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Global Entrepreneurship Network 2025 特別シンポジウム「ベンチャービジネスの醍醐味は何だろう?」開催

著者: staff
2025年11月6日 11:35

2025年11月15日(土)16:50-21:10、Global Entrepreneurship Network(GEW)2025の一大イベントとして、「ベンチャービジネスの醍醐味は何だろう?:What is Real Pleasure of Venture Business?」と題した特別シンポジウムを渋谷QWS スクランブルホールにおいて、早稲田大学理工学術院、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科、上智大学が合同共催で開催します。

宇宙・AI・量子・ナノテク・メタバースの分野で注目のスタートアップのキイパーソンらが登壇し、これまでの道のりや今後の展開など熱い思いを語ります。さらに、パネルディスカションでは会場の皆さんとインタラクティブに議論します。理工学術院の卒業生、現役学生の起業家も登壇します。

万障お繰り合わせの上、ご参加ください。

◆開催日時:2025年11月15日(土)16:50-21:10

◆参加申込み先:https://qws-academia1115.peatix.com/

◆会場:渋谷スクランブルスクエア15階 SHIBUYA QWS スクランブルホール

◆プログラム

16:50-17:00 開会挨拶 西口 尚宏(Global Entrepreneurship Network 日本代表/上智大学 特任教授)

【宇宙】

17:00-17:30 基調講演 白坂 成功(株式会社シンスペクティブ 共同創業者/慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科 委員長)

17:30-17:50 講演 畠山 祥(Number ホールディングス 代表/総合研究大学院大学 博士2年)

17:50‐18:10 講演 田中 克明(株式会社amulapo 代表取締役CEO)

【AI】

18:10-18:30 講演 松山 洋一(株式会社エキュメノポリス 代表取締役CEO)

18:30-18:50 講演 丸山 祐丞(EAGLYS株式会社 CSO)

18:50-19:00 休憩

【量子】

19:00-19:20 講演 武笠 陽介(株式会社Quanmatic代表取締役CTO)

【ナノテク】

19:20-19:40 講演 平野 梨伊(グラフェナリー株式会社 代表取締役社長)

【メタバース】

19:40-20:00 講演 田中 大貴(株式会社Urth CEO/早稲田大学 建築学専攻 博士3年)

20:00-20:30 パネルディスカション1

パネリスト 白坂 成功/畠山 祥/田中 克明/松山 洋一 モデレーター 朝日 透

20:30-21:00 パネルディスカション2

パネリスト 丸山 祐丞/武笠 陽介/平野 梨伊/田中 大貴 モデレーター 朝日 透

21:00-21:10 閉会挨拶 朝日 透(早稲田大学 先進理工学部長・研究科長)

司会 野中 朋美(早稲田大学 創造理工学部 教授)/松本 綾香(早稲田大学 一貫制博士課程 先進理工学専攻2年)

*GLOBAL ENTREPRENEURSHIP WEEK とは、Global Entrepreneurship Network(GEN)が毎年11月に世界180カ国以上で同時期に開催するイベントです。今年は2025年11月17日(月)〜11月23日(日)に開催します。GEW2025は起業家精神を育むためのグローバルなフェスであり、「起業を身近なものに、誰もが挑戦できるものに」というメッセージを掲げ、世界中の政府機関、企業、大学、スタートアップ支援団体が連携して、さまざまなイベントを実施しています。

◆主催:SHIBUYA QWS Innovation 協議会

◆共催:早稲田大学理工学術院、早稲田大学グローバル科学知融合研究所、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科、上智大学、Global Entrepreneurship Network、文部科学省 宇宙航空科学技術推進委託費「ECLSS環境における人間の快適性を支える製品・サービスデザイン人材育成プログラム」、サスティナブルな未来食の普及に向けた産官学共創コンソーシアム、Beyond 2020 NEXT PROJECT

◆後援:ベンチャー稲門会

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近赤外光も利用可能なアップコンバージョン型ペロブスカイト太陽電池の開発に成功

著者: contributor
2025年10月29日 15:14

近赤外光も利用可能なアップコンバージョン型
ペロブスカイト太陽電池の開発に成功

~色素増感型希土類ナノ粒子とのハイブリッド化により近赤外光を可視光に変換して活用~

発表のポイント

  • 近赤外光※1を電気エネルギーに変える新技術を開発。
  • 有機色素と希土類※2ナノ粒子を組み合わせ、近赤外光を可視光に変換。
  • 色素増感型希土類ナノ粒子により可視光に変換されたエネルギーを鉛系ペロブスカイト太陽電池が吸収(利用)することで、高効率・広帯域な太陽光利用を可能とする次世代太陽電池の開発につながると期待。

概要

太陽光発電は再生可能エネルギーの中でも最も注目される技術ですが、現在の主流である鉛系ペロブスカイト※3太陽電池は主に「可視光」しか利用できず、太陽光の半分近くを占める「近赤外光」は無駄になっていました。一方、赤外光感度を有する系ペロブスカイト太陽電池では変換効率が低いという問題がありました。早稲田大学理工学術院石井 あゆみ(いしい あゆみ)准教授、桐蔭横浜大学医用工学部の宮坂 力(みやさか つとむ)特任教授らの研究グループは、微弱な近赤外光を吸収できる有機色素を希土類系ナノ粒子に固定化し、その光を「アップコンバージョン※4」により可視光へと変換する技術を開発しました。さらに、このナノ粒子をペロブスカイト太陽電池に組み込むことで、従来の鉛系ペロブスカイト素子では利用できなかった近赤外光を電気に変換することに成功しました。本研究は、従来の限界を超える次世代型の高効率太陽電池の実現に大きく貢献する可能性のある成果です。

本研究成果は、2025年10月23日(木)に『Advanced Optical Materials』に掲載されました。

図:色素増感型希土類アップコンバージョンナノ粒子が太陽光スペクトルの近赤外領域を吸収し可視光に変換、その可視光をペロブスカイトが吸収し発電する。

キーワード

近赤外光、 アップコンバージョン、ペロブスカイト太陽電池、色素増感、希土類ナノ粒子、有機無機ハイブリッド

これまでの研究で分かっていたこと

太陽光発電は再生可能エネルギーの中でも特に期待されている技術であり、その中でも「ペロブスカイト太陽電池」は高い変換効率と低コストな製造法から、シリコンに次ぐ次世代太陽電池として注目を集めてきました。近年の研究により、ペロブスカイト太陽電池はすでに変換効率26%を超える成果を上げており、シリコン太陽電池に迫る性能を示しています。ペロブスカイト太陽電池は、太陽光の中で主に可視光領域の光を利用します。一方で金属にスズ(Sn)を使うことで近赤外の光を利用することもできますが、スズ系ペロブスカイトでは鉛系の材料に比べて品質がまだ十分でなく、また、シリコン半導体のようにバンドギャップが小さいために出力電圧が0.9 V以下に落ちて変換効率も低下するのが欠点でした。

これに対し、この近赤外光を有効に利用する技術のひとつとして「アップコンバージョン」が古くから研究されてきました。アップコンバージョンとは、低エネルギーの近赤外光を吸収し、それを組み合わせて高エネルギーの可視光に変換する現象です。特に希土類イオンを含むナノ粒子は、赤外光を可視光へ変換できる性質を持つため、光デバイスやバイオイメージングなど幅広い分野で注目されてきました。しかし、この希土類材料には大きな課題がありました。光を吸収する能力が非常に低く、レーザーのような強力な光を当てなければ十分な発光を得られなかったのです。そのため、太陽光のような自然光の下では実用化が難しいとされてきました。

そこで近年、新しいアプローチとして「有機色素による光増感」が提案されました※5。有機色素は近赤外光を強く吸収できるため、これを希土類イオンに組み合わせることで光吸収の弱点を補える可能性があると考えられてきました。実際に、近赤外光を吸収する色素をナノ粒子に付加し、そのエネルギーを希土類イオンへと移すことで、弱い励起光でもアップコンバージョン発光を引き出す研究成果が報告されています※6。ただし、色素とナノ粒子の結合安定性、また太陽電池材料との適合性といった課題が残されていました。

