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【PEP卓越大学院プログラム】2024年1月実施_7期生(2024年4月進入・編入)選抜試験(SE)情報更新しました_2023.09.27

著者: staff
2023年9月27日 12:36

文部科学省卓越大学院プログラム
「パワー・エネルギー・プロフェッショナル育成プログラム」
2024年1月実施の7期生(2024年進入・編入)選抜試験(SE)に関する情報更新致しました。

理工HP大学院入試ページの中のPEPSE情報ページ(募集要項・出願書類)
https://www.waseda.jp/fsci/admissions_gs/guidelines/pep/

量子コンピュータのアルゴリズム開発

著者: contributor
2023年9月6日 12:54

Quanmatic社、英国OQC社と早稲田大学

量子コンピュータのアルゴリズム開発における基本合意書を締結

アルゴリズムに強みを持つ早稲田大学発のスタートアップ 株式会社Quanmatic(東京都新宿区、代表取締役:古賀 純隆、以下、Quanmatic)、欧州のゲート式量子コンピュータ*1のリーディングプレーヤである英国Oxford Quantum Circuits社(英国レディング、CEO:イラーナ・ウィスビー、以下、OQC)早稲田大学グリーン・コンピューティング・システム研究機構(東京都新宿区、機構長:木村啓二、以下、早大GCS機構)は、2023年8月29日(火)にOQCのゲート式量子コンピュータを用いたアルゴリズム開発における基本合意書(Memorandum of understanding:以下基本合意書)を締結いたしました。

本基本合意書は、Quanmatic・OQC・早大GCS機構がOQCのハードウェアにおいて効率的に動作するアルゴリズムの開発と、現実問題への応用を目指すことを目標にしております。継続的な共同開発を行うことにより、ゲート式量子コンピュータによる実社会の課題の解決の早期実現を目指します。当面は早大GCS機構の戸川研究室が強みを持つ最適化の近似解アルゴリズムを現状のOQCのLUCY*2をベースに開発し、OQCの次世代ハードウェアであるTOSHIKO*3のリリースに伴い更に量子ビット数を増加させたハードウェアで、更に幅広いアルゴリズムを開発します。

Quanmatic 代表取締役社長 古賀純隆氏のコメント

この度は、欧州に拠点を置くゲート式量子コンピュータのリーディングプレーヤであるOQCと協業できることを誇りに思います。1日も早い量子コンピュータを用いた社会の重要課題の解決に努めてまいります。

OQCジャパン カントリーマネージャー 杉浦敦氏のコメント

Quanmatic様、早稲田大学様のアルゴリズム開発プラットフォームとして協業に参加することを光栄に思います。OQCはワールドクラスの量子コンピューティング・アズ・ア・サービスプラットフォームをシームレスに提供し、その高い可用性と信頼性により開発をより一層推進することに貢献します。

早稲田大学 戸川望教授のコメント

OQC社の量子コンピュータの実機と、Quanmaticの量子ソフトウェアに、大学の研究成果として得られた基盤的な量子アルゴリズムを導入することで、大きく量子アルゴリズム研究が進むことを期待しております。

用語解説

*1:ゲート式量子コンピュータ

量子力学を利用した汎用計算機。

*2:LUCY

OQC社が開発・運用しているゲート式量子コンピュータで、ヨーロッパで初めて商用に稼働したシステム。プライベート接続のほか、Amazon Braketからも利用が可能。

*3:TOSHIKO

OQC社が開発している次世代のゲート式量子コンピュータ。商用のデータセンターに設置され、Enterprise Ready Quantum Solutionとして広く一般に量子コンピューティング・アズ・ア・サービスを提供する。

【株式会社Quanmaticについて】

Quanmatic社は、量子関連技術の活用を目的としたコンピュータサイエンスアルゴリズムの開発を目的とし、早稲田大学戸川望教授(Chief Scientific Officer)の研究シーズを元に、CEO古賀純隆、慶應義塾大学田中宗准教授(Chief Technology Officer)とChief Product Officer武笠陽介の4名で2022年10月に設立したスタートアップです。アルゴリズム知財をビジネス課題に適用するための最適化エンジンの開発を継続して進め、ハードウェアに依存しない汎用的な量子計算技術の効率化ソリューションを展開します。https://quanmatic.com/

【OQCについて】

OQCは、量子コンピューティングの世界的なリーディングカンパニーです。お客様が量子をより身近に利用して、画期的な発見ができるよう支援します。当社の量子コンピュータは、データセンター、プライベートクラウド、Amazon Braketで利用可能です。OQCに関する詳細はこちらにてご覧いただけます。www.oxfordquantumcircuits.com

【早稲田大学戸川研究室について】

早稲田大学戸川研究室は、同大理工学術院基幹理工学部情報通信学科ならびに同大グリーン・コンピューティング・システム研究機構で研究教育活動を行っております。量子ソフトウェア、量子アプリケーションなどを研究開発し、産官学が連携して社会課題の解決を目指しています。 https://www.togawa.cs.waseda.ac.jp/professor.html

雲水の野外観測で初めてAMPsを検出

著者: contributor
2023年8月23日 17:33

雲水の野外観測で初めてマイクロプラスチックの存在を実証

雲水中のマイクロプラスチックが想定以上に環境および健康リスクを高めていることが明らかに

発表のポイント

  • これまで、野外観測により雨水から大気中マイクロプラスチック(AMPs)が検出されてきましたが、雲水中にAMPsが含まれていることは実証されていませんでした。
  • 本研究グループは、自由対流圏*1に位置する富士山頂(標高 3,776 m)、大気境界層に位置する富士山南東麓(標高1,300 m)、および丹沢大山山頂(標高1,252 m)で2021年から2022年にかけて雲水44試料を採取し、世界で初めて雲水の野外観測によりAMPsの存在を明らかにし、その特徴や起源を解明しました。
  • 本研究により、雲水中ではカルボニル基などの親水基を有するAMPsが濃縮され、本来は親水基を有しないポリエチレン、ポリプロピレンも紫外線劣化が進行することにより、これまでの想定以上にAMPsが雲凝結核*2や氷晶核として機能し、環境および健康リスクを高めていることが明らかになりました。

