ノーマルビュー

Nature、常温常圧近傍での超電導に関する論文を撤回

著者: headless
2023年11月11日 19:58
Nature は 7 日、3 月に出版した窒素ドープ水素化ルテチウムにおける常温常圧近傍での超電導に関する論文を撤回した (Nature の記事The New York Times の記事Ars Technica の記事)。

今年は幻に終わった韓国の研究チームによる常温常圧の超電導物質 LK-99 が注目を集めたが、こちらの論文は昨年 9 月に Nature が撤回した常温超電導の論文と共通する研究者がかかわっていたこともあり、当初から懐疑的な見方が出ていたそうだ。

前回の論文では執筆者 9 人全員が撤回に反対したが、今回の論文は執筆者11人のうち 8 人が撤回を要請している。撤回を要請した執筆者によれば、研究に貢献した研究者として、出版された論文は研究した物質の由来や実施した実験の基準、適用したデータ処理手順を正確に反映していないのだという。両論文に執筆しているのは最終執筆者でロチェスター大学のランガ・P・ディアス氏を含む 6 人で、ディアス氏を除く 5 人が撤回要請に回った。一方、ディアス氏を含む 3 人は賛否を明らかにしていないとのこと。ただし、ディアス氏の広報担当者によれば、ディアス氏は論文に独自の編集を加えて再度 Nature に送る計画を示しているそうだ。

一方、半年前に同じ分野の論文を撤回したばかりのグループによる論文を再び掲載し、また撤回することになった Nature の方針にも疑問がわいてくる。Nature の応用科学および物理化学分野担当編集長のカール・ジーメリス氏によれば、論文は専門家によるレビューで挙げられた多数の疑問が後のリビジョンで解決されていくものであり、これがピアレビューの仕組みだという。ただし、論文が実際に行われた研究を正確に反映しているかどうかをピアレビューで確認することはできないとのことだ。

すべて読む | サイエンスセクション | サイエンス | この記事をTwitterでつぶやく この記事をFacebookで共有 この記事をGoogle Plusで共有 このエントリーをはてなブックマークに追加

関連ストーリー:
LK-99は超伝導体ではない。現象は強磁性の影響との各国追試結果 2023年08月18日
韓国の研究チーム、「常温常圧で超伝導になる物質を合成した」とする論文公開 2023年07月31日
米ワシントンとニューヨーク結ぶ『超電導リニア』、2033から2034年頃の完成目指す 2022年11月01日
電車の回生ブレーキの電力を沿線で「超電導フライホイール」に蓄電する実証実験 2022年06月13日
鉄道系で超電導送電が実用に近づくとの報道。日経新聞 2022年01月13日
昭和大学で論文142本に不正。撤回論文数ランキングで上位5人中4人が日本人になる可能性 2021年06月02日
リーマン予想を証明したとする論文を発表していたマイケル・アティヤ氏が死去、論文は撤回に 2019年01月29日
複数のデタラメな「偽論文」が査読をすり抜けて学術論文誌に掲載される、新たな「ソーカル事件」か 2018年10月09日
Science誌、日本の研究者による論文捏造疑惑を取り上げる 2018年09月21日
子宮頸がんワクチンに深刻な副作用があるとの論文、研究手法が不適切として撤回に 2018年05月15日
Nature誌がSTAP細胞を否定する論文を掲載した理由の1つは「ニセ科学」的な治療対策 2015年10月06日
石狩データセンターで超電導直流送電開始 2015年09月27日
STAP論文の撤回理由書、共著者の合意なしに書き換えられていた? 2014年07月08日
Nature掲載のSTAP論文、2本とも撤回へ 2014年06月04日
遺伝子組換えトウモロコシが癌を引き起こすという研究論文、学術専門誌より掲載を撤回される 2013年12月04日
172 本の論文をねつ造した日本人研究者、撤回論文数の世界最多記録に? 2012年07月10日
常温での超電導状態を確認 2010年06月29日
英医学誌、新三種混合ワクチンと自閉症との関連性を示した論文を撤回 2010年02月06日

米食生活指針、超加工食品の健康リスクを警告すべきか検討中

著者: headless
2023年11月11日 15:48
米食生活指針の 2025 年改定に向けた諮問委員会では、科学的問題の一つとして超加工食品 (ultra-processed food) の健康への影響を調査している (Ars Technica の記事The Washington Post の記事)。

多数の天然に存在しない成分を組み合わせて工業的に製造される超加工食品は健康への悪影響を示す研究成果がいくつも発表されているが、現行の米食生活指針では栄養成分にのみ注目し、加工方法は重視されていない。そのため、ジャンクフードに栄養成分を追加した超加工ジャンクフードが学校の給食にも用いられる事態となっているという。

2025 年版食生活指針諮問委員会では超加工食品について、食習慣およびライフステージを通じた特定の食習慣要素に関する小委員会で調査を行っている。超加工食品に関する科学的な問題は、食習慣における超加工食品摂取量の違いと成長や体組成、肥満リスクとの関係を特定するものだ。米国では超加工食品の健康リスクに関する警告が他国に後れを取っており、食生活指針に追加されれば初の警告となる。

しかし、食品業界ではこれに反対するロビー活動をすでに始めているという。食品業界の主張は工業的加工処理が食品の長期保存を可能にして食品ごみを減らし、無駄になる食材が減ることで価格が安くなり、新鮮な食品が不足したときの保障にもなるというものや、科学的に受け入れられる超加工食品の定義が存在しないといったものだ。

これに対しニューヨーク大学のマリオン・ネスル氏は「家庭のキッチンで作れるなら超加工食品ではない」として、その定義に何の問題もないと指摘している。ネスル氏によれば、超加工食品を一切食べるなというのは無理な話だが、食べ過ぎるべきではないとのことだ。

