月27日(木)
掲載URL:https://journals.aps.org/prl/abstract/10.1103/PhysRevLett.130.171002#fulltext
DOI10.1103/PhysRevLett.130.171002

(9)研究助成

研究費名:科学研究費補助金 基盤研究(S)
研究課題名:CALET長期観測による銀河宇宙線の期限解明と暗黒物質探索
研究代表者名(所属機関名):鳥居祥二(早稲田大学)

 

【5月24日(水)12:30~13:10開催】PEP卓越大学院プログラム2023年9月(6期生)・2024年4月(7期生)進入/編入 募集説明会のお知らせ

著者: staff
2023年5月8日 16:34

文部科学省卓越大学院プログラム『パワー・エネルギー・プロフェッショナル(PEP)育成プログラム』は、
電力・エネルギー新産業創出に寄与する人材を輩出することを目的とした修士・博士後期5年一貫の博士人材育成プログラムです。
この度、本プログラムの2023年9月(6期生)・2024年4月(7期生)進入/編入 募集説明会を以下のように開催致します。
お気軽にお申込みください。

<概要>
対象:現在、電力系・エネルギーマテリアル系を専攻分野としている(あるいは現在それらの分野に関心がある)以下の学生、社会人
・学部3年生、4年生
・修士課程/一貫制博士1年生、2年生
・2023年9月・2024年4月に以下の参画専攻博士後期課程入学予定者
[本プログラム参画専攻]
・基幹理工学研究科(機械科学・航空宇宙専攻、電子物理システム専攻)
・創造理工学研究科(地球・環境資源理工学専攻)
・先進理工学研究科(応用化学専攻、電気・情報生命専攻、ナノ理工学専攻、先進理工学専攻)
・環境・エネルギー研究科(環境・エネルギー専攻)

日時:2023年5月24日(水)12:30~13:10(途中入退室可)
形式:Zoomオンラインミーティング(申請フォームから参加登録いただいた方にURL詳細等、メールでお送り致します。)
内容:
・PEP卓越大学院プログラム概要説明(研究指導・支援体制、カリキュラム、進路、経済的支援etc)
・2023年9月(6期生)・2024年4月(7期生)進入/編入募集日程
・質疑応答(プログラムコーディネーター林 泰弘教授、PEP事務局が質問にお答え致します。)
・現役PEP生の体験談(当日登壇あり)

<申請フォーム>
PEPプログラムに少しでも関心のある方はお気軽に、以下URLよりお申込みください。
https://bit.ly/3LA0fQs

申込締切:5月24日(水)10:00まで

<お問合せ>
PEP卓越大学院プログラム事務局(51号館1F理工統合事務所内)
TEL:03-5286-3238 Email:[email protected]

PEP卓越大学院プログラムHP https://www.waseda.jp/pep/
パンフレット https://www.waseda.jp/pep/pamphlet/
募集要項出願書類 https://www.waseda.jp/fsci/admissions_gs/guidelines/pep/

【5/20】国立感染症研究所との合同シンポジウム開催のお知らせ

著者: staff
2023年5月1日 15:14

国立感染症研究所との協定締結から10年が過ぎたことを記念し、下記の通り、シンポジウムを開催することになりました。

日時:2023年5月20日(土)13:00~17:00
場所:早稲田大学121号館 コマツ100周年記念ホールおよびzoomによる配信
プログラム:ポスターを参照してください。

当日はオンライン配信を行いますので、どなたにでもご参加いただけます。無料ですが、事前登録が必要ですので、下記URLから申し込みをお願いします。(5月19日12:00締切)

https://forms.gle/x5Q7hY8YghME3uw1A

従来比1/17のサイズに-シリコン光回路

著者: contributor
2023年4月27日 14:46

低消費電力AIを実現するシリコン光回路を従来比17分の1のサイズにコンパクト化、AIの基本動作の実証に成功

株式会社KDDI総合研究所(本社:埼玉県ふじみ野市、代表取締役所長:中村 元)と学校法人早稲田大学(本部:東京都新宿区、理事長:田中 愛治、責任者:宇髙 勝之 教授)は、AIの低消費電力化と高速化の実現を目指し、従来比で約17分の1の面積の光AIアクセラレーター用シリコン光回路を試作し、時系列データの予測を行うことに成功しました。AIの活用は拡大の一途をたどっており、莫大な数のコンピューターが必要とされています。KDDI総合研究所と早稲田大学はさらなる研究開発を進め、低消費電力、高速な光AIアクセラレーターの実用化に向けた基盤技術の確立を目指していきます。