つまりこれまでの研究では、ペロブスカイト太陽電池は「可視光の高効率利用」に優れる一方で、「近赤外光を十分に利用できない」あるいは「近赤外光を取り入れると変換効率が低下する」という課題に直面していました。一方、アップコンバージョン技術は近赤外光を利用する有望な手段として知られていましたが、光吸収効率が極めて低いという根本的な制約がありました。本研究では、この問題を解決するために、波長の長い「近赤外光」を光吸収係数の高い有機色素によって効率的に吸収し、そのエネルギーをアップコンバージョン過程を通じて高エネルギーの可視光に変換し、最終的にペロブスカイト層で光電変換に利用する手法を採用しました。このアップコンバージョンを組み込んだペロブスカイト太陽電池により、近赤外光のエネルギーを可視光吸収に相当する高電圧出力へと変換することに成功しました。具体的には、1.2 Vに近い開放電圧を維持しながら赤外光感度を得ることに成功し、エネルギー変換効率として16%以上を達成しました。

今回の新たに実現しようとしたこと、明らかになったこと、そのために新しく開発した手法 

今回の研究で目指したのは、「ペロブスカイト太陽電池に近赤外光の利用機能を持たせること」でした。ハロゲン化鉛系ペロブスカイトは、太陽光の中で主に可視光領域の光を吸収します。ここで、近赤外光も吸収し、それを可視光に変換して電池に取り込めれば、太陽光をより幅広く利用でき、発電効率の飛躍的な向上が期待されます。

そのために本研究グループは、「有機色素を化学的に結合した希土類系アップコンバージョンナノ粒子」を開発しました(図1)。具体的には、まず近赤外光を強く吸収する有機色素の一つであるインドシアニングリーン(ICG)を選び、その分子を希土類イオンを含むナノ粒子の表面に固定しました。ICGは太陽光の中の近赤外領域の光を効率よく吸収することができ、そのエネルギーをナノ粒子内部の希土類イオンへと渡します。その結果、弱い近赤外光でも希土類イオンから可視光が放出されるようになりました。

さらに、このナノ粒子の表面を「ペロブスカイト(CsPbBr3)」で覆うという界面処理を新たに導入しました(図2)。この処理により、粒子表面でのエネルギー損失が抑えられるだけでなく、太陽電池の本体であるCsPbI3ペロブスカイト層との親和性が高まりました。つまり、異なる材料同士を組み合わせても、結晶構造が乱れたり欠陥が増えたりせず、むしろ滑らかに組み込めるようになったのです。

この改良型アップコンバージョンナノ粒子をCsPbI3太陽電池に導入したところ、従来のセルと比べて光電流密度が顕著に増加しました。つまり、これまで利用できなかった近赤外光がアップコンバージョンナノ粒子により可視光に変換されたのち、ペロブスカイトがそのエネルギーを吸収することで電気へと変換されていることを実証できたのです(図3)。さらに、分光感度スペクトル(IPCE)の測定からも、通常では応答のない近赤外領域で確かな電流応答が確認されました(図4)。これらの結果は、色素→希土類→ペロブスカイトという多段階のエネルギー移動を介した近赤外光での発電が確かに生じていることを示しています。

このようにして本研究では、近赤外光を効率よく吸収できる有機色素と、アップコンバージョン能力を持つ希土類ナノ粒子、そして高効率なペロブスカイト太陽電池を組み合わせるという新しい手法を確立しました。これにより、従来のペロブスカイト太陽電池が抱えていた「近赤外光利用の壁」を越え、太陽光全体をより効率的に活用するための基盤を築いたと言えます。

図1 色素増感型希土類アップコンバージョンナノ粒子の構造と近赤外光照射下での可視光発光の写真

図2  CsPbBr₃で被覆したアップコンバージョンナノ粒子の構造とペロブスカイト受光層への導入した際の断面SEM像

図3 左:色素増感型アップコンバージョンナノ粒子の吸収と発光特性。 発光波長はペロブスカイト層の吸収と一致する。 右:エネルギーダイアグラム。ペロブスカイト層内に置いて、 色素→希土類→ペロブスカイトという多段階のエネルギー移動が生じる。

図4 左:太陽光照射下(1sun)での電流-電圧特性(緑:ナノ粒子あり、黒:ナノ粒子なし)。右:アップコンバージョンナノ粒子を含むペロブスカイト素子の分光感度スペクトル。

研究の波及効果や社会的影響

本研究の成果は、太陽電池のエネルギー変換効率を大きく押し上げる可能性を秘めています。従来、太陽光発電の理論限界(ショックレー・クワイサー限界)は「受光層の吸収帯(バンドギャップ)に基づく設計」によって規定されてきましたが、今回のように近赤外光を可視光へと変換して取り込む仕組みを導入することで、その限界を超える道が開けます。これは学術的にも大きな意義を持ち、太陽電池研究の新しい方向性を提示するものです。

社会的には、再生可能エネルギーの効率向上に直結する成果です。特に太陽光発電は設置面積に制約があるため、同じ面積でより多くの電力を生み出せる技術は、普及を加速させる強力な鍵となります。加えて、今後この技術が大規模なソーラーファームだけでなく、住宅用パネルや携帯機器、さらには建物や車の窓に組み込まれる太陽電池にも応用されれば、日常生活におけるエネルギー自給の可能性を広げることになります。

今後の課題、展望

今回の成果は近赤外光を利用した発電の実証という大きな一歩ですが、実用化に向けてはまだ課題が残されています。まず、色素やナノ粒子が太陽電池内で長期間安定して働くかどうか、耐久性の評価が必要です。ペロブスカイト自体の安定性も未解決の課題であり、湿気や熱による劣化を防ぐ工夫が求められます。また、今回の研究では鉛を含む材料を用いていますが、環境負荷を軽減するためには「鉛フリー」の代替材料を探索することも今後の重要な方向性です。

展望としては、この技術を大面積のパネルへ応用するスケールアップ研究や、さらに高効率な色素やナノ粒子の開発が進めば、理論限界を超える超高効率太陽電池の実現が現実味を帯びてきます。持続可能な社会を支える基盤技術として、再生可能エネルギー利用の大きな進展に寄与することが期待されます。

研究者のコメント

太陽光の中でこれまで利用できていなかった近赤外光を電気に変えることができれば、太陽電池の性能は飛躍的に向上します。本研究はそのための一つの具体的な解決策を提示できた成果だと考えています。今後は安定性や環境性の課題に取り組み、より持続可能で実用的な次世代太陽電池の実現を目指して研究を進めていきたいと思います。

用語解説

※1 近赤外光:
およそ750~2500 nmの領域の光で、人の目には「見えない光」。私たちが地上で受ける太陽光エネルギーの約4割を占める。

※2 希土類:
周期表のランタニド系列(La~Luの15元素)に加えて、スカンジウム(Sc)やイットリウム(Y)を含む17元素を指す。地殻中に比較的豊富に存在する。希土類元素を含むアップコンバージョン材料は古くから報告されており、例えば、イッテルビウム(Yb)イオンからエルビウム(Er)やツリウム(Tm)イオンへのエネルギー移動を介することで、980 nmの近赤外光を青・緑・赤色などの可視光に変換することができる。一方で、アップコンバージョン発光は、希土類イオンの離散的なエネルギー準位間の電子遷移を利用した現象であり、禁制遷移であることから、発光効率が著しく低く(1%程度)、光吸収能も非常に低い(モル吸光係数e = 1-10 dm3mol−1cm−1、有機色素の1/10000)。

※3 ペロブスカイト:
天然鉱物カルシウムチタン酸塩(CaTiO3)の結晶構造に由来する、一般式 ABX₃(A:有機または無機カチオン、B:金属カチオン、X:ハロゲン陰イオン)で表されるペロブスカイト型結晶構造をもつ化合物群の総称。太陽電池分野では主に、ハロゲン化鉛ペロブスカイト(例:CH3NH3PbI3、CsPbI3など)が利用されている。これらの化合物は、高い光吸収係数、長いキャリア拡散長、低い欠陥密度、溶液プロセスによる低温製膜が可能といった特性を有しており、高い光電変換効率を実現できる次世代光電変換材料として注目されている。

※4 アップコンバージョン:
アップコンバージョンとは、2つ以上の光子が連続して吸収されることで、励起波長よりも短波長の光が放出される現象であり、近赤外光などの低いエネルギーの光を可視や紫外光といった高いエネルギーに変換することができる。代表的な機構として、有機系材料の二光子吸収や三重項―三重項消滅、希土類イオンを含むナノ粒子の多段階励起などが挙げられ、古くから研究が行われている。

※5  A. Ishii, M. Hasegawa, “Solar-Pumping Upconversion of Interfacial Coordination Nanoparticles”, Sci. Rep., 7, 41446 (2017).

