ノーマルビュー

牛の臀部に目玉をペイントして大型肉食獣による被害を防ぐボツワナの「Eye-cow」プロジェクト

著者: headless
2020年8月22日 15:25
ボツワナで大型肉食獣による放牧牛の被害を防ぐため、牛の臀部に目玉をペイントする「Eye-cow」プロジェクトが進められているそうだ(論文ニューサウスウェールズ大学のニュース記事Ars Technicaの記事The Conversationの記事)。

ボツワナ北部のオカバンゴデルタ地域では野生保護区に隣接した土地で牛の放牧が行われておこなわれており、牛がライオンやヒョウに襲われる被害がしばしば発生する。現在の捕食動物対策は致死性の対策に強く依存しているが、肉食獣を絶滅させる可能性もあり、ツーリズムや野生保護の観点からも致死性でない対策が求められている。

敵からの攻撃を緩和するための目玉模様は昆虫や魚類、鳥類などに多くみられるが、現生の哺乳類で同様の目玉模様を持つものはない。目玉模様が効果を発揮する仕組みとしては、攻撃の狙いを外させる、捕食生物の敵に擬態する、目立つ模様で驚かせる、捕食生物の存在に気付いていると誤認させるといった仮説が立てられており、これらの組み合わせも考えられる。ライオンやヒョウのように獲物を待ち伏せして狩りを行う捕食動物では、獲物に気付かれれば狩りが成功する可能性が低下するため、目玉のペイントを見た場合に牛を襲わない可能性が考えられる。

ボツワナの捕食動物保護トラストとオーストラリアのニューサウスウェールズ大学がオカバンゴデルタ地域で4年にわたって行った実験では、実際に目玉ペイントの効果がみられたという。実験は直近数か月に被害が多かった放牧場を選び、飼育されている群れを目玉ペイント・「×」ペイント・ペイントなしの3グループに分けて実施。18頭がライオンに殺される被害にあい、1頭がヒョウに殺される被害にあったが、目玉をペイントした683頭に被害はなかったという。被害にあったのは「×」をペイントした牛4頭(0.75%)、およびペイントなし15頭(1.80%)となっており、「×」のペイントもペイントなしとの有意差(Df=1、p<0.001)がみられる。そのため、この実験結果は捕食動物の存在に気付いていると誤認させる説と、目立つ模様で驚かせる説の両方を支持するものとなる。

目玉ペイントは塗料と筆を用意すれば適用できるが、スタンプを作成すればさらに容易な適用が可能になる。捕食動物保護トラストではヨガマットなどのウレタンフォーム素材を切り抜いてスタンプを作る方法を紹介しており、PDFファイルには型紙も含まれている。

すべて読む | サイエンスセクション | 変なモノ | サイエンス | GNU is Not Unix | この記事をTwitterでつぶやく この記事をFacebookで共有 この記事をGoogle Plusで共有 このエントリーをはてなブックマークに追加

関連ストーリー:
米国立公園局、友達を熊から逃げるための「おとり」にしないよう呼びかけ 2020年08月10日
牛の二酸化炭素排出量を抑える「超高密度放牧」 2020年03月13日
英国・ウェールズ、牛のDNA検査結果が証拠となって牛泥棒が有罪になる 2020年02月09日
農研機構、除染していない放牧地で育てた牛を誤って出荷 2020年01月15日
最初の解剖学的現生人類はボツワナ北部で生まれたという研究結果が発表される 2019年11月05日
Google Pixel 4の顔認証、目をつぶっていても認証される仕様 2019年10月19日
ボツワナ、ゾウの狩猟を解禁 2019年06月03日
シマウマの縞模様はアブを体にとまらせにくくする効果があるという研究結果 2019年02月27日
iPhone XのFace IDは人間の目とブラックオリーブを区別できない? 2017年11月18日
米成人の7%、チョコレートミルクは茶色い牛から採れると回答 2017年06月18日
アフリカゾウは1日に2時間しか眠らない 2017年03月05日
米Wendy'sのTwitterアカウント、豹変して注目を集める 2017年01月07日
「雄同士で交尾をするライオンの写真」、実際は「たてがみのある雌」と雄との交尾だった? 2016年04月22日
十分な額の資金があれば、すべてのバグは深刻ではない? 2015年02月22日
「人工尿」開発中、目的は野犬退治 2011年08月11日

❌