すべて読む | サイエンスセクション | サイエンス | この記事をTwitterでつぶやく この記事をFacebookで共有 この記事をGoogle Plusで共有 このエントリーをはてなブックマークに追加

関連ストーリー:
Collins Dictionary、2023年を代表する言葉に「AI」を選定 2023年11月05日
世界保健機関、長期的な健康状態改善を目的とした非糖質甘味料の使用を非推奨とするガイドライン 2023年05月20日
米食品医薬品局、植物ベースの乳代用食品を「ミルク」と呼ぶことを推奨するガイダンス草案を公開 2023年02月25日
米国小児学会、子供の肥満を治療の必要な病気として扱う新ガイドライン 2023年01月14日
米 FDA、パッケージに「ヘルシー」と表示可能な食品の新基準案を発表 2022年10月02日
超加工食品はガンや早死と関係しているとの研究 2022年09月09日
不健康な食生活で寿命が縮む。最大の原因は塩分の取り過ぎ 2019年04月10日
「ヘルシー」な食品ってどんなもの? 2017年02月19日
カップヌードル、2020年までに15%減塩 2016年12月16日
WHO、糖類の摂取量に関する新ガイドラインを発表 2015年03月07日
そのハンバーグには何が入っている? 2013年01月23日
EU、飲料メーカーに対し「水は脱水症状を防ぐ効果がある」との記載を禁じる 2011年11月22日

熟慮性の低い人は陰謀論にハマりやすい、論文が学術誌に掲載へ

著者: nagazou
2023年11月8日 15:08
鹿児島大学法文学部の大薗博記准教授らのチームは、COVID-19が広まった際に出た陰謀論に興味を持ち、インテリこそが陰謀論にハマりやすいというイメージが科学的に証明できるかを研究した。研究では、「陰謀論にハマりやすい」人の特徴を調査し、次のような結果が得られた(読売新聞)。

曰く、陰謀論に傾倒する傾向は「熟慮性が低い人」に強く現れるという。つまり、直感的に物事を判断する人ほど、特にコロナに関する陰謀論を信じやすいことがわかった。逆に、物事を論理的に考える人ほど、陰謀論にハマりにくい傾向があるという。また、社会不安や不満が高い人も陰謀論に傾倒しやすいことが明らかになった。特に「アノミー(世界は悪くなっているという信念)」が強い人ほど、陰謀論に傾倒する傾向が顕著だったとしている。

しかし、社会不安や不満と熟慮性の組み合わせによる増幅効果は見られませんでした。つまり、「社会不満を持ったインテリこそが陰謀論にハマりやすい」ことは確認されなかったとしている。

すべて読む | サイエンスセクション | サイエンス | この記事をTwitterでつぶやく この記事をFacebookで共有 この記事をGoogle Plusで共有 このエントリーをはてなブックマークに追加

関連ストーリー:
X(旧Twitter)でコミュニティノートの付いたポストは収益分配の対象外に 2023年11月01日
運転免許証をレンチンしてSNSで公表する人たち 2023年09月13日
TOKYO MXの「医療ドラマ」打ち切り。「反ワクチン」描写などで  2023年02月10日
ドイツで第二帝国復活を目指すクーデター計画で25人が逮捕 2022年12月09日

近畿大学、ウナギの完全養殖に成功

著者: headless
2023年10月29日 17:49
あるAnonymous Coward 曰く、

日本経済新聞の記事によると、近畿大学水産研究所が26日、ウナギの完全養殖に成功したと発表したそうだ。卵から人の手で育てた稚魚を親にし、その親からとれた卵をふ化させたという。

近畿大学水産研究所では過去に採卵・ふ化には成功したものの、仔魚が餌を食べるまでには至らず、今回の研究を 2019 年に再開するまで中断していたという (ニュースリリース)。

ウナギの完全養殖は 2010 年に水産機構が成功しているが、実用的なコストでの大量生産には至っていない。今回の研究では水産機構が開発・公表している技術情報を用い、2019 年 9 月に人工ふ化に成功。人工ふ化したウナギの雌雄を親魚とするため、2022 年 9 月から人為的に成熟を促進する催塾を行ったところ 2023 年 7 月 5 日に受精卵が得られ、翌 6 日にふ化して完全養殖に成功した。

最初の受精卵からふ化した仔魚は 10 月 18 日時点で 46 尾が生存しており、8 月 3 日にふ化した仔魚が 124 尾、8 月 23 日にふ化した仔魚が約 420 尾いるそうだ。今後 3 か月から半年程度でシラスウナギに変態し、さらに1年程度かけて一般的な食用サイズに成長するとのこと。研究では養殖用種苗として利用可能になるシラスウナギまでの育成を第一目標としているが、この過程が最も難しいとされている。また、現在の仔魚飼育技術では大量生産の実現は困難であり、低コストで大量生産できる目途はたっていないのが実情とのことだ。

すべて読む | サイエンスセクション | サイエンス | この記事をTwitterでつぶやく この記事をFacebookで共有 この記事をGoogle Plusで共有 このエントリーをはてなブックマークに追加

関連ストーリー:
チョウザメに女性ホルモンを与えることで雌化してキャビアを生産する試み 2019年12月19日
近畿大学、ニホンウナギの人工ふ化と50日間の飼育に成功 2019年11月07日
近大水産研究所、ゲノム編集で筋肉量を増やしたマダイを生産 2018年09月04日
多くの海の魚はあと5年ほどで枯渇する? 2017年10月10日
富山実験場の「近大マグロ」養殖研究、いったん打ち切り 2016年02月13日
ウナギ味の養殖ナマズ 2015年05月19日
クロマグロ完全養殖への道 2002年07月06日