※6  A. Ishii, Y. Adachi, A. Hasegawa, M. Komaba, S. Ogata, M. Hasegawa, “Multicolor Upconversion Luminescence of Dye-Coordinated Er3+ at the interface of Er2O3 and CaF2 nanoparticles”, Sci. Tech. Adv. Mater., 20, 44-50 (2019).

論文情報

雑誌名:Advanced Optical Materials
論文名:NIR-Harvesting Upconversion CsPbI3 Perovskite Solar Cells with Dye-Hybridized Nanoparticles
執筆者名(所属機関名):Ayumi Ishii,*[a] Shuhei Matsumura,[a] Mitsunori Ota,[b] Ryusuke Mizoguchi,[b] and Tsutomu Miyasaka*[c]*責任著者

[a] Department of Chemistry and Biochemistry, School of Advanced Science and Engineering, Waseda University
[b]Faculty of Life & Environmental Sciences, Teikyo University of Science
[c]Graduate School of Engineering, Toin University of Yokohama

掲載日時:2025年10月23日(木)
DOI: https://doi.org/10.1002/adom.202501682
掲載URL: https://advanced.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/adom.202501682

研究助成

研究費名:JST さきがけ(JPMJPR17P2)A-STEP(JPMJTR23T8)
研究課題名:光エネルギー超高効率利用を可能とする有機無機ハイブリッドアップコンバージョン材料の開発
研究代表者名(所属機関名):石井 あゆみ(早稲田大学)

世代を超えてテロメアDNAを維持する新たな仕組み

著者: contributor
2025年10月24日 16:49

世代を超えてテロメアDNAを維持する新たな仕組み
線虫テロメレースRNAによる「イントロン・ヒッチハイク」

概要

理化学研究所(理研)生命機能科学研究センター配偶子形成研究チームの澁谷大輝チームディレクター、竹田穣基礎科学特別研究員、石田森衛研究員、梶川絵理子テクニカルスタッフⅠ、発生ゲノムシステム研究チームの近藤武史チームディレクター、生命医科学研究センター高機能生体分子開発チームの田上俊輔チームディレクター、東京大学定量生命科学研究所の齊藤博英教授、早稲田大学理工学術院の浜田道昭教授らの国際共同研究グループは、線虫[1]のテロメレース[2]RNAが遺伝子のイントロン[3]中に存在することを発見し、生殖細胞でテロメア[2]が次世代に向けて伸長される新しいメカニズムを解明しました。
本研究成果は、世代をまたいでDNAを継承する生物生存戦略の新たな分子メカニズムを提案し、生命進化の理解に貢献するものです。
真核生物のDNA末端にあるテロメアは細胞分裂のたびに短縮するため、やがて細胞は染色体を維持できなくなり寿命を迎えます。しかし、次世代へと引き継がれる唯一の細胞系譜である生殖細胞では、テロメアが伸長されて次世代に伝達され、世代を経てもテロメアが短縮することなく、種の存続が担保されます。
今回、国際共同研究グループは、テロメアを伸長する酵素の活性化に必須なテロメレースRNAを線虫で同定したところ、既知の生物種の中で唯一、線虫のテロメレースRNAだけが、タンパク質をコードする遺伝子のイントロンに存在する特殊なRNAであることを発見しました。生殖細胞で発現する遺伝子のイントロンにテロメレースRNAが「ヒッチハイク」することで、次世代に向けた生殖細胞特異的なテロメアの伸長を行い、種の存続を保証するという巧妙な仕組みが明らかになりました。
本研究は、科学雑誌『Science』オンライン版(10月23日付:日本時間10月24日)に掲載されました。

イントロン・ヒッチハイクにより線虫の生殖細胞(青)で発現するテロメレースRNA(赤)

 

背景

真核生物の染色体は線状のDNAで構成されています。細胞が分裂するとき、染色体DNAはDNA合成酵素の働きにより複製されますが、酵素反応の仕組み上、染色体末端のDNA(テロメア)には複製できない領域が残されます。従ってテロメアは細胞分裂のたびに短縮され、これにより、体をつくる細胞の寿命(分裂回数の上限)が規定されます。一方、次世代へと引き継がれる唯一の細胞系譜である生殖細胞では、テロメアが十分に伸長されて次世代に伝達されることで、種の存続が担保されています(図1左)。もしテロメアが生殖細胞で伸長されなければ、テロメアは世代を経るごとに徐々に短縮され、最終的に種は絶滅に至ります。
テロメアの伸長には、細胞分裂の際に働くDNA合成酵素とは異なる「テロメレース」と呼ばれる酵素が必要なことが知られています。テロメレースは、タンパク質とRNAから成るホロ酵素[4]として機能し、RNAを鋳型として逆転写反応[5]によりDNAを合成し、テロメアを伸長させます(図1右)。例えば、半永続的に増殖する多くのがん細胞では、このテロメレースが異常に活性化することでテロメアが維持され、分裂限界を超えて半永続的に増殖できます。一方、健康な生体内では、例外的に幹細胞と生殖細胞のテロメレースが活性化されています。特に生殖細胞では、その特別に長いテロメアを維持するために、体性幹細胞にも増してテロメレースの活性が高いことが知られています。転写制御など一部の調節機構は明らかになってきているものの、テロメレースの組織特異的な活性化メカニズムの全体像はまだ十分には解明されていません。

図1テロメアの長さの制御

 

左:テロメアは細胞分裂のたびに短縮するが、がん化した細胞や体性幹細胞ではテロメレースが活性化することで、比較的長いテロメアが維持される。生殖細胞は中でも特殊で、次世代へとテロメアを伝達するために、非常に長いテロメアが維持されるが、そのメカニズムの多くは未解明である。
右:テロメレースは逆転写酵素であるタンパク質と鋳型RNAから構成される。逆転写反応により、RNAを鋳型としてテロメアDNAを合成する。

澁谷チームディレクターは、生殖細胞におけるテロメレース活性やテロメアが世代を超えて維持される仕組みを調べるため、世代時間が3日と短い線虫(Caenorhabditis elegans、以下C. elegans)を用いて研究してきました。C. elegansのテロメレースの構成分子のうち、テロメレースタンパク質TRT-1は、ヒトのテロメレースタンパク質との相同性から、2006年に同定されています。しかし、その酵素活性に必須な相方となるテロメレースRNAは、先行研究における試行錯誤にもかかわらず、C. elegansやその他の線形動物門に属する線虫類いずれにおいても発見されていませんでした(図2)。これは線虫類のテロメレースRNAが他の動物のものとは全く異なる配列や構造を有する可能性や、あるいは特殊なゲノム上の位置に存在することで、通常の遺伝子予測では発見が難しい特殊なRNAであることに起因すると推測されていましたが、詳細は明らかになっていませんでした。

図2 後生動物のテロメレースRNA

 

海綿動物からヒトに至る多くの後生動物でテロメレースRNAが同定されている。これらは全て独自のプロモーターから転写されるnon-coding RNA遺伝子としてコードされており、H/ACAタイプの核小体低分子RNA(snoRNA)に似た配列を持つ。線虫を含む線形動物門では、いまだにテロメレースRNAは未同定であった。なお昆虫類では例外的に、H/ACAタイプとは異なる核内低分子RNA(snRNA)タイプのテロメレースRNAを持つもの(ハチ目)、small non-coding RNAタイプを持つもの(鱗翅目(りんしもく))、トランスポゾン転移型のテロメアを持つもの(ショウジョウバエ)がいる。

研究手法と成果 

テロメレースの発現量は多くの生物において、テロメアの異常な伸長を防ぐために必要最小限に抑えられていることが知られています。この絶対量の少なさが生体内でテロメレースを研究する上での大きな障壁の一つになっています。国際共同研究グループは、C. elegansのテロメレースRNAを同定するために、まず遺伝子改変した線虫個体からテロメレースタンパク質TRT-1を大量につくらせて、精製し、そこに結合するRNAをeCLIP法[6]により回収するスクリーニング手法を考案しました。その結果見つかったRNAは、予想外なことにモータータンパク質[7]をコードする遺伝子nmy-2[7]のイントロン領域の配列であることが分かりました(図3)。国際共同研究グループはこのRNA配列をテロメレースRNAの候補として、「telomerase RNA component-1(terc-1)」と命名しました。

図3 C. elegansテロメレースRNA「terc-1」の発見

 