概要

早稲田大学理工学術院大河内 博(おおこうち ひろし)教授、同理工学術院博士後期課程4年の王 一澤(おう いちたく)、東洋大学理工学部応用化学科の反町 篤行(そりまち あつゆき)教授、およびPerkinElmer Japan合同会社をはじめとする研究グループは、雲水中に含まれる大気中マイクロプラスチック(Airborne MicroPlastics: AMPs)存在量と特徴を解明することに初めて成功しました。

マイクロプラスチックによる大気汚染の危険性が叫ばれる中、本研究成果はAMPsの実態解明の一貫として雲水中AMPsの存在量を明らかにすることで、まだ黎明期である同分野の今後の研究の必要性と新たな課題を浮き彫りにしました。

図1:大気中マイクロプラスチックの想定される起源と環境リスク

本研究成果は、『Environmental Chemistry Letters』誌(論文名:Airborne hydrophilic microplastics in cloud water at high altitudes and their role in cloud formation)にて、2023年8月14日(現地時間)にオンライン掲載されました。

(1)これまでの研究で分かっていたこと

自由対流圏は風速が強いため、主要な大気汚染物質の長距離輸送経路であるといえます。大気中マイクロプラスチック(AMPs)も自由対流圏エアロゾルから検出されており、自由対流圏を通じて極域に輸送されていることが先行のモデル研究によって明らかにされています。極域生態系は脆弱であることから、大気を通じて大量のAMPsが輸送されると、重大な環境破壊が懸念されます。
AMPsは大気中を輸送されるだけではなく、上空では紫外線が強いことから、地上部よりも劣化速度が速く、温室効果ガスであるメタンや二酸化炭素を放出したり、雲凝結核や氷晶核として雲形成を促進する可能性が指摘されています。

これまでの野外観測により、雨水からはAMPsが検出されています。プラスチックは疎水性であるために水をはじきますが、紫外線劣化したり、有機汚染物質や重金属が表面吸着すると親水性になることが指摘されてきました。しかしながら、雲水中にAMPsが含まれていることは野外観測により実証されていませんでした。

(2)今回の研究で新たに実現しようとしたこと、明らかになったこと

世界ではじめて雲水の野外観測によりAMPsの存在を明らかにし、その特徴や起源を明らかにすることを目的として、自由対流圏に位置する富士山頂(標高 3,776 m)、大気境界層に位置する富士山南東麓(標高1,300 m)、丹沢大山山頂(標高1,252 m)で2021年から2022年にかけて雲水44試料を採取しました。

図2:雲水の採取地点

この結果、3地点で雲水から合計70個、9種類のAMPsを検出しました。さらに、PM2.5と比較すると雲水ではポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド6(PA)、ポリカーボネート(PC)などカルボニル基を有するポリマーが多く、本来はカルボニル基を有さないポリプロピレン(PP)では紫外線劣化が進行したものが多いことを明らかにしました。形状は破片状が多く、平均濃度は3地点で6.7~13.9(個/L)であり、実粒径は7.1~94.6 μmでした。さらに、後方流跡解析により、自由対流圏の雲水中AMPsの起源として、海洋マイクロプラスチックの飛散および輸送が重要である可能性が示されました。

図3:雲水中AMPsの実粒径分布と形状割合

 

図4:雲水中AMPsの個数濃度とポリマー組成(PE:ポリエチレン、PP:ポリプロピレン、PE/PP:エチレンプロピレン共重合体、PUR:ポリウレタン、PA:ポリアミド6、PC:ポリカーボネート、AR:アクリル樹脂、EP:エポキシ樹脂)

 

(3)そのために新しく開発した手法

PerkinElmer Japan合同会社との共同研究により、µFTIR ATRイメージング法*3によるAMPs計測手法の新規開発に取り組み、最小粒径で2 µm程度までの計測を可能にしました。また、AMPs劣化度評価とともに劣化度を考慮したAMPs専用データベースを新たに構築しました。作業効率と定量精度向上のために最終ろ過面積(Φ4mm)の22.4 %計測を標準とし、低濃度試料分析では最終ろ過面積をΦ1 mmに絞り、全面積70 %以上の計測を可能としました。

(4)研究の波及効果や社会的影響

本研究により、カルボニル基を有するAMPsが雲水中に濃縮されていることが明らかになったことから、カルボニル基を有する汎用プラスチックのみならず、本来は親水基を有しないポリエチレン、ポリプロピレンも紫外線劣化が進行することにより、カルボニル基や水酸基などの親水基を有することにより、モデル研究による想定以上に雲凝結核や氷晶核として機能している可能性が高いことが明らかになりました。

 

図5:カルボニルインデックスとヒドロキシルインデックス*4によるポリプロピレン劣化度評価

 

AMPsの雲形成能が高ければ、太陽光をより散乱して放射収支に影響を及ぼすとともに、降雨量分布を変化させ、気候変動に関与している可能があります。また、気候変動のみならず、健康リスクも懸念されます。雨水はすべての陸水の源ですが、雲水にAMPsが含まれていれば「プラスチックの雨」が地上に降り注ぐことになります。すなわち、AMPsを空気から直接、肺に取り込むだけではなく、雨水として地上に降りそそぐことにより水源を汚染し、陸水を利用する農業や畜産業を通じて体内摂取量を増大させ、健康リスクを高める可能性があります。今後、AMPsの存在量とその環境および健康リスクについての知見をさらに集積することが重要となります。

(5)今後の課題

本研究では、雲水中AMPsの実態解明を国内山間部3箇所で行いましたが、全容解明にはほど遠い状況です。全世界における高所山岳域、航空機を用いた陸域および海洋の雲水中AMPsの実態解明が必要となります。そのためには、国際ネットワークの構築が喫緊の課題といえます。
一方、AMPsの紫外線劣化に伴うメタンや二酸化炭素放出量の実測およびモデル研究はほとんど行われていません。AMPsが地球温暖化に影響するのか、地球冷却化に影響するのは未だに未解明であり、地球温暖化の将来予測において不確実性を増大させている可能性があります。