【背景】

自然な文章を生成するAIを使ったチャットボットが公開され、世界中の注目を集めています。このような最先端を走るAIを動作させるためには莫大な数のコンピューターが必要であり、消費電力の削減や処理の高速化が課題となっています。一般に用いられるAIは電子回路上で動作していますが、一部の演算を光回路に置き換える光AIアクセラレーターは、消費電力の削減に有効で、かつ学習や推論の高速化が可能なことから、研究開発が盛んになっています。

中でもシリコン上に形成した光回路は、電子回路や他の光素子との集積化が容易な上、小型化できると期待されています。一方で光アクセラレーターを実用化するには、大規模に集積しやすくする必要があり、より一層の小型化が求められています。

【今回の成果】

KDDI総合研究所と早稲田大学は、従来比で約17分の1の面積の光AIアクセラレーター用シリコン光回路を試作し、時系列データの予測を行うことに成功しました。シリコン上に光回路(面積:0.25mm×0.92mm)を試作し、性能比較のため標準的に用いられているタスクであるSanta Fe波形(注1)の予測をさせたところ、正解データと予測データの誤差が非常に小さく、その構造の有効性を示すことができました。

【回路面積縮小の工夫】

これまで研究されてきたシリコン上に形成した光回路では、AIのモデルの一つであるリザバーコンピューティング(注2)を動作させるために、現在の情報と過去の情報を混ぜ合わせる必要があり、以下のいずれかの構造を採用していました。

  1. 信号をネットワーク状に形成された光回路で何度も混ぜ合わせる構造

現在の情報と過去の情報が効果的に混ざるようなタイミングとするためにネットワークの節間の距離を確保する必要があり、素子面積が広くなる(16mm2)。ニューロン数(神経細胞数)を増やすとさらなる面積が必要。

  1. 長い渦巻き状マルチモード光導波路構造

進む速度が異なる光波が多数存在できるマルチモード光導波路の性質を利用して現在の情報と過去の情報とを混ぜ合わせるために長い(4cm程度)光導波路が必要とされる。渦巻き状に収容しても2mm ×2mm 程度の面積が必要。

今回の試作では、構造2に比べて導波路幅を2倍広くし、さらには蛇行状の導波路構造を採用して長さを調整することにより、短い導波路長でゆっくりと進む光波(高次モード)を多数発生させ、さらには信号の高速化することで現在の情報と過去の情報が十分に混ざり合うように設計しました。

なお、今回の成果は米国サンノゼで開催される光エレクトロニクス関連の総合的な国際学術会議CLEO2023(The Conference on Lasers and Electro-Optics)において採択され、2023年5月8日(現地時間)に発表します。

【今後の展望】

光AIアクセラレーターがさまざまなシーンで利用されるように、光回路の構造探索や規模拡大を進め、GPUベースのAIアクセラレーターに比べて10分の1の低消費電力、かつ高速な光AIチップの基盤技術の確立を目指します。

■ KDDI総合研究所の取り組み

KDDI総合研究所は、2030年を見据えた次世代社会構想「KDDI Accelerate 5.0」を策定し、その具体化に向け、イノベーションを生むためのエコシステムの醸成に必要と考えられる「将来像」と「テクノロジー」の両面についてBeyond 5G/6Gホワイトペーパーにまとめました。新たなライフスタイルの実現を目指し、7つのテクノロジーと、それらが密接に連携するオーケストレーション技術の研究開発を推進します。今回の成果は7つのテクノロジーの中の「ネットワーク」に該当します。

■ 早稲田大学の取り組み

早稲田大学では、現在全学でカーボンニュートラル社会を目指した研究教育体制の構築に取り組んでいます。その中で、一層進展する高度情報化社会のための低消費電力大容量ネットワーク技術と並んでAIなどの高度情報処理技術の高速化・低消費電力化が不可欠と考えており、シリコンフォトニクス集積回路(SiPIC: Si Photonic Integrated Circuits)を用いた光信号処理デバイス技術の検討と実証を目指しています。