おしっこを我慢しながらつく嘘はばれにくい

著者: nagazou
2023年10月17日 16:01
おしっこを我慢しながら嘘をつくと、嘘がバレにくくなるらしい。大元の研究は古いもののようだが、アメリカのクレモント大学の研究チームが大学生22名を対象に実施した実験では、尿意を我慢することで行動の抑制力が高まり、嘘をつく際の自制心も増強されることが明らかになったという(ScienceAlertナゾロジー

実験では、尿意を我慢するグループとそうでないグループに分かれ、嘘をつく課題に取り組んだ。尿意を我慢したグループは、嘘をつく際の瞬きの増加や声の上擦りなどの典型的な嘘をつく際の行動が減少し、より自信を持って嘘をつくことができたそうだ。また、第三者の評価でも、尿意を我慢したグループは嘘がバレる確率が低かったそうだ。

研究では、おしっこを我慢することが自己制御能力を向上させ、嘘をつく際に自信を持って話すことができるようになったとしている。この現象は「抑制波及効果」と呼ばれ、直前におこなった自己制御を必要とする行動が、その直後もしくは同時期の自己制御行動にも影響を及ぼのだそうだ。

今回の研究では、尿意を我慢することは筋肉を抑制する必要があるため、これが嘘をつく際の自制心を高める要因となったと見られている。ただし、あまりにも尿意が強い場合には、脳の抑制機能のリソースが尿意の我慢にすべて割かれ、逆効果になる恐れもあるとしている。

すべて読む | サイエンスセクション | サイエンス | この記事をTwitterでつぶやく この記事をFacebookで共有 この記事をGoogle Plusで共有 このエントリーをはてなブックマークに追加

関連ストーリー:
心拍数で生徒の集中度をチェック、学習の効率化か管理教育か 2023年06月23日
ChatGPTで判例を集めた弁護士、嘘の判例だらけという前代未聞の事態に 2023年05月28日
米小学校銃撃事件を「うそ」と否定の司会者、遺族へ約9.65億ドルの賠償判決 2022年10月17日
グルメサイト離れ。グルメサイトを信頼していないが3割に 2022年08月23日

うまい棒工場から大量の泡がJR線路に流出

著者: nagazou
2023年10月13日 13:31
headless 曰く、

菓子メーカーのリスカが「うまい棒」などを製造する茨城県太子町の工場から泡が流出する事故があり、JR 水郡線の線路をふさいで列車が一時運転を見合わせたそうだ (NHK ニュースの記事TOKYO Web の記事)。

事故が発生したのは 12 日朝。太子町を走行していた水郡線普通列車の運転士が線路に大量の泡があるのに 5 時 50 分頃気付いたという。連絡を受けた消防と工場の従業員が泡を取り除いて 50 分ほどで復旧したが、上下線合わせて 2 本に最大 54 分の遅れが生じたそうだ。泡は工場排水の浄化槽で発生したもので、前日夜に泡の発生量を抑える薬品の投入量が少なかったのが原因のようだ。泡は人体や環境に悪影響はないとみられるとのことだ。

すべて読む | サイエンスセクション | サイエンス | この記事をTwitterでつぶやく この記事をFacebookで共有 この記事をGoogle Plusで共有 このエントリーをはてなブックマークに追加

関連ストーリー:
『うまい棒専用ケース』、高さ70cmから1角3稜6面の落下試験をクリア 2023年06月21日
お土産はうまい棒ではなく、署名入り必勝しゃもじ 2023年03月25日
岸田総理のキーウ電撃訪問のお土産は、うまい棒やりとり味? 2023年03月23日
「うまい棒」が税別12円に値上げへ、卸売業4社が通知を受けたとの報道 2022年01月24日

ネコが短い声帯で低音のゴロゴロ声を発声する仕組み、ボーカルフライなどの発声法に似ているという研究成果

著者: nagazou
2023年10月10日 18:04
headless 曰く、

ネコ (イエネコ) が通常の発声と同じ仕組みでゴロゴロ声の低音を発声できるという研究成果をウィーン大学などの研究グループが発表している (ウイーン大学のプレスリリースArs Technica の記事論文)。

ほとんどの哺乳類は筋弾性空気力学的 (MEAD) 仕組みによる喉頭の振動で発声するが、ネコのゴロゴロ声はその声帯の長さと比べて大幅に周波数が低い。同じネコ科の大型種による低音の吠え声は声帯の特殊な構造によるものだと判明しているが、ネコのゴロゴロ声は内喉頭筋の定期的 (20 ~ 30Hz) な能動的収縮で呼吸器の空気の流れが変わるためだと長らく考えられてきた。

研究はネコの喉頭が能動的筋収縮 (AMC) を必要とせずにゴロゴロ声と同じ周波数帯域の低音を発声できることを実験で示している。解剖学的調査ではネコの声帯に特殊な「パッド」が見つかっており、ネコ科の大型種が吠え声を出すのと似た仕組みでゴロゴロ声を出せることが判明した。この仕組みは人間の「きしみ声」や「ボーカルフライ」と呼ばれる発声法に似ているという。ただし、今回の研究成果はネコのゴロゴロ声における AMC の存在を否定するものではなく、AMC と MEAD が共存している可能性もあるとのことだ。

すべて読む | サイエンスセクション | サイエンス | この記事をTwitterでつぶやく この記事をFacebookで共有 この記事をGoogle Plusで共有 このエントリーをはてなブックマークに追加

関連ストーリー:
ネコにマタタビは依存性なし 2023年10月02日
ポーランドでネコが高病原性鳥インフルエンザに罹患 2023年07月07日
鹿とマダニ関連感染症の拡散の因果関係 2023年02月15日
福島県郡山市の遺跡から出土した『ねこ頭形土製品』の愛称募集 2023年01月18日