(6)研究者のコメント

本研究は、AMPsの実態解明の一貫として、雲水中AMPsの存在量と特徴を明らかにしたものです。AMPsの先行研究は手法が統一されておらず、十分な精度管理も行われていない状況です。AMPs研究は黎明期であることから、産官学民連携のオールジャパンでAMPs研究を推進し、世界をリードしてまいります。

(7)用語解説

※1 自由対流圏
対流圏内の大気境界層上空にある、地上からの直接的な影響を受けにくい高度約2から2.5 kmより上空の大気層のことです。自由対流圏は、地上から放出される大気汚染物質の影響を直接受けないのでバックグランド大気とも呼ばれています。

※2 雲凝結核
大気中では吸湿性粒子が存在しており、相対湿度が100%(水飽和)を超えると微水滴(雲粒)が形成されます。これらの吸湿性粒子は一般的には凝結核(condensation nucleus)といい、1~2%未満の水過飽和度で雲粒の大きさまで成長するものを雲凝結核(cloud condensation nucleus: CCN)と呼びます。

※3 µFTIR ATRイメージング法
プラスチック分析に使用される代表的な方法が、フーリエ変換型赤外分光法(Fourier Transform Infrared Spectroscopy; FTIR)です。数mm程度の大きさであればFTIRで分析可能ですが、100 µm以下の微小な物質をFTIRで判別する場合には顕微FTIR (micro FTIR; µFTIR)が利用されます。
大気中マイクロプラスチックを前処理後に集めた最終フィルタ上の広い面積を、可能な限り小さな領域に分割するので計測には非常に時間がかかります。このような広い面積の膨大なスペクトルを高速、高感度で取得する技術が赤外イメージング(FTIRイメージング)です。ATR(Attenuated Total Reflection)イメージングは、サンプルにATRクリスタルと呼ばれる高屈折率の光学結晶を接触させた状態でイメージング測定する方法であり、FTIRイメージング測定法の中で最も小さいものが測定できる技術です。

※4 カルボニルインデックスとヒドロキシルインデックス
光酸化されたPEやPPには分子量低下、カルボニル基や水酸基の生成と増加、サンプル表面の多数の割れや孔の発生などが観察されます。カルボニルインデックス(carbonyl index)やヒドロキシルインデックス(hydroxyl index)はプラスチックの劣化度の指標であり、プラスチックの光酸化によって生成したカルボニル(C=O)ピークの吸光度とベースとなるメチレン(CH2)ピークの吸光度の比、水酸基(OH)ピークの吸光度とベースとなるメチレン(CH2)ピークの吸光度の比から算出されます。

(8)論文情報

雑誌名:Environmental Chemistry Letters
論文名:Airborne hydrophilic microplastics in cloud water at high altitudes and their role in cloud formation
執筆者名(所属機関名):王 一澤1、 大河内 博1、 谷 悠人1、 速水 洋1、 皆巳 幸也2、 勝見 尚也2、竹内 政樹3、 反町 篤行4、 藤井 佑介5、 梶野 瑞王6、 足立 光司6、 石原 康宏7、 岩本 洋子7、 新居田 恭弘8
(1早稲田大学、 2石川県立大学、 3徳島大学、 4東洋大学、 5大阪公立大学、 6気象研究所、 7広島大学、8 PerkinElmer Japan合同会社)
掲載日時(現地時間):2023年8月14日
掲載URL:https://doi.org/10.1007/s10311-023-01626-x
DOI:10.1007/s10311-023-01626-x

(9)研究助成(外部資金による助成を受けた研究実施の場合)

研究費名:(独)環境再生保全機構環境研究総合推進費(JPMEERF20215003)
研究課題名:大気中マイクロプラスチックの実態解明と健康影響
研究代表者名(所属機関名):大河内 博(早稲田大学)

 

8/5(土)8/6(日)オープンキャンパスを開催します!

著者: staff
2023年7月7日 15:56

WASEDA University OPEN CAMPUS 2023

8月5日(土)、6日(日)の二日間にかけて、オープンキャンパスを開催いたします。

早稲田大学の歴史・学び・国際交流・キャンパスライフ・入試情報など、入学後の学生生活がリアルにイメージできる企画が盛りだくさんです!
プログラムの詳細は、会場ごとに「企画・タイムテーブル」よりご確認ください。

来場に際して、事前予約は不要です。入退場も自由となっております。
ただし、一部のプログラム(キャンパスツアー、寮見学、実験体験など)は事前に予約が必要です
予約が必要なプログラムの予約受付開始は7月10日(月)17:00を予定しています。
プログラム予約サイト:OCANsよりご予約下さい。

西早稲田キャンパスで行われる模擬講義・企画およびタイムテーブルは、こちらのガイドブックからご確認いただけます。

AIとヒトの未来 どう共生していけばいいの? AIロボット研究所の教授に聞きました

著者: contributor
2023年6月21日 16:28

2022年の終わり頃から、「ChatGPT」をはじめとする生成系人工知能(以下、生成AI)が大きな話題を呼んでいます。ChatGPTは入力欄に聞きたいことを打ち込むと、まるで人と話しているかのように答えを返してくれる対話型のAIです。その利便性の高さから、従来の検索エンジンに替わる新たなツールとして注目されています。

こうしたAIは私たちの暮らしや未来をどう変えていくのでしょうか。また、私たちはAIとどう付き合っていけばいいのでしょうか。今回は早大生が実際にChatGPTを体験した上で、早稲田大学の「AIロボット研究所」の尾形哲也教授と河原大輔教授に話を聞きました。

【7/28開催・事前申込】第9回 Rikoh ティータイムシンポジウム のお知らせ(理工学術院共催・キャリアセンター後援)

著者: contributor
2023年6月15日 09:44

「Rikohティータイムシンポジウム」は、理工系研究者や技術者を目指して勉強や研究に励む学生や研究者の皆さんに、おそらく何年か後に、あっというまにおとずれるかもしれない人生の岐路のいくつかについて、身近に、そして具体的にイメージできる場の提供を目的として、2015年から開催しています。