 

(注1)1992年に米国のSanta Feで開催された時系列予測コンテストにおいて使用された時系列データで、不安定なレーザーから出力されたパワー変動を記録したもので、予測性能を評価するときに標準的に用いられるデータの一つ。

(注2)時系列データの予測に主に適用される機械学習の手法の一つで、入力層、リザバー層(ランダムにニューロンが接続された層)、出力層からなる構造を有する。学習により出力層の結合の重みだけを変える単純さが特徴で、それにより高速な学習が可能となる。

アルファ線飛跡をリアルタイム画像に

著者: contributor
2023年4月27日 10:50

世界初 物質中のアルファ線飛跡のリアルタイム画像化に成功

アルファ線内用療法など、様々な研究分野への応用に期待

発表のポイント

  • 世界で初めて物質中のアルファ線の飛跡をリアルタイムで画像化することに成功
  • 新しい高分解能放射線イメージング検出器の開発により実現
  • アルファ線内用療法*1など、今後様々な研究分野への応用に期待

早稲田大学理工学術院の山本 誠一(やまもと せいいち)上級研究員(研究科教授)および片岡 淳(かたおか じゅん)教授らのERATO片岡X線ガンマ線イメージングプロジェクト(研究総括:片岡 淳教授)は、東北大学未来科学技術共同研究センターの吉野 将生(よしの まさお)准教授、鎌田 圭(かまだ けい)准教授、吉川 彰(よしかわ あきら)教授、矢島 隆雅(やじま りゅうが)大学院生、名古屋大学大学院医学系研究科総合保健学専攻の中西 恒平(なかにし こうへい)助教と共同で、高分解能放射線イメージング検出器を開発し、放射線の一種であるアルファ線が物質中を飛んでいる様子(飛跡)を短時間間隔の連続画像(リアルタイム画像)として可視化することに成功しました。アルファ線は、物質中では数十マイクロメートル程度と極めて短い距離しか飛ばないことから、アルファ線の物質中の飛跡をリアルタイムで観察することは、これまで不可能と考えられていました。今回、研究チームが新しいイメージング検出器を開発し、世界で初めてイメージングを可能にしたことで、今後、アルファ線を用いた放射線治療*2など、様々な科学分野への応用が期待されます。

本研究成果は、2023年4月26日(水)午前10時(英国時間・夏時間)にネイチャー・パブリッシング・グループのオンライン総合科学誌『Scientific Reports』で公開されました。

論文名:Development of an ultrahigh resolution real time alpha particle imaging system for observing the trajectories of alpha particles in a scintillator
DOI:10.1038/s41598-023-31748-9

(1)これまでの研究で分かっていたこと

アルファ線はX線やガンマ線などの放射線の一種で、最近では放射線治療の分野で注目されています。アルファ線は、物質中で飛んでから止まるまでの距離が数十マイクロメートルと極めて短い上に、放射線のエネルギーが高く、短い距離で大きなエネルギーを与えるので、細胞などが受けるダメージが大きいと考えられています。一方で、この性質を放射線治療に利用して、アルファ線を放出する核種をがん患者に投与して治療するアルファ線内用療法の研究も進んでいます。

アルファ線が放出される場所を短時間で特定し、飛ぶ範囲を確認するためには、アルファ線が物質中を線状に飛んでいる様子(飛跡)を観察する必要がありました。しかし、短時間間隔の連続画像(リアルタイム画像)で観察する技術は、これまで存在しませんでした。

(2)今回の研究で新たに実現しようとしたこと、明らかになったこと

今回の研究では、新しいイメージング検出器の開発により、アルファ線が実際に物質中を飛ぶ様子をリアルタイムで画像化することに成功しました。

(3)そのために新しく開発した手法

開発したアルファ線飛跡イメージング装置では、図1のように、放射線が当たって光を放出する透明な材料(シンチレータ*3)にアルファ線を当てます。これまで、アルファ線がシンチレータに入射しても飛跡が短く発光も微弱なため、この発光から線状の飛跡を明瞭に画像化することは困難と考えられていました。今回、アルファ線の飛跡画像化に適したシンチレータを開発し、これに超高感度カメラと超高倍率の画像拡大装置を組み合わせ、アルファ線がシンチレータ中を飛んだときに発生する短い飛跡の微弱な発光を、細長い鮮明な線状の画像として得ることに成功しました。

