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「脳の修復」の鍵はミエリンの“まきつき”にあり

著者: contributor
2026年4月17日 15:46

「脳の修復」の鍵はミエリンの“まきつき”にあり
―まきつきの評価法開発と薬剤の特定―

国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター(NCNP)神経研究所神経薬理研究部の村松里衣子部長らの研究グループは、早稲田大学理工学術院梅津信二郎教授らと共同で、神経細胞のネットワークの恒常性を維持する働きがあるミエリン1)の修復の評価法を開発し、その機序を促進させる薬剤を見出しました。

脳は神経細胞だけではなく非神経細胞(グリア細胞等)からも成り立っており、どちらも機能の維持に必要です。ミエリンはグリア細胞の一種であるオリゴデンドロサイト2)が形成する構造物です。さまざまな疾患や加齢に伴い、ミエリンは脱落し、それが脳機能の低下につながると考えられています。そのため、ミエリンを修復させることができれば、神経疾患による後遺症の軽減や加齢に伴う脳機能の低下からの回復が期待されます。

ミエリン修復は複数の段階から成り立ちますが、中でも最終段階であるオリゴデンドロサイトによる神経軸索への「まきつき」は神経機能回復に重要です(図1)。今回、研究グループは、まきつき能力を評価する新たな手法を開発しました。本手法は薬剤スクリーニングにも応用可能です。本評価系で見出したまきつき促進効果をもつ薬剤について、疾患モデル動物に対する効果を検討したところ、まきつきの促進効果が検出され、症状の改善も促されました。さらに、その薬剤の服用歴を有する健常者を対象としたコホート解析により、薬剤服用者ではミエリンを多く含む脳の白質が加齢による変化をうけにくい可能性が示されました。つまり、作成した評価法を用いてまきつき促進効果を検出する薬剤には、ヒトの脳の白質障害に対して治療効果が発揮されることが期待されます。

本研究成果は日本時間2026年4月15日に、米国の融合領域科学誌「Cyborg and Bionic Systems」に掲載されました。

図1.研究対象の”まきつき” まきつきの促進は、脳機能の改善に貢献。

(1)研究の背景

脳や脊髄には、ミエリンのもととなるオリゴデンドロサイトの前駆細胞が生涯にわたり豊富に存在します。オリゴデンドロサイト前駆細胞が増殖して、オリゴデンドロサイトに分化し、その後に神経軸索にまきつくことで、ミエリンが修復します。これまで、オリゴデンドロサイト前駆細胞の増殖や分化を対象とした研究は盛んにおこなわれてきましたが、ミエリンの機能的な修復に必要な「まきつき」については、その機序の解明は進んでおらず、その背景には、まきつきを評価する方法が不足しているという課題がありました。

(2)研究の概要

オリゴデンドロサイトは生きた神経細胞だけではなく、工学的に作成された微細構造物にもまきつく性質があります。研究グループは、神経軸索を模倣したマイクロファイバーに対して、培養オリゴデンドロサイトのまきつき能力を評価する方法を作成しました(図2)。この方法は、ラットのオリゴデンドロサイト培養細胞の評価だけではなく、ヒトiPS細胞から作成したオリゴデンドロサイトにおいても用いることができました。

作成した方法がミエリン修復薬の探索に用いることができるかを検討するため、研究グループはすでに承認されている薬剤の中から、まきつきを促進させる薬剤があるかを検討しました。その結果、Dimemorfanという咳止め薬として使用されている薬剤に、まきつきを促進させる効果があることがわかりました。このDimemorfanによるまきつき促進効果は、同薬剤の既知の作用機序であるSigma-1受容体3)を介するものでした。

多発性硬化症のモデル動物などミエリンが脱落したマウスに対してDimemorfanの投与したところ、ミエリンの修復が促進され、ミエリン脱落による神経機能障害も緩和しました(図3)。さらに、Dimemorfanの服用歴を有するヒトの脳画像を解析したところ、加齢にともなう白質量の低下が抑制されている可能性が示されました。