第9回を迎える今回のテーマは「大学院のすゝめ」。

「大学院での学び」に焦点を当て、大学院博士課程から企業・大学で活躍されているお二人をお招きします。大学院への進学、その後それぞれの道を選択し、歩みをすすめていらっしゃる講師の話を聞いて、ぜびご自身のキャリアや将来像を考えるヒントを見つけてください。

第2部では、講師・司会の他、本学大学院生(修士・博士)にも参加いただき、参加者の皆さんからの質問、疑問にお答えしていきます。ディスカッションを通して何らかのヒントを学び取ってください。

※クリックするとPDFをご覧いただけます

日時

2023年728日(金)15:30 – 17:15(受付開始15:15)

対象

本学の理工系研究者・学生・関係教職員 附属・系属校生徒

会場

西早稲田キャンパス 63号館202教室
※Campus Map

オンライン(Zoomウェビナー)
※当日会場での参加が難しい場合は、オンライン参加も可能です。申し込み時にオンライン参加を選択された方にのみウェビナー情報をお送りします。

言語

日本語

申込方法

事前申込制(以下申込フォームからお申し込みください)


当日のご案内はイベント前日までに登録いただきましたメールアドレス宛にお知らせいたします。

スケジュール(予定)

■第1部(講師講演)
15:30 開会・挨拶
15:35 講師講演
16:10 第1部終了予定

■第2部(講師・大学院生と参加者によるパネルディスカッション)
16:10 キャリア講義(司会より)
16:20 講師・大学院生と参加者によるパネルディスカッション
17:00 自由歓談
17:15     第2部終了・閉会予定

講師(アドバイザー)

橋田 朋子(HASHIDA Tomoko) 氏 理工学術院教授

<略歴>
2003年 東京藝術大学音楽学部楽理科卒業
2008年 東京大学大学院学際情報学府博士課程単位取得退学

博士(学際情報学)。東京大学(IML・情報理工学系研究科)特任研究員, 早稲田大学基幹理工学部表現工学科専任講師, 同准教授を経て2021年より現職。よく知っているようで思いがけないモノ・コトを作り、身近な対象の再発見や新たな価値化を目論む研究・作品制作に従事。 https://tomokohashida.tumblr.com

<メッセージ>
大学院では恩師や尊敬する研究者仲間をはじめ、沢山の人との出会いに恵まれました。また授業や研究に加えて、多様なプロジェクトやアウトリーチ活動の機会があり、社会との接点を感じながら活気のある毎日を送りました。私は学部と大学院で大きく専門を変えましたが、好奇心の赴くままに全力投球していると、色々な方が力になって下さり、分野もキャリアも道が開けたように思います。このシンポジウムでは皆さんがポジティブに未来を考えるお手伝いができたら嬉しいです。

新里 絵美(NIISATO Emi)氏 ユーシービージャパン株式会社 メディカルアフェアーズ本部 ニューロロジーメディカルサイエンス部 メディカルサイエンスリエゾン

<略歴>
2003年 – 2007年3月 明治大学理工学部物理学科卒業
2007年 – 2008年9月 University of Edinburgh, College of medicine and veterinary medicine, School of Biomedical Science 卒業
2009年 – 2012年3月 早稲田大学大学院先進理工学研究科生命医科学専攻 博士後期課程修了 博士(理学)

2010年10月 – 2010年12月 ベーリンガーインゲルハイム ジャパン株式会社
所属:Molecular & Cellular Biology Department
役職:研究員(インターンシップ)
2012年4月 – 2016年10月 シーメンスヘルスケア株式会社
所属:カスタマーサービス本部 アプリケーション事業部
役職:アプリケーションスペシャリスト
2016年 – 2020年10月 Siemens Healthcare Limited, Taiwan
所属:マーケティング部 ダイアグノスティック
役職:MRリサーチコラボレーションサイエンティスト
2020年 12月 – 現在 ユーシービージャパン株式会社
所属:メディカルアフェアーズ本部 ニューロロジーメディカルサイエンス部
役職:メディカルサイエンスリエゾン

<メッセージ>
国内女性の博士課程進学者はまだまだ少ないですが、幸運なことにそれを壁に感じたりすることもなく、高校生の頃から研究者になりたいと思っていました。ところが、海外で修士課程を卒業したことをきっかけに、博士課程に進んだ後は企業で働きたいと強く思うようになりました。国内外の医療機器業界で8年勤めた後製薬業界にシフトチェンジした経験を持つので、将来様々な可能性が広がっていることをお伝えできればと思っています。

※司会進行:高山 あかり 氏 早稲田大学理工学術院 准教授

主催

早稲田大学ダイバーシティ推進室

共催

早稲田大学理工学術院

後援

早稲田大学キャリアセンター

参加にあたっての注意事項
  • イベントの撮影、録画、録音は固くお断りいたします。
  • イベント後、「開催報告」として記事をWEBサイト等に一部公開いたします。そのため、イベント内容を録画、会場の様子を写真撮影いたします。あらかじめご了承ください。
特別な配慮が必要な方へ

ご参加にあたり、特別な配慮を希望される方は、6月30日(金)までに[email protected]へご希望の内容をお知らせください。
事前にご相談のうえ、可能な範囲で対応をさせていただきます。

お問い合わせ先

早稲田大学ダイバーシティ推進室
E-mail:[email protected]

 

令和5年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 受賞コメント

著者: contributor
2023年6月5日 14:48

令和5年度科学技術分野の文部科学大臣表彰」において、本学から5名の研究者が受賞しました。
科学技術の発展等に寄与する可能性の高い独創的な研究又は発明を行った研究者を表彰する「科学技術賞(研究部門)」に理工学術院の 尾形哲也教授、柴田重信名誉教授、竹山春子教授、ゲスト・マーティン教授、萌芽的な研究・独創的視点に立った研究等高度な研究開発能力を示す顕著な研究業績をあげた若手研究者を表彰する「若手科学者賞」に、理工学術院の水内良専任講師が選ばれました。
以下に、各受賞者のコメントを掲載いたします。