図1 開発したイメージング装置の原理図:アルファ線入射によりシンチレータ中に生じる短く微弱な発光を、超高感度カメラと超高倍率画像拡大装置の組み合わせにより、細長い線状の飛跡画像として測定

その結果、図2のようにシンチレータ中のアルファ線の飛跡を、一秒以下の明瞭な連続画像として得ることに成功し、動画として観察できるようになりました。

図2 アルファ線が物質中を飛ぶ画像(0.5秒測定):白色の細長い部分がアルファ線の飛跡

(4)研究の波及効果や社会的影響

開発した装置を用いると、粒子状のアルファ線放出核種からは、放射状に放出されるアルファ線画像が得られるものと期待されます。またアルファ線内用療法の細胞研究に応用すれば、腫瘍細胞などに取り込まれた核種から放出されるアルファ線の飛跡が画像化できる可能性もあります。

さらには、アルファ線の物質中の飛跡を、短時間の連続画像として画像化できるようになったことにより、高エネルギー物理実験分野などにも応用される可能性があります。今回のアルファ線飛跡の画像や動画は、霧箱*4のように一般の方にもイメージしやすく、放射線に関する科学教育などへの利用も期待できます。

(5)今後の課題

今回得られた画像におけるアルファ線飛跡はいろいろな形状をしていますが、これはシンチレータへのアルファ線の入射角度が異なるためです。形状の違いを利用して、アルファ線がシンチレータに入射した角度が計算できるので、アルファ線飛跡の三次元分布評価も可能と考えています。またアルファ線画像の明るさから入射したアルファ線のエネルギーを求めることもできます。

一方で、本研究グループは、今回実験に用いたシンチレータの表面状態の改良を進めています。表面状態が悪いと光の散乱が起こり、画質が低下します。表面を滑らかにすることで、より鮮明にアルファ線の飛跡が見えるようになり、画像をさらに拡大することによって、今以上に細かいアルファ線飛跡構造を観察できる可能性があると考えています。

(6)研究者のコメント

私たちはこれまで、長年に渡り、アルファ線が飛ぶところを光学的にリアルタイムで画像化できないかと考えていました。今回、シンチレータ中を飛ぶアルファ線を一秒以下の短時間間隔で画像化できるようになり、ようやく夢が実現しました。今後も次なる夢の実現に向けて、世界初の画期的な放射線検出器を開発し続けたいと考えています。

(7)用語解説

*1 アルファ線内用療法
アルファ線を放出する放射性物質を患者に投与して、がんを治療する方法

*2 放射線治療
がん患者を、放射線を用いて治療する方法。放射線の種類としては、X線やガンマ線、粒子線などが良く使われるが、最近はアルファ線を放出する放射性物質を患者に投与する治療方法の研究が進んでいる。

*3 シンチレータ
放射線が当たることにより発光する物質。放射線の検出や画像化するときに用いられる。

*4 霧箱
荷電粒子による電離により、気体中に分散している微粒子が集まり大きな粒子をつくる現象(凝結作用)を用いて荷電粒子の飛跡を検出する装置

(8)論文情報

雑誌名:Scientific Reports
論文名:Development of an ultrahigh-resolution, real-time alpha-particle imaging system for observing the trajectories of alpha particles in a scintillator
執筆者名:Seiichi Yamamoto1、Masao Yoshino2、Kei Kamada2、Ryuga Yajima2、Akira Yoshikawa2、Kohei Nakanishi3、Jun Kataoka1
1.早稲田大学 理工学術院
山本 誠一(論文責任著者)、片岡 淳
2.東北大学 未来科学技術共同研究センター
吉野 将生、鎌田 圭、吉川 彰、矢島 隆雅
3.名古屋大学 大学院医学系研究科総合保健学専攻
中西 恒平
掲載日時(英国時間・夏時間):2023年4月26日(水)午前10時
DOI:10.1038/s41598-023-31748-9

