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Asymmetric Superacid Catalysis for the Synthesis of Chiral Azacycles (2026/6/24)

著者: staff
2026年3月27日 16:52

🤖 AI Summary

以下の記事は、アシメトリックスーパーアシッド触媒を用いた手性アザサイクルの合成に関する研究について説明しています。

【要旨】
- 講演タイトル: アシメトリックスーパーアシッド触媒による手性アザサイクルの合成
- 日時: 2026年6月24日(水)16:20〜18:00
- 場所: 早稲田大学121号館 コマツ100周年記念ホール
- 講師: デニス・セイデル(フロリダ大学 教授)
- 対象: 学部生、大学院生、教職員、学外者、一般
- 参加方法: 入場無料、会場へ直接お越しください

この講演は、先進理工学部応用化学科が主催し、早稲田大学理工センター総務課で問い合わせ可能です(TEL: 03-5286-3000)。

関連記事には、化学 Innovation and Biological Discovery through Natural Product Total Synthesis (2026年5月21日) 等があります。

演題:Asymmetric Superacid Catalysis for the Synthesis of Chiral Azacycles

日時:2026年6月24日(水) 16:20-18:00

会場:早稲田大学 121号館 コマツ100周年記念ホール

講師:Daniel Seidel (フロリダ大学 教授)

対象:学部生、大学院生、教職員、学外者、一般

参加方法:入場無料、直接会場へお越しください。

主催:先進理工学部 応用化学科

問合せ:早稲田大学 理工センター 総務課

TEL:03-5286-3000

Chemistry Innovation and Biological Discovery through Natural Product Total Synthesis (2026/5/21)

著者: staff
2026年3月27日 16:47

🤖 AI Summary

### 摘要

**タイトル:** 化学の革新と生物発見:自然物全合成による新展開
**日時:** 2026年5月21日(木) 16:20-18:00
**場所:** 早稲田大学 121号館 コマツ100周年記念ホール
**講師:** 明治 Dai (エモリー大学 教授)

このワークショップでは、自然物全合成による化学の革新と生物発見について解説される予定です。参加は学部生、大学院生、教職員、一般の方も歓迎しており、入場は無料です。

**主催:** 早稲田大学 先進理工学部 応用化学科
**問い合わせ先:** 早稲田大学 理工センター 総務課 TEL:03-5286-3000

関連記事:
1. 「翻訳網羅解析」(2026年5月29日)
2. 左手超酸触媒による chirai アザサイクル合成(2026年6月24日)
3. サイクロラーゼフェーズ全合成の新しい展開(2026年6月8日)

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この記事は、自然物全合成を通じた化学と生物学の最新動向について解説するワークショップに関する情報です。詳細なスケジュールや参加方法が提供されています。

演題:Chemistry Innovation and Biological Discovery through Natural Product Total Synthesis

日時:2026年5月21日(木) 16:20-18:00

会場:早稲田大学 121号館 コマツ100周年記念ホール

講師:Mingji Dai (エモリー大学 教授)

対象:学部生、大学院生、教職員、学外者、一般

参加方法:入場無料、直接会場へお越しください。

主催:先進理工学部 応用化学科

問合せ:早稲田大学 理工センター 総務課

TEL:03-5286-3000

New Avenues in Cyclase Phase Total Synthesis (2026/6/8)

著者: staff
2026年3月27日 14:56

🤖 AI Summary

### 新規合成法におけるサイクロン酸生成期完全合成に関する最新動向(2026年6月8日)

**講演情報**
- **日時:** 2026年6月8日(月) 16:20-18:00
- **会場:** 早稲田大学 121号館 コマツ100周年記念ホール
- **講師:** アレックス・シュッペ (ベンデミル大学 助教授)
- **対象:** 学部生、大学院生、教職員、学外者、一般
- **参加方法:** 入場無料(直接会場へお越しください)
- **主催:** 先進理工学部 応用化学科

**概要**
本講演はサイクロン酸生成期完全合成に関する最新の研究動向を紹介します。サイクロン酸生成期完全合成法は、複雑な有機化合物の合成において重要な役割を果たしており、今後の合成化学における発展に期待されています。

**連絡先**
- **問い合わせ:** 早稲田大学 理工センター 総務課
- **電話番号:** 03-5286-3000

関連記事:
- [翻訳網羅解析(2026年5月29日)](https://www.waseda.jp/fsci/news/2026/05/29/)
- [アシンメトリックスーパーアシッド触媒による chirai アザサイクル合成(2026年6月24日)](https://www.waseda.jp/fsci/news/2026/06/24/)
- [天然物完全合成を通じた化学革新と生物学的発見(2026年5月21日)](https://www.waseda.jp/fsci/news/2026/05/21/)

演題:New Avenues in Cyclase Phase Total Synthesis

日時: 2026年6月8日(月) 16:20-18:00

会場:早稲田大学 121号館 コマツ100周年記念ホール

講師:Alex Schuppe (Vanderbilt University Assistant Professor)

対象:学部生、大学院生、教職員、学外者、一般

参加方法:入場無料、直接会場へお越しください。

主催:先進理工学部 応用化学科

問合せ:早稲田大学 理工センター 総務課

TEL:03-5286-3000

生成AIで都市の未来を高精度に予測

著者: contributor
2026年3月24日 15:10

🤖 AI Summary

この記事は早稲田大学とその研究者の共同研究による新しいAI技術についてのプレスリリースです。主なポイントを整理すると以下のようになります:

1. **研究の背景**:
- 世界的な都市化が進んでおり、都市空間の設計はエネルギー消費や温室効果ガス排出などの多くの重要な問題に影響を与えている。
- 現存する生成AIモデルには複数の要因を考慮しながら都市構造を予測することが難しいという課題があった。

2. **研究内容**:
- 新しいAIフレームワーク「MMCN(Memory-aware Multi-Conditional generation Network)」を開発した。
- これは過去の都市レイアウトだけでなく、建物密度マップや道路構造マップなどの複数の要因を統合的に学習することで、将来の都市レイアウトを予測できるものである。
- 特に、隣接する領域間での自然なつながりを確保するための仕組みを導入している。

3. **研究の成果**:
- 提案手法は既存の生成AIモデルと比較して、将来レイアウト予測の精度と空間的連続性の両面で向上した。
- データセットを用いた検証結果では、新しい手法が隣接する領域間での自然な分断を大幅に抑制することも確認された。

4. **研究の意義と今後の展望**:
- 提案手法は再開発計画や土地利用政策などの視覚的な比較検討において有力な技術基盤になる可能性がある。
- 今後は他の国の都市への適用を通じて汎用性を検証し、さらに予測の安定性と一般化性能を向上させるためにデータの拡充が必要。

5. **研究支援**:
- 科学技術振興機構(JST)などの研究資金により実施された。

6. **出版情報**:
- 提案手法は国際学術誌「Sustainable Cities and Society」に掲載され、2026年3月3日にオンライン版で公開された。

この研究成果は都市計画分野において重要な進歩であり、将来的には実務的な意思決定支援にも大きく貢献すると期待されています。

生成AIで都市の未来を高精度に予測
―持続可能な都市計画を支える新たな都市予測技術を開発―

発表のポイント

  • 生成AIを活用し、将来の都市構造を高精度に予測する新手法を開発。
  • 建物密度・高さ・交通ネットワークなど複数の都市データを統合し、未来の都市レイアウトを生成。
  • 都市の成長や変化を長期的に可視化でき、持続可能な都市計画や再開発の検討に活用可能。

北陸先端科学技術大学院大学 創造社会デザイン研究領域の謝浩然准教授(早稲田大学 理工学術院総合研究所 主任研究員)とDu, Xusheng大学院生(博士後期課程、JAIST SPRING研究員)と、天津大学建築学院のZhen Xu教授らの研究グループは、生成AIを活用し、都市の将来構造を高精度に予測する新技術を開発しました。

本研究では、建物密度や高さ分布、交通ネットワーク、過去の都市変化パターンなど複数の都市の特徴データを統合的に分析し、長期的な都市構造の進化を一貫して可視化しました。本研究成果は、持続可能な都市計画や再開発戦略の高度化に貢献する基盤技術として期待されます。

なお、本研究成果は、都市計画分野の国際学術誌「Sustainable Cities and Society」(Elsevier発行)に掲載され、2026年3月3日にオンライン版で公開されました。

(1)研究の背景

世界的な都市化の進展により、都市は急速な成長と環境負荷の増大という二重の課題に直面しています。2050年までに世界人口の約7割が都市部に居住すると予測されており、都市構造の設計は、エネルギー消費や温室効果ガス排出、交通効率、生活の質などに大きな影響を及ぼします。そのため、現在の開発計画が将来の都市空間にどのような変化をもたらすのかを見通し、長期的視点に立った都市計画が求められています。しかし、都市の発展は、建物密度や高さ分布、交通ネットワーク、過去の発展経路など、複数の要因が相互に影響しながら進行する複雑な意思決定プロセスです。既存の生成AIモデルは、画像生成や、条件を一つだけ指定した変換には高い性能を示すものの、都市のように多様な要因が絡み合う空間構造を統合的に扱うことが難しく、また大規模都市を分割して処理する際には、隣接領域との不自然な不連続が生じやすいという課題がありました。さらに、時間の経過に伴う都市進化のパターンを一貫して捉える仕組みも十分ではなく、持続可能な都市計画を支える長期予測ツールとしては十分とは言えませんでした。

(2)研究の内容

本研究では、これらの課題を解決するため、画像生成AIを基盤とした都市進化予測フレームワーク「MMCN(Memory-aware Multi-Conditional generation Network)」を提案しました(図1)。本手法は、過去の都市レイアウトに加え、建物密度マップ、建物高さマップ、道路構造マップといった複数の都市要因を同時に入力し、統合的に学習することで、将来の都市レイアウトを予測するものです。

図1.生成AIによる都市将来予測の仕組み(MMCN)

特に本研究では、都市をパッチ単位で処理する際に問題となる境界の不連続性を解消するため、隣接パッチの情報を参照する仕組みを導入しました。これにより、道路や建物配置が領域をまたいで自然につながるよう制御できます。また、過去の都市レイアウトを明示的な条件として組み込み、都市の歴史的変化パターンを学習することで、単なる静的な生成ではなく、時間的連続性を持つ予測を可能にしました。さらに検証のため、中国・深圳市を対象に2005年から2024年までの複数時点にわたる都市データを整理し、建物レイアウト、密度、高さ、道路構造などを含む、複数種類・複数時点の都市情報をまとめたデータセットを構築しました。提案フレームワークの異なる都市環境における都市間汎化能力をさらに評価するため、中国の他の2つの主要都市である上海と天津のデータを用いた都市間汎化実験も実施し、多様な空間条件下においても一貫性のある安定した都市レイアウト予測に成功しました。