科学技術賞 研究部門

受賞業績:深層予測学習によるロボットのマルチタスク学習に関する研究
理工学術院 尾形 哲也 教授

受賞コメント
この度は、「深層予測学習によるロボットのマルチタスク学習に関する研究」に対し、文部科学大臣科学技術賞を受賞することができ、大変光栄に思っております。ロボットの知覚と身体運動の実時間予測を深層学習により実現することで、ロボットが複数のタスクを学習し、実世界での活動を自律的かつ効率的に行える方法論を追求しました。今回の研究成果は、ロボット工学の分野における新たな展望を切り拓くものであり、今後、産業応用、医療分野、災害対応など実社会の多様な分野への応用が期待できると考えています。受賞には、これまでに研究に関わってくれた多くの皆様の協力と支援がありました。改めて受賞に対して心からの感謝の意を表し、これからも一層の研究成果を追求していく覚悟をお伝えしたいと思います。ありがとうございました。。

受賞業績:時間栄養と時間運動の確立と健康科学への応用研究
理工学術院 柴田 重信 名誉教授

受賞コメント
この度は、栄誉ある科学技術賞 研究部門を頂戴し、大変光栄に存じております。この研究にかかわっていただいた皆様、特に研究室所属の大学院生スタッフ、さらに共同研究先の方々には大いに感謝しております。
本研究は、体内時計に支配される時間軸の健康科学を推進する一環として、食事や栄養素を摂るタイミングや運動のタイミングの重要性を学問的に明らかにしました。従来、健康維持には食物の内容、調理法、量についての要素が重要視されてきましたが、今回の発見により同じ食物でも朝食や夕食で効果が異なるなど摂取するタイミングも重要な要素であることが分かりました。運動も然りで、運動効果に対するタイミングの違いを明らかにしてきました。時間栄養学や時間運動学という新たな学問分野が開拓され、時間軸の健康科学の発展が期待されます。
引き続き、研究成果の社会実装に向け研究を続けており、今後ともご指導ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。

受賞業績:シングルセル技術による環境有用微生物の深層解析研究
理工学術院 竹山 春子 教授

受賞コメント
科学技術賞を頂くことができて大変光栄に思います。研究を支えてくださった先生方、研究室のスタッフ・メンバーには深く感謝いたします。
先進理工学部生命医科学科創立とともに研究室を立ち上げ、今回受賞に至った環境微生物のシングルセル解析技術の開発研究をスタートしました。環境に存在する多くの難培養性微生物の利活用が目的でした。将来どのような場所でも解析ができる技術を目標として、ドロップレットを用いたシングルセルのハンドリング方法、さらにはゲノム解析と進みました。また、ラマン分光法と出会ったことで、既存の機器分析手法では不可能であったシングルセルレベルでの代謝産物同定を可能とする道が開かれました。微生物シングルセルオミックス解析技術が多くの研究に貢献できるよう、プラットホーム化を産官学連携で進めております。
新技術が新たな道を拓く、という信念で今後もさらなる発展に努めたいと思います。今後とも皆様のご支援よろしくお願いいたします。

受賞業績:tt*方程式および量子コホモロジーに関する一連の研究
理工学術院 ゲスト・マーティン 教授

受賞コメント
I am very honoured to receive the Science and Technology Award in the Research Category. It has been a great privilege for me to have worked as a professor in Japan for more than 20 years, and I deeply appreciate the kindness of my friends and colleagues here, which have made this possible. My research area is differential geometry, a subject which combines algebra and analysis with geometrical ideas. The problems we study are often related to theoretical physics – quantum theory, string theory, mirror symmetry, and so on. Building the mathematical foundations of this area in the 21st century is a huge task, and one that is truly international. Until the 19th century, mathematics was regarded as a subject for brilliant young men (mostly European). In the 21st century the subject is too broad for any one man; everyone is needed: young and old, men and women, black and white, from every country. I would like to express my sincere gratitude for the opportunities I have received to take part in this endeavour.

若手科学者賞

受賞業績:自己複製分子システムを用いた原始生命進化に関する研究
理工学術院 水内 良 専任講師

受賞コメント
この度は文部科学大臣表彰若手科学者賞を受賞し、誠に光栄に存じます。
これまでご指導やご助言賜った先生方、選考委員の皆様に心より感謝申し上げます。本研究では、生命の起源という自然科学の根源的な問いに挑戦しました。原始生命の痕跡は現存生命や化石には残っておらず、これまではその進化過程を推測するほかありませんでしたが、原始生命を模擬した分子のシステムを試験管内で構築し、それを実験室の中で進化させることで、原始生命にありえた進化の道筋を直接観察できるようになりました。このような基礎研究を高く評価していただいたことを心より嬉しく思っています。
私は本賞の受賞とともに、2023年4月に早稲田大学に着任し、新たに研究室を主宰しております。これからは研究室メンバーと共に生命の起源の謎に迫り、また研究成果を合成生物学における技術開発へと繋げていきたいと考えています。今後ともご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

全固体空気二次電池を開発

著者: contributor
2023年5月25日 09:28

繰り返し充放電可能な全固体空気二次電池を開発

高分子電解質膜と酸化還元活性な有機化合物を組み合わせる

【発表のポイント】

水素イオン(プロトン)を可逆的に取り込みできる有機化合物とプロトン伝導性の高分子薄膜を組み合わせて、繰り返して充放電できる全固体空気二次電池を開発した。
一定速度(放電レート15C)における発電で、30サイクル繰り返し充放電可能なことを確認した。
小型軽量で液漏れや発火の危険性がなく折り曲げても使える可能性があるため、モバイル機器などへの応用が期待できる。

山梨大学クリーンエネルギー研究センター・早稲田大学理工学術院の宮武 健治(みやたけ けんじ)教授、早稲田大学理工学術院の小柳津 研一(おやいづ けんいち)教授らの研究グループは、水素イオン(プロトン)を可逆的に取り込みながら酸化還元反応する有機化合物とプロトン伝導性の高分子薄膜を組み合わせることにより、繰り返し充放電することができる「全固体空気二次電池」を開発しました。