米政府、頭足類を実験動物として使用する場合のガイドライン案

著者: headless
2023年10月8日 17:27
米国立衛生研究所 (NIH) 実験動物福祉局 (OLAW) が頭足類の実験動物としての使用について、提案中のガイダンスに対する情報提供要請 (RFI)意見募集を行っている (Ars Technica の記事)。

タコやイカ、オウムガイなどを含む頭足類は侵害受容器や中央神経系など、痛みを感じるのに必要な生物学的メカニズムを持っていることを示すさまざまな証拠が示されている。また、頭足類は適応学習することや、侵害刺激に反応して行動を変えること、哺乳類のように麻酔薬へ反応することなども確認されている。タコの睡眠に人間のレム睡眠のような段階があることも話題となった。

このようなデータを認識して研究団体や監視組織は頭足類の実験動物としての福祉に関するガイドラインを策定しているが、米国ではまだ規制対象となっていない。既に多くの研究施設は頭足類を人道的に扱っているが、OLAW は正式な基準を設けることで頭足類の人道的扱いと 3R (Replacement・Reduction・Refinement: 代替・削減・回避できない非人道的手順の軽減) 原則の徹底を目指す。募集は 9 月上旬から行われており、12 月 22 日締め切りとなっている。

すべて読む | サイエンスセクション | サイエンス | この記事をTwitterでつぶやく この記事をFacebookで共有 この記事をGoogle Plusで共有 このエントリーをはてなブックマークに追加

関連ストーリー:
タコはどんな夢を見ているのか 2023年07月10日
イカリングが豚の腸という嘘ニュース、マレーシアで DNA 検査まで行われる騒ぎに 2022年03月21日
茨城県の博物館でダイオウイカの標本展示ケースからホルマリンが漏れる 2022年02月10日
ハワイ深海でサメと巨大イカがバトルしていたことが判明 2020年07月10日
海の酸素減少でマグロやサメなどが減少、海がクラゲやイカによって支配される時代が来る可能性 2019年12月13日
Apple、イカや算盤の絵文字を修正 2019年09月28日
米水族館、Appleの絵文字はイカが裏表逆だと指摘 2018年12月08日
査読付き論文誌に「タコは宇宙から来た遺伝子を取り込んで進化した」 という内容の論文が掲載される 2018年05月25日
イカの「上」はどっち? 2015年11月05日
ダイオウイカ、世界で初めて映像の撮影に成功 2013年01月09日
タコの「足」、そのうち6本は「腕」だった? 2008年08月19日

2023年ノーベル化学賞は量子ドットを発見・合成した3氏が受賞

著者: nagazou
2023年10月5日 13:03
headless 曰く、

2023 年ノーベル化学賞は米マサチューセッツ工科大学のムンジ・バウェンディ氏 (フランス出身) と米コロンビア大学のルイス・ブルース氏、米ナノクリスタルズテクノロジー社のアレクセイ・エキモフ氏 (旧ソ連出身) が共同受賞した。授賞理由は量子ドットの発見と合成 (プレスリリース一般向け解説: PDF詳細解説: PDF)。

元素の性質は電子の数により決まるが、物質をナノサイズまで縮小すると量子現象が起こり、物質の大きさにより性質が決まるようになる。古くから物理学者はナノ粒子では大きさにより異なる量子効果が起こることを理論上知っていたが、ナノサイズの物質を作り出すことは困難であったことから、実用性のある知識だと考える人は少なかった。

しかし 1980 年代初め、エキモフ氏は着色ガラスでサイズ別量子効果を作り出すことに成功。色は塩化銅のナノ粒子によるもので、エキモフ氏は量子効果により粒子の大きさが色に影響を与えることを示した。その数年後にはブルース氏が液体内で自由に浮遊する粒子のサイズ別量子効果を証明した世界初の科学者となった。1993 年にはバウェンディ氏が量子ドットの科学的製造に革命的変化をもたらし、ほぼ完ぺきな粒子を作り出すことを可能にする。品質の向上は量子ドットの応用で重要な役割を果たした。

現在、量子ドットは QLED テクノロジーによりコンピューターモニターやテレビを光らせ、LED ランプの色に変化を与えているほか、生化学者や医師は生物組織をマッピングするために使用している。量子ドットは人類に大きな利益をもたらしており、研究者は将来的に柔軟な電子機器や超小型センサー、より薄い太陽電池、暗号化された量子コミュニケーションなどに貢献すると考えているとのことだ。

2023 年ノーベル化学賞では最終決定の会合前に受賞者の名前が記載されたプレスリリースがスウェーデンメディアにリークするアクシデントが発生し、質疑応答の後半はこの話題で持ちきりだった (動画)。

すべて読む | サイエンスセクション | サイエンス | この記事をTwitterでつぶやく この記事をFacebookで共有 この記事をGoogle Plusで共有 このエントリーをはてなブックマークに追加

関連ストーリー:
訃報: リチウムイオン電池開発者 ジョン・グッドイナフ氏 2023年06月30日
2022 年ノーベル化学賞は化学を機能主義の時代に導いた 3 氏が受賞 2022年10月06日
Samsung、量子ドット技術を手がけるQD Visionを買収。量子ドットディスプレイを強化へ 2016年12月01日
単一電子トランジスタ素子の制御性を大きく向上させる技術が開発される 2013年11月06日

2023年ノーベル物理学賞はアト秒単位の光パルス作成を可能にした3氏が受賞

著者: nagazou
2023年10月4日 12:00
headless 曰く、

2023 年ノーベル物理学賞は、米オハイオ州立大学のピエール・アゴスティーニ氏とドイツ・マックスプランク量子工学研究所のフェレンス・クラウス氏 (ハンガリー出身)、スウェーデン・ルンド大学のアンヌ・ルリエール氏 (フランス出身)が共同受賞した。授賞理由は物質内部の電子動力学を研究するため光のアト秒パルスを生成する実験的手法 (プレスリリース一般向け解説詳細解説)。