(3)研究の成果

都市データ(深圳市)を用いた検証の結果、提案手法は既存の生成AIモデルと比較して、将来レイアウト予測の精度と空間的一貫性の両面で向上しました。都市レイアウトの画像や構造の類似度を示す指標SSIM(Structural Similarity Index Measure)では0.885を達成し、従来手法を上回る結果を示しました。また、都市を複数の領域に分割して予測する際に課題となる、隣り合う領域同士の境界の自然さを評価する指標Boundary IoU(Boundary Intersection over Union)でも0.642を記録しました。これにより、隣接するエリア間で生じがちな不自然な分断が大幅に抑制されていることが確認されました。

図2に示す予測例では、既存手法では道路が途中で途切れたり、建物配置が不自然にずれる様子が見られるのに対し、提案手法では道路ネットワークや建物構造がより自然に連続していることが分かります。さらに、複数のパッチを接続した都市全体の再構成結果においても、都市構造が一貫した形で保たれていることが確認されました。

図2.将来都市レイアウト予測におけるパッチ再構成結果の比較

また、複数期間にわたる予測結果の比較(図3)から、提案手法は単なる現在構造の再現ではなく、時間経過に伴う都市の拡張や密度変化といった進化傾向を反映したレイアウトを生成できることが示されました。これにより、長期的な都市発展シナリオの検討に活用できる可能性が示唆されました。

図3. 複数期間にわたる都市レイアウト予測結果

(4)研究の意義と今後の展望

本研究は、複数要因の相互作用を踏まえて都市の将来像を予測する生成AIフレームワークを提示し、空間的連続性と時間的一貫性の双方を考慮した都市進化予測を実現しました。将来の都市構造を視覚的に比較検討できることは、再開発計画や土地利用政策の検討、持続可能な都市成長シナリオの評価における有力な技術基盤としての活用が期待されます。

今後は、他の国の都市への適用を通じて汎用性の検証を進めるとともに、より多様な都市形態を含むデータの拡充により、予測の安定性と一般化性能の向上を図ることが課題となります。また、実務における意思決定支援を見据え、都市計画のシナリオ分析に応用可能な形へと発展させていくことが期待されます。

(5)研究支援

本研究は、以下の研究資金の支援を受けて実施されました。

科学技術振興機構(JST)国家戦略分野の若手研究者及び博士後期課程学生の育成事業(BOOST) 次世代AI人材育成プログラム(若手研究者支援)(課題番号:JPMJBY24D6)

科学技術振興機構(JST)次世代研究者挑戦的研究プログラム(SPRING)(課題番号:JPMJSP2102)

中国国家重点研究開発計画(課題番号:2024YFC3808104-01)

中国国家自然科学基金(課題番号:52508023)

(6)論文情報

掲載誌:Sustainable Cities and Society
論文題目:AI-driven urban evolution forecasting: A unified memory-aware multi-conditional generation framework for sustainable development planning
著者:Xusheng Du, Chengyuan Li, Qingpeng Li, Yuxin Lu, Yimeng Xu, Ye Zhang, Zhen Xu, Haoran Xie* *責任著者
掲載日:2026年3月3日にオンライン版に掲載
DOI:10.1016/j.scs.2026.107272

全学副専攻『アントレプレナーシップ』2026年度スタート!

著者: contributor
2026年3月24日 11:06

🤖 AI Summary

早稲田大学は2026年度から新しい学際的副専攻「アントレプレナーシップ」を開始します。このプログラムでは、自らの専門性を活かし社会課題を発見し、持続可能な解決策に向けた新たな価値創造に取り組む能力(アントレプレナーシップ)を養います。具体的には、ビジネスや起業に関する知識とデータスキルを学び、実現可能性の高い事業計画を立案する能力を育てます。また、多様な専門性を持つ仲間と一緒にアイデアを具現化し、チームでのプロジェクト推進能力も強化します。

副専攻修了者は、起業家や投資家の交流を通じて自己のキャリア選択肢として起業を捉えるマインドを育みます。副専攻で得たスキルはアントレプレナーシップセンターが提供する課外プログラムで実践することができます。

全学副専攻制度とは、特定のテーマに焦点を当てて学ぶための柔軟な学習システムです。修了希望者は必要な単位を取得し、申請することで修了証明書が発行されます。

このプログラムは、社会課題解決に興味のある学生や将来起業家を目指す学生にとって魅力的であり、アントレプレナーシップ教育の充実により多くの優れた起業家が輩出されることが期待されています。

社会課題が複雑化する時代に求められるのは、自ら問いを立て、新たな価値を創造する力です。

早稲田大学では2026年度から、新しい学際的副専攻『アントレプレナーシップ』がスタートします。

この副専攻では、自らの専門性を活かして社会課題を発⾒し、その持続可能な解決に向けた新たな価値創造に挑む⼒「アントレプレナーシップ」を身につけます。「アントレプレナーシップ」とは、起業をめざす人に限らず、企業・行政・NPOなどあらゆるフィールドで活かすことができるものです。

具体的には、ビジネスや起業に関する体系的知識と、統計・プログラミング等のデータスキルを学び、実現可能性の⾼い事業計画を論理的に構想する⼒を養います。また、多様な専門性を持つ仲間と協働し、チームでアイディアを具現化するプロジェクト推進能⼒も体得します。さらに、起業家や投資家との交流を通じて社会課題とその解決を「自分ごと」として捉え、起業が将来のキャリアの選択肢になるようなマインドを醸成します。

副専攻で身につけたスキルや力は、アントレプレナーシップセンターが提供するさまざまな課外プログラムで、実践・力試しをしてみることができます。

・学ぶ
・実践する
・失敗する
・改良する

このサイクルを繰り返すことで、アントレプレナーシップが単なる「知識」から「力」へと変わっていきます。課外プログラムの公募は、アントレプレナーシップセンターのWebサイト上で随時更新していきますので、公式Xをフォローして見逃さないようにしましょう。

全学副専攻制度とは

学部の専攻分野を問わず、特定のテーマを追究できる制度です。専攻分野を補強、応用する分野を学ぶ、第二の強みをつくるべく新たな分野に挑戦する…など、活用方法はさまざまです。在学中に修了必要単位数を修得し申請すると修了が認定され、卒業時に修了証明書が発行されます。それぞれの「学びへの動機」や「キャリアプラン」に基づいて、興味・関心のあるテーマの副専攻を見つけて、チャレンジしてください。 詳細はグローバル・エデュケーション・センターのWebサイトからご確認ください。

こんな学生におすすめ

  • 自分の専門を、社会にどう活かせるか考えたい
  • 社会課題の解決に関心がある
  • 将来、起業や新規事業にも挑戦してみたい
  • 学部を越えた仲間と何かを生み出してみたい

ひとつでも当てはまるなら、
副専攻「アントレプレナーシップ」は、きっとあなたの学びの可能性を大きく広げることでしょう。

コーディネーター教員からのメッセージ

河村耕平 アントレプレナーシップ副専攻 コーディネーター代表(政治経済学部・教授 アントレプレナーシップセンター副所長)

早稲田大学では、他大学に先駆けて学部学生への充実したアントレプレナーシップ教育を展開しており、これまで多くの優れた起業家を輩出してきました。1998年に始まった「早稲田大学ビジネスプランコンテスト」も、今年度で29回目を数えます。

このたび新設された「アントレプレナーシップ全学副専攻」は、商学部、GEC、政治経済学部、理工3学部、そしてアントレプレナーシップセンターをはじめとした学内の各所に設置されている多様なオープン科目や課外プログラムを体系化したものです。起業やスタートアップに関心のある学生のみなさんが、どの学部に所属していても、実践的な学びを得られるカリキュラムとなっています。

ほとんどの科目は、専門的な事前知識や前提科目の履修を必要としません。副専攻の修了を目指す方はもちろん、そうでない方も、自身のキャリアを切り拓くヒントとして、興味のある科目からチェックしてみてください!

Testing Gravity Beyond General Relativity Across Astrophysical Scales(2026/4/10)

著者: staff
2026年3月24日 10:42

🤖 AI Summary

早稲田大学先進理工学部応用物理学科は、4月10日(金)に「Testing Gravity Beyond General Relativity Across Astrophysical Scales」をテーマとして講演会を開催します。この講演は17:00から18:40まで行われ、早稲田大学の西早稲田キャンパス55号館N棟2階の物理応物会議室で開かれます。主催は先進理工学部応用物理学科であり、問い合わせ先は早稲田大学理工センター総務課(電話:03-5286-3000)です。

講師はオスロ大学のDavid Mota教授です。彼は一般の方々を含む学生や教職員も対象としており、入場は無料です。関連記事には、「Asymmetric Superacid Catalysis for the Synthesis of Chiral Azacycles」(6月24日)、「New Chemistry Innovation and Biological Discovery through Natural Product Total Synthesis」(5月21日)などが掲載されています。

この講演会は、一般公開の科学イベントであり、天体物理学における重力の測定や一般相対性理論を超えた探究についての情報を提供する予定です。

演題:Testing Gravity Beyond General Relativity Across Astrophysical Scales

日時:2026年4月10日(金) 17:00-18:40

会場:早稲田大学 西早稲田キャンパス55号館N棟2階 物理応物会議室

講師:David Mota (オスロ大学 教授)

対象:学部生、大学院生、教職員、一般

参加方法:入場無料、直接会場へお越しください。

主催:先進理工学部 応用物理学科

問合せ:早稲田大学 理工センター 総務課

TEL:03-5286-3000

光電流を従来の340倍に増幅する超小型光回路モニタを開発

著者: contributor
2026年3月19日 12:16

🤖 AI Summary

早速、この研究成果の重要な点を要約します:

1. **背景**:
- 生成AIの普及に伴い、AIデータセンターとLiDARなどの分野で光通信や高精度な光制御技術が求められています。
- 精密制御が必要な場面では、回路内部の光強度や共振状態を監視する必要があります。

2. **成果**:
- シリコンフォトニクス向けの超小型(4.7マイクロメートル)、低損失(0.03デシベル)、高感度(約340倍)、低消費電力のインライン光モニタを開発。
- マルチモード干渉を利用して、光を減衰させずに検出できるようにした。

3. **波及効果**:
- AIデータセンター向けの大規模光通信チップの高度化に貢献。
- LiDARなどのセンシング分野での精度向上と小型化に寄与。
- 既存のシリコンフォトニクス製造プロセスとの高い互換性があるため、量産性和コスト面でも優位性がある。