図2.まきつきの評価法 ヒトiPS細胞から作成したオリゴデンドロサイトを用いた検討も可能。

図3.まきつき促進効果を発揮した薬剤の効果 疾患モデルマウスに対して同定した薬剤を投与すると、ミエリンの組織修復が促進し、神経症状も改善。

*図の一部はBioRenderで作成されました。

(3)今後の展望

ミエリンは、認知機能や運動機能の低下との関連が示唆されています。今回作成した評価法と同様の手法により、ミエリンの修復に有効な薬剤の探索が可能になるとともに、まきつきの新たな機序解明が導かれる可能性があります。これらを通じたミエリンを標的とした新たな治療法の開発が期待されます。

(4)用語の説明

1)ミエリン
神経軸索の周囲を覆う被膜のような構造物。神経活動のスムーズな伝達を支えている働きが代表的な機能。他にも、神経細胞への栄養供給や血液脳関門の維持等、脳の恒常性の維持の貢献する多彩な機能を有する。

2)オリゴデンドロサイト
中枢神経系に備わるオリゴデンドロサイトの前駆細胞は、生涯にわたり、増殖能や分化能力を備えている。オリゴデンドロサイトの機能を促進させてミエリンを修復させる薬剤は、開発はされてはいるものの、現時点で認可されているものはない。

3) Sigma-1受容体
神経変性疾患、精神疾患などさまざまな病態に関与することが知られる。受容体を活性化させると神経機能が改善することが、アルツハイマー病などのモデル動物で報告されている。

(5)原著論文情報

・論文名:Biomimetic microfibers for myelin-enhancer screening and neural regeneration
・著者:Lili Quan, Akiko Uyeda, Atsushi Sekiguchi, Ze Zhang, Kazuhisa Sakai, Tsunehiko Takamura, Ruijuan Zhang, Noritaka Ichinohe, Shinjiro Umezu, and Rieko Muramatsu(†責任著者)
・掲載誌: Cyborg and Bionic Systems
・doi: 10.34133/cbsystems.0565
・https:https://spj.science.org/doi/10.34133/cbsystems.0565

(6)研究経費

本研究結果は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)革新的先端研究開発支援事業(AMED-CREST)、脳神経科学統合プログラム、日本学術振興会・科学研究費補助金若手研究、基盤研究(B) の支援を受けて行われました。また、本研究はAMED生命科学・創薬研究支援基盤事業(BINDS)による支援を受けました。一部の研究試料は、東北メディカルメガバンク機構から分譲されました。分譲データは、ゲノム医療実現バイオバンク利活用プログラム(B-Cure) 基盤事業としてサポートされました。

分子の「混ざり方」と「過去の状態」が振る舞いを左右

著者: contributor
2026年4月17日 15:18

🤖 AI Summary

本研究は、生命の起源と進化に関する理解を深める重要な成果です。以下に主な特徴と意味合いをまとめます:

### 主な内容

1. **実験モデルの構築**:
- 自己複製RNAと寄生型RNAを使用した微小液滴(油中水滴)からなる実験モデルを作成。
- 液滴間の混合度を制御して、異なる混合状態での分子系の挙動を解析。

2. **理論模型の構築**:
- 自己複製分子と寄生型分子の増減や時間変化を記述する従来の理論モデルを拡張。
- 区画間の混合度を連続的なパラメータとして導入し、完全に混ざらない状態から均一な状態までの一貫した解析を行う。

3. **結果の解釈**:
- 混合が弱い場合、寄生型RNAが優勢になりやすい。
- 充分な混合がある場合、自己複製RNAと寄生型RNAが空間的に分離され、自己複製RNAが維持されやすくなる。
- 区画がよく希釈される条件では、自己複製RNAが維持されやすくなる傾向。

4. **長期的な複製実験**:
- 4種類のRNAが周期的に割合を変化させながら共存する振る舞いが観察。
- この共存は液滴間の混合が中程度である条件で理論モデルにより再現。

### 波及効果と社会的意義

1. **生命の起源に関する理解**:
- 分子の混ざり方と過去の状態(構成記憶)が分子系の振る舞いに大きな影響を与えることを示し、生命の初期環境についてより現実的な議論ができる基盤を提供。

