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Natural and engineered biosynthetic novelty from bacteria(2026/3/19)

著者: staff
2026年2月27日 17:48

🤖 AI Summary

以下は記事の要約です:

演題:菌由来および人工 Biosynthetic Novelty(菌による合成物質の新規性)

日時:2026年3月19日(木) 13:00-14:40

会場:早稲田大学 120-5号館121会議室

講師:Jörn Piel(ETH Zurich教授)

対象:学部生、大学院生、教職員、一般

参加方法:[email protected] までメールで申し込み

主催:先進理工学部 生命医科学科

問い合わせ:早稲田大学 理工センター 総務課 (電話:03-5286-3000)

この講演は、菌由来の新しい合成物質と、その人工的な操作に関する内容を含んでいます。

演題:Natural and engineered biosynthetic novelty from bacteria

日時:2026年3月19日(木) 13:00-14:40

会場:早稲田大学 120-5号館121会議室

講師:Jörn Piel(ETH Zurich教授)

対象:学部生、大学院生、教職員、一般

参加方法:希望者は[email protected]にメールで申込

主催:先進理工学部 生命医科学科

問合せ:早稲田大学 理工センター 総務課

TEL:03-5286-3000

過渡的パウリ遮蔽効果による広帯域・超高速光スイッチング

著者: contributor
2026年2月27日 15:29

過渡的パウリ遮蔽効果による広帯域・超高速光スイッチング
~電子温度制御により新たな光変調機構を発見~

発表のポイント

    • 縮退半導体※1 窒化インジウム(InN)薄膜を対象に、多色プローブ光を用いたポンプ–プローブ時間分解透過率測定※3を行い、可視光から近赤外領域にわたる広帯域の超高速光スイッチングを実証しました。
    • この実証において、高強度光励起によって生じる「過渡的パウリ遮蔽※2」が現れ、InN材料が瞬時に光学的透明状態へと変化することを明らかにしました。
    • 従来は大量の光励起キャリア※4注入が必要と考えられていた過渡的パウリ遮蔽が、本研究により、電子温度上昇に伴う電子分布の再構成のみで発現することが明らかになりました。
    • これらの成果は、次世代の超高速光変調器、光シャッターの高度化に加え、光計算・光通信向けフォトニックデバイスの実現につながることが期待されます。

近年、非常に強く、しかもきわめて短い時間で光を出すレーザー技術が大きく進展しています。このレーザー技術を固体材料と融合することで、従来にはない機能を有する材料やデバイスの創出が期待されています。例えば、強いレーザー光を照射すると、通常は光を通さない物質が一時的に透明になることがあります。レーザー光を超高速でON/OFF制御すれば、物質の透明・不透明を超高速でスイッチングすることが可能となり、光スイッチや光信号制御などへの応用が期待されます。
早稲田大学理工学術院の賈軍軍(じゃ じゅんじゅん)教授の研究グループは昨年、フェムト秒レーザー照射によってマルチバレー半導体中の光励起電子分布を制御する新しい光変調機構を発見し、可視光から赤外線に至る広帯域で光スイッチングが可能であることを実証しました「Physical Review Applied, 23, 024060 (2025)」。本研究では、この概念をさらに発展させ、縮退半導体InNにおいて、フェムト秒レーザーにより電子の「温度」を瞬時に制御することで、広帯域な光スイッチングが可能になることを明らかにしました。
本成果は、超高速かつ広帯域な光制御を実現する新たな原理を示すものであり、次世代の超高速光変調器や光シャッターの高度化に貢献するとともに、低遅延・高効率が求められる光計算・光通信向けフォトニックデバイスへの応用が期待されています。
本研究成果は2026年1月20日に「Physical Review B」に公開されました。

これまでの研究で分かっていたこと

半導体材料では、バンドギャプ以上の高強度レーザーを用いると、多数の電子が価電子帯から伝導帯に高密度に励起されることが知られています。これらの電子は電子-フォノン散乱によって速やかに伝導帯下部へ緩和し、伝導帯底における電子占有が増加します。この電子占有の増大、すなわちパウリ遮蔽(Pauli Blocking)効果により、バンド間吸収が一時的に抑制され、物質が透過的になる現象が観測されてきました。従来、この過渡的パウリ遮蔽効果は主として高強度光励起による伝導帯に大量電子の注入に起因すると理解されてきました「Physical Review Applied, 23, 024060 (2025)」。