4. **展望**:
- 大規模光集積回路の制御技術確立を目指す。
- LiDARやTHz波コヒーレント通信などの応用を推進する。

5. **研究者のコメント**:
- 光集積回路の大規模化と多機能化が進む中で、この技術は基盤となるモニタリング技術として重要な役割を果たす。

この研究成果は、光通信やセンシング分野における高精度制御と安定性を向上させる重要な技術革新であり、今後のデータセンター技術やIoT、自動運転などに大きな影響を与える可能性があります。

光電流を従来の340倍に増幅する超小型光回路モニタを開発
~ AIデータセンターやLiDAR向け光回路を高精度化~

発表のポイント

  • シリコンフォトニクス光集積回路向けにマルチモード干渉構造を活用して、高感度化と低損失化を実現し、従来のシリコンPIN型検出器と比べて約340倍の検出感度を実証しました。
  • 光をほとんど減衰させない低損失動作と、数マイクロメートルの超小型化を両立しました。
  • 特殊な材料や複雑な構造を用いない、シリコンのみの非常にシンプルな構造で増幅器を用いずに動作する低消費電力設計を実現しました。
  • AIデータセンターやLiDAR用光集積回路の安定動作や省電力化などの高精度化と大規模化に貢献する研究成果です。

早稲田大学理工学術院北 智洋(きた ともひろ)教授の研究グループは、シリコンフォトニクス※1光集積回路向けの超小型光回路モニタを開発しました。生成AIの普及に伴い、AIデータセンターでは大規模な光通信回路の安定動作と省電力化が求められています。また、LiDAR(ライダー)※2などの光センシング分野でも、光集積回路内部の光強度や共振状態を高精度に監視する技術が重要です。本研究では、マルチモード干渉※3を利用した独自構造により、光をほとんど減衰させない低損失動作と高感度化を両立し、従来のシリコンPIN型検出器※4と比べて、光を電流として取り出す能力を約340倍に高めることを実証しました。特殊材料を用いないシリコンのみのシンプルな構造で、電流増幅器を用いず低消費電力で動作します。本技術は、大規模光集積回路の高精度制御に貢献します。

本研究成果は2026年3月4日(水)に「IEEE Journal of Lightwave Technology」にて公開されました。

図:マルチモード干渉を利用した光回路モニタ

(1)研究の背景

近年、生成AIの急速な普及により、AIデータセンターでは膨大なデータ処理が行われています。大量の情報を高速かつ低消費電力で伝送するため、電気配線に代わり光通信が広く導入されています。また、自動運転や3次元計測に用いられるLiDARにおいても、小型で高精度な光制御技術が重要となっています。こうした通信とセンシングの両分野を支える基盤技術が、シリコンフォトニクスによる光集積回路です。

光集積回路では、リング共振器や干渉回路などの微小な構造によって光を制御します。これらの回路は温度変化や製造によるばらつきの影響を受けやすく、そのままでは通信性能の低下や動作の不安定化が起きる可能性があります。そのため、光の強度や共振状態を精密に監視しながら制御する必要があります。回路の大規模化が進むほど、こうした監視技術の重要性は一層高まります。

従来も回路内の光強度を測定するために光検出器※5が用いられてきました。しかし、大きな光電流が得られる一般的なゲルマニウム-PIN型検出器は光を吸収して電流を得るため、回路内の光を減衰させます。検出器数が増えると、その損失は無視できなくなります。さらに、検出感度を確保するために増幅回路を必要とする場合が多く、消費電力や実装面積の増加も課題でした。

そのため、光をほとんど弱めず、小型で高感度、かつ低消費電力で動作する新しい回路内光モニタ技術が求められていました。

(2)研究の成果

本研究では、シリコンフォトニクス光集積回路の内部に直接組み込める、新しいインライン光モニタを実現しました。目的は、光をほとんど減衰させずに高感度で検出できる小型デバイスの開発です。

研究グループは、シリコン導波路内で生じるマルチモード干渉に着目しました。通信に用いられる赤外光に対して、シリコンはバンド間吸収がほとんどなく、導波路は低損失です。一方で、導波路表面の界面準位ではわずかな光吸収が生じます。吸収を強めれば感度は上がりますが、同時に損失も増えるというトレードオフが存在します。

本研究では、干渉により導波路中央に光電場が集中する位置に電極を配置しました(図1)。これにより、光の伝搬をほとんど乱さずに電極間距離を短縮しました。フォトコンダクティブゲイン※6はキャリア寿命と走行時間の比で決まり、電極間距離が短いほど増加します。本構造ではこの原理を利用し、低損失性を維持したまま光電流を大きく増幅しました。

図1:マルチモード干渉を利用したインライン型光検出器

開発したインライン光モニタの長さは4.7マイクロメートルで、挿入損失は約0.03デシベルに低減しました(図2)。これは通常のシリコン導波路に電極構造を取り付けた構造と比較して1/75の低損失化を達成しています。さらに光通信やセンシングに用いられる広い波長範囲で低損失動作を確認しました。同時に、フォトコンダクティブゲインにより光電流を増幅し、従来のシリコン-PIN型検出器と比べて最大で約340倍の検出感度を達成しました(図3)。光吸収を増やすのではなく、生成された電荷を増幅することで高感度化を実現しました。

図2:マルチモード干渉の利用による低損失化

図3:フォトコンダクティブゲインによる高感度化

さらに、本モニタをリング共振器に組み込み、光電流スペクトルを測定しました(図4)。共振ピークに対応した明確な光電流の変化を観測し、回路内部の光強度や共振状態を高精度に把握できることを示しました。多数配置しても回路性能への影響は極めて小さいことを確認しました。

図4:インライン光検出器を装荷したリング共振器と共振状態の検出

本成果により、超小型(4.7 マイクロメートル)、低損失(0.03 デシベル)、高感度(340倍)、低消費電力を同時に満たす光回路モニタを実証しました。

(3)研究の波及効果や社会的影響

本成果は、AIデータセンターにおける大規模光通信チップの高度化に貢献します。生成AIの拡大により、データセンターでは膨大な情報を高速かつ低消費電力で伝送する必要があります。光集積回路の大規模化が進む中、回路内部を高精度に監視する技術は不可欠です。本モニタは低損失で多数配置が可能なため、次世代のデータセンター間光通信やCo-Packaged Optics(CPO)※7技術の発展に寄与します。

また、本技術はLiDAR用光集積回路にも応用可能です。リング共振器や光フェーズドアレイなどの精密制御が求められるセンシング分野では、回路内部の光強度や共振状態を高精度に把握することが重要です。本モニタは回路性能をほとんど損なうことなく組み込めるため、センシング精度の向上と小型化に貢献します。さらに、特殊材料を用いないシリコンのみの構造であるため、既存のシリコンフォトニクス製造プロセスとの高い互換性を持ちます。量産性とコスト面でも優位性があります。

本成果は、通信とセンシングを横断するシリコンフォトニクス基盤技術の高度化に寄与するものです。

(4)今後の展望

今後は、本モニタを多数集積した大規模シリコンフォトニクス光集積回路の制御技術を確立します。特に、データセンター間光通信(DCI)向けの多波長光トランシーバへの応用を進めます。回路内部の光強度や共振状態をリアルタイムに監視し、自律的に最適化する技術の実現を目指します。

また、LiDAR用光集積回路への展開も進めます。リング共振器や光フェーズドアレイと組み合わせることで、より高精度で安定した光ビーム制御を実現します。

さらに、本モニタをテラヘルツ(THz)波コヒーレント通信に用いる光変調器へ組み込み、超高速光源および変調器の高精度制御に応用します。THz波通信では光源の安定性と変調精度が重要であり、本技術はその基盤となる光回路内モニタリング技術として発展が期待されます。

(5)研究者のコメント

光集積回路の大規模化、多機能化が進む中で、回路内部を高精度に監視できる技術は不可欠です。本研究では、低損失性と高感度という本来トレードオフの関係にある性能を同時に実現しました。シリコンのみのシンプルな構造であることも大きな強みです。通信やLiDAR、さらにはTHz波コヒーレント通信へと展開し、次世代の光・電波融合技術の基盤を築いていきたいと考えています。

(6)用語解説

※1 シリコンフォトニクス:
シリコンを用いて光の通り道や光の制御機能を半導体チップ上に集積する技術。光通信や光集積回路の小型化・高機能化に利用されている。

※2  LiDAR(ライダー):
レーザー光を用いて対象物までの距離や形状を計測する技術。近年は、周波数を連続的に変化させたレーザー光を用いて距離と速度を高精度に測定するFMCW方式のLiDARの研究開発が進んでいる。

※3 マルチモード干渉:
幅の広い導波路内で複数の光の進み方が重なり合うことで、光の強さの分布が変化する現象。この性質を利用して光を分けたり集めたりすることができる。

※4  PIN型検出器:
p型半導体、i層(電荷がほとんど存在しない層)、n型半導体の三層構造からなる光検出器。光を吸収して電流を生成する仕組みで、光通信や光計測などで広く利用されている。

※5 光検出器:
光を電気信号に変換する素子。光の強さを電流として読み取ることができ、光通信や光計測などに広く用いられている。

※6 フォトコンダクティブゲイン:
光によって発生した電荷が回路内で繰り返し電流として流れることで、光による電流信号が大きく増幅される現象。これにより小さな光でも高感度で検出できる。

※7 Co-Packaged Optics(CPO)
光通信モジュールと電子回路(スイッチICなど)を同一パッケージ内に集積する技術。電気配線の長さを短くすることで消費電力を低減し、データセンター向け高速通信の実現に向けて注目されている

(7)論文情報

雑誌名:IEEE Journal of Lightwave Technology
論文名:Compact and Ultra-Low-Loss Inline Optical Power Monitor Based on Multimode Interference for Silicon Photonic Integrated Circuits
執筆者名(所属機関名):Tomohiro Kita*(早稲田大学), Kiyoharu Tsujishita(早稲田大学) *責任著者
掲載日時:2026年3月4日(水)
DOI:10.1109/JLT.2026.3670843
掲載URL:https://ieeexplore.ieee.org/document/11421590

(8)研究助成

本研究は、科学技術振興機構(JST) 研究成果最適展開支援プログラム A-STEP産学共同(育成型)「シリコンフォトニクスハイブリッドレーザを用いた超高解像度LiDAR基盤技術の開発」(課題番号:JPMJTR23RG)の一環として行われ、一部は日本学術振興会(JSPS) 科学研究費助成事業「三次元ヘテロジニアス集積技術を用いた1チップLiDARの開発」(課題番号:23K26166)、総務省(MIC)戦略的情報通信研究開発推進事業(SCOPE) 「小型・低消費電力・低雑音THzトランシーバを実現する光電子融合ヘテロジニアス集積技術の研究開発」(課題番号:JP235003005)、村田学術振興・研究財団研究助成「1チップ超広帯域コヒーレント光源の研究開発」、テレコム先端技術研究支援センター研究費「自己注入同期現象を用いた超狭線幅集積型波長可変レーザの研究」の支援を受けて行われました。