アト秒 (100京分の1秒) 単位の速さで動く電子を観察するにはアト秒単位の光のパルスが必要となる。最も短い光のパルスはフェムト秒 (1,000 兆分の 1 秒) 単位だと長年考えられてきたが、3 氏の研究によりアト秒単位の光のパルスを作り出すことが可能となった。

ルリエール氏は 1987 年、希ガスを通して送られた赤外線レーザーが多数の異なる光の倍音を生むことを発見。これはレーザー光がガスの原子に作用して生まれるもので、一部の電子に与えられた余分なエネルギーが光として発せられる。ルリエール氏はこの現象の調査を継続し、その後のブレイクスルーの下地を作った。2001 年にはアゴスティーニ氏が長さ 250 アト秒の連続した光のパルスを作り出して調査することに成功しており、クラウス氏も同時期に長さ 650 アト秒で単一の光のパルスを分離可能にする実験を行っていた。

3 氏の貢献によりかつては不可能だった非常に高速なプロセスの調査が可能となり、電子により支配されるメカニズムを知る機会が我々にもたらされた。アト秒パルスは異なる分子の特定に用いた医療診断など、さまざまな分野での応用が期待されているとのことだ。

すべて読む | サイエンスセクション | サイエンス | この記事をTwitterでつぶやく この記事をFacebookで共有 この記事をGoogle Plusで共有 このエントリーをはてなブックマークに追加

関連ストーリー:
2022 年ノーベル物理学賞は量子情報科学の先駆者 3 氏に 2022年10月05日
2021 年のノーベル物理学賞は複雑系をわかりやすく説明し、長期の変動を予測する方法を開発した 3 氏が受賞 2021年10月06日

寒冷地でもヒートポンプの効率は化石燃料暖房より優れている、オックスフォード大学

著者: nagazou
2023年9月25日 15:13
電気事業連合会に掲載された記事によると、英国のオックスフォード大学とシンクタンクRegulatory Assistance Project(RAP)が行った研究では、寒冷地域においてもヒートポンプの効率は化石燃料よりも優れた性能を持つことが明らかになったという。この研究は、氷点下の気温条件下でのヒートポンプの性能に焦点を当てたもので、米国、アジア、欧州など7カ国の実地調査データを分析している(電気事業連合会)。

研究の結果、通常のヒートポンプは0℃以下の気温でも、石油やガスの暖房システムに比べて約2~3倍の性能係数を持ち、特に寒冷地用に設計された空気熱源ヒートポンプの場合、-30℃で約1.5~2倍の平均性能係数(1単位のエネルギーをどれだけ使用可能な熱に変換するか)を示したという。

すべて読む | サイエンスセクション | サイエンス | この記事をTwitterでつぶやく この記事をFacebookで共有 この記事をGoogle Plusで共有 このエントリーをはてなブックマークに追加

関連ストーリー:
東京電力EP、昼間沸上げ形家庭用エコキュート専用の新電気料金プラン 2022年01月28日
テスラが来年にも家庭用エアコンへ参入に意欲。モデルYのエアコンを転用か 2020年11月25日
米国エネルギー省曰く、地熱エネルギーをもっと活用すべき 2019年06月18日
ヒートポンプ式給湯器、不眠症の原因に? 2012年12月12日

古代エジプトで臓器のミイラを作るのに用いられた香油は「永遠の香り」

著者: headless
2023年9月10日 18:25
古代エジプトで臓器のミイラを作るのに用いられた香油をマックス・プランク人類史科学研究所などの研究グループが分析し、古代のアロマが再現されたそうだ (マックス・プランク人類史科学研究所のニュース記事論文Scientific Reports の記事Ars Technica の記事)。

分析の対象となった香油のサンプルはハワード・カーターが 1 世紀以上前に王家の谷の墓所 KV42 で、高貴な女性の臓器のミイラが納められていたカノプス壷から採取したものだ。研究ではガスクロマトグラフィー質量分析法 (GC-MS) と高温ガスクロマトグラフィー質量分析法 (HT-GC-MS)、液体クロマトグラフィータンデム質量分析 (LC-MS/MS) を組み合わた分析を行っている。

その結果、香油にはミツロウや植物油、脂肪、ビチューメン(瀝青)、マツ科の植物の樹脂、芳香性の物質のほか、ダマール樹脂またはカイノキ属の植物の樹脂が含まれていたという。芳香性の物質としてはテルペノイドおよびフェノール、芳香族の化合物が特定され、特にジテルペノイドとトリテルペノイドが豊富に含まれていたそうだ。テルペノイドのほかにはバニリン酸やクマリン、安息香酸が検出されている。

研究者が「永遠の香り」と呼ぶ古代のアロマは分析結果を元に調合されたもので、デンマークのモースゴー先史博物館で開催される特別展で展示されるとのことだ。

すべて読む | サイエンスセクション | サイエンス | この記事をTwitterでつぶやく この記事をFacebookで共有 この記事をGoogle Plusで共有 このエントリーをはてなブックマークに追加