テロメレースタンパク質TRT-1に結合するRNAを回収し、その配列を解読した。さまざまな長さのRNAが回収されたが、それらと一致するゲノム配列を検索したところ、モータータンパク質をコードする遺伝子nmy-2のイントロン領域のセンス鎖(タンパク質合成に直接関わる情報を含む鎖)に集中していた。この領域には、C.elegansのテロメアDNA配列に見られる繰り返し配列5’-(TTAGGC)-3’に相補的な「鋳型配列(5’-UAAGCCUAAG-3’)」が含まれていた。一方、TRT-1なしにRNAを回収した場合には、nmy-2遺伝子に対応する配列は見いだされなかった(コントロール)。

イントロンは、遺伝子内にあるいわゆる「ジャンク配列[3]」であり、通常は遺伝子が転写された後に切り捨てられて分解されます。イントロンに存在する長鎖非コードRNA[3](intronic long non-coding RNA)がテロメレースRNAを生成する例は、菌や植物を含めた全真核生物でこれまで報告がなく、この実験結果はにわかには信じ難いものでした。しかし、C. elegansに近縁な他の線虫類においても、nmy-2のイントロン領域に類似した配列が確認され、これらは2次構造の面でも高い類似性を示したことから、terc-1が線虫類に保存された配列であることが分かりました。また、①terc-1の配列には、C. elegansテロメアDNAに相補的な「鋳型配列[8]」が含まれていました(図3)。②terc-1配列を欠失させた遺伝子改変線虫は世代を経るごとに徐々に産仔(さんし:出産)の数が減少し、最終的に約15世代以内に死滅しました。③これらの遺伝子改変線虫のテロメアDNAの長さを調べたところ、世代を経るごとに徐々にテロメアが短縮していました(図4)。これらの観察結果などから、terc-1がテロメレースRNAとしての機能を有しており、世代を超えたテロメアの維持や個体群の存続に必須な役割を持つことが証明されました。

図4 terc-1変異体で見られるテロメアの経世代的な短縮

 

C. elegansの全細胞からDNAを回収し、テロメアの長さを可視化した電気泳動像。テロメアの長さは細胞によってさまざまだが、野生型C. elegansの泳動像と比較し、terc-1の全長を欠損させた個体や鋳型配列を欠損した個体、およびテロメレースタンパク質TRT-1を欠損させた個体では、テロメアが世代を経るごとに徐々に短縮することが分かる。これらの欠損個体群は、最終的に約15世代で死滅した。kbp(k=1,000、bp=塩基数):核酸の長さを表す単位。

次に国際共同研究グループは、C. elegansの細胞内でterc-1が生成される仕組みを調べました。マウスやヒトの場合は、テロメレースRNAをつくるための専用の遺伝子が存在し、その遺伝子からまず前駆体RNAが転写された後、不要な配列が削られて成熟したテロメレースRNAになります。一方、C. elegansでは、nmy-2遺伝子が転写された後にイントロンが切り離される過程である「スプライシング[9]」がterc-1の発現に必須であり、このスプライシングを阻害するような変異を入れた線虫株ではterc-1が全く発現せず、terc-1欠損個体同様にテロメアの経世代的な短縮が観察されました。さらに、前駆体RNA(スプライシングされたイントロンRNA)から不要な配列を削り「成熟型のテロメレースRNA(terc-1)」を形成する過程はC. elegansにも存在しましたが、この過程を担うタンパク質は哺乳類のものとは異なり、RNA分解酵素に近いものであることが分かりました。
最後に、国際共同研究グループは「なぜterc-1はnmy-2遺伝子のイントロンに存在する必要があるのか」という最大の疑問に答える検証実験を考案しました。そこで、terc-1を本来のnmy-2遺伝子のイントロンから、組織特異的な発現を示す別の遺伝子のイントロンに移植した遺伝子改変C. elegansをゲノム編集技術により作製し、経世代的に観察することでその個体群が存続可能かを検証しました。
その結果、生殖細胞特異的に発現する遺伝子や、生殖細胞を含む全身細胞に発現する遺伝子のイントロンにterc-1を移植した個体群ではテロメアが世代を超えて維持されることが明らかになりました(図5)。またこれらの個体群は実験室で半永久的に継代飼育することが可能でした。それに対して、生殖細胞では発現しない遺伝子(例えば皮下組織、筋組織、神経細胞、咽頭組織特異的な遺伝子)のイントロンにterc-1を移植した個体群は、terc-1欠損個体同様にテロメアの極度な短縮により約15世代以内で絶滅することが明らかになりました(図5)。

図5 terc-1の移植実験

 

terc-1をnmy-2遺伝子のイントロンから、組織特異的な発現を示す遺伝子のイントロンへと移植した(左図)。生殖細胞特異的に発現する遺伝子(pgl-1)や、生殖細胞を含む全身で発現する遺伝子(eft-3)のイントロンに移植した場合のみ、後期世代においてもテロメアが野生型と同じレベルの長さに維持されていた(右図)。Chr:Chromosomeの略で染色体。

nmy-2遺伝子も、生殖細胞で発現が亢進(こうしん)することが知られており、これらの実験結果を併せて考えると、terc-1が生殖系列で活性化する遺伝子のイントロンに「ヒッチハイク」することで、ホスト遺伝子のプロモーター[10]依存的に発現し、スプライシング過程を経て成熟し、生殖細胞におけるテロメアの伸長を担保しているという、大変巧妙な種の生存戦略が浮かび上がってきました。
また、生殖腺だけで特異的に発現するpgl-1遺伝子のイントロンに移植した場合でもテロメアが経世代的に維持されたことから(図5)、C. elegansでは生殖細胞以外の全身の細胞のテロメアを維持する上で、生殖腺におけるテロメレースの活性化が必要十分であることも同時に証明されました。

今後の期待

テロメレース活性化のメカニズムはこれまで細胞のがん化との関連で盛んに研究されてきましたが、本研究を皮切りに、正常な生体内におけるテロメレース活性化制御の研究が進展することが期待されます。テロメレースの活性化は幹細胞の維持や種の存続に必須であり、その制御メカニズムの解明は基礎生物学および医学的な観点から今後重要な課題といえます。
本研究で見つかったnmy-2遺伝子イントロン中のテロメレースRNA様の配列は、C. elegansのみならず、近縁種のC. briggsaeやC. japonicaにおいても存在することから、イントロン・ヒッチハイクによるテロメレースRNA発現制御は線虫類に広く保存されたメカニズムであると考えられます。一つの仮説として、タンパク質をコードしない機能的RNAを組織特異的に発現させる仕組みとして、イントロン・ヒッチハイクはテロメレースRNAにとどまらず、経世代的なエピジェネティック形質の遺伝や生殖細胞の発生に機能する非コードRNAやsmall RNA[3]などにも同様に用いられている可能性があります。本研究から浮かび上がったこの新たな問いを追究することで、世代を超えて(進化のレベルでは種を超えて)生物が存続する「連続性」の秘密が解き明かされていくことが期待されます。

論文情報

<タイトル>
Nematode telomerase RNA hitchhikes on introns of germline-up-regulated genes
<著者名>
Yutaka Takeda, Masahiro Onoguchi, Fumiya Ito, Io Yamamoto, Shunsuke Sumi, Tatsuyuki Yoshii, Morié Ishida, Eriko Kajikawa, Jingjing Zhang, Osamu Nishimura, Mitsutaka Kadota, Shunsuke Tagami, Takefumi Kondo, Hirohide Saito, Michiaki Hamada, and Hiroki Shibuya
<雑誌>
Science
<DOI>
10.1126/science.ads7778

補足説明

[1] 線虫
線形動物門に属する体長1mmほどの多細胞生物。総細胞数がわずか1,000個と少数ながら、消化器官・神経・筋肉・生殖組織など、動物の基本的な構造を備えている。さらに世代時間が3日と短いことから、寿命研究のモデル動物としても利用されている。

[2] テロメレース、テロメア
DNA合成酵素は鋳型鎖の末端までDNAを複製することができないため、DNAは複製のたびに少しずつ短くなっていく。しかし、真核細胞のゲノムDNA末端には特徴的な繰り返し配列が存在し、こうした末端の短縮が直ちに遺伝情報に影響を与えないようになっている。この末端配列と、染色体末端を保護するタンパク質から成る構造をテロメアと呼ぶ。また、テロメアDNAを伸長する酵素をテロメレース(テロメラーゼ)と呼ぶ。