ナノチューブ膜スタンプで細胞内液・ミトコンドリアを直接移送

著者: contributor
2026年3月18日 14:37

ナノチューブ膜スタンプで細胞内液・ミトコンドリアを直接移送
~細胞機能を最大25%向上させる新しい「細胞手術」技術を開発~

発表のポイント

  • 細胞内液やミトコンドリアを別の細胞へ直接移送できるスタンプシステムを開発しました。
  • 細胞生存率約95%、物質移送効率約90%という高い性能を実現しました。
  • ミトコンドリア移送により、細胞内ATP産生量が最大25%向上することを実証しました。

早稲田大学大学院情報生産システム研究科三宅 丈雄(みやけ たけお)教授らの研究グループは、ナノチューブ膜を用いたナノ注射器(ナノチューブ膜スタンプ)に圧力制御機構を搭載させることで、細胞内液やミトコンドリアなどの細胞内成分を別の細胞へ高効率かつ高生存率を保ったまま直接移送することに成功しました。

本技術により、従来は困難であった細胞内部成分の抽出・保存・再導入を一体的に制御できるようになり、移送されたミトコンドリアが受容細胞内で機能し、アデノシン三リン酸(ATP)産生を有意に向上させることを世界で初めて定量的に示しました。本成果は、細胞治療、再生医療、細胞機能解析などの分野において、新たな「細胞手術」技術としての応用が期待されます。

以上は、科学研究費補助金、科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業 さきがけ「電子・イオン制御型バイオイオントロニクス」(JPMJPR20B8)による成果であり、2026年3月17日(火)に科学誌「Small Science」にオンライン版で公開されました。

図:圧力制御可能なナノ注射器による細胞内液・ミトコンドリア移送技術

(1)研究の背景

細胞間でタンパク質やRNA、さらにはミトコンドリアなどの細胞内成分が移動する現象は、細胞機能の制御や疾患進展に深く関与していることが知られています。実際、自然界においてはトンネリングナノチューブ(TNT)と呼ばれる細胞間チャネルを介して、ミトコンドリアを含む細胞内成分が細胞間で輸送される現象が報告されており、エネルギー代謝の補償や細胞生存、疾患進行との関連が注目されています。しかしながら、このようなTNTを介した細胞間輸送は、発生頻度が低く、特定の細胞種や病理条件に強く依存することが知られています。また、輸送される分子種やオルガネラ※1、輸送量、方向性を人為的に制御することは未だ実現されておらず、自然界の機能を直接的に医療応用する段階には至っていません。

一方、人工的な細胞操作技術としては、ウイルスベクター、電気穿孔法(エレクトロポレーション)、脂質ナノキャリア(リポフェクション)など、主として「細胞内への導入」に特化した手法が広く用いられてきましたが、これらはいずれも生細胞から細胞内成分を抽出し、別の生細胞へ移送するという双方向操作には対応できません。マイクロインジェクションや原理間力顕微鏡(AFM)などのナノピペットを用いた単一細胞レベルでの吸引・注入操作も報告されているものの、極めて低スループット※2であり、細胞損傷や操作再現性の点から、多数の細胞を対象とした細胞間移送技術としての汎用化には大きな課題が残されています。特に、ミトコンドリアのような機能性オルガネラを細胞機能を維持したまま、意図した細胞間で、かつ多数の細胞へ移送する技術は現在まで確立されておらず、細胞治療や細胞機能再設計を実現する上での技術的ボトルネックとなっています(表1)。

表1:従来技術と本研究技術の比較

(2)研究の成果

本研究では、自然界における偶発的な細胞間輸送(TNT)や、導入のみに特化した既存技術の限界を踏まえ、生細胞から細胞内成分を穏やかに抽出し、別の生細胞へ高効率に導入することを同一プラットフォームで実現するナノ注射器システムを開発しました。本技術は、ナノチューブ内部の圧力を精密に制御することで、抽出・保持・導入という一連の操作を連続的かつ再現性高く行える点に特徴があります。

【要素技術:圧力制御による抽出・保持・導入の一体化】
本研究で用いたナノチューブ注射器は、金ナノチューブ膜とガラス管から構成され、ナノチューブを細胞膜に挿入した状態でガラス管内部の圧力を制御することで、細胞内成分の出入りを制御します。ガラス管内の圧力(Pstamp)が細胞内圧(Pcell)より低い場合には、細胞内液が受動的にナノチューブ内へ流入し、細胞内成分の抽出が行われます。一方で、ガラス管内に緩衝液を加えることで内部圧力を調整すると、過剰な抽出を抑制し、細胞機能を維持したまま穏やかな物質交換が可能となります。本研究では、ナノチューブ内径が大きく、かつ、ナノチューブ密度が多いほど、抽出量は大きくなり、一方、ガラス管に加える緩衝液の量を増やすほど、抽出量は少なくなることがわかりました。特に約200μLの緩衝液をガラス管に入れると、抽出はほぼ抑制されることがわかりました。

一方、抽出された細胞内成分は、ガラス管内を密閉することでナノチューブ内部に一時的に保持されます。その後、導入工程ではガラス管内に緩衝液を追加して正の圧力を与えることで、保持された細胞内成分を標的細胞内へと能動的に押し出すことができます。図1下図に示したのは、チューブ内部に異なる体積のカルセイン液※3を注入した際、どれだけのカルセインが膜を通過したかを示しています。そこでは、ガラス管を細胞が接着している高さまで水に沈めており、その際、200μLと300μLの間でカルセイン通過量に変化があることがわかります。これは、200μL以下では、カルセイン溶液の量が十分でないため、水圧の影響でカルセインの膜通過が減少するのに対し、300μL以上では、水の流れを発生させることができるため、カルセインが十分に通過したと考えています。この圧力制御に基づく操作により、従来は別個の操作として扱われてきた「抽出」と「導入」を一体化し、生細胞を維持したまま双方向の細胞間移送を実現しました(図1下図)。

図1:細胞内液抽出および導入結果

【HeLa および NIH-3T3 細胞を用いた同種・異種間移送】
本技術の汎用性を検証するため、HeLa 細胞※4および NIH-3T3 ※5を用い、同種間(HeLa→HeLa、NIH-3T3→NIH-3T3)および異種間(HeLa→NIH-3T3、NIH-3T3→HeLa)での細胞内成分移送を行いました。その結果、いずれの組み合わせにおいても高い移送効率(約90%以上)と高い細胞生存率(約95%以上)が維持されることを確認しました。

特に異種間移送では、外来由来の細胞内成分に起因すると考えられる一時的な増殖抑制が観察されたものの、培養を継続することで細胞は回復し、最終的には正常な増殖挙動を示しました。これは、本技術が細胞機能を致命的に損なうことなく、細胞間で細胞内成分を移送できることを示しています。

【ミトコンドリア移送による細胞機能の向上(図2)】
さらに本研究では、ナノチューブ径の違いがミトコンドリア移送および細胞機能に与える影響を検証しました。ナノチューブ径が0.6μm(内径は約310nm)の場合、ミトコンドリアのサイズに対してチューブ径が小さいため、ミトコンドリアの抽出および移送はほとんど起こらず、標的細胞におけるATP産生量の有意な変化は認められませんでした。

一方、ナノチューブ径を1.5μm(内径は約1260nm)とした場合には、ミトコンドリアを効率的に抽出・移送することが可能となり、標的細胞内にミトコンドリアが実際に取り込まれていることが確認されました。その結果、ミトコンドリアを移送した細胞では、移送後24時間以内にATP産生量が有意に増加し、細胞機能が明確に向上しました。

この結果は、単なる細胞内液の移送では細胞機能の改善は起こらず、機能性オルガネラであるミトコンドリアそのものを移送できた場合にのみ、細胞機能の向上が実現されることを示しています。

図2:ミトコンドリア移送による機能活性

(3)研究の波及効果や社会的影響

本研究成果は、細胞内成分移送を偶発的現象や特殊操作としてではなく、再現性・定量性を備えた操作技術として確立した点に社会的意義があります。抽出・保持・導入を同一プラットフォームで制御できる本技術は、さらなる自動化・制御機構を搭載することで、細胞操作の信頼性や評価基準の共有を可能とし、細胞を扱う研究・開発分野における操作技術の標準化と品質向上に資する基盤的成果ではないかと考えています。

(4)今後の展望

本研究で開発したナノ注射器は、生細胞から細胞内成分を抽出し、別の生細胞へ高効率に移送できることを実証した基盤技術です。今後は本技術の適用範囲を拡張し、さまざまな細胞種に対する再現性や安定性の検証を進めていく予定です。特に移植可能な細胞を用いた再生医療研究に取り組みたいと考えています。

一方、基礎研究として動物性細胞以外の細胞(植物、酵母、乳酸菌など)にも展開していきたいと考えています。これらを一研究室で実現することは困難ですので、本プロジェクトにご興味のある企業や研究機関との連携を模索していきたいと考えています。

(5)用語解説

※1 オルガネラ:
細胞内部に存在し、特定の機能を担う構造体の総称である。代表的なオルガネラには、エネルギー産生を担うミトコンドリア、タンパク質合成に関与する小胞体、物質の修飾・輸送を行うゴルジ体などがあり、細胞の機能や状態を支える重要な役割を果たしている。

※2 低スループット:
一定時間内に処理・解析できる試料数や対象数が少ないことを指す。細胞操作技術においては、1回の操作で扱える細胞数が限られている、あるいは操作に時間や熟練を要するため、多数の細胞を効率的に処理できない状態を意味する。

※3 カルセイン液:
蛍光色素であるカルセインを溶解した水溶液であり、物質の移動や透過性を可視化・定量評価するための試薬として広く用いられている。カルセインは水溶性が高く、細胞毒性が低いため、膜透過や流体移動の評価に適しており、本研究ではナノチューブ膜を介した物質通過量や圧力制御による移送挙動を評価する指標として用いられた。

※4 HeLa細胞:
世界で最も広く利用されているヒト由来の培養細胞株である。高い増殖能と安定した性質を有し、細胞生物学、がん研究、薬剤評価、細胞操作技術の検証など、基礎から応用まで幅広い研究分野で標準的なモデル細胞として用いられている。