関連ストーリー:
Microsoft、ピザの香り付き Xbox コントローラーを開発 2023年07月26日
ナチュラルコスメブランドLUSH、ハテナブロック型バスボムなどのスーパーマリオコラボ商品を開発 2023年04月01日
タイの KFC、フライドチキンの香りを再現した線香を作る 2023年01月15日
イーロン・マスク、香水「Burnt Hair」を発表 2022年10月15日
アイスクリームにトッピングできる香水「Culinary Perfume」 2022年06月29日
フォード、ガソリンエンジン車の匂いを再現する香水を開発 2021年07月18日
食べ物の香り付きマスク、使いたい? 2020年10月17日
グレープフルーツの香りを特徴付ける成分、米国で虫除け剤や殺虫剤の有効成分として登録される 2020年08月14日
米マクドナルド、クォーターパウンダーの食材にインスパイアされた6つの香りのアロマキャンドルを発売 2020年02月23日
国鉄時代の車内の香りを再現した石けんが登場 2019年07月18日
Xboxのシャワージェルやデオドラント、7月にオーストラリアとニュージーランドで発売 2019年06月07日
イスラエルで3,600年前の遺跡からバニラ抽出物の痕跡が見つかる 2018年11月25日
エジプトでスカラベのミイラが発見される 2018年11月17日
ミュー粒子でピラミッドを透視するプロジェクト、ギザの大ピラミッド内部に巨大な空間を発見 2017年11月06日
新品のMacの香りのアロマキャンドル 2016年10月07日
DEET並みに蚊を寄せ付けない香水はフルーティフローラルの香り 2015年11月15日
ピラミッドをサーモグラフィで調査した結果、温度の高い謎のエリアが発見される 2015年11月11日
ツタンカーメンの墓の隠し部屋に謎の王妃が埋葬されている? 2015年10月10日
猫の肉球の香りを再現した人間用ハンドクリーム 2015年04月14日
BitCologneはBitcoinの香り? 2014年05月10日
匂いのホワイトノイズ 2012年11月25日

67年前に予言された『パインズの悪魔』を観測、京大チーム

著者: nagazou
2023年8月22日 12:00
京都大学の前野悦輝教授とピーター・アバモンテ教授らの研究グループは10日、米国の理論物理学者デイヴィッド・パインズが1956年に提唱した「特異な電子の運動をになう粒子」、通称「パインズの悪魔」の存在が、予言から67年後になってついに確認されたと発表した。新しい手法を用いてストロンチウム・ルテニウム酸化物内で「悪魔」の振る舞いを直接観測したとされる。この成果は8月10日に国際学術誌「Nature」に掲載されている(nature京都大学ASCII.jpニューズウィーク日本版リセマム)。

パインズ博士は、電子が特異な振る舞いをし、新しい粒子「悪魔(DEM-on)」を形成する可能性を示唆していたがこれまで観測されていなかった。研究グループは、ストロンチウム・ルテニウム酸化物(Sr2RuO4)の結晶を用いて新しい手法で観測を行い、長波長でギャップのない、バンド間の電子占有数の振動として「パインズの悪魔」を解釈した。これは、パインズの「DEM-on」として知られるモードの初めての観測であり、新しい量子物質の特性の解明につながる可能性を秘めているとしている。

すべて読む | サイエンスセクション | サイエンス | この記事をTwitterでつぶやく この記事をFacebookで共有 この記事をGoogle Plusで共有 このエントリーをはてなブックマークに追加

関連ストーリー:
LK-99は超伝導体ではない。現象は強磁性の影響との各国追試結果 2023年08月18日
米フェルミ国立加速器研究所、未知の素粒子存在を示唆 2023年08月16日
理研など4機関のチーム、4個の中性子だけでできた原子核を観測 2022年06月30日

LK-99は超伝導体ではない。現象は強磁性の影響との各国追試結果

著者: nagazou
2023年8月18日 15:05
韓国の研究者が発表したLK-99は、常温で動作する超電導体として期待されたが、英学術誌「Nature」が16日に報じた記事によれば、韓国の研究チームが公開した超伝導体LK-99に関する主張は誤りであり、LK-99が超伝導体である可能性は低いことが示された。韓国チームが示した、コイン状のサンプル物質が磁石の上で浮遊する「マイスナー効果」に関する動画に関しても、この現象は強磁性の影響である可能性が高まった(NatureBloombergITmedia)。

韓国チームが主張した抵抗率の急激な低下についても、米ハーバード大の元物性物理学者のデリック・ヴァン・ゲネップ氏は、韓国チームが投稿した浮遊動画を見て「この現象は、強磁性が原因の可能性が高い」と指摘。同氏はグラファイトと鉄粉から非超電導性の強磁性物質を作り、韓国チームの投稿動画で確認できた浮遊現象を再現している。他にも北京大学の研究チームなどが同じ指摘をしているとのこと。また、LK-99の合成過程によって生じる不純物も、物質の特性に影響を与える可能性が示唆された。

ドイツの研究チームはフローティングゾーン結晶成長と呼ばれる技術を使用し、不純物を除去した純粋なLK-99の合成に成功した。実験の結果、不純物から分離されたLK-99は超電導体ではなく、数百万オームの抵抗を持つ絶縁体だったとしている。Natureは、LK-99を発表した韓国チームに対してコメントを要請したが、16日段階では回答を得られていないとしている。

あるAnonymous Coward 曰く、

要約
・純粋なLK-99はただの絶縁体だった、強磁性と反磁性もわずかに示すだけ。
・韓国の研究チームの報告した超電導をうかわせる不思議な挙動は、硫化銅の特性と一致する。よって不純物の硫化銅由来であったと考えられる。
・この硫化銅の性質は1951年に発表されている。

すべて読む | サイエンスセクション | サイエンス | この記事をTwitterでつぶやく この記事をFacebookで共有 この記事をGoogle Plusで共有 このエントリーをはてなブックマークに追加

関連ストーリー:
「LK-99の常温常圧超伝導は理論上成立しうる」米バークレー研究所がシミュレーション結果を発表 2023年08月03日
韓国の研究チーム、「常温常圧で超伝導になる物質を合成した」とする論文公開 2023年07月31日