[3] イントロン、ジャンク配列、長鎖非コードRNA、small RNA
ゲノムDNAの配列のうち、遺伝子として機能する以外の機能不明な配列はしばしばジャンク(がらくた)と呼ばれる。ヒトゲノムの場合、全ゲノムの3分の2は転写されていると推定されているが、そのうちタンパク質の配列情報がコードされた領域(エキソンと呼ばれる)はごくわずかであり、mRNAが成熟する過程で切り離され分解される配列(イントロン)など、タンパク質情報を持たない「非コードRNA」が大半を占める。長鎖非コードRNAは、非コードRNAのうち200塩基よりも長いものを指し、このうちイントロンに存在するものを特に長鎖非コードRNA(intronic long non-coding RNA)と呼ぶ。一方、長さが20~30塩基程度の短い非コードRNAをsmall RNAと呼ぶ。

[4] ホロ酵素
タンパク質成分の他に、活性に必要な非タンパク質成分を含む酵素。テロメレースはタンパク質と鋳型RNAから成るホロ酵素に分類される。

[5] 逆転写反応
RNAを鋳型にして相補的なDNAを合成する酵素反応。

[6] eCLIP法
タンパク質とそこに結合するRNAを生体内において架橋し、その後目的のタンパク質を結合RNAと共に精製する手法。精製されたRNAは、配列が読まれた後、ゲノム上にマッピングされる。これにより目的のタンパク質に結合するRNAの塩基配列とそのRNAをコードするDNA領域が網羅的に決定される。

[7] モータータンパク質、nmy-2
ミオシンのように、細胞内でアデノシン三リン酸(ATP)の分解で生じる化学エネルギーなどを用いて、力学的な仕事をするタンパク質をモータータンパク質と呼ぶ。nmy-2は、線虫の生殖細胞などで発現する非筋肉型ミオシン遺伝子。

[8] 鋳型配列
テロメレースがテロメアを合成する際に鋳型として用いられるRNA配列。テロメアDNA配列と相補的な10塩基程度のRNA配列がこの鋳型配列として機能する。

[9] スプライシング
遺伝子が発現する過程で、DNAからRNAが転写されたのち、ジャンク配列であるイントロンが切り離される過程を指す。スプライシングにより、RNAはタンパク質などをコードするエキソン領域だけがつなぎ合わされた成熟RNAになる。一方、スプライシングで切り離されたイントロンは、通常分解されて捨てられる。

[10] プロモーター
DNA上で遺伝子の上流に存在し、遺伝子の転写のスイッチとして機能する配列。ある遺伝子が組織特異的に発現する場合、このプロモーター配列が組織特異的な転写のon/offを決定していることが多い。

国際共同研究グループ

理化学研究所
生命機能科学研究センター
配偶子形成研究チーム
チームディレクター 澁谷大輝  (シブヤ・ヒロキ)
基礎科学特別研究員 竹田 穣  (タケダ・ユタカ)
研究員 石田森衛  (イシダ・モリエ)
テクニカルスタッフⅠ 梶川絵理子 (カジカワ・エリコ)
発生ゲノムシステム研究チーム
チームディレクター 近藤武史  (コンドウ・タケフミ)
技師 西村 理  (ニシムラ・オサム)
技師 門田満隆  (カドタ・ミツタカ)
生命医科学研究センター
高機能生体分子開発チーム
チームディレクター 田上俊輔  (タガミ・シュンスケ)

東京大学 定量生命科学研究所
教授 齊藤博英  (サイトウ・ヒロヒデ)
講師 吉井達之  (ヨシイ・タツユキ)
特任助教 角 俊輔  (スミ・シュンスケ)
大学院工学系研究科
特別研究学生 井藤郁弥  (イトウ・フミヤ)
(京都大学大学院 医学研究科 医科学専攻 大学院生)

早稲田大学 理工学術院 先進理工学部
教授 浜田道昭  (ハマダ・ミチアキ)
主任研究員 小野口真広 (オノグチ・マサヒロ)

ヨーテボリ大学(スウェーデン)
博士研究員(研究当時) 山本唯央  (ヤマモト・イオ)
博士研究員 ジンジン・ジャン (Jingjing Zhang)

研究支援

本研究は、理化学研究所運営費交付金(生命機能科学研究)で実施し、日本学術振興会(JSPS)科学研究費助成事業挑戦的研究(開拓)「超世代的テロメアDNA維持機構の解明(研究代表者:澁谷大輝)」、内藤記念科学振興財団、武田科学振興財団による助成を受けて行われました。

局面にフィットする”切り紙型”熱電発電デバイス

著者: contributor
2025年10月22日 14:14

局面にフィットする“切り紙型”熱電発電デバイス
高いフレキシブル性能と高い発電性能の両立を実現

ポイント

  • 薄いフィルム基板に切り込みを入れて立体化する切り紙の構造を利用し、人体などの曲面熱源に貼付可能でありかつ 高い発電性能を有する熱電発電デバイスを実現しました。
  • 平面状態で熱電素子を実装するため、熱電発電において有利な細長い熱電素子を容易に実装可能です。
  • 切り紙構造により立体的にすることで、平面状態よりも熱電素子に温度差が付き高い電力を発電可能です。
  • 切り紙構造により高いフレキシブル性を有しており、曲率半径0.1mmの屈曲変形や1.7倍に伸ばす延伸変形が可能です。
  • 今回考案した構造は、曲面の熱源に追従可能であるだけでなく放熱フィンとなる天板部も有しているため、高い発電性能を有しています。
  • ヒトの皮膚に貼付した際に体温を無線送信できることを示し、ウェアラブルIoT機器への応用可能性を示しました。

概要

近年、IoT (Internet of Things) デバイス※1の自立電源として、温度差から電力を得るフレキシブル熱電発電デバイスが注目されていますが、曲げたり伸ばしたりするフレキシブル性能と高い発電性能を両立させることは困難でした。

早稲田大学 理工学術院 岩瀬英治(いわせ えいじ)教授寺嶋真伍(てらしま しんご)講師(任期付き)らの研究グループは、熱電発電デバイス(Thermoelectric Generator: TEG)※2の新構造として図1のような切り紙構造の一種である「ポップアップ切り紙構造※3」を考案し、フレキシブル性能と高い発電性能の両立を実現しました。具体的には、曲率半径0.1㎜の屈曲変形や1.7倍の延伸変形させることができるにもかかわらず、これまで提案されたフレキシブル熱電発電デバイスの発電能力を凌駕しました。

このことを活かした応用として、曲面熱源であるヒトの体表に貼付し、ヒトの体温と空気の温度差で生じる発電を利用して体温の無線送信にも成功し、これまでにない発電性能を有した熱電発電デバイスであることを実証しました。今後、ウェアラブル機器や医療・福祉分野への応用が期待されます。

本研究成果は、国際学術誌「npj Flexible Electronics」のオンライン版に2025年10月21日に公開されました。

論文名: Pop-up kirigami thermoelectric generator with high stretchability and conformal thermal interfaces

図1 曲げ変形および伸縮変形が可能なポップアップ切り紙型熱電発電デバイス(図中のNはN型の熱電素子を示し、PはP型の熱電素子であることを示す)

これまでの研究で分かっていたこと

IoTデバイスやウェアラブル機器の普及に伴い、バッテリー交換不要で環境から電力を得られる発電技術が注目されています。中でも、ヒトや配管のような曲面から熱を利用できるフレキシブル熱電発電技術は有望視され、近年、研究が盛んに行われています。

従来の研究において、シリコーンゴムなどのゴム材料を基板材料として適用することで、フレキシブルな熱電発電デバイスは提案されているものの、ゴム材料の熱抵抗が高く発電量を大きく損なっていました。すなわち、フレキシブル性能と高い発電性能にはトレードオフの関係がありました。そのため、材料に依らず構造によってフレキシブル性能を得る方法として、折り紙や切り紙の構造を利用したフレキシブル熱電発電デバイスが注目され始めました。しかしながら、これまでフレキシブル熱電発電デバイスに適用された折り紙や切り紙の構造は、ミウラ折り※4や七夕飾り(天の川)※5の構造といった一般的な折り紙や切り紙の構造であり、熱源への接触が面接触ではなく線接触であったり、大気への放熱面がないなど、熱電発電デバイスには不向きな構造でした。

新たに実現しようとしたこと、明らかになったこと

本研究では、熱電発電デバイスが抱えるフレキシブル性能と高い発電性能の両立が困難であるという課題を解決するため、新たな切り紙構造である「ポップアップ切り紙構造」を考案しました。

非伸縮性材料の薄いフィルム基板に切り線パターンを施し、平面状態で熱電素子を実装した後、立体的に展開させることで屈曲性・伸縮性を実現させ、多様な曲面熱源への適合性を可能にしました。