※5 NIH-3T3細胞:
マウス胚由来の線維芽細胞から樹立された培養細胞株で、増殖性が安定しており、細胞増殖、分化、シグナル伝達、細胞操作技術の評価などに広く用いられている標準的なモデル細胞である。

(6)論文情報

雑誌名:Small Science
論文名:A Nanotube Injector for Cytoplasmic Transfer and Enhanced Mitochondrial Function
執筆者名:Bingfu Liu, Zhuhang Dai, Bowen Zhang, Kazuhiro Oyama, Chenxi Li, Yukun Chen,
Mingyin Cui, Takeo Miyake *責任著者
掲載日:2026年3月17日(火)
DOI:10.1002/smsc.202500598
掲載URL:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/smsc.202500598

(7)研究助成

科学技術振興機構(JST)
戦略的創造研究推進事業 さきがけ「電子・イオン制御型バイオイオントロニクス」(JPMJPR20B8)

知が育まれる新たな学びの拠点へ 理工キャンパス・新52号館ラーニングコモンズ

著者: contributor
2026年3月17日 14:27

🤖 AI Summary

早稲田大学は、150周年と理工学部設置125周年を記念して西早稲田(理工)キャンパスの再整備工事を実施しています。この度、第一期として新52号館が竣工し、4階には学生や大学院生、教職員が使用する多様な学びをサポートするラーニングコモンズが設けられました。

旧52号館の伝統的な魅力を保持しながら、グループワークや自習、会議など様々な学習スタイルに対応できる開放的な空間となっています。また、フロア全体で交流と協働を促す設計も採用されています。この新しいラーニングコモンズは、理工系教育研究の新たな拠点として期待されます。

関連情報については、以下をご覧ください。
- 西早稲田(理工)キャンパス再整備工事について: [リンク](https://www.waseda.jp/top/news/93550)
- 150周年と理工学部設置125周年に関する寄付: [リンク](https://www.waseda.jp/150th/riko125th/donation/)

早稲田大学では大学創立150周年ならびに理工創設125周年に向けて、西早稲田(理工)キャンパスの再整備工事を行っております。

この度、再整備工事の第一期として新52号館を竣工。4階のラーニングコモンズは、学生・大学院生・教職員の多様な学びを支える新しい共創空間です。

歴史ある旧52号館の魅力を継承しながら、グループワークや自習、打ち合わせなど幅広い学修スタイルに対応する開放的な環境を整備。加えてフロア全体で交流や協働を促す設計となっています。

理工系教育研究の新たな拠点として期待されるラーニングコモンズの様子を、ぜひ動画でご覧ください。

【西早稲田(理工)キャンパス再整備工事について】
https://www.waseda.jp/top/news/93550
https://www.waseda.jp/150th/riko125th/donation/

新たな表現方法で感謝を伝える~バーチャル銘板プロジェクト~

著者: contributor
2026年3月17日 14:20

🤖 AI Summary

早稲田大学では、「バーチャル銘板プロジェクト」を開始し、寄付者の皆様への感謝を新たな表現方法で伝えています。このプロジェクトは基幹理工学部の河合研究室が中心となって進められており、バーチャル銘板の制作に取り組んでいます。

バーチャル銘板はデジタル技術を利用して寄付者の名前や感謝の意を表す方法で、物理的な銘板とは異なる形での感謝表示を目指しています。今後の計画としては、このプロジェクトを通じて寄付者との関係性を強化し、大学の支援に感謝する文化を広めることです。

詳細については河合研究室の訪問や、関連記事をご覧ください。

早稲田大学では寄付者の皆様への新たな形で感謝を伝えるため、「バーチャル銘板プロジェクト」を始動させました。

今回はプロジェクトの根幹となるバーチャル銘板を制作している基幹理工学部表現工学科河合研究室を訪問し、プロジェクトの概要、そして今後の計画について伺いました。

本プロジェクトの今後についてもご注目ください。

2026年度「物理Q&A」/ Physics Q&A AY2026(26/3/16Updated)

著者: staff
2026年3月16日 13:23

🤖 AI Summary

## 物理Q&Aについての記事要約

### 要点:
- **サービス内容**: 第1年生が物理に関する疑問を気軽に相談できる「物理Q&A」があります。
- **場所**: 55号館N棟3階305Aゼミ室。
- **開室時間**:
- 水曜日: 10:00 - 13:00 (終了時間は12:30)
- 月曜日・火曜日・木曜日: 13:00 - 16:00 (終了時間は15:30)
- **利用可能期間**: 春学期(4月11日~7月22日)と秋学期(10月1日~2027年1月26日)のみ。
- **注意事項**:
- 開室時間外の相談は受け付けません。
- 試験問題の解答を求める行為は不正行為とみなされる場合があります。

### 翻訳:
「物理Q&A」をご利用ください。第1年生の皆さんが物理に関する疑問があれば気軽にご相談ください。先輩が優しく教えてくれます。相談をお希望の方は、開室時間に55号館N棟3階305Aゼミ室までお越しください(予約不要)。ただし、開室時間外の相談には対応できません。また、試験問題の解答を求めることは不正行為とみなされる場合があります。

### 開室時間:
- 月曜日: 13:00 - 16:00 (終了時間は15:30)
- 火曜日: 13:00 - 16:00 (終了時間は15:30)
- 水曜日: 10:00 - 13:00 (終了時間は12:30)
- 木曜日: 13:00 - 16:00 (終了時間は15:30)

このサービスは春学期(4月11日~7月22日)と秋学期(10月1日~2027年1月26日)にのみ提供されます。

1年生の物理に関してわからないことがあれば気軽に物理Q&Aをご利用ください。先輩が優しく教えてくれます。相談を希望の場合は以下の開室日時に55号館N棟3階305Aゼミ室までお越しください(予約不要)。
If you have any questions about physics courses in the 1st year, feel free to come to “Physics Q&A”. TA will answer to your questions! You may visit “Physics Q&A” at Room 305A on the 3rd floor of Bldg.55N during the opening hours without appointment

重要/Important note

開室時間外は対応はできません.また,試験問題の解答そのものを求めることは,不正行為とみなされる場合があります.We are able to respond your inquiries ONLY opening hours. Also, asking for the answers of the exam questions themselves may be considered cheating.

開室日時/Opening hours

2026年度 開室日時 
Opening hours for AY2026

月曜日 Monday 13:00-16:00 (LO 15:30)
火曜日 Tuesday 13:00-16:00 (LO 15:30)
水曜日 Wednesday 10:00-13:00 (LO 12:30)
木曜日 Thursday 13:00-16:00 (LO 15:30)

※授業期間中(春学期4月11日~7月22日,秋学期10月1日~1月26日(2027年))のみ開室。Open during spring semester (April 11-July 22) and fall semester (October 1-January 26, 2027).

Synthesizing Novel Fluorinated Molecules by Adding Fluorine and Removing Fluorine (2026/4/8)

著者: staff
2026年3月12日 11:20

演題:Synthesizing Novel Fluorinated Molecules by Adding Fluorine and Removing Fluorine

日時: 2026年4月8日(水) 13:00-14:40

会場:早稲田大学 121号館 コマツ100周年記念ホール

講師:Gavin Chit Tsui (香港中文大学 准教授)

対象:学部生、大学院生、教職員、学外者、一般

参加方法:入場無料、直接会場へお越しください。

主催:先進理工学部 応用化学科

問合せ:早稲田大学 理工センター 総務課

TEL:03-5286-3000

【受験生の皆さまへ】2026年度基幹・創造・先進理工学部一般入試における「出題の意図」「解答例」について

著者: staff
2026年3月5日 09:00

🤖 AI Summary

【受験生向け】2026年度基幹・創造・先進理工学部の一般入試における「数学」「物理」「化学」「生物」「英語」「空間表現」の出題意図と解答例を公表します。各科目別に詳しい情報が提供されています。ご不明な点は学術院または入学センターのウェブサイトで確認できます。個別の回答は行いません。

この記事では、以下の科目について具体的な内容を示しています:
- 数学:出題意図と解答例
- 物理:出題意図と解答例
- 化学:出題意図と解答例
- 生物:出題意図と解答例
- 英語:マーク解答の意図
- 空間表現:出題意図

これらの情報は、受験生にとって試験内容を理解し、今後の学習に活かす上で重要な参考となります。

2026年度 基幹・創造・先進理工学部一般入試(2月16、17日実施)の「数学」「物理」「化学」「生物」「英語」「空間表現」について、

出題の意図および解答例を公表いたします。

●2026年度理工一般 出題の意図・解答例(数学)                                                                                                                                             ●2026年度理工一般 出題の意図・解答例(物理)                                                                       ●2026年度理工一般 出題の意図・解答例(化学)                                                                     ●2026年度理工一般 出題の意図・解答例(生物)                                                                      ●2026年度理工一般 出題の意図・マーク解答(英語)                                                                       ●2026年度理工一般 出題の意図(空間表現)

※ お問い合わせいただいた内容は本学で確認し、必要がある場合は、学術院Webページもしくは入学センターWebページに掲載いたします。個別に回答することはいたしません。

産学官で取り組む“石けん泡消火剤”の開発(2026/3/18)

著者: staff
2026年3月4日 13:07

演題:産学官で取り組む“石けん泡消火剤”の開発

日時:2026年3月18日(水) 13:10-14:50

会場:早稲田大学 西早稲田キャンパス 63号館 201室

講師:上江洲 一也 (北九州市立大学 国際環境工学部 生命工学科 教授)

対象:学部生、大学院生、教職員、一般

参加方法:入場無料 直接会場へお越しください

主催:先進理工学部 応用化学科

問合せ:早稲田大学 理工センター 総務課

TEL:03-5286-3000

一般民間人の健康・快適宇宙空間を実現する宇宙QOL向上を目指した研究を開始

著者: contributor
2026年3月4日 12:28

一般民間人の健康・快適宇宙空間を実現する宇宙QOL向上を目指した研究を開始
~JAXA・宇宙戦略基金「SX-CRANE」に私大で唯一の代表機関として採択決定~

概要発表のポイント

  • JAXAの「宇宙戦略基金:宇宙転用・新産業シーズ創出拠点「SX-CRANE」」の採択を受け、国内の産官学9機関で、2030年以降に民間活動の拡大が期待される地球低軌道の宇宙空間を対象に、宇宙QOL向上を目指した有人宇宙滞在技術開発を推進します。
  •  地上とは異なるECLSS※1(環境制御・生命維持システム)に支えられる宇宙空間において、十分な訓練を経ずに滞在する一般民間人がどう感じるのかの視点から、認知・感覚・生理反応に基づく人間中心のアプローチによりQOL向上を目指します。また、同空間における健康・快適性を維持する技術と環境条件に制約されない快適性を統合し、宇宙滞在における新しい宇宙QOL像の提示を目指します。
  • 地球での実験データ、宇宙拠点での実証データ、ヴァーチャル環境でのデータを一体的に統合した統合データ解析プラットフォームを構築し、人の生理・認知・行動反応を多角的に再現・評価できる、新しい研究基盤の確立を目指します。