「LK-99の常温常圧超伝導は理論上成立しうる」米バークレー研究所がシミュレーション結果を発表

著者: nagazou
2023年8月3日 14:03
あるAnonymous Coward 曰く、

先日の韓国の研究チームが発表した常温常圧超伝導の件の続報。米バークレー研究所のシミュレーションによれば、確かにLK-99は理論上では常温常圧超伝導の物質になりえそうとのこと。ただし、このシミュレーションでは物質の合成にはかなりシビアな条件が必要とのことで、追試は簡単ではなそうということである。

なお、LK-99については毎日いろんな研究所が新たな発表をしているので、数日後にはまた新たな事実、なんなら追試に成功するところが出ているかもしれない(Andrew Cote氏のツイートシミュレーション論文Togetter)。

すべて読む | サイエンスセクション | サイエンス | この記事をTwitterでつぶやく この記事をFacebookで共有 この記事をGoogle Plusで共有 このエントリーをはてなブックマークに追加

関連ストーリー:
韓国の研究チーム、「常温常圧で超伝導になる物質を合成した」とする論文公開 2023年07月31日

農薬除去効果を謳うホタテパウダー、有機栽培のトマトでも同じ実験結果に

著者: nagazou
2023年7月25日 18:02
SNS上で「ホタテパウダーが農作物の残留農薬を除去できる」という情報が出回っていたという。鳥取県の水稲農家の40代男性がこの件に疑問を持ち、日本農業新聞の「農家の特報班」にメッセージが届いたそうだ。これをきっかけに同紙の記者が実験でその効果を検証したとされる(日本農業新聞)。

話題となっているホタテパウダーは、ホタテの貝殻を焼成・粉砕した粉で、水に溶かすと強アルカリ性の水溶液になる。SNS上ではこれにより残留農薬を除去できるとの主張が出回っているようだ。Twitterに上がっている動画では、漬け置き洗いした後の水が濁ったり、油膜のようなものが浮いたりする様子が撮影されているという。

記者はホタテパウダーを使ってトマトを洗う実験を実施。しかし、実験の結果、慣行栽培と有機栽培のトマトにおいても、ホタテパウダーを使った水溶液の変化に大きな差は見られず、残留農薬を除去したとする証拠は得られなかったそうだ。ホタテパウダーによる色の変化や油膜の生成は農薬由来とは考えにくく、立ち会いと助言をおこなった専門家も農薬を落とす効果に関しては疑問視しているという。

また、慣行栽培で農薬の基準値を超えることは稀であり、専門家は効果を検証する必要性を行政機関に提言している。なお、ホタテパウダーの販売会社はこの件の取材に対して応じていないとしている。

すべて読む | サイエンスセクション | サイエンス | この記事をTwitterでつぶやく この記事をFacebookで共有 この記事をGoogle Plusで共有 このエントリーをはてなブックマークに追加

関連ストーリー:
次亜塩素酸水に関する報道で売上が激減した販売業者がNHKや国を提訴 2023年06月27日
市販雑貨品の二酸化塩素系・次亜塩素酸水系の製品は新型コロナウイルスを完全に消毒できず、北里研究所 2020年09月04日
文科省、学校での「次亜塩素酸水」の噴霧を「使用しないで」→「各自で判断」に変更 2020年06月19日
「次亜塩素酸水」現時点では有効性は確認されず、噴霧も推奨せず 2020年06月01日

鳥インフル、人間用の「ゾフルーザ」で希少種の鳥類を治療する研究

著者: nagazou
2023年7月24日 16:04
読売新聞の記事によれば、北海道大学と塩野義製薬(大阪)は、高病原性鳥インフルエンザから希少な鳥を守るために、同社が製造する人間用の抗インフルエンザ薬「ゾフルーザ」を使用した治療法の開発を進めているという。鳥インフルエンザは、絶滅の危機に瀕している野鳥や動物園の動物にも広がっていることから、ゾフルーザの適切な投与量を調査し、動物園や保護施設に普及させることを目指す(読売新聞)。

昨秋から今春にかけて国内で鳥インフルエンザが広がり、感染が確認された養鶏場の鶏など1771万羽が処分され玉子の価格が高騰したことは記憶に新しい。こうした感染は、希少な野鳥にも広がっており、環境省によると、国が選定した絶滅危惧種にも影響が広がっている。鹿児島県では約1500羽のナベヅルやマナヅルが死亡または衰弱、北海道ではオジロワシの死骸からウイルスが検出されているという。

北海道大学の迫田義博教授と塩野義製薬らの研究によると、過去の研究で感染した鶏を用いた実験を行い、ただし先ほど話題にした、鶏などの家禽の治療はウイルスの封じ込めを図るために認められていないため、治療法を確立しても適用されない方針とのこと。まずは保護対象の希少種を治療対象とし、動物園での活用も目指すとしている。

すべて読む | サイエンスセクション | サイエンス | この記事をTwitterでつぶやく この記事をFacebookで共有 この記事をGoogle Plusで共有 このエントリーをはてなブックマークに追加

関連ストーリー:
ポーランドでネコが高病原性鳥インフルエンザに罹患 2023年07月07日
東京新聞のカラス肉の刺身を食べるコラムが物議。厚労省もコメントを出す 2023年03月14日
玉子が1993年以来の最高価格に。セブン‐イレブンが一部関連商品を休売へ 2023年02月02日
中国で鳥インフルエンザH10N3型のヒトへの感染が確認される 2021年06月03日
ロシアで鳥インフルエンザH5N8亜型のヒトへの感染確認 2021年02月23日

タコはどんな夢を見ているのか

著者: nagazou
2023年7月10日 16:03
headless 曰く、

沖縄科学技術大学院大学 (OIST) とワシントン大学の共同研究チームの研究成果によると、タコにも人間のレム睡眠に似た睡眠段階があることが確認されたそうだ (OIST のニュース記事Ars Technica の記事論文動画)。

