ノーマルビュー

音楽出版社BMG、ものみの塔に著作権侵害で訴えられる

著者: headless
2020年12月27日 17:28
音楽出版社BMG Rights Managementが11月に発売したアルバムで著作物が無断で使われたとして、ペンシルバニア州のものみの塔聖書冊子協会がBMG USやBMG UKなどを米ニューヨーク南部地区連邦地裁に提訴した(TorrentFreakの記事訴状: PDF)。

このアルバムはアレッド・ジョーンズの「Blessings」で、ものみの塔が著作権を持つ楽曲「Listen, Obey, and Be Blessed (邦題: 聞いて従い,神の祝福を得る)」が収録されている。ものみの塔は宗教団体エホバの証人の著作権管理団体であり、教義により著作物を(a)商業化しない、(b)他の宗教に関連するものとともに使うことを認めない、(c)クリスマスの祝いとともに使うことを認めない、といった決まりがあるという。

しかし、アルバム「Blessings」は商業作品であり、宗教間を結びつけるアルバムという趣向で異なる複数の宗教の宗教曲が合わせて収録されているほか、クリスマスアルバムとして宣伝されている。ものみの塔ではアルバム発売前、楽曲を使用しないようアレッド・ジョーンズに連絡したところ、BMG UKがドイツの著作権団体GEMAから著作物の使用許諾を得たと回答。ところが、ものみの塔はGEMAに著作物をライセンスしておらず、GEMAは権利がないためBMGの申請を却下していたことが判明する。

さらなる問い合わせにBMG UKは、米著作権法115条に基づく強制使用許諾の手続きをBMG USが進めていると回答したが、要件となる事前の通知が行われておらず、強制使用許諾は成立しない。その結果、BMGは著作権を侵害しただけでなく、ものみの塔が教義に反する著作物使用を許可したとの誤った印象を与えて信用を失わせたなどとして、事前および恒久的な差止や損害賠償などを求めている。

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EU法務官、ISPは海賊版ファイル共有者の情報を著作権トロールに渡す必要はないとの見解

著者: headless
2020年12月27日 13:42
headless 曰く、

ISPは海賊版ファイル共有者の情報を著作権トロールに渡す必要はないとの見解をEU法務官が示している(意見書TorrentFreakの記事)。

本件はキプロスのMircom International Content Management & ConsultingがベルギーのISP 3社を相手取り、同社が欧州で権利を持つ映画の海賊版をBitTorrentで共有したユーザーについて、IPアドレスなどの情報を開示するよう訴えている裁判に関連するものだ。ベルギーの裁判所では3社に情報開示を命じたが、3社が上訴したため、EU司法裁判所の事前判断を求めている。

EU法務官は意見書で、「著作権トロール (copyright troll)」について、保護されている著作物の権利を取得する一方で著作物を利用することはなく、海賊版利用者から和解金を得ることを主な収入源にしている者と定義。このような著作権トロールが法廷に訴えるのはISPなどから海賊版利用者の情報を得るためであり、実際に海賊版利用者を訴えることはないとも指摘する。

意見書ではMircomが著作権トロールに相当すると指摘し、EU指令2004/48/EC第4条(b)で定める法的救済の申請などが著作権トロールには認められないことや、EU加盟各国の裁判所は同指令第8条で定める情報開示の要求が不当だと判断した場合は拒否することなどの判断を示すよう、EU司法裁判所に求めている。

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