学校法人早稲田大学(所在地:東京都新宿区、理事長:田中愛治)は、2026年2月6日にJAXA(宇宙航空研究開発機構)の「宇宙戦略基金:宇宙転用・新産業シーズ創出拠点「SX-CRANE」」に代表機関として採択されました。代表機関として採択された中では、私立大学で唯一の採択となります。
2030年以降、地球低軌道の宇宙空間において、民間活動の拡大が期待されており、そこには訓練された宇宙飛行士だけでなく、民間人も活動対象のスコープに入ることが予想されます。本課題の採択を受けて、学校法人早稲田大学は慶應義塾大学、学校法人東京理科大学、学校法人東京女子医科大学、公立大学法人名古屋市立大学、国立大学法人大阪大学、有人宇宙システム株式会社、パナソニック株式会社、株式会社ジャムコの各連携機関とともに、宇宙QOL向上を目指した有人宇宙滞在技術開発を推進します。また、地球での実験データ、宇宙拠点での実証データ、ヴァーチャル環境でのデータを一体的に統合した、統合データ解析プラットフォームを構築し、宇宙と地上双方に価値を還元する新たな研究拠点の実現を目指します。
また、本課題の研究代表者が、別に研究代表を務めている教育・人材育成プログラム(文部科学省「宇宙人材育成事業」令和7年度採択「ECLSS環境における人間の快適性を支える製品・サービスデザイン人材育成プログラム」)と連携し、非宇宙分野からの人材育成、裾野拡大、社会受容の向上を推進します。

図1. 人間中心の研究アプローチによる宇宙QOL研究開発

 

採択事業について

■研究費の名称:JAXA 宇宙戦略基金 宇宙転用・新産業シーズ創出拠点「SX-CRANE」
■技術開発課題の名称:一般民間人の健康・快適宇宙生活を実現する宇宙QOL研究開発拠点
■代表機関名:学校法人早稲田大学
■研究代表者:早稲田大学 理工学術院 野中 朋美(のなか ともみ)
■連携機関(予定):慶應義塾大学、学校法人東京理科大学、学校法人東京女子医科大学、
公立大学法人名古屋市立大学、国立大学法人大阪大学、有人宇宙システム株式会社、
パナソニック株式会社、株式会社ジャムコ
■支援予定期間:2026年4月~2034年3月(最長8年)
※当初契約期間は、契約日から最初のステージゲート評価が終了する日の属する年度末日まで。

背景と課題

現在、宇宙における有人活動は宇宙飛行士が担っており、ECLSS(エクルス:環境制御・生命維持システム)は、高度に選抜され長期訓練を受けた宇宙飛行士が生命維持を可能とすることを前提に、設計・開発されてきました。
その一方、一般民間人の宇宙旅行や商業宇宙ステーション構想の実現など、今後の民間活動の拡大が予測される地球低軌道の宇宙空間においては、健康維持に加え、快適に過ごせる環境の確保が不可欠となります。十分な訓練を受けずに宇宙空間に渡航する一般民間人にとって、快適性・QOLの向上や健康維持を支える製品・サービスは不可欠であり、今後、そのために必要な技術開発と研究拠点が必要となります。

本研究開発内容と実施体制について

本研究開発は、「人がどう感じるのか」の視点から、認知・知覚・生理反応に基づく人間中心のアプローチを導入し、宇宙拠点での健康・快適・QOL体験を統合的に設計する世界初の挑戦となります。以下の9つのグループによる3つの研究グループ群で、具体的な本研究開発項目を推進します。

図2:本研究開発を推進する研究グループおよび研究グループ群

 

<システムデザイングループ群>

1.民間宇宙ビジネス・サービスデザインG:
宇宙旅行や居住における利用者の選好・評価・心理的要因を定量化し、指標・ガイドラインGが各グループと連携して開発する「宇宙QOL指標」と結びつけることで、新しいサービスやビジネスの設計とともに、行動経済学の知見を応用し、宇宙環境において望ましい行動変容を促すサービスデザインの構築を目指します。さらに、サービスレベルごとの費用対効果を検証し、社会実装可能なビジネスモデルの提示を目指します。

2.システムデザインG:
居住空間に提供するQOL基盤のデザイン、各グループが開発するQOLアイテムにおけるQOL基盤および外部システムとのインターフェース設計を担当します。また、単にものが動くだけでなく、地上や宇宙でどのような試験を実施して社会実装していくか、社会実装を実現する分野融合研究開発のマネジメントを担当します。

3.宇宙実証G:
各研究グループにより創出された技術アイテム群を統合し、実際の宇宙環境あるいは模擬環境において段階的に検証・実装を目指す際に、開発した技術を宇宙実証および実装計画立案につなぐ役割を担います。また、「きぼう」有償フライト枠組みを活用し、技術成果を軌道上実証・社会実装に結びつけることを目指します。

<健康・QOL・快適グループ群>

4.快適・スポーツG:
運動・身体活動を通じた健康維持・ストレス軽減技術の開発を目指します。健康・快適度を評価する指標として、宇宙滞在における清潔評価指標、QOL-Fitnessスコアの開発、また、開発した技術を実装した空気・空間清浄装置、宇宙トイレ・宇宙エアシャワー、宇宙eスポーツ・フィットネスサービスプログラム、宇宙ヨガ・リラクゼーションプログラムの開発を目指します。

5.人間工学・クロスモーダル・アートG:
人間の感覚機能や多感覚の統合(クロスモーダル)にかかる特性を活用し、XR(クロスリアリティ)技術を用いた宇宙酔いの訓練対策プログラムや、宇宙での狭隘な住空間におけるアートの視座を取り入れたリラクゼーションの試みなどを通して、快適な宇宙旅行のUX(ユーザーエクスペリエンス)のデザインを目指します。

6.健康・医学G:
民間人の宇宙滞在における健康維持を目的に、宇宙環境を模擬した細胞/組織培養実験から一般民間人を対象とした閉鎖環境下での研究まで、包括的に展開できる研究開発プラットフォームを構築しつつ、階層的に宇宙環境の影響を解明し、その改善策の創出を目指します。

<基盤技術グループ群>

7.統合実験プラットフォームG:
AI技術を駆使し、人の生理・心理状態を仮想的に再現する「生理・心理デジタルツイン」、民間宇宙ステーションや宇宙ホテルを模擬する「ヴァーチャルQOL空間」を統合した、次世代の「仮想実験環境」の開発を目指します。

8.解析・デバイスG:
外的環境(温度・湿度・O2/CO2・宇宙放射線など)と内的環境(体温・心拍・脳波・ホルモンなど生体データ)の両面を網羅的に計測・解析し、軽微な体調変化を早期検知して、健康リスクを未然に防ぐこと、また、微小重力や宇宙特有の制約条件に適応した計測技術・解析モデルの開発を目指します。

9.指標・ガイドラインG:
健康・快適性・QOLの評価指標と標準化ガイドラインを設計・検証・規格化を目指します。宇宙飛行士の健康・心理モニタリング、閉鎖環境知見、航空宇宙医学、国際機関文書を統合し、サービスレベル別に実装可能な枠組みの提示を目指します。

これらの研究開発内容は、「快適・スポーツ」、「人間工学・クロスモーダル・アート」、「健康・医学」を核とした人間中心の研究アプローチで行い、それらを統合・実証する「システムデザイン技術」、「サービス・システムデザイン」、「宇宙実証」等の基盤技術を柱として開発を進めることで、単なる要素技術の寄せ集めではなく、システムアーキテクチャ設計に基づく「しくみのデザイン」によって、宇宙拠点と地球における生理・認知・行動データを統合的に活用する新たな有人宇宙滞在技術の創出を目指すことができます。このことにより、「宇宙QOL基盤」と「宇宙QOLアイテム群」の開発につなげ、民間宇宙ステーションや宇宙ホテルの事業者が構築する居住モジュール内部の体験空間に導入される独立・分散型の要素技術を、宇宙QOL基盤上に製品・サービスのアイテム群として供給することを目指します。

図3.宇宙QOL研究開発の成果となるQOLアイテム群の一例

 

また、地球での実験データ、宇宙拠点での実証データ、ヴァーチャル環境でのシミュレーションデータを一体的に統合し、AI解析によって知見を抽出する統合データ解析プラットフォームの構築も目指します。これにより、現実環境と仮想環境を横断した新しい研究基盤を確立し、人の生理・認知・行動反応を多角的に再現・評価することを目指します。

研究者のコメント

宇宙空間における民間活動の拡大に向けて、これまでの「生命維持」を前提とした技術から、「一般民間人が快適に過ごすための環境と体験」を設計する新たな段階へと移行しています。
早稲田大学は、システム工学および人間中心設計の知見を基盤として、人の認知・感覚・生理反応を統合的に捉え、宇宙における健康・快適・生活の質(QOL)を科学的に設計する研究に取り組んできました。本研究では、これまで宇宙飛行士を前提として構築されてきたECLSSを、「人がどう感じ、どのように快適に過ごすか」という人間中心の視点から、宇宙QOLを科学的に設計し、宇宙空間における快適性を拡張することを目指します。
日本は、環境制御技術、健康管理技術、精緻なセンシング・解析技術、そしてきめ細やかなサービス設計に代表される高度なサービス産業において、世界的に高い競争力を有しています。これらの非宇宙分野で培われた技術と知見を宇宙分野へ体系的に接続し、人間中心の宇宙生活設計という新たな研究領域を切り拓く挑戦です。そのため、医学、工学、人間工学、スポーツ科学、宇宙実証、システム工学、行動経済学・経営工学・サービス工学、産業技術を横断する、国内でも類を見ない大規模かつ統合的な研究体制のもとで本研究を推進します。大学、研究機関、企業がそれぞれの強みを結集した圧倒的な研究体制により、基礎研究から宇宙実証、社会実装までを一体的に推進できる点が大きな特徴です。
早稲田大学は、本研究開発拠点の代表機関として、日本の強みを結集した宇宙QOL・ECLSS研究の国際的な中核研究拠点を形成し、宇宙における人間中心の快適設計を世界に先駆けて実現を目指します。そして、宇宙で培われた技術と知見を地上社会へ還元することで、都市環境、建築、サービス産業など幅広い分野の革新にも貢献し、宇宙と地上の双方に新たな価値を創出してまいります。