(9)研究助成

本研究は、戦略的創造推進事業 ERATO「片岡ラインX線ガンマ線イメージング」(R3~8年度;グラント番号 JPMJER2102)、科学研究費補助金基盤研究(B)「チェレンコフ光閾値以下のエネルギーの放射線照射による水の発光現象の医療応用」(R4~8年度;グラント番号22H03019)、および科学研究費補助金基盤研究(A)「マイクロ共晶体構造を応用した量子線弁別型超高解像度イメージング装置の開発」(R1~5年度;グラント番号19H00672)の支援を得て実施したものです。

【受験生の皆さまへ】2023年度基幹・創造・先進理工学部一般入試における記述解答問題の出題意図について

著者: staff
2023年4月24日 15:01

2023年度 基幹・創造・先進理工学部一般入試(2月16、17日実施)の「数学」「物理」「化学」「生物」「空間表現」の記述解答問題について、出題の意図を公表いたします。

2023年度理工一般 出題意図(数学)
2023年度理工一般 出題意図(物理)
2023年度理工一般 出題意図(化学)
2023年度理工一般 出題意図(生物)
2023年度理工一般 出題意図(空間表現)

※一般入試問題およびマーク解答問題の解答については、こちらを参照ください。

「Skyrmions in Spin-Orbitronics and Orbitronics – novel science and applications in memory & non-conventional computing」(2023/5/31)

著者: staff
2023年4月24日 13:27

演題:Skyrmions in Spin-Orbitronics and Orbitronics

– novel science and applications in memory & non-conventional computing

 

日時:2023年5月31日(水)15時15分~16時55分

 

会場:西早稲田キャンパス 55号館 N棟 1階 第2会議室

 

講師:Mathias Kläui(ヨハネス・グーテンベルク大学マインツ・教授)

 

対象:学部生・大学院生、教職員、学外者、一般の方

 

参加方法:入場無料、直接会場へお越しください。

 

主催:先進理工学研究科 物理学及応用物理学専攻

 

問合せ:応用物理学科 望月維人([email protected]

「有機薄膜太陽電池の高効率化に向けた材料設計」(2023/5/16)

著者: staff
2023年4月24日 13:12

演題:有機薄膜太陽電池の高効率化に向けた材料設計

 

日時:2023年5月16日(火) 16時00分~17時40分

 

会場:西早稲田キャンパス 65号館214室(応化会議室)

 

講師:尾坂 格(広島大学大学院 先進理工系科学研究科 応用化学専攻)

 

対象:学部生・大学院生、教職員、学外者、一般の方

 

参加方法:入場無料 直接会場へお越しください。

 

主催:先進理工学研究科 応用化学専攻

 

問合せ:早稲田大学 理工センター 総務課

 

TEL:03-5286-3000

2023年度 社会文化領域コース 進入説明会(6/1オンライン実施・ 要事前登録)のご案内

著者: staff
2023年4月21日 15:15

社会文化領域コース進入説明会を、2023年6月1日 (木) にオンラインで開催します。関心のある学生は、以下のポスターおよび社会文化領域ウェブサイト上の情報をよく確認し、必要な手続きをとってください。

Nature Communications誌のTop 25 Life and Biological Sciences Articles of 2022に選出

著者: contributor
2023年4月20日 12:02

2023年4月1日より本学に着任した理工学術院 先進理工学部 電気・情報生命工学科の水内良 専任講師らの論文が、2022年にNature Communications誌に掲載された生命・生物科学分野の論文のうち、もっともダウンロードされた25報である「Top 25 Life and Biological Sciences Articles of 2022」に選ばれました。生命・生物科学分野(Life and Biological Sciences)は、Nature Communications誌が設定した7つの分野:Health Sciences、SARS-CoV-2、Life and Biological Sciences、Social Sciences and Human Behaviour、Chemistry and Materials Sciences、Earth, Environmental, and Planetary Sciences、Physicsのうちのひとつになります。

選出された論文について

【表題】Evolutionary transition from a single RNA replicator to a multiple replicator network

【著者】Ryo Mizuuchi, Taro Furubayashi and Norikazu Ichihashi

【誌名・巻号等】Nature communications, 13(1), 1460 (2022)