新たに実現しようとしたこと、明らかになったこと

本研究では、代表的な半導体材料であるInNを用いて、パルスレーザーの高密度光励起によって電子温度を制御することで、近赤外から可視光領域にわたる多色光の透過・不透過を超高速で切り替えられるかを検証しました。
InNにおいて、フェムト秒レーザー照射により伝導帯中の電子温度が瞬時に上昇し、それに伴って電子分布が熱的に広がることを明らかにしました。この電子分布の変化により、従来、光を吸収していた遷移が一時的に抑制されます。その結果、「電子温度の急激な上昇」のみを過渡的パウリ遮蔽効果の駆動原理として、物質の透明・不透明を超高速かつ広帯域に制御できることになります。さらに、InNにおける光スイッチングは可視光から近赤外域にわたる複数のスペクトル的スイッチング中心を有することが明らかとなりました。この成果は、単一材料において多色光を同時に制御可能であることを示し、電子温度制御に基づく新たな広帯域光変調原理を確立するものです。

研究の波及効果や社会的影響

本研究では、明らかになった過渡的パウリ遮蔽に基づく超高速・広帯域光スイッチング機構は、従来の電子デバイスの速度限界を超える新たな情報処理技術の基盤となります。特に、フェムト秒〜ピコ秒時間スケールで動作する全光型スイッチングは、将来の高速・低遅延情報通信に大きな波及効果をもたらします。とくに、可視光から近赤外にわたる広帯域動作は、波長分割多重(WDM)光通信や多波長を同時に扱うフォトニック回路への応用に適しており、データセンターや高性能計算(HPC)における通信の高速化・省電力化に貢献することが期待されます。
また、本研究は、既存の産業利用実績を有する材料を用いて新機能を引き出した点でも意義が大きく、基礎物理の深化と社会実装を橋渡しする研究として、今後のフォトニックデバイス産業や関連技術分野への長期的な社会的影響が期待されます。

課題、今後の展望

本研究で確立した電子温度駆動型の過渡的パウリ遮蔽効果は、材料固有の電子構造に基づいて光スイッチング波長域を設計できる指針を与えるものであり、今後はワイドバンドギャップ半導体材料への展開が期待されます。さらに、サブピコ秒時間スケールで動作する全光型非線形応答は、光ニューラルネットワークに応用の展開に期待され、ひいてはフォトニック AI への展開としての応用が期待されます。

研究者のコメント

本研究は、現代の情報技術における根本的課題「いかにして、より高速かつ低エネルギーで信号を切り替えるか」に応えるものです。レーザー光によって材料の透明性を瞬時に制御できることを示した本成果は、超高速・広帯域・高効率な次世代フォトニックデバイスへの新たな道を切り拓くものです。

用語解説

※1 縮退半導体
不純物ドーピングや欠陥などによってキャリア(電子または正孔)の濃度が非常に高くなり、フェルミ準位が伝導帯(n型)または価電子帯(p型)の内部にまで入り込んだ半導体のことを指す。

※2 過渡的パウリ遮蔽
半導体にフェムト秒などの超短パルスレーザーを照射した際に、電子の占有状態が一時的に変化し、光吸収が抑制される現象であります。この効果は、電子が同一の量子状態を同時に占有できないというパウリの排他原理に基づいています。

※3 ポンプ–プローブ時間分解透過率測定
超短パルスレーザーを用いて物質中の超高速現象を観測する実験手法であります。まず、強いレーザーパルス(ポンプ光)を試料に照射して電子状態を励起し、その後、時間遅延を制御した弱いレーザーパルス(プローブ光)を照射することで、励起後の光学特性の変化を時間分解して測定します。

※4 光励起キャリア
バンドギャップ以上の光子エネルギーをもつ光を半導体や絶縁体に照射すると、価電子帯から伝導帯への電子遷移が生じ、電子と正孔の対が生成される。これらの電子-正孔対を光励起キャリアと呼ぶ。