空気電池※1は空気中の酸素(正極活物質)と金属(負極活物質)、イオン伝導性の電解質から構成される電池ですが、多くの場合液体電解質を用いているため、液体の漏れや蒸発、発火など安全性に課題があります。また、負極活物質が酸素や水分により劣化することも課題となっています。本研究により、プロトン伝導性高分子薄膜※2を電解質に、酸化還元活性な有機化合物を負極活物質に用いることで、可搬性と安全性に優れ、繰り返して充放電して使用することができる全固体空気二次電池の開発に成功しました。一定速度(放電速度15C)における発電実験で、30サイクル繰り返して充放電が可能であることも確認されました。今後、構成材料の高性能化・最適化や耐久性などを改善することで、携帯電話や小型電子デバイスなどモバイル機器用の電源として応用できる可能性があります。

本研究成果は、2023年5月16日(火)にドイツ化学会が発行するハイインパクトの学術雑誌『Angewandte Chemie International Edition』のオンライン版で公開されました。

【論文情報】
雑誌名:Angewandte Chemie International Edition
論文名:All-Solid-State Rechargeable Air Batteries Using Dihydroxybenzoquinone and Its Polymer as the Negative Electrode
DOI10.1002/anie.202304366

(1) これまでの研究で分かっていたこと

繰り返し充放電が可能な二次電池は携帯機器や電気自動車など様々な分野に応用されており、小型軽量化、高容量化、低コスト化を目指した研究が世界的に活発に進められています。なかでも正極の活物質に空気中の酸素を使う空気二次電池は、他の二次電池と比べて著しく高い理論エネルギー密度を持つことから注目を集めています。

これまでの空気二次電池は負極活物質としてリチウムなどの金属、電解質として非水系の有機電解質溶液が主に用いられていますが、負極活物質の劣化や電解液の漏れ出しなど多くの課題があります。固体電解質を用いた全固体空気電池も提案されていますが、負極の課題は解決されていません。

最近、負極活物質に酸化還元活性な有機化合物を用いた空気二次電池がいくつか開発されました(Li et al., Chem, 5, 2159-2170, 2019: Oyaizu et al., Chem. Commun., 56, 4055-4058, 2020)が、高分子電解質膜との組み合わせによる全固体空気二次電池はこれまで存在していませんでした。

(2) 今回の研究で新たに実現しようとしたこと、明らかになったこと

有機化合物を用いた電極と固体電解質から成る空気二次電池に挑戦しました。負極活物質としてプロトンを取り込みながら酸化還元活性を示す有機レドックス化合物(ジヒドロキシベンゾキノン※3およびその重合体)、電解質としてプロトン伝導性高分子薄膜(ナフィオン)、正極として白金触媒を含むガス拡散電極(活物質は酸素)を組み合わせた全固体空気二次電池の可能性を検討し、その結果、原理の実証に成功しました。

(3) 今回、新しく開発した手法

負極活物質であるジヒドロキシベンゾキノンの酸化還元反応を促進し、電解質膜との界面でのプロトン移動を円滑に進めるために、電子伝導性材料(カーボン粉末)とプロトン伝導性高分子(ナフィオン)を混合した負極構造を設計・構築しました。電流電位測定により負極での反応とその可逆性を確認し、充放電、レート特性、サイクル特性を評価しました。さらにジヒドロキシベンゾキノンを高分子化したところ負極活物質の利用率が40%以上向上し、全固体空気二次電池の容量も6倍以上向上することを見出しました。

本研究により開発した「全固体空気二次電池」は繰り返して充放電することができ、一定速度(放電レート15C)における発電で、30サイクル充放電が可能です。

(4) 研究の波及効果や社会的影響

リチウムイオン二次電池の性能や耐久性は日々向上していますが、リチウム資源は限られており、また、液体電解質を用いた課題(漏れ出し、蒸発、発火の危険性、など)は本質的に解決が困難です。本研究で開発した全固体空気二次電池は安全な有機レドックス化合物とプロトン伝導性高分子薄膜を用いており、これら物質はそもそも水分が含まれた状態で用いており水や酸素で電極が劣化することが無く、極めて安全性に優れています。また、高分子化合物の特徴を活かしてフレキシブルなデバイスにできる可能性もあります。今後、構成材料の高性能化・最適化や耐久性などを改善することで、携帯電話や小型電子デバイスなどモバイル機器用電源としての応用が期待されます。

(5) 今後の課題

酸化還元電位がより卑(マイナス)な有機レドックス化合物を用いることにより電池電圧を高くしたり、負極中の活物質を安定化させてレート特性やサイクル特性を改善することで、二次電池としての特性を一層向上させたいと考えています。

(6) 研究者のコメント

空気二次電池は二次電池と燃料電池の利点を兼ね備えた次世代のエネルギーデバイスとして期待されていますが、性能や安全性に関する技術的な課題が多く実用化されている例は限られています。本研究により、有機負極活物質と高分子電解質から成る全固体空気二次電池の開発に成功し、小型軽量化、高容量化、高安全性を兼ね備えた新しいタイプの空気二次電池の可能性を示すことができました。他方、今回の成果はまだ原理実証の段階であり電池電圧やレート特性、サイクル特性は改善の余地がありますので、今後、全固体空気二次電池の実用化に向けた追求を継続していきたいと考えています。

(7)用語解説

※1 空気電池

正極活物質として空気中の酸素を用いる電池。多くの場合、負極には金属が用いられている。電池内部に正極活物質を内蔵する必要が無いため、原理的に大きなエネルギー密度を持つという特徴がある。

※2 プロトン伝導性高分子薄膜

スルホン酸基などの酸性基を含む高分子から成る膜。燃料電池などの電気化学デバイスの固体電解質として用いられている。

※3 ジヒドロキシベンゾキノン

水酸基が2つ置換されたベンゾキノン。酸性条件下で酸化還元活性を示す。

(8) 論文情報

雑誌名:Angewandte Chemie International Edition
論文名:All-Solid-State Rechargeable Air Batteries Using Dihydroxybenzoquinone and Its Polymer as the Negative Electrode
執筆者名(所属機関名):Makoto Yonenaga (米長 諒)、Yusuke Kaiwa (海和 雄亮)**、Kouki Oka (岡 弘樹)**Kenichi Oyaizu (小柳津 研一)**Kenji Miyatake (宮武 健治)**
*山梨大学 クリーンエネルギー研究センター
**早稲田大学 先進理工学部 応用化学科
掲載日時:2023年5月16日(火)
掲載URL:https://doi.org/10.1002/anie.202304366
DOI:10.1002/anie.202304366

