中学高校生 春休みに読むお薦めの本 宮本輝「本を積んだ小舟」(文藝春秋社)
2021年3月31日 19:41
今の中学高校生は本当に本を読まない。
ゲ-ムやUチュ-ブを楽しむ事はあっても、小説、特に名作と言われる国内外の傑作を読まないのは、人生においても大いにもったいないことだ。
そこで、国内と外国の名作32作品を選りすぐったエッセイである宮本輝の「本を積んだ小舟」を、お薦めする。
それぞれの作品の核心部分を引用しながら、解りやすい文章で解説を加えている。
しかも宮本輝氏の人生の中で、これらの作品がどのような影響を与えたのかも書かれていて、読み物としても楽しい作品集だ。
人生の中で、しかも出来るだけ早いうちに傑作と出会うことが、自分自身の航路を深く考える指針ともなる。
中学生に薦めると言っても、この32作品は児童文学ではない。
高校入試問題の小説や物語は「児童文学」限定で視野が狭く、深みがない。
「本を積んだ小舟」に積まれている作品はどれも、児童文学と呼べる代物ではなく、むしろ少年少女には早い大人の文学でもある。
だが、いつまでが子供で、いつからが大人であるのかという境界線など、もともと存在しない。
まだ見ぬ世界を想像力を使って理解することこそ、文学を読む醍醐味であり意義でもある。
高校の現代文教科書に登場する作品は「当たり障りのない人畜無害」なものばかりで、文学とはこの程度のものかという先入観を与えてしまう。
人間や人生の実態には、もっとドロドロしたものや、救いがたい醜態もある。
それら全てをひっくるめて人間であり人生なのだという事を垣間見るのも、大切である。
「本を積んだ小舟」に収められた32作品の1つでも、原作を読んでみようと気になれば、成功である。
最後に、センタ-入試も共通テストも、現代の文学よりもこれらの過去の傑作から出題されるということも、頭に入れておいてほしい。