動的なレム睡眠と静的なノンレム睡眠という 2 つの段階の睡眠は脊椎動物に特有と考えられていたが、眠っているときのタコには突然目や腕をピクピクと動かしたり、体色が変化したりする動的な睡眠段階がある。研究チームが動的な睡眠段階にあるソデフリダコ (Octopus laqueus) の脳活動や体色模様を調査したところ、脳活動は哺乳類のレム睡眠にみられるような覚醒状態様であり、覚醒時にみられるのと同様の体色模様を次々に示したとのこと。

研究ではタコがほぼ 1 時間に 1 回、1 分程度の動的睡眠段階に入ることを確認。この段階のタコが本当に眠っているのかどうかを確認するために物理的な刺激を与えてみると、覚醒時よりも強い刺激を与えなければ反応しなかったという。研究者は動的睡眠状態と覚醒状態が似ている理由として、体色変化の練習や色素細胞の維持活動といったもののほか、覚醒時の体験を再現して学習するという説を挙げている。つまり、タコが夢を見ている可能性もあるとのことだ。

すべて読む | サイエンスセクション | サイエンス | この記事をTwitterでつぶやく この記事をFacebookで共有 この記事をGoogle Plusで共有 このエントリーをはてなブックマークに追加

関連ストーリー:
人間は冬に睡眠を長く取る必要がある 2023年02月22日
アフリカゾウは1日に2時間しか眠らない 2017年03月05日
脳に特定の周波数の電流を流すと、寝ながら夢をコントロールできる 2014年05月14日
睡眠学習が実現できる可能性 2012年08月30日

ポーランドでネコが高病原性鳥インフルエンザに罹患

著者: nagazou
2023年7月7日 15:31
pongchang 曰く、

ポーランドのネコ、H5N1高病原性鳥インフルエンザに罹患死亡 ポーランドの獣医当局Polish Chief Veterinary Officer (CVO)はネコ由来16検体からインフルエンザ A(H5N1) を検出したと発表した。(ポーランド語の報道発表資料、欧州疾病予防管理センター(ECDC)の26週週報英語

6月23日以降、ポーランドの広い地域から70体以上のネコの死骸が報告されていて、ペットの飼い主は吐物や便の扱いなども含めて、個人防護具を含めた標準予防策をとる事を奨めている。現在の所、ネコからネコへの感染や、ネコからヒトへの感染は確認されていない。過去の例ではタイの動物園で餌として与えたニワトリがH5N1を保因していて、441頭中147頭が死亡または安楽死処分となった例もあるという(Avian Flu Diaryの記事)。ネコはイヌよりもインフルエンザに罹患しやすいらしい。日本では斃死したカラスを食べて罹患したと考えられるキタキツネの遺体が回収されている(環境省の報道発表資料、北海道大学の 記事)。

情報元へのリンク

すべて読む | サイエンスセクション | サイエンス | この記事をTwitterでつぶやく この記事をFacebookで共有 この記事をGoogle Plusで共有 このエントリーをはてなブックマークに追加

関連ストーリー:
東京新聞のカラス肉の刺身を食べるコラムが物議。厚労省もコメントを出す 2023年03月14日
玉子が1993年以来の最高価格に。セブン‐イレブンが一部関連商品を休売へ 2023年02月02日
中国で鳥インフルエンザH10N3型のヒトへの感染が確認される 2021年06月03日
ロシアで鳥インフルエンザH5N8亜型のヒトへの感染確認 2021年02月23日

大イエローストーン生態系のハイイログマ、環境の変化にもかかわらず体脂肪レベルを維持

著者: nagazou
2023年6月9日 07:03
headless 曰く、

米国のイエローストーン国立公園と周辺地域を含む大イエローストーン生態系では、ハイイログマの生息密度が上昇し、一部の高カロリーな餌が減少しているにもかかわらずハイイログマの体脂肪レベルに大きな変化はないそうだ (USGS のニュースリリースThe Verge の記事論文)。

ハイイログマが入手しにくくなっている高カロリーな餌の例としてはノドキリマスや、米政府が絶滅危惧種に指定しているマツの一種アメリカシロゴヨウの種子、ヘラジカの群れが挙げられている。一方、ハイイログマは種の保存法で対象となって保護が進められた結果、生息密度が上昇している。

USGS を含む米国とイタリアの研究者による研究チームが過去 20 年分以上のデータを調べたところ、ハイイログマの除脂肪体重は生息密度の高い地域で低下しているが、体脂肪レベルは生息密度にかかわらず変動はみられなかったという。体脂肪はハイイログマにとって冬眠中のエネルギー源として不可欠であり、繁殖年齢のメスが妊娠・出産・授乳をするためにも重要だ。

除体重脂肪の減少は特に成長中のメスで目立つが、体脂肪は必要なだけの高レベルを保っており、成熟すると標準的な体重となる。ハイイログマは雑食性で行動範囲が広く、ある餌が少なくなれば他の餌に変えるといった柔軟性により、体脂肪レベルを維持できていると考えられるとのことだ。

すべて読む | サイエンスセクション | サイエンス | この記事をTwitterでつぶやく この記事をFacebookで共有 この記事をGoogle Plusで共有 このエントリーをはてなブックマークに追加

関連ストーリー:
北米最大の火山地帯であるイエローストーン火山、過去の噴火時の前兆期間は数十年と短かった 2017年10月18日
米国立公園で酸性の熱水泉に転落し亡くなった男性、一晩で遺体が溶けてなくなる 2016年11月22日
自撮りはサメよりも人間を殺す 2015年09月26日
「アメリカでもっとも静かな場所」を調べられる「ノイズマップ」 2015年02月19日

❌