(9) 研究助成

研究費名:科学研究費補助金 新学術領域研究「ハイドロジェノミクス」(研究領域提案型)
研究課題名:高速移動水素による次世代創蓄電デバイスの設計
研究代表者名(所属機関名):宮武 健治(山梨大学)
研究分担者名(所属機関名):小柳津 研一(早稲田大学)

研究費名:科学研究費補助金 基盤研究(B)
研究課題名:全固体空気二次電池の創製:原理実証と有機負極活物質の検討
研究代表者名(所属機関名):宮武 健治(山梨大学)

研究費名:データ創出・活用型マテリアル研究開発プロジェクト
研究課題名:再生可能エネルギー最大導入に向けた電気化学材料研究拠点(DX-GEM)
研究代表者名(所属機関名):宮武 健治(山梨大学)

世界初 テラヘルツ波信号を分配・送信

著者: contributor
2023年5月16日 11:05

世界初、大容量テラヘルツ波信号を光ファイバ無線技術で異なるアクセスポイントに分配・送信する技術を実現

Beyond 5G時代の無線システム社会実装に向けて 途切れることのない通信や省エネルギー化に期待~

【ポイント】

大容量テラヘルツ波信号を異なるアクセスポイントへ透過的に分配・送信することに世界で初めて成功
新規開発のテラヘルツ波-光変換デバイスと光ファイバ無線技術で、毎秒32ギガビットの大容量光アクセス通信を実証
 光・電波融合技術が可能にするテラヘルツ波Beyond 5Gネットワークへの重要な一歩

国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT、理事長: 徳田 英幸)、住友大阪セメント株式会社(住友大阪セメント、代表取締役 取締役社長: 諸橋 央典)、国立大学法人名古屋工業大学(名古屋工業大、学長: 木下 隆利)及び学校法人早稲田大学(早稲田大、理事長: 田中 愛治)は共同で、テラヘルツ波となる285ギガヘルツの周波数帯で毎秒32ギガビットの大容量テラヘルツ波無線信号を異なるアクセスポイントへ透過的に分配・送信*1するシステムの実証に世界で初めて成功しました。

これを可能にしたのは、新規開発のテラヘルツ波-光変換デバイスと光ファイバ無線技術*2です。今回開発したシステムは、テラヘルツ波帯の電波のデメリットとされる「遠くに届きにくい、広い範囲をカバーしにくい」といった課題を克服することができ、無線信号のカバー範囲を拡大し、Beyond 5Gネットワークにおけるテラヘルツ波通信の展開に道を開くことができます。

本実験結果の論文は、光ファイバ通信国際会議(OFC 2023)にて非常に高い評価を得て、最優秀ホットトピック論文(Postdeadline Paper)として採択され、現地時間2023年3月9日(木)に発表しました。

※本研究成果における早稲田大学代表研究者は、理工学術院、川西哲也教授です。

【背景】

テラヘルツ波通信は、Beyond 5Gネットワークのアクセスポイントで超高速データレートを得るための有力な候補です。しかし、テラヘルツ波の信号は、第5世代移動通信システム(5G)で使用されているマイクロ波帯やミリ波帯の信号に比べ、伝搬損失*3が非常に大きいため、長距離の送信や屋外から屋内など、障害物のある環境での通信が困難となります。また、テラヘルツ波帯の電波はカバー範囲が狭いため、ユーザーの移動がある場合、途切れなく通信を実現することが困難です。このような課題を克服するためには、テラヘルツ波信号を透過的に分配・送信することが重要ですが、これまでこれらを効率よく実現する技術はありませんでした。

【今回の成果】

今回、NICT、住友大阪セメント、名古屋工業大及び早稲田大は共同で、テラヘルツ波信号を光信号に変換し、様々なアクセスポイントに透過的に分配・送信する技術を確立することに世界で初めて成功しました。

要素技術の一つ目は、共同開発した、テラヘルツ波を光信号に変換するテラヘルツ波-光変換デバイスで、強誘電体電気光学結晶(ニオブ酸リチウム)を利用した高速光変調器*4です(図1参照)。結晶の厚さを従来比5分の1以下である100マイクロメートル以下とすることで、285ギガヘルツのテラヘルツ波にも対応可能な高速性を実現しました。

二つ目は光ファイバ無線技術で、テラヘルツ波信号の行き先を変更できる機能を付加した点です。テラヘルツ波信号を搬送するために、波長可変レーザにより生成した異なる波長のレーザ光を用い、波長を切り替えることで、テラヘルツ波信号をスムーズに切替え可能にしました。これにより、特定の波長が割り当てられた異なるアクセスポイントすなわちユーザーの位置に応じて配信することが可能になります。

これらの開発技術を組み合わせることで、4QAM変調*5で毎秒32ギガビットの大容量テラヘルツ波信号を直接光信号に変換し、異なるアクセスポイントに分配・送信する伝送システムの構築・実証に成功しました。また、テラヘルツ波の信号を10マイクロ秒以下という極めて短い時間で切り替えることができる可能性を示しました。

本成果を応用することにより、テラヘルツ波信号をあるアクセスポイントから他のアクセスポイントへ透過的に伝送することが可能となります。また、アクセスポイント間のテラヘルツ波信号の経路制御や切替えを行うことで、途切れることのない通信や省エネルギー化が期待されます。

【今後の展望】

今後は、今回確立したテラヘルツ波-光変換デバイスと光ファイバ無線技術を活用し、Beyond 5G時代の無線システムに向けた更なる高周波化、高速化及び低消費電力化を目指した技術検討を進めていきます。また、技術検討と並行し、国際標準化活動並びに社会展開活動を推進していきます。

なお、本実験結果の論文は、光ファイバ通信分野における世界最大の国際会議の一つである光ファイバ通信国際会議(OFC 2023、3月5日(日)~3月9日(木))で非常に高い評価を得て、最優秀ホットトピック論文(Postdeadline Paper)として採択され、現地時間3月9日(木)に発表しました。