論文情報

雑誌名:Physical Review B
論文名:Transient Pauli blocking in an InN film as a mechanism for broadband ultrafast optical switching
執筆者名(所属機関名):Junjun Jiaa※、Minseok Kimb、Yuzo Shigesatob、Ryotaro Nakazawac、Keisuke Fukutanic、Satoshi Kerac、Toshiki Makimotoa、Takashi Yagid

a:早稲田大学
b:青山学院大学
c:分子科学研究所
d:産業技術総合研究所
掲載日時:2026年1月20日
掲載URL:https://doi.org/10.1103/1cww-zn61
DOI:https://doi.org/10.1103/1cww-zn61
*:責任著者

研究助成

研究費名:科学研究費 基盤研究(B)
課題番号:25K01862
研究課題名:光誘起イプシロンニアゼロ物性の解明による物質設計
研究代表者名(所属機関名):賈 軍軍(早稲田大学)

二次元材料MXeneの電池反応を“その場”で可視化

著者: contributor
2026年2月27日 15:28

二次元材料MXeneの電池反応を“その場”で可視化

概要

一般財団法人ファインセラミックスセンター(JFCC)の野村優貴博士、山本和生博士、平山司博士と早稲田大学の藤田真輝氏(研究当時:博士前期課程2年)、川合航右研究院講師(現在:東北大学)、大久保將史教授らの研究グループは共同で、全固体リチウム電池※1材料として注目される二次元材料MXene(マキシン)※2について、充放電動作中に生じる電池反応を電子顕微鏡を用いてその場観察※3することに成功しました。
MXeneは、原子数層の厚さの“シート状”の材料で、高い電気伝導性とイオンの出入りしやすさから、次世代電池への応用が期待されています。しかし、実際に電池として動作している際に、MXeneの中でリチウムイオンがどのように動き、どのような電気化学反応が起こっているのかは、これまで詳しく分かっていませんでした。本研究では、早稲田大学が開発したMXeneに、JFCCが開発したその場走査透過電子顕微鏡法(STEM)※4と電子エネルギー損失分光法(EELS)※5を組み合わせることで、全固体電池の充放電中に、MXene内部で起こるリチウムの出入りや電気化学反応をナノメートルスケールでその場観察することに成功しました。
その結果、MXene内では、①層間にリチウムイオンが出入りする反応、②表面で酸化リチウムが生成・分解する反応、③固体電解質※6が分解する反応、という3つの異なる反応が同時に進行していることが明らかになりました。さらに、MXeneのナノシート表面に存在する酸素などの末端基※7の違いによって、リチウムイオンの動きや反応の進み方が大きく変化することも示されました。本成果は、MXeneを用いた高容量・高耐久な全固体電池の設計指針を与えるものであり、次世代二次電池開発に向けた重要な知見となります。
本成果は2026年1月19日にWiley社発行の国際学術誌「Small」に掲載されました。

現状と課題

電気自動車や再生可能エネルギーの普及にともない、二次電池には「高容量」「長寿命」「高安全」の実現が求められています。特に、電解液を使わない全固体リチウム電池は、安全性の高い次世代電池として注目されています。MXeneは、金属炭化物や窒化物からなる二次元材料で、薄いナノシートが多層に積層した構造です。この独特な構造により、イオンが出入りしやすく、高い蓄電性能が期待されています。しかし、電池として動作している最中に、MXeneの内部でどのような反応が生じているかは、これまで直接観察することが困難でした。

研究手法

一般財団法人ファインセラミックスセンター(JFCC)の野村優貴博士、山本和生博士、平山司博士と早稲田大学の藤田真輝氏(研究当時:博士前期課程2年)、川合航右研究院講師(現在:東北大学)、大久保將史教授らの研究グループは、MXene(Ti3C2Tx)を電極に用いた全固体リチウム電池を電子顕微鏡内で充放電しながらその場観察する独自の研究手法を開発しました。走査透過電子顕微鏡法(Scanning Transmission Electron Microscopy:STEM)と電子エネルギー損失分光法(Electron Energy-Loss Spectroscopy:EELS)を用いることで、リチウムの移動や酸素、チタンの電子状態の変化を同時に解析しました。これにより、「電池が実際に動いている状態」での反応を、動画として追跡することに成功しました。

研究成果

研究により、MXene電極で起こる反応の全体像が明らかになりました。主な発見は以下の通りです。

1. MXeneのナノシート層間にリチウムイオンが出入りする様子を直接観察(図1)

MXeneでは、充放電にともなって、ナノシートのすき間にリチウムイオンが可逆的に挿入・脱離する様子が観察されました。この反応にともない、材料中のチタンの電子状態が可逆的に変化することが確認され、MXene層間へのリチウムイオンの挿入・脱離が電池反応に寄与していることが分かりました。