性能評価の結果、曲げや延伸といった変形を加えても、フラットな状態と同等の発電性能を維持できることを確認しました。また、曲率半径0.1mmの屈曲変形や1.7倍に伸ばす延伸変形が可能であることを示しました(図2)。したがって、緩やかに曲がった熱源のみならず、90度に曲がった角を持つような熱源であっても貼付可能です。

らに、開発した熱電発電デバイスを無線送信回路と接続したセンシングの実証では、ヒトの体表に貼付し、ヒトの体温と空気の温度差で発電することで、体温の無線送信実証にも成功し、ウェアラブルIoT機器としての有用性を実証しました。これまで、ヒトの皮膚の体温(34℃程度)と大気(22℃)の温度差から無線送信が可能な電力(100 μW)を得るのは困難であり、本熱電発電デバイスが高い発電性能を有しているといえます。これにより、電池交換や廃棄の必要無しに、血圧や体温などの健康状態をモニタリングすることが可能となります。

図2 各種変形時の性能計測結果

研究の波及効果や社会的影響

本研究により、従来困難だった「高いフレキシブル性能と高い発電性能を有する熱電発電」が可能となり、IoTデバイスやウェアラブル機器のメンテナンスフリー化が現実となります。また、以下のような波及効果と社会的インパクトを有しています。

1.エネルギー自立型IoT社会への貢献:

電池交換の不要な自己発電型センサとして、IoTネットワークの信頼性・持続性を大きく向上させることが可能です。特に、センサが多数設置されるスマートシティやインフラモニタリングにおいて、メンテナンスコストの低減と長期運用が期待されます。

2.ウェアラブルヘルスケアの進展:

人体に密着して安定した発電が可能であることから、バイタルサインを常時測定するヘルスケアデバイスへの応用が可能です。患者の体温や状態をリアルタイムで把握することにより、遠隔医療や高齢者の見守り支援にもつながります。

3.災害・非常時の電源確保

やかんなど身近な熱源から電力を得られるため、停電時や災害時にも携帯端末や通信機器の動作に必要な電力を確保でき、非常用電源としての有効性が期待されます。特に電力インフラの整わない地域や緊急避難所などにおいて大きな社会的価値を持ちます。

4.切り紙構造技術の新展開

これまでアートや一部の機構設計に限られていた切り紙技術を、熱設計と融合し、高性能なエネルギーデバイスへと展開した本研究は、複数分野にわたる融合研究の先駆例となります。

課題、今後の展望

本研究で提案したポップアップ切り紙構造は、本研究で用いた細長く硬い熱電素子だけでなく、カーボンナノチューブ(CNT)シートのような薄膜の熱電素子にも適用可能な構造であるため、様々な熱電材料へ展開することが考えられます。さらに、現在のフレキシブル基板で一般的に用いられている、ポリイミド銅基板を基板材料として用いており、立体化の工程以外は現在のフレキシブル基板の製造工程で実現可能なため、量産化・大面積への展開が容易であると考えています。

低コストで製造可能なフレキシブル熱電発電デバイスを開発することで、IoTセンシングデバイスやウェアラブル機器に利用可能な自立型電源を実現できると考えられます。

研究者のコメント

切り紙は、折り紙に比べると国際的な認知度がやや低めではありますが、学術的にも興味深い特徴を多数持っているため、電子デバイスとの相性は良いです。熱電材料のみならず今回提案したように構造についての研究が広く行われ、国際的に広く使用される未来を期待します。

キーワード

切り紙、熱電発電、IoT (Internet of Things)、フレキシブル電子デバイス、ストレッチャブルディスプレイ、ウェアラブル機器、次世代エレクトロニクス

用語解説

※1  IoT (Internet of Things) デバイス
センサや家電、機械などの「モノ」がインターネットにつながり、データを送受信する仕組みを指します。温度や動きなどを自動で測定・制御でき、スマート家電や医療機器、工場の監視装置などに広く使われています。電池交換が難しい場所で使われるため、自己発電機能を備えたIoTデバイスが期待されています。

※2 熱電発電デバイス(Thermoelectric Generator: TEG)
デバイスの両端に与えた温度差に対して、電圧が発生する熱電効果(ゼーベック効果)を利用した発電デバイス。デバイスに生じる温度差が発電量につながるため、温度の高い熱源には密着し、温度の低い大気には良く放熱することが重要である。

※3 ポップアップ切り紙構造
長手方向に圧縮することで高さ方向に立ち上げることのできる切り紙構造であり、電子部品を載せる平らで変形しない面を持ち、構造全体を引き伸ばすことができます。立ち上げ後には、熱電素子が実装された脚部は無変形であるため平面を保ったまま曲げ伸ばしができる構造です。

※4 ミウラ折り
日本の航空宇宙工学者・三浦公亮先生が考案した折り紙構造で、折り紙工学の分野において最も有名な折り紙構造です。折り紙工学における周期的パターン構造の一つで、平面を山折りと谷折りでタイル状に配置することで、1自由度構造として折り畳み・展開できるのが特徴です。人工衛星の太陽光パネルなどに応用されています。

※5 七夕飾り(天の川)
紙などのシート材に規則的で平行なスリットが入った構造で、引き伸ばすことができないシート材であっても、引き伸ばしが可能になります。引き伸ばすと、立体的で規則的な網目状パターンが現れるため、日本の七夕の時期には装飾品として扱われます。

論文情報

雑誌名:npj Flexible Electronics
論文名:Pop-up kirigami thermoelectric generator with high stretchability and conformal interfaces
執筆者名:Shingo Terashima(早稲田大学)*、Eiji Iwase(早稲田大学)
*:責任著者
掲載予定日時(現地時間):2025年10月21日
掲載予定日時(日本時間):2025年10月21日
掲載URL:https://www.nature.com/articles/s41528-025-00454-z
DOI:https://doi.org/10.1038/s41528-025-00454-z

研究助成

研究費名:NEDO先導研究プログラム/未踏チャレンジ
研究課題名:切り紙型熱電デバイスによる自立無線センサシステムの研究開発
研究代表者名(所属機関名):岩瀬英治(早稲田大学)

2025年度 W-SPRING・W-SPRING-AI博士フォーラムを開催

著者: contributor
2025年10月22日 14:13

2025年9月19日(金)、早稲田大学国際会議場において「W-SPRING・W-SPRING-AI博士フォーラム」を開催しました。

本フォーラムは、博士後期課程への進学を後押しするとともに、研究力向上とキャリアパスの多様化を支援するために国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が展開する事業である「次世代研究者挑戦的研究プログラム(SPRING)」および「国家戦略分野の若手研究者及び博士後期課程学生の育成事業(BOOST)」の支援を受け、本学が運営している「早稲田オープン・イノベーション・エコシステム挑戦的研究プログラム(W-SPRING)」および「早稲田次世代AIイノベーション・エコシステム挑戦的研究プログラム(W-SPRING-AI)」について、成果報告、分野融合・学生同士のネットワーク構築および将来の共同研究実施のきっかけの場作りを目的として開催するものです。

昨年度に続き2回目の開催であり、12の研究科からW-SPRINGおよびW-SPRING-AIの支援学生約200名が一堂に会し、交流を深めました。

冒頭、本学常任理事・W-SPRING事業統括の本間敬之(理工学術院・教授)から、本フォーラム開催にご協力くださった産業界等の方々への御礼とともに、学生に対して「W-SPRINGやW-SPRING-AIではイノベーションを牽引する博士人材を育成することを目的としていますが、博士の研究はしっかり深掘りしながら、それが社会にとってどのような価値があるのか、どのように産業に貢献するか、という意識を持ってもらいたいと考えています。本日は幅広い分野の博士課程に在籍する仲間が多く参加しています。このような機会を活用し、異分野の学生との議論を通して、俯瞰的に物事を見る力をつけてもらいたいと思います。ぜひ、学生同士の交流を深めてネットワークを広げてください。」と、メッセージが送られました。

常任理事・W-SPRING事業統括 本間敬之(理工学術院・教授)