水内講師は「原始地球において生命がどのように生まれたか」という、生命の起源をひもとく研究、特に、RNAなどの単純な生体分子から複雑な生命システムが生まれる道筋について、その解明に取り組んでいます。理論的には、このような進化の複雑化は、新しい複製因子が次々と登場し、互いに影響しあって複製ネットワークを形成することで起こりえると考えられていますが、その実証は困難でした。

本論文では、単純化したRNA複製システムを試験管内に構築し長期的に進化実験を繰り返すことで、複製→複製エラーによる突然変異と新たな形質の獲得→特定の変異と形質を持つ複製体の増加による進化を観察しました。その結果、突然変異により複製酵素の遺伝子が壊れた「寄生体RNA」が出現すること、またそれらの寄生体RNAが正常な宿主RNAの複製を一部阻害するものの、継代サイクルを240回転しRNAが約600世代の進化を経た後には、宿主と寄生体が共存した5種類のRNAに分岐して安定し、互いに複雑な複製ネットワークを形成することを明らかにしました。

今後さらに、これら複製システムが置かれる場=進化が起こる環境(区画構造)を工夫することで、どのような環境で進化が促進されるか、あるいはより長いRNA構造の獲得につながるか等の検討を進めることができると考えられます。

試験管内で自己複製するRNAが複雑なネットワークへと進化する様子を示した模式図

図 試験管内で自己複製するRNAが複雑なネットワークへと進化する様子を示した模式図(画像提供:水内良)

「大規模塩基配列情報を活用したRNAウイルス進化解析」(2023/5/16)

著者: staff
2023年4月19日 17:47

演題:大規模塩基配列情報を活用したRNAウイルス進化解析

 

日時:2023年5月16日(火) 16:00 – 17:40

 

会場:早稲田大学120-5号館 121会議室

※ハイブリットで開催いたします。遠隔参加希望の場合は以下参照

 

講師:中川 草(東海大学医学部基礎医学系分子生命科学 准教授)

 

対象:学部生・大学院生、教職員、学外者、一般の方

 

事前申込先:[email protected]

「お名前」「所属」「メールアドレス」を明記下さい。

早稲田大学の学生の場合は、学籍番号もご記入ください。

申し込みいただいた方に、zoomアドレスをお送りします。

 

主催:早稲田大学 先進理工学部 生命医科学科

 

問合せ:早稲田大学 理工センター 総務課

 

TEL:03-5286-3000

「The importance of ventilation for sleep quality」(2023/5/17)

著者: staff
2023年4月19日 13:20

演題:The importance of ventilation for sleep quality

 

日時:2023年5月17日(水) 15時00分~16時40分

 

会場:西早稲田キャンパス63号館2階04,05会議室

 

講師:Pawel Wargock

(Associate Professor, Department of Environmental and Resource Engineering, Technical University of Denmark)

 

対象:学部生・大学院生、教職員、学外者、一般の方

 

参加方法:入場無料 直接会場へお越しください。

 

主催:創造理工学部 建築学科・創造理工学研究科 建築学専攻

 

問合せ:早稲田大学 理工センター 総務課

 

TEL:03-5286-3000

「Prediction of dynamic behaviours of moisture and temperature in buildings」(2023/5/9)

著者: staff
2023年4月19日 13:19

演題:Prediction of dynamic behaviours of moisture and temperature in buildings

 

日時:2023年5月9日(火) 15時20分~17時00分

 

会場:西早稲田キャンパス63号館2階04,05会議室

 

講師:Hartwig Künzel(Head of department hygrothermics,FraunhorerInstitute for Bunding Physics)

 

対象:学部生・大学院生、教職員、学外者、一般の方

 

参加方法:入場無料 直接会場へお越しください。

 

主催:創造理工学部 建築学科・創造理工学研究科 建築学専攻

 

問合せ:早稲田大学 理工センター 総務課

 

TEL:03-5286-3000

Novel, Highly Sensitive Biosensor Set to Transform Wearable Health Monitoring

著者: contributor
2023年4月18日 10:58

Novel, Highly Sensitive Biosensor Set to Transform Wearable Health Monitoring

Researchers from Japan have developed a new wearable biosensor that can detect extremely small changes in tear glucose and blood lactate levels

Wearable wireless biosensors are an integral part of digital healthcare and monitoring. Commonly used chipless resonant antenna-based biosensors are simple and affordable, but have limited applicability due to their low sensitivity. Now, researchers from Japan have developed a novel, wireless, parity–time symmetry-based bioresonator that can detect minute concentrations of tear glucose and blood lactate. This highly sensitive, tunable, and robust bioresonator has the potential to revolutionize personalized health monitoring and digitized healthcare systems.