2. 表面で起こる酸化物生成が不可逆容量※8の要因

MXene表面では、リチウムと酸素が反応して酸化リチウムが生成・分解する様子も観察されました。この反応は完全に可逆的ではなく、電池の不可逆容量の要因であることが示されました。

3. 固体電解質が電極表面で分解する様子を直接観察

MXene電極だけでなく、界面近傍の固体電解質も充放電中に還元分解していることが明らかになりました。この分解反応により、MXeneと固体電解質の境界部分にリチウム過剰な反応生成物が形成され、電池の不可逆容量の要因となっていることが分かりました。

4. ナノシート表面の末端基が電池性能を左右

MXeneのナノシート表面に存在する酸素などの末端基の種類によって、リチウムの動きや反応の進み方が変化することが明らかになりました。特に、酸素終端を多く持つMXeneでは、リチウムを貯蔵しやすくなる一方で、酸化リチウムの生成が進みやすいという利点と課題の両方が存在することが示されました。

図1 充放電中のリチウムイオン分布のその場観察。(a)環状暗視野走査透過電子顕微鏡(ADF-STEM)像。(b)充放電中のリチウムイオン分布の変化。図中の白矢印は、固体電解質の還元分解によって形成されたリチウム過剰層。黄矢印は、MXene表面に形成された酸化リチウム層。

今後の展開

本研究で得られた「MXene内部と表面で同時に起こる複数の反応」の理解は、MXeneを用いた電池材料設計において重要な指針となります。今後は、構造と表面官能基を制御することで、容量と耐久性を両立したMXene電極の開発が期待されます。

論文情報

本成果は2026年1月19日にWiley社発行の国際学術誌「Small」に掲載されました。
タイトル:Real-Time Imaging of Intercalation–Conversion Li Storage in MXenes for Solid-State Batteries
著者:Yuki Nomura1,* Kosuke Kawai2, Masaki Fujita2, Kazuo Yamamoto1, Tsukasa Hirayama1, Masashi Okubo2,*
著者所属:1 Japan Fine Ceramics Center, 2 Waseda University, * 責任著者
掲載誌:Small
DOI:10.1002/smll.202513159

研究助成

本研究の一部は、日本学術振興会「科研費」(23H00241, 24H02204, 24K17757, 25K00078)、NEDO「次世代全固体蓄電池材料の評価・基盤技術開発(SOLiD-Next)」(JPNP23005)、文部科学省「データ創出・活用型マテリアル研究開発プロジェクト」(JPMXP1121467561)、(公財)風戸研究奨励会、(公財)岩谷直治記念財団の研究助成の支援を受けて実施されたものです。一部の実験データ取得には、ファインセラミックスセンターが実施した安全保障技術研究推進制度「AI的画像解析によるオペランド電子顕微鏡計測技術に関する研究」(PJ004596)によって導入された設備を使用しました。

用語解説

※1 全固体リチウム電池
液体の電解質ではなく、無機固体の電解質を用いるリチウム電池。電池全体が固体の材料で構成される。

※2 MXene(マキシン)
金属炭化物や窒化物からなる二次元材料。原子数層の薄さのナノシートが積層した構造であり、高い電気伝導性を示す。

※3 その場観察
測定対象が実動環境下でその機能を発現する過程をその場で観察する手法。

※4 走査透過電子顕微鏡法
細く絞った電子線で試料を走査し、散乱された電子を検出器で捉えることで、高い空間分解能で材料の構造を可視化する手法。

※5 電子エネルギー損失分光法
試料と相互作用してエネルギーを損失した電子を計測し、材料の組成・電子状態を解析する手法。透過電子顕微鏡を用いた分析手法の一つ。

※6 固体電解質
液体の代わりに固体中でイオンを伝導させる無機材料。

※7 末端基
MXeneのナノシートの表面に結合した酸素やフッ素、塩素などの官能基。

※8 不可逆容量
電池の初回充電などで一度失われ、その後の充放電では回復しない容量。電極や電解質の分解、副反応によってリチウムが消費されることで生じ、電池の実質的な容量低下の原因となる。

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