<役割分担>

NICT: 光・無線直接伝送技術の設計・技術開発・実証実験・標準化活動
住友大阪セメント: 無線信号を光信号へ変換するデバイス、高速光変調器の設計・技術開発・標準化活動
名古屋工業大学: 光局発信号発生器、光ファイバ無線技術の研究開発
早稲田大学: 光ファイバ無線技術の研究開発

<採択論文>

国際会議: 第46回光ファイバ通信国際会議(OFC 2023) 最優秀ホットトピック論文(Postdeadline Paper)
論文名: Transparent Relay and Switching of THz-wave Signals in 285-GHz Band Using Photonic Technology
著者名: Pham Tien Dat, Yuya Yamaguchi, Keizo Inagaki, Shingo Takano, Shotaro Hirata, Junichiro Ichikawa, Ryo Shimizu, Isao Morohashi, Yuki Yoshida, Atsushi Kanno, Naokatsu Yamamoto, Tetsuya Kawanishi, Kouichi Akahane

<用語解説>

*1 透過的に分配・送信

テラヘルツ波が遮られる壁などの遮蔽物があった場合、その場所でテラヘルツ波を光信号に変換し、光ファイバで伝送した後に再度テラヘルツ波に変換することで、テラヘルツ波が遮蔽物を透過したと考えてシステムを構築することができる。このためには、光信号とテラヘルツ信号を何度も行き来できる多段のRoF*2システムを簡便な構成で構築することが必要である。

*2 光ファイバ無線(RoF: Radio over Fiber

無線信号で光信号を変調することで、無線信号を直接光ファイバで伝送する技術。携帯電話や地上デジタル放送の電波不感地帯対策で既に利用されている。
NICTでは、本技術と高速受光デバイスを利用し、空港滑走路上の異物を検知するレーダーシステムや高速鉄道へミリ波信号を送り届けるシステムの実現を報告してきた。

過去のNICTの報道発表

・2021年7月15日 ミリ波無線受信機を簡素化する光・無線直接伝送技術の実証成功
https://www.nict.go.jp/press/2021/07/15-1.html

・2018年4月26日 時速500kmでも接続が切れないネットワークの実現に目途
https://www.nict.go.jp/press/2018/04/26-2.html

*3 伝搬損失

電波が大気中を進む際、空気や空気中の水分などにより、吸収されたり、散乱されたりする。これにより、電波の強度は徐々に弱くなる。これを伝搬損失と呼ぶ。

*4 光変調器

入力した電気信号を光信号に重畳するデバイス。基幹光ファイバ通信等で利用されている。デジタルデータ信号だけでなく、無線信号等を光信号へ変換する際にも用いられている。
今回は、強誘電体電気光学材料(ニオブ酸リチウム)を薄くし、電極構造を最適化することで、285ギガヘルツの光・無線変換が可能な高速性を実現した。

*5 直交振幅変調(QAM: Quadrature Amplitude Modulation

光の位相と振幅を併用し複数のビットを表現する方式(多値変調)の一種。On-Off Keying(OOK)と呼ばれるOnとOffの2つの状態(1ビット)で情報(21=2通り)を示す方式に対して、4QAMは、1シンボルが取り得る位相空間上の点が4個で、1シンボルで2ビットの情報(22=4通り)が伝送でき、同じ時間でOOK方式の2倍の情報が伝送できる。

 


補足資料

1. 今回開発したシステムの基本構成

図4は、今回開発した伝送システムの概略図を表しています。

下記の手順により、285ギガヘルツ・毎秒32ギガビットのテラヘルツ波無線信号伝送を実現しました。

(1)光ファイバ無線信号送信機

275.2ギガヘルツの周波数間隔を持つ2波長を用い、一方の波長は9.8ギガヘルツの信号で変調し、もう一方は無変調とした。変調された信号と変調されていない信号を再結合し、周波数間隔285ギガヘルツ(=275.2+9.8ギガヘルツ)のRoF信号を生成した(図4 (1)の右上の図参照)。

(2)テラヘルツ波無線送信機

光ファイバを伝送後、テラヘルツ波変換部にて、高速光検出器をベースとした光電変換器により、RoF信号から285ギガヘルツのテラヘルツ波信号へ変換し、パワーアンプで増幅した。

(3)中継ノード

受信した信号は、RFプローブを用いて、新たに開発した高速光変調器に接続し、光信号に変換した。テラヘルツ波信号の変調と切替えには、制御回路を備えた波長可変レーザを使用した。変調された信号は増幅され、波長ルータに接続され、異なるアクセスポイントに転送された。

(4)アクセスポイント

受信した光信号は、別の高速フォトダイオードに入力され、再び285ギガヘルツのテラヘルツ波信号に変換された。この信号を増幅し、48 dBiのレンズアンテナで自由空間へ送信した。

(5)テラヘルツ波信号受信機

約5 m伝送した後、別のレンズアンテナで受信し、増幅した後、サブハーモニックミキサで10.2ギガヘルツに下方周波数変換した。最後に、信号を増幅してリアルタイムオシロスコープに送り、オフラインで復調した。

2. 実験結果

図5の実験結果のグラフは、異なる波長で送られてきた信号の誤り率を示しています。ビットレートが上がると誤り率が上がりますが、毎秒32ギガビットまではデータ伝送可能であることが示されました。誤り訂正前のエラーベクトル振幅値(EVM: Error Vector Magnitude、伝送誤りに相当)で、4QAMにおいては、オーバーヘッド20%で帯域幅32ギガビットに相当します。

(b)は、受信時の4QAM信号で、4つのシンボルがはっきり見えるほど信号品質が良い(エラー訂正が少なくて済む)ことになります。

(c)は、テラヘルツ信号の切替えを行っているところを可視化した図で、横軸が時間、縦軸が信号強度になります。途中くぼんでいる部分が切替えを行っているところ(データが止まっているところ)ですが、テラヘルツ波信号の切替えを10マイクロ秒以下で行える可能性を示しました。

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