Researchers have developed a novel, wireless, PT-symmetric wearable resonator that can detect tear glucose and blood lactate levels in the micromolar range. The resonator is composed of an inductance–capacitance–resistance (LCR) reader and an LCR sensor with an enzyme-based chemiresistor. The setup has a high quality (Q) factor, making it highly sensitive.

Wireless wearable biosensors have been a game changer in personalized health monitoring and healthcare digitization because they can efficiently detect, record, and monitor medically significant biological signals. Chipless resonant antennae are highly promising components of wearable biosensors, as they are affordable and tractable. However, their practical applications are limited by low sensitivity (inability to detect small biological signals) caused by low quality (Q) factor of the system.

To overcome this hurdle, researchers led by Professor Takeo Miyake from Waseda University, Professor Yin Sijie from Beijing Institute of Technology, and Taiki Takamatsu from Japan Aerospace Exploration Agency, have developed a wireless bioresonator using “parity–time (PT) symmetry” that can detect minute biological signals. Their work has been published in Advanced Materials Technologies.

In this study, the researchers designed a bioresonator consisting of a magnetically coupled reader and sensor with high Q factor, and thus, increased sensitivity to biochemical changes. The reader and sensor both comprise an inductor (L) and capacitor (C) that are parallel-connected to a resistor (R). In the sensor, the resistor is a chemical sensor called a “chemiresistor” that converts biochemical signals into changes in resistance. The chemiresistor contains an enzymatic electrode with an immobilized enzyme. Minute biochemical changes at the enzymatic electrode (in response to changes in the levels of biomolecules such as blood sugar or lactate) are thus converted into electrical signals by the sensor, and then amplified at the reader.

Explaining the technical concept behind their novel biosensor, Miyake says, “We modeled the characteristics of the PT-symmetric wireless sensing system by using an eigenvalue solution and input impedance, and experimentally demonstrated the sensitivity enhancement at/near the exceptional point by using parallel inductance–capacitance–resistance (LCR) resonators. The developed amplitude modulation-based PT-symmetric bioresonator can detect small biological signals that have been difficult to measure wirelessly until now. Moreover, our PT-symmetric system provides two types of readout modes: threshold-based switching and enhanced linear detection. Different readout modes can be used for different sensing ranges.”

The researchers tested the system (here containing a glucose-specific enzyme) on human tear fluids and found that it could detect glucose concentrations ranging from 0.1 to 0.6 mM. They also tested it with a lactate-specific enzyme and commercially available human skin and found that it could measure lactate levels in the range of 0.0 to 4.0 mM through human skin tissue, without any loss of sensitivity. This result further indicates that the biosensor can be used as an implantable device. Compared to a conventional chipless resonant antenna-based system, the PT-symmetric system achieved a 2000-fold higher sensitivity in linear and a 78% relative change in threshold-based detection respectively.

Sharing his vision for the future, Miyake concludes, “The present telemetry system is robust and tunable. It can enhance the sensitivity of sensors to small biological signals. We envision that this technology can be used for developing smart contact lenses to detect tear glucose and/or implantable medical devices to detect lactate for efficient monitoring of diabetes and blood poisoning.”

This novel PT-symmetric wireless wearable bioresonator may soon usher in a new era of personalized health monitoring and efficient digitized healthcare systems!

Reference

Title of original paper: Wearable, Implantable, Parity-Time Symmetric Bioresonators for Extremely Small Biological Signal Monitoring
DOI: 10.1002/admt.202201704
Journal: Advanced Materials Technologies
Article Publication Date: 08 April 2023
Authors: Taiki Takamatsu1, Yin Sijie1, Takeo Miyake1,2
Affiliations:
1 Faculty of Science and Engineering, Graduate School of Information, Production and Systems, Waseda University, Japan
2 PRESTO, Japan Science and Technology Agency, Japan

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