ノーマルビュー

共通テスト続報

著者:tommyjhon
2020年7月7日 05:23
全国の毒舌ファンの皆様 おはようございます。Tommyセンセです。
ということで、毎日毎日学校で悩んでいる「共通テスト関連対応」、実は、日曜日もこの対応に追われて一つの文書を作っていた。そして、昨日は昨日で、大学入試センターが高3生に一斉アンケートを実施するということがわかり、その対応にも追われている。
Twitterからよく出来た画像を拝借する。
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この表では5に示されている点が、我々高校現場にとっては一番やっかいで文科省のやっていることが理解できないところだ。
このコロナウィルス禍の対応に関しては、可笑しさ満載で、中にはTwitterの一回のつぶやきが、「文科省の公式見解」を吹っ飛ばしたものもある。 それは、文科省が「大学側に、出題範囲の縮小を要請する」とコメントしたことだ。これに対して、「一番最初の共通テストが範囲を縮小しないで、その後に行われる個別大学入試の範囲を縮小して意味があるの?」返されて、範囲縮小の話は完全に立ち消えた。


 文科省は、どうしても「学業の遅れ」にきっちりとした配慮をしたいらしく、7月(今だ)に高校生アンケートを実施し、9月の出願で高校生の自己責任で、第一日程と第二日程を選択させようとしている。
 ところが、我々高校現場は、誰と相談しても第一日程以外選択肢がないという。ワタシも同じ考えである。そもそも、大学入試は、高校3年間の学校教育スケジュールの一環として制度設計されている。特に3年生は、1月第二週に大学入試センターのテスト(今年から共通テスト)、2月の24日・25日に個別学力試験という日程があり、そこから逆算して、すべての教科・科目・学校行事・模試とかが動いている。そこの「追試」の日程を1週間ずらすという小手先の変更で乗り切ろうとした文科省&大学入試センターの政策は、絶対無理があるのだ。おそらく、「追試は2週間先」という決定は、コロナウィルスの隔離措置の期間と合わせてのことだろう。


 我々高校関係者が、「追試はダメ、第一日程絶対」と訴え、文科省の愚策を非難しているにもかかわらず、メディアの報道でイマイチこの愚策度が伝わらないのは、大学入試センター試験(共通テスト)と大学入試の間に介在している受験ビジネスの存在を、文科省が意図的に隠して報道提供し、メディアも(当たり前のように知っているにも関わらず)官僚の都合を忖度して受験ビジネスの存在を覆い隠したまま報道するからである。
 受験ビジネスを一般語で大手予備校とか教育産業とか言い換えてもいい。この受験ビジネスがどのように大学受験の大きなステークホルダー(利害関係者)となっているかを詳しく説明する。読み進む間も忘れずにいてほしい、国公立大学の出願締め切りは2月3日必着だ。


 大学入試センターの共通テストは、共通一次からはじまり(たぶん33年前)センター試験と名を変えても、ずっと維持してきたシステムが「自己採点」である。高校生は、試験が終わった月曜日に、自分の問題冊子を持ち帰り、さっさと自己採点する。そして、受験ビジネスの各社にそのデータを提供するのである。①ベネッセ②河合塾③代ゼミの3社であったが、10年くらい前から代ゼミが撤退し、3年前からあの東進ハイスクールが進出した。
 不思議なことに、大学入試センターは独自で生徒のマークカードを読み取って採点業務をやっている時に、①ベネッセ②河合塾③東進ハイスクールの3社も、生徒の自己採点結果を読み取っているのである。(考えてみれば大いなる無駄な作業で)生徒の受験結果は、全国の4カ所に存在することになる。もう一つの大手予備校である駿台予備学校は、この判定システムにおいてベネッセと業務提携している。なので、「進研模試」という名称が知らない間に「進駿模試」と名を変えるのだが、受験生OBでもこの変態(脱皮?)には気づかないだろう。
 そして、河合塾、ベネッセ、東進の各社は自己採点結果をもとに大学入試の合格判定値を算出する。(河合塾とベネッセの順番は適当に入れ替えないと、各社の担当から嫌みをいわれるのだ)月曜日に自己採点結果を郵送すると、なんと木曜日には各大学ごとのデータがバッチリ生徒の手元に届くことになっている(例のA・B・C・D判定)。現在は、コンピュータも発達しているので、自分の志望大学だけでなく、全国どこの大学でも判定値が算出されるので、生徒も私たちもすべてこのベネッセや河合塾のデータ提供システムのお世話になる。若い読者の方にはは、「コンパス」と「バンザイ」と言った方がなじみがあるだろう。
 地方の進学高が、国公立大学合格者200名(320名中)、170名(280名中)などの奇跡的な数字は、この判定システムがなければ絶対達成できない数字である。また、ここ30年間の間、受験生の大学受験延べ数は、どんどん減っている。これは、この受験判定システムの寄与がものすごい大きい。
 なぜ、この河合塾やベネッセの受験判定システム(東進はまだ後発なのでイマイチの信用度である、これからは林先生の影響で驚異となるかな?)がなぜ凄いかと言えば、ベネッセと河合塾には受験に関する膨大なビックデータが存在し、過去の模試結果や、先輩の受験結果などなど、AIに匹敵するデータを持っているからだ。
 高校生は、このデータをお互いの利益のためにお互いが提供し合っている(まさにWin・Winの関係)。ベネッセの進研模試は1年生の7月から行われ、2年生の後半になると河合塾の模試も受けるようになる。そして、何となく共通テスト模試はベネッセ、個別大学用の記述模試は河合塾が信頼できるなどの評判も定説になっている。
 したがって、生徒は大学入試センターのテスト(共通テスト)から出願→受験→合格発表の流れのために、高校1年生からウン万円ものお金を払って模試を受けまくるのである。結論としては、この自己採点から個別大学出願(私立大学を含む)を経て合格に至るまでの構造に、完全に受験ビジネスの利益システムが組み込まれているのだ。もちろん、それだけではなく、我々高校教員も血を吐くような努力を一方でしている。共通テスト終了から2月25日の前期試験まで、田舎の進学高の3年部にいる教員は、まさに地獄の忙しさだ。
 
 さあ、本題に戻ろう。
 文科省と大学入試センタ-は、昨年の一件(共通テストと業者の採点癒着・英語検定導入に関する癒着)があってか、今回のコロナウィルスに関する措置では、どうしても受験ビジネス各社の役割を認めないでいる。入試日程を説明するにあたっても、受験生がこの受験判定システムを使って出願していることを完全に無視している。追試日程を説明する際でも、絶対に言及しない。各社の報道でも、受験ビジネスの判定システムのことを完全に無視して報道している。
 しかしながら、もうすでに日本の社会構造として、大学受験・高校生・大手予備校や受験産業・高校教諭の4分野はなくてはならないものとなっている。受験の学校間格差が存在するという分析は、「この4者のポートフォリオ」が学校や生徒によって割合が変化していることである。その一部分を完全に無視して、大学入試センターや文科省がコロナウイルス対策を行うから、このように全く噛み合わない議論になってしまう。
 つまり、高校側が圧倒的に第一日程を主張するのは、この社会システムとしての受験構造をよく理解しているからであり、文科省側が、追試験や予備追試試験を導入するのは、この受験構造を“ないこととしている”からである。
 官僚がよくやる手ですな、「なかったことにする」とか「存在しないものとして考える」とか「見て見ぬふりをする」とか・・・・・
文科省や入試センター批判の中で、「真摯に受験生と向き合え!!!」というフレーズは多い。でもでも大人だったら、「真摯に受験構造を考えよ!!!!!」ですよね。

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