用語解説

※1 ECLSS(エクルス:Environmental Control and Life Support System/環境制御・生命維持システム)
宇宙船や宇宙ステーションなどの閉鎖環境において、人が安全に生活するために必要な酸素の供給、水の再生、二酸化炭素の除去、温度・湿度・気圧の調整などを行い、居住環境を維持する基盤システムです。

Natural and engineered biosynthetic novelty from bacteria(2026/3/19)

著者: staff
2026年2月27日 17:48

演題:Natural and engineered biosynthetic novelty from bacteria

日時:2026年3月19日(木) 13:00-14:40

会場:早稲田大学 120-5号館121会議室

講師:Jörn Piel(ETH Zurich教授)

対象:学部生、大学院生、教職員、一般

参加方法:希望者は[email protected]にメールで申込

主催:先進理工学部 生命医科学科

問合せ:早稲田大学 理工センター 総務課

TEL:03-5286-3000

過渡的パウリ遮蔽効果による広帯域・超高速光スイッチング

著者: contributor
2026年2月27日 15:29

過渡的パウリ遮蔽効果による広帯域・超高速光スイッチング
~電子温度制御により新たな光変調機構を発見~

発表のポイント

    • 縮退半導体※1 窒化インジウム(InN)薄膜を対象に、多色プローブ光を用いたポンプ–プローブ時間分解透過率測定※3を行い、可視光から近赤外領域にわたる広帯域の超高速光スイッチングを実証しました。
    • この実証において、高強度光励起によって生じる「過渡的パウリ遮蔽※2」が現れ、InN材料が瞬時に光学的透明状態へと変化することを明らかにしました。
    • 従来は大量の光励起キャリア※4注入が必要と考えられていた過渡的パウリ遮蔽が、本研究により、電子温度上昇に伴う電子分布の再構成のみで発現することが明らかになりました。
    • これらの成果は、次世代の超高速光変調器、光シャッターの高度化に加え、光計算・光通信向けフォトニックデバイスの実現につながることが期待されます。

近年、非常に強く、しかもきわめて短い時間で光を出すレーザー技術が大きく進展しています。このレーザー技術を固体材料と融合することで、従来にはない機能を有する材料やデバイスの創出が期待されています。例えば、強いレーザー光を照射すると、通常は光を通さない物質が一時的に透明になることがあります。レーザー光を超高速でON/OFF制御すれば、物質の透明・不透明を超高速でスイッチングすることが可能となり、光スイッチや光信号制御などへの応用が期待されます。
早稲田大学理工学術院の賈軍軍(じゃ じゅんじゅん)教授の研究グループは昨年、フェムト秒レーザー照射によってマルチバレー半導体中の光励起電子分布を制御する新しい光変調機構を発見し、可視光から赤外線に至る広帯域で光スイッチングが可能であることを実証しました「Physical Review Applied, 23, 024060 (2025)」。本研究では、この概念をさらに発展させ、縮退半導体InNにおいて、フェムト秒レーザーにより電子の「温度」を瞬時に制御することで、広帯域な光スイッチングが可能になることを明らかにしました。
本成果は、超高速かつ広帯域な光制御を実現する新たな原理を示すものであり、次世代の超高速光変調器や光シャッターの高度化に貢献するとともに、低遅延・高効率が求められる光計算・光通信向けフォトニックデバイスへの応用が期待されています。
本研究成果は2026年1月20日に「Physical Review B」に公開されました。

これまでの研究で分かっていたこと

半導体材料では、バンドギャプ以上の高強度レーザーを用いると、多数の電子が価電子帯から伝導帯に高密度に励起されることが知られています。これらの電子は電子-フォノン散乱によって速やかに伝導帯下部へ緩和し、伝導帯底における電子占有が増加します。この電子占有の増大、すなわちパウリ遮蔽(Pauli Blocking)効果により、バンド間吸収が一時的に抑制され、物質が透過的になる現象が観測されてきました。従来、この過渡的パウリ遮蔽効果は主として高強度光励起による伝導帯に大量電子の注入に起因すると理解されてきました「Physical Review Applied, 23, 024060 (2025)」。

新たに実現しようとしたこと、明らかになったこと

本研究では、代表的な半導体材料であるInNを用いて、パルスレーザーの高密度光励起によって電子温度を制御することで、近赤外から可視光領域にわたる多色光の透過・不透過を超高速で切り替えられるかを検証しました。
InNにおいて、フェムト秒レーザー照射により伝導帯中の電子温度が瞬時に上昇し、それに伴って電子分布が熱的に広がることを明らかにしました。この電子分布の変化により、従来、光を吸収していた遷移が一時的に抑制されます。その結果、「電子温度の急激な上昇」のみを過渡的パウリ遮蔽効果の駆動原理として、物質の透明・不透明を超高速かつ広帯域に制御できることになります。さらに、InNにおける光スイッチングは可視光から近赤外域にわたる複数のスペクトル的スイッチング中心を有することが明らかとなりました。この成果は、単一材料において多色光を同時に制御可能であることを示し、電子温度制御に基づく新たな広帯域光変調原理を確立するものです。

研究の波及効果や社会的影響

本研究では、明らかになった過渡的パウリ遮蔽に基づく超高速・広帯域光スイッチング機構は、従来の電子デバイスの速度限界を超える新たな情報処理技術の基盤となります。特に、フェムト秒〜ピコ秒時間スケールで動作する全光型スイッチングは、将来の高速・低遅延情報通信に大きな波及効果をもたらします。とくに、可視光から近赤外にわたる広帯域動作は、波長分割多重(WDM)光通信や多波長を同時に扱うフォトニック回路への応用に適しており、データセンターや高性能計算(HPC)における通信の高速化・省電力化に貢献することが期待されます。
また、本研究は、既存の産業利用実績を有する材料を用いて新機能を引き出した点でも意義が大きく、基礎物理の深化と社会実装を橋渡しする研究として、今後のフォトニックデバイス産業や関連技術分野への長期的な社会的影響が期待されます。

課題、今後の展望

本研究で確立した電子温度駆動型の過渡的パウリ遮蔽効果は、材料固有の電子構造に基づいて光スイッチング波長域を設計できる指針を与えるものであり、今後はワイドバンドギャップ半導体材料への展開が期待されます。さらに、サブピコ秒時間スケールで動作する全光型非線形応答は、光ニューラルネットワークに応用の展開に期待され、ひいてはフォトニック AI への展開としての応用が期待されます。

研究者のコメント

本研究は、現代の情報技術における根本的課題「いかにして、より高速かつ低エネルギーで信号を切り替えるか」に応えるものです。レーザー光によって材料の透明性を瞬時に制御できることを示した本成果は、超高速・広帯域・高効率な次世代フォトニックデバイスへの新たな道を切り拓くものです。

用語解説

※1 縮退半導体
不純物ドーピングや欠陥などによってキャリア(電子または正孔)の濃度が非常に高くなり、フェルミ準位が伝導帯(n型)または価電子帯(p型)の内部にまで入り込んだ半導体のことを指す。

※2 過渡的パウリ遮蔽
半導体にフェムト秒などの超短パルスレーザーを照射した際に、電子の占有状態が一時的に変化し、光吸収が抑制される現象であります。この効果は、電子が同一の量子状態を同時に占有できないというパウリの排他原理に基づいています。

※3 ポンプ–プローブ時間分解透過率測定
超短パルスレーザーを用いて物質中の超高速現象を観測する実験手法であります。まず、強いレーザーパルス(ポンプ光)を試料に照射して電子状態を励起し、その後、時間遅延を制御した弱いレーザーパルス(プローブ光)を照射することで、励起後の光学特性の変化を時間分解して測定します。

※4 光励起キャリア
バンドギャップ以上の光子エネルギーをもつ光を半導体や絶縁体に照射すると、価電子帯から伝導帯への電子遷移が生じ、電子と正孔の対が生成される。これらの電子-正孔対を光励起キャリアと呼ぶ。

論文情報

雑誌名:Physical Review B
論文名:Transient Pauli blocking in an InN film as a mechanism for broadband ultrafast optical switching
執筆者名(所属機関名):Junjun Jiaa※、Minseok Kimb、Yuzo Shigesatob、Ryotaro Nakazawac、Keisuke Fukutanic、Satoshi Kerac、Toshiki Makimotoa、Takashi Yagid

a:早稲田大学
b:青山学院大学
c:分子科学研究所
d:産業技術総合研究所
掲載日時:2026年1月20日
掲載URL:https://doi.org/10.1103/1cww-zn61
DOI:https://doi.org/10.1103/1cww-zn61
*:責任著者

研究助成

研究費名:科学研究費 基盤研究(B)
課題番号:25K01862
研究課題名:光誘起イプシロンニアゼロ物性の解明による物質設計
研究代表者名(所属機関名):賈 軍軍(早稲田大学)

二次元材料MXeneの電池反応を“その場”で可視化

著者: contributor
2026年2月27日 15:28

二次元材料MXeneの電池反応を“その場”で可視化

概要

一般財団法人ファインセラミックスセンター(JFCC)の野村優貴博士、山本和生博士、平山司博士と早稲田大学の藤田真輝氏(研究当時:博士前期課程2年)、川合航右研究院講師(現在:東北大学)、大久保將史教授らの研究グループは共同で、全固体リチウム電池※1材料として注目される二次元材料MXene(マキシン)※2について、充放電動作中に生じる電池反応を電子顕微鏡を用いてその場観察※3することに成功しました。
MXeneは、原子数層の厚さの“シート状”の材料で、高い電気伝導性とイオンの出入りしやすさから、次世代電池への応用が期待されています。しかし、実際に電池として動作している際に、MXeneの中でリチウムイオンがどのように動き、どのような電気化学反応が起こっているのかは、これまで詳しく分かっていませんでした。本研究では、早稲田大学が開発したMXeneに、JFCCが開発したその場走査透過電子顕微鏡法(STEM)※4と電子エネルギー損失分光法(EELS)※5を組み合わせることで、全固体電池の充放電中に、MXene内部で起こるリチウムの出入りや電気化学反応をナノメートルスケールでその場観察することに成功しました。
その結果、MXene内では、①層間にリチウムイオンが出入りする反応、②表面で酸化リチウムが生成・分解する反応、③固体電解質※6が分解する反応、という3つの異なる反応が同時に進行していることが明らかになりました。さらに、MXeneのナノシート表面に存在する酸素などの末端基※7の違いによって、リチウムイオンの動きや反応の進み方が大きく変化することも示されました。本成果は、MXeneを用いた高容量・高耐久な全固体電池の設計指針を与えるものであり、次世代二次電池開発に向けた重要な知見となります。
本成果は2026年1月19日にWiley社発行の国際学術誌「Small」に掲載されました。

