
トンボが飛行中に素早く方向を変える「とんぼ返り」は、体の形状から得られる静的な姿勢制御のメカニズムによるものだという研究成果をインペリアルカレッジロンドンの研究チームが発表した(
Imperial Newsの記事、
論文、
SlashGearの記事、
動画)。
空中における動物の姿勢制御に関する研究は、ネコやアリなど飛行しない動物が主な対象となっており、これらの動物は落下時に体の軸を中心として横方向に回転(ロール)する。飛行する動物で研究されているハナアブも同様だが、トンボは縦方向に回転(ピッチ)することで姿勢制御を行う。
この仕組みを調べるため研究グループは20匹のタイリクアカネ(
Sympetrum striolatum)に小さな磁石とモーショントラッキング用のマーカーを取り付け、磁力によりプラットフォームに貼り付けてからさまざまな角度で落下させてモーションキャプチャーとハイスピードカメラによる撮影を行った。その結果、トンボは意識の有無にかかわらず姿勢を正しい向き(背中を上)に修正したという。
死んだトンボでは姿勢制御が行われなかったが、羽の角度を意識のないトンボと同じ角度にしたところ、姿勢制御が行われるようになったそうだ。これはトンボが静的な姿勢制御の仕組みを備えることを示すが、生きているトンボと比べると落下方向を軸にした回転(ヨー)が多くみられることから、羽の角度だけでなく筋肉の緊張もかかわっていることを示唆するとのこと。
研究チームは今回の発見を小型ドローンなどの姿勢制御に活用できる可能性があるとみているようだ。今後はトンボの生体力学の研究を進め、静的な姿勢制御の仕組みが獲物の捕獲や障害物の回避などの戦略に与える影響を調べる計画とのことだ。
すべて読む
| サイエンスセクション
| サイエンス
| idle
|
関連ストーリー:
マルチローター型ドローンでローターが一つ故障しても飛行を続けられる技術
2021年02月06日
日本で発見された新種の寄生バチ、ゴジラと名付けられる
2020年11月08日
シマウマの縞模様はアブを体にとまらせにくくする効果があるという研究結果
2019年02月27日
イグノーベル賞2016授賞式、日本人は10年連続受賞
2016年09月24日
シマウマの縞模様には防虫効果がある?
2014年04月09日
蚊が雨粒の衝撃に負けないのは何故?
2012年06月06日
えり好みするミツバチ、縞模様と赤い花がお好き
2010年10月13日