続く、来賓の文部科学省科学技術・学術政策局長の西條正明氏からは、「博士課程で日々研究に邁進される皆さんは、まさに知のフロンティアを切り開く先駆者です。博士人材の持つ深い専門知識と課題発見解決能力などの汎用的能力や新たな知を創造する力は、イノベーションの質とスピードを強化し、企業の競争力を格段に向上させるものと確信しております。社会の多様なフィールドで活躍できる博士人材が育ち活躍することで、博士人材の価値が一層高まり、優秀な学生が博士課程に進学するという好循環を生み出すことが可能になると考えております。私どもも、昨年『博士人材活躍プラン』をとりまとめ、今年は経済産業省と共同で設置した有識者会議で『博士人材の民間企業における活躍促進に向けたガイドブック』『企業で活躍する博士人材ロールモデル事例集』『博士人材ファクトブック』の3点をとりまとめ、博士人材の活躍・活用を企業に伝える取り組みを行っています」と、博士学生への期待と、博士人材を応援する活動の紹介をいただきました。

文部科学省科学技術・学術政策局長 西條正明氏

また、W-SPRING-AI事業統括の鷲崎弘宜(理工学術院・教授)からは、本フォーラムの趣旨説明として学生に向けて、「三つの狙い」が伝えられました。

  1. アカデミアだけでなく、様々な業種の企業からも多くの人においでいただいている。自分の研究が社会においてどのように貢献できるか、どう実装を進めるかを考える機会としてもらいたい。
  2. 新しいアイデアやイノベーションは異分野の交流・連携から生まれる。今日は約200人の博士人材が集まっており、その中で少なくとも一人は自分の研究とのつながりや発展を見出せる人がいるはずである。ぜひ、その一人を見つけてほしい。そうした異分野連携を奨励すべく、学生間の異分野連携相乗型共同研究を募集する予定である。
  3. ポスターセッションやグループワーク、交流会などで、積極的に交流を進め、ヒューマンスキルを磨いてもらいたい。

W-SPRING-AI事業統括 鷲崎弘宜(理工学術院・教授)

趣旨説明ののち、30分ごと、4パートに分けてポスターセッションが行われました。全パートにおいて研究分野を限定せず混在させながら、ポスターには統一して自己紹介、研究概要、キャリアデザインを記載するフォーマットとすることで、異分野の学生が議論に入りやすい工夫を取り入れました。学生たちは、異分野のポスター発表にも積極的に参加して質問を重ね、議論を深めていました。

ポスターセッションの様子:時には複数の分野の学生がディスカッションする様子も見られた

ポスターセッションの様子:いずれのグループの学生も、指定されたセッション時間中、非常に真剣に研究成果やキャリアデザインについて議論した

午後の部は、まず2025年度より開始した異分野融合研究プロジェクトについて、今年度採択された2件のプロジェクトの発表がありました。

  1. The neural mechanisms underlying listening difficulties: A focus on speech perception and production.
  2. Visualizing the learning effects of “Failure”: An interdisciplinary approach to elucidating learning processes.

異分野融合研究プロジェクト発表の様子

次に基調講演として、W-SPRING-AI副事業統括の尾形哲也(理工学術院・教授)から“Embodied AI: Empowering robots with foundation models”というタイトルでロボット研究の最前線や社会実装に向けた活動の紹介がありました。

オンラインで講演したW-SPRING-AI副事業統括 尾形哲也(理工学術院・教授)

続いて行われたグループワークでは、「AIがどれほど進化してもなお、人間にしか解決できない課題とは何だろうか?」をテーマに、異分野のグループに割り振られた博士学生たちがディスカッションを重ね、その結果を2分間のプレゼンテーション資料としてまとめ、発表しました。各グループに、産業界やアカデミアで活躍するファシリテーターが1名ずつ参加し、議論を始めるきっかけやテーマに関する助言をもらいながらグループワークが進められました。プレゼンテーションでは、内容の充実度はもちろんのこと、短い時間で聴衆に印象を残すための資料や話し方の工夫が多く見られました。すべてのグループの発表後、ファシリテーターを代表して6名から、総評と企業紹介がありました。

グループワークの様子:自由にツールを用いながら議論を積み上げていく学生たち

グループワークの様子:グループワーク終盤では、プレゼンテーションでどう引き付けるか、にもこだわる様子がみられた

グループワークを終えたのち、発表の様子

懇親会・ネットワーキングでは、ファシリテーターから「いかに良い『問い』を見つけるかを博士研究においても意識してほしい」「今回のように、分野に横串を通してチームで議論を進められるのが早稲田の良いところである」「グループワークでは『AIにできないこと』が問いであったが、ビジネスの視点からは『AIに(だけ)できることが何か』を探すことも重要」といったコメントをいただきました。

様々な分野、学年の博士学生たちが、自身の持つ知見を用いて意見を交わし、多様な業界・業種のファシリテーターの助言を受け入れながらより良い結果を導き出そうとする様子が、今後の日本を牽引する博士人材として頼もしく感じられたイベントとなりました。

 

 

早稲田オープン・イノベーション・エコシステム挑戦的研究プログラム(W-SPRING)

将来の我が国の科学技術・イノベーションの基盤となり、社会課題の解決に取り組む博士学生を育成するとともに、博士の多様なキャリアパスを確立させることを目指して、2021年度から開始し、2024年度から2期目を迎えた博士学生支援プログラムです。経済的支援として、博士学生一人当たり最大で年間290万円を240人に、最長3年間支給するとともに、学位取得後を見据えたキャリア開発・育成コンテンツをカリキュラムに組み込むことで、博士人材が産業界で幅広く活躍するための素養を身に付け、社会実装を目的とした融合的研究に専念できるよう支援しています。

本プログラムの実施を通じて、社会の課題解決と産業界のニーズに応え得るべく、博士課程の教育改革をこれまで以上に押し進め、日本の産業競争力の強化と社会の持続可能な発展に寄与していきます。

(本プログラムは、文部科学省/JST「次世代研究者挑戦的研究プログラム<Support for Pioneering Research Initiated by the Next Generation(SPRING)>」に採択されています)

早稲田次世代AIイノベーション・エコシステム挑戦的研究プログラム(W-SPRING-AI)

博士学生が、領域横断に AI イノベーションを生み出し続け、世界的な AI 技術・応用の研究をリードし、同分野の研究を本格的に推進・先導するリーディングサイエンティストに成長することを目指して、2024年度から博士学生への支援を開始いたしました。経済的支援として、博士後期課程の学生一人当たり最大で年間390万円を最長3年間支給するとともに、学位取得後を見据えた育成コンテンツをカリキュラムに組み込むことで、次世代AI分野に関する高度な専門性と研究遂行能力を身に付けると同時に、自身の研究に専念できるよう支援します。

本プログラムの実施を通じて、次世代 AI 分野におけるイノベーション創出や日本の産業競争力強化に貢献していきます。

(本プログラムは、文部科学省/JST「国家戦略分野の若手研究者及び博士後期課程学生の育成事業 次世代AI人材育成プログラム(博士後期課程学生支援)」に採択されています)

Synthesis and Properties of Rigid Chiral Skeletons and their Derivatives with Boron-Containing Building Blocks (2025/11/12)

著者: staff
2025年10月20日 09:58

演題:Synthesis and Properties of Rigid Chiral Skeletons and their Derivatives with Boron-Containing Building Blocks

日時:2025年11月12日(水) 16:20-18:00

会場:早稲田大学 121号館 コマツ100周年記念ホール

講師:焦 佼 (西安交通大学・副教授)

対象:学部生、大学院生、教職員、学外者、一般

参加方法:入場無料 直接会場へお越しください

主催:先進理工学部 応用化学科

問合せ:早稲田大学 理工センター 総務課

TEL:03-5286-3000

“Ultra-low loading Cobalt catalysts for oxygen reduction reaction”(2025/11/3)

著者: staff
2025年10月20日 09:57

演題:”Ultra-low loading Cobalt catalysts for oxygen reduction reaction”

日時:2025年11月3日(月) 13:30-15:10

会場:早稲田大学 西早稲田キャンパス55N号館1階 第二会議室

講師:Günter Motz  (バイロイト大学教授・学術ディレクター)

対象:学部生、大学院生、教職員、学外者、一般

参加方法:入場無料 直接会場へお越しください

主催:先進理工学部 応用化学科

問合せ:早稲田大学 理工センター 総務課

TEL:03-5286-3000

「Organic Optoelectronics through Polariton Quantum Condensates」(2025/11/10)

著者: staff
2025年10月16日 11:35

演題:「Organic Optoelectronics through Polariton Quantum Condensates」

日時:2025年11月10日(月) 16:20-18:00

会場:早稲田大学 西早稲田キャンパス 55N号館 1階 第一会議室

講師:石井 智大 (北海道大学 電子研助教)