現状と課題

電気自動車や再生可能エネルギーの普及にともない、二次電池には「高容量」「長寿命」「高安全」の実現が求められています。特に、電解液を使わない全固体リチウム電池は、安全性の高い次世代電池として注目されています。MXeneは、金属炭化物や窒化物からなる二次元材料で、薄いナノシートが多層に積層した構造です。この独特な構造により、イオンが出入りしやすく、高い蓄電性能が期待されています。しかし、電池として動作している最中に、MXeneの内部でどのような反応が生じているかは、これまで直接観察することが困難でした。

研究手法

一般財団法人ファインセラミックスセンター(JFCC)の野村優貴博士、山本和生博士、平山司博士と早稲田大学の藤田真輝氏(研究当時:博士前期課程2年)、川合航右研究院講師(現在:東北大学)、大久保將史教授らの研究グループは、MXene(Ti3C2Tx)を電極に用いた全固体リチウム電池を電子顕微鏡内で充放電しながらその場観察する独自の研究手法を開発しました。走査透過電子顕微鏡法(Scanning Transmission Electron Microscopy:STEM)と電子エネルギー損失分光法(Electron Energy-Loss Spectroscopy:EELS)を用いることで、リチウムの移動や酸素、チタンの電子状態の変化を同時に解析しました。これにより、「電池が実際に動いている状態」での反応を、動画として追跡することに成功しました。

研究成果

研究により、MXene電極で起こる反応の全体像が明らかになりました。主な発見は以下の通りです。

1. MXeneのナノシート層間にリチウムイオンが出入りする様子を直接観察(図1)

MXeneでは、充放電にともなって、ナノシートのすき間にリチウムイオンが可逆的に挿入・脱離する様子が観察されました。この反応にともない、材料中のチタンの電子状態が可逆的に変化することが確認され、MXene層間へのリチウムイオンの挿入・脱離が電池反応に寄与していることが分かりました。

2. 表面で起こる酸化物生成が不可逆容量※8の要因

MXene表面では、リチウムと酸素が反応して酸化リチウムが生成・分解する様子も観察されました。この反応は完全に可逆的ではなく、電池の不可逆容量の要因であることが示されました。

3. 固体電解質が電極表面で分解する様子を直接観察

MXene電極だけでなく、界面近傍の固体電解質も充放電中に還元分解していることが明らかになりました。この分解反応により、MXeneと固体電解質の境界部分にリチウム過剰な反応生成物が形成され、電池の不可逆容量の要因となっていることが分かりました。

4. ナノシート表面の末端基が電池性能を左右

MXeneのナノシート表面に存在する酸素などの末端基の種類によって、リチウムの動きや反応の進み方が変化することが明らかになりました。特に、酸素終端を多く持つMXeneでは、リチウムを貯蔵しやすくなる一方で、酸化リチウムの生成が進みやすいという利点と課題の両方が存在することが示されました。

図1 充放電中のリチウムイオン分布のその場観察。(a)環状暗視野走査透過電子顕微鏡(ADF-STEM)像。(b)充放電中のリチウムイオン分布の変化。図中の白矢印は、固体電解質の還元分解によって形成されたリチウム過剰層。黄矢印は、MXene表面に形成された酸化リチウム層。

今後の展開

本研究で得られた「MXene内部と表面で同時に起こる複数の反応」の理解は、MXeneを用いた電池材料設計において重要な指針となります。今後は、構造と表面官能基を制御することで、容量と耐久性を両立したMXene電極の開発が期待されます。

論文情報

本成果は2026年1月19日にWiley社発行の国際学術誌「Small」に掲載されました。
タイトル:Real-Time Imaging of Intercalation–Conversion Li Storage in MXenes for Solid-State Batteries
著者:Yuki Nomura1,* Kosuke Kawai2, Masaki Fujita2, Kazuo Yamamoto1, Tsukasa Hirayama1, Masashi Okubo2,*
著者所属:1 Japan Fine Ceramics Center, 2 Waseda University, * 責任著者
掲載誌:Small
DOI:10.1002/smll.202513159

研究助成

本研究の一部は、日本学術振興会「科研費」(23H00241, 24H02204, 24K17757, 25K00078)、NEDO「次世代全固体蓄電池材料の評価・基盤技術開発(SOLiD-Next)」(JPNP23005)、文部科学省「データ創出・活用型マテリアル研究開発プロジェクト」(JPMXP1121467561)、(公財)風戸研究奨励会、(公財)岩谷直治記念財団の研究助成の支援を受けて実施されたものです。一部の実験データ取得には、ファインセラミックスセンターが実施した安全保障技術研究推進制度「AI的画像解析によるオペランド電子顕微鏡計測技術に関する研究」(PJ004596)によって導入された設備を使用しました。

用語解説

※1 全固体リチウム電池
液体の電解質ではなく、無機固体の電解質を用いるリチウム電池。電池全体が固体の材料で構成される。

※2 MXene(マキシン)
金属炭化物や窒化物からなる二次元材料。原子数層の薄さのナノシートが積層した構造であり、高い電気伝導性を示す。

※3 その場観察
測定対象が実動環境下でその機能を発現する過程をその場で観察する手法。

※4 走査透過電子顕微鏡法
細く絞った電子線で試料を走査し、散乱された電子を検出器で捉えることで、高い空間分解能で材料の構造を可視化する手法。

※5 電子エネルギー損失分光法
試料と相互作用してエネルギーを損失した電子を計測し、材料の組成・電子状態を解析する手法。透過電子顕微鏡を用いた分析手法の一つ。

※6 固体電解質
液体の代わりに固体中でイオンを伝導させる無機材料。

※7 末端基
MXeneのナノシートの表面に結合した酸素やフッ素、塩素などの官能基。

※8 不可逆容量
電池の初回充電などで一度失われ、その後の充放電では回復しない容量。電極や電解質の分解、副反応によってリチウムが消費されることで生じ、電池の実質的な容量低下の原因となる。

在学生学生証裏面シール配付時間・会場/New backside sticker of your Student ID card for current students(3/19・4/2)

著者: staff
2026年2月25日 10:12

*English version follows Japanese


基幹・創造・先進理工学部・研究科の標準修業年限以上在籍の在学生(裏面シールの有効期限が2026/3となっている在学生)は、3/19に配布します。指定の時間帯および教室でお受け取りください。開始直後は混みあいますので、滞留が生じないよう分散して来場するようご配慮ください。

※標準修業年限内の在学生(裏面シールの有効期限が2026/4以降も続いている在学生)に関しては、新たな裏面シールは配布いたしません。有効期限まで、現在の裏面シールをご使用ください。

※共同大学院他大学(東京女子医科大学・東京農工大学・東京都市大学)本属学生の方は、専攻の指示に従ってお受け取りください。

※急な体調不良などによる欠席の連絡は不要です。3/19に来られない場合は、4/2の同時間帯・会場で実施する2回目にお受け取りください(3/20~4/1の期間はお渡しできません)。2回とも参加できない場合は、4/3以降、51号館1階教学支援課カウンターにてお受け取りください(事務所が混雑する時間帯はお渡しに時間を要する場合がありますので、極力、所定の日時にお受け取りください。また、郵送はいたしかねます)。

※学生証をまだ受け取っていない方は、教学支援課カウンターで学生証を受け取ってから、裏面シールをお受け取りください(学生証の郵送はいたしかねます)。

住所変更が生じている方は、以下の手順でご対応ください。
(1)MyWasedaから住所変更を申請(Support Anywhere「各種申請・変更手続き」)
(2)学生証裏面シールを受け取り
(3)51号館1階教学支援課カウンターにて裏面シールを交換

※2025年度より、学生証裏面シールの記載内容・有効期限に変更があります。
詳細は、こちらのページをご確認ください。

基幹 学系II 標準修業年限以上在籍の在学生で、2026年度IPS(北九州キャンパス)の研究室に在籍し、大学の本人登録住所変更の上、北九州キャンパスで研究に従事される方は、3/22(日)までに以下のお手続きを行うことで、4/1(水)以降北九州キャンパス情報生産システム研究科事務所開室時間内(月~金10:00-16:00)に窓口で新住所反映済の裏面シールの受け取りが可能です。
(1)MyWasedaから住所変更を申請する。
(2)申請フォームから北九州キャンパスでの受け取り希望の旨、連絡をする。

配付スケジュール・場所一覧

 


New backside sticker of your Student ID card

New backside sticker for your student ID card will be distributed on March 19, within the period designated for each school/major for those who are enrolled beyond the standard years of study. Below schedule is arranged for reducing crowding, thus your cooperation to be at your designated period would be highly appreciated.

*Students who are enrolled in the standard years of study do not have to receive a new backside sticker. Please use the current backside sticker until the expired date.

*It is not necessary to inform us of absences due to sudden illness or other reasons. In case you cannot come to the venue on March 19, please pick it up on April 2. The venue and the time frame for each school/major remain the same as March 19. (You cannot receive new backside sticker from March 20 to April 1.) If you are unable to attend both sessions, please pick up it after April 3 at “Academic and Student Affairs Section at the Center for Science and Engineering” at the 1st floor of the Bldg. 51, Nishi-Waseda Campus (ONLY receive it at counter, no postal service).

*If you have not received your student ID card yet, please pick it up at “Academic and Student Affairs Section at the Center for Science and Engineering” at the 1st floor of the Bldg. 51, Nishi-Waseda Campus before you receive your backside sticker (ONLY receive it at counter, no postal service).

*If you have changed your address, please follow the steps below:
(1) Request a change of address via MyWaseda.( Support Anywhere-Application and Procedures for Changing Informion)
(2) Receive your new backside sticker(at each session at the list below).
(3) Exchange the sticker at “Academic and Student Affairs Section at the Center for Science and Engineering” at the grand floor of the Bldg. 51, Nishi-Waseda Campus.

※From the 2025 academic year, the information on your backside sticker, validity period etc. will be changed.
Please refer to this page for the details.

[Undergraduate]Enrollees in or before AY2022

#201 of Bldg.52

10:00-12:00 School of Fundamental Science and Engineering
12:00-14:00 School of Creative Science and Engineering
14:00-16:00 School of Advanced Science and Engineering

 

[Graduate] Enrollees in or before AY2024 (Master), Enrollees in or before AY2023 (Doctor)

#102 of Bldg.52

10:00-12:00 Graduate School of Fundamental Science and Engineering
12:00-14:00 Graduate School of Creative Science and Engineering
14:00-16:00 Graduate School of Advanced Science and Engineering (*Please follow the instruction from the department if there is any.)

 

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