対象:学部生、大学院生、教職員、一般

参加方法:入場無料 直接会場へお越しください

主催:先進理工学部 化学・生命科学科

問合せ:早稲田大学 理工センター 総務課

TEL:03-5286-3000

Halide in Halide Perovskites is a Boon and a Bane (2025/11/10)

著者: staff
2025年10月16日 11:35

演題:Halide in Halide Perovskites is a Boon and a Bane

日時:2025年11月10日(月) 14:40-16:20

会場:早稲田大学 西早稲田キャンパス 55N号館 1階 第一会議室

講師:Jena Ajay Kumar (東京大学大学院総合文化研究科附属先進科学研究機構特任准教授)

対象:学部生、大学院生、教職員、一般

参加方法:入場無料 直接会場へお越しください

主催:先進理工学部 化学・生命科学科

問合せ:早稲田大学 理工センター 総務課

TEL:03-5286-3000

Molecular Engineering for Lead Perovskite Photovoltaics (2025/11/10)

著者: staff
2025年10月16日 11:34

演題:Molecular Engineering for Lead Perovskite Photovoltaics

日時:2025年11月10日(月) 13:00-14:40

会場:早稲田大学 西早稲田キャンパス 55N号館 1階 第一会議室

講師:郭 章林 (九州大学 カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所 助教)

対象:学部生、大学院生、教職員、一般

参加方法:入場無料 直接会場へお越しください

主催:先進理工学部 化学・生命科学科

問合せ:早稲田大学 理工センター 総務課

TEL:03-5286-3000

ユーティリティデータを活用した業界横断のデータ連携に関する実証実験を開始

著者: contributor
2025年10月15日 15:38

ユーティリティデータを活用した業界横断のデータ連携に関する実証実験を開始
~地域のリソース最適活用と脱炭素社会の実現を目指して

学校法人早稲田大学スマート社会技術融合研究機構(以下:早稲田大学)、株式会社 REDER(以下:REDER)、株式会社ネクステムズ(以下:ネクステムズ)、株式会社 NTT データグループ(以下:NTT データグループ)、株式会社NTT データ(以下:NTT データ)は、地域全体で脱炭素化を推進することを目指し、地域の労働力やエネルギーなどのリソースの過不足をマッチングし、有効活用する実証実験を開始しました。地域全体での脱炭素化の実現には、単一事業者や単一業界での取り組みでは限界があり、業界横断でのデータ連携・活用と共通エコシステムの形成が不
可欠です。本実証では、まず電気・水道・ガスといったエネルギーリソースを対象とし、それらユーティリティ分野の事業者間で安全にデータを連携させる仕組みを地域密着型の先行モデルで検証します。将来的にはさまざまな地域への展開や、共通のデータ連携エコシステム注 1 の構築により、事業者の開発・運用コストを抑えつつ、地域全体の脱炭素化と持続可能な社会の実現を目指します。
※本事業の早稲田大学代表研究者は理工学術院の林泰弘教授です。

背景

近年、地域社会では人口減少や高齢化に伴い、労働力や資源の不足が大きな課題となっています。特に離島や中山間地域では、生活や産業を支える電気・水道・ガスといったエネルギーインフラサービスを安定的に維持するために、限られたリソースを効率的に活用する仕組みが必要です。
このような背景から、REDER、ネクステムズ、早稲田大学、NTTデータグループ、NTTデータは、各種リソース情報を管理する事業者間でのデータ連携・活用の仕組みが必要と考え、ユーティリティデータを軸とした業界横断のデータ連携に関する実証実験を開始しました。
従来は各事業者が個別にシステムを構築してきたため、開発・運用コストの負担が課題となっていました。本実証では、共通的なデータ連携エコシステムを形成することで、事業者間の協力を容易にし、これまで分断されていたリソースを地域全体で共有・活用できる仕組みの実現を目指します。これにより、各事業者の負担を抑えつつ、持続的に機能する新しい地域モデルの構築が可能になります。

実証実験の概要

実証期間:2025年度~2027年度
実証エリア:沖縄県波照間島
実証内容:

(1) 水道の揚水稼働やガスの利用状況など電力の需給バランスに影響を与えるさまざまな要素を対象にした、異なる事業者間のデータ連携を実現するプラットフォームの構築
  • エネルギーリソースは複数の事業者によって分散管理されていますが、いずれも安定供給に対して相互に影響を及ぼす特性をもつため、協調的に活用することが不可欠です。そのため、これらを事業者間で調整・最適化する調停機能をプラットフォームに備えます。
  • 異なるリソースの調停にあたっては、事業者間で機微な情報の共有が求められる場合がありますが、心理的な障壁から実行に踏み切れない事業者も少なくありません。こうした障壁を下げるため、データを秘匿化したまま扱える機能をプラットフォームに組み込み、安全かつ安心して連携できる環境を整えます。
(2) さまざまな事業者を実証フィールドに誘致し、構築したプラットフォームを用いた新規サービス・ビジネスに係る実証のコーディネート<h/5>
  • 例えば、農機・建機のレンタルやMaaS注2などのサービスと連携しバッテリー(着脱式を含む)の稼働率を高める事例は、地域で発電した再エネ由来の余剰電力をバッテリーの充電向けに有効活用できる可能性を秘めています。しかし、事業者間での調停が必要で、これまで実サービス化が進まない状況にありました。こうした状況に対し、実データを使用できるフィールドと調停機能を備えたプラットフォームを提供し、新規サービス創出を加速させます。
図1:実証実験のイメージ

 

ユースケース例:
① 水需要や発電量の予測などの情報を掛け合わせて、貯水・造水設備や蓄電池の稼働量を調停および最適化し、地域全体のコストを抑制。
② 各家庭や施設の太陽光発電・蓄電池の稼働情報などを統合し、発電と消費を調停およびバランスさせることで、地域全体のエネルギー利用効率を向上。

 

図2:ユースケース例①のイメージ
図3:ユースケース例②のイメージ

 

各社の役割

早稲田大学:需要予測の高度化および有識者などによる議論の場の提供
■収集される各種データを活用した需要予測の高度化手法の構築
■さまざまな分野の学識者、機構会員、企業有識者、学生などの参画・議論の場の提供

REDER:実証を行う事業者の誘致
■波照間島においてさまざまな事業者を募っての実証コーディネート
■オンサイトの各ユーティリティ計測をAPI連携する機能の構築
■ユーティリティ計測と連携し、社会マクロでのバッテリー(着脱式を含む)の稼働率最大化

ネクステムズ:実証のフィールドおよび分散型再エネ電源機器の提供
■自治体や住民との合意形成
■分散型再エネ電源機器注3(太陽光/蓄電池/EVなど)の需要側EMSの連携

NTTデータグループ/NTTデータ:ユーティリティ領域をはじめとする地域リソース情報連携基盤の提供
■安全かつ柔軟にデータを連携・活用できる企業間・組織間データ連携の総合サービス「X-CuriaTM(読み:クロスキュリア)」を基にした、地域リソース情報連携基盤の構築およびユーティリティ領域への適用
■上記により業界横断のデータ連携に必要な機能の抽出および改善の実施

今後について

2025年度後半からプラットフォームの検討・構築を実施し、2026年度中に他事業者を誘致しての実証を開始予定です。将来的には波照間島での実証結果を踏まえ、業界横断の安心安全なデータ連携の仕組みを他の地域に展開することを目指します。

(注1)「データ連携エコシステム」とは、事業者や組織同士が安全にデータを共有し合い、新しいサービスを生み出すための共通基盤や仕組みです。
(注2)「MaaS」とは、Mobility as a Serviceの略であり、地域住民や旅行者のトリップ単位での移動ニーズに応じて、複数の公共交通機関やそれ以外の移動サービスを最適に組み合わせて検索・予約・決済などを一括で行うサービスです。
(注3)「分散型再エネ電源」とは、家庭や事業所などが各地に分散して所有しているエネルギー源のことです(例:太陽光発電や蓄電池)。
*「X-Curia」は日本国内における株式会社NTTデータの商標です。
*その他の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。

「代数的ベクトル束についてのシジジー的アプローチ」2025/12/10

著者: staff
2025年10月14日 11:42

演題:「代数的ベクトル束についてのシジジー的アプローチ」

日時:2025年12月10日(水) 10:40-12:20

会場:早稲田大学 西早稲田キャンパス 51号館 18-08

講師: 宮﨑 誓 (熊本大学名誉教授)

対象:一般

参加方法:入場無料 直接会場へお越しください

主催:基幹理工学研究科 数学応用数理専攻

問合せ:早稲田大学 理工センター 総務課

TEL:03-5286-3000

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