2. **人工細胞や合成生物学への応用**:
- 液滴の混ざり方を制御することで挙動が変化するという知見は、進化する人工細胞の設計指針としての活用が期待される。

### 今後の展望

1. **長期的進化の影響**:
- ミックス状態によってRNAの多様性がどのように変化するかの検証が必要。

2. **異なる区画構造での現象の確認**:
- 選択的に異なるタイプの区画構造で同様の現象が見られるかどうかの調査も重要。

### 研究者のコメント

- 生命の起源と進化における重要な問題である自己複製分子の維持と進化を、分子の混ざり方と過去の状態(構成記憶)に着目して理論的に理解できることを示した。

この研究は、生命の初期状況や人工細胞技術の開発など、幅広い分野での応用が期待される重要な成果と言えるでしょう。

分子の「混ざり方」と「過去の状態」が振る舞いを左右
~RNA自己複製系で生命起源に関わる新たな視点を提示~

発表のポイント

  •  生命の起源では、自己複製する分子と寄生的な分子が互いに影響しながら進化したと考えられていますが、それらの振る舞いを左右する要因は十分に明らかになっていませんでした。
  •  自己複製RNAを用いた実験と理論モデルを組み合わせることで、RNAを含む細胞様の区画構造の混ざり方と過去の状態がその振る舞いに大きな影響を与えることを明らかにしました。
  •  生命がどのような環境で成立したのかという理解を深めるとともに、人工細胞などの新しいバイオ技術への応用が期待されます。

早稲田大学理工学術院の桑原涼歌(くわばらりょうか)(研究当時:学部4年)、水内良(みずうちりょう)准教授とパリ市立工業物理化学高等専門大学のBarnabe Ledoux、David Lacoste博士らの国際共同研究グループは、単純な自己複製する分子の振る舞いに液滴のような細胞様の区画構造が与える影響を、実験と理論の両面から明らかにしました。生命の起源において自己複製分子が持続的に進化していくためには、それらが微小な区画に封入されることが重要であると考えられてきましたが、区画同士の混ざり方が分子の複製に与える影響は十分に明らかではありませんでした。

本研究では、自己複製RNA分子 ※1 とそれに依存して増殖する寄生型RNA分子 ※2 からなる実験モデルと、RNAの増殖と区画同士の混ざり方を記述する理論モデルを組み合わせ、この混ざり方と、過去の状態が部分的に引き継がれる性質 (構成記憶) が、分子系の振る舞いに重要な影響を与えることを示しました。

本成果は、2026年4月15日(水)に米国科学アカデミーが発行する『Proceedings of the National Academy of Science of the United States of America (PNAS)』で公開されました。

図1 混ざり方によって自己複製RNAの振る舞いが変わる

これまでの研究で分かっていたこと

生命の起源では、RNAのような自己複製する情報分子があり、進化によって複雑化していったと想像されています。しかし、進化の過程では機能を失った寄生型RNA分子が出現し、情報が維持できなくなることが問題となります。このような状況を緩和する仕組みとして、分子を細胞のような小さな空間に分ける「区画化」が重要であると考えられてきました。区画化によって分子同士の相互作用が局所的に制限され、寄生型分子の影響が抑えられると考えられています。

一方で、従来の理論では、区画の内容が完全に混ざると仮定した単純化がしばしば用いられてきましたが、部分的な混合が起こる状況や、過去の分子組成がどの程度引き継がれるかという点が分子系に与える影響は十分に理解されていませんでした。

新たに実現しようとしたこと、明らかになったこと

本研究では、自己複製分子と寄生型分子の増減や時間変化を記述する従来の理論モデルを拡張し、分子同士を分けた区画が完全に混ざらない状態を扱う新たな枠組みを構築しました。特に、区画同士の混ざり方を連続的なパラメータとして導入することで、完全に混ざらない状態から均一に近い状態までの分子の振る舞いを一貫して記述できるようにしました。また、それぞれの区画の混ざり方に応じて過去の分子組成を部分的に保持する性質に着目し、この効果を「構成記憶」として捉え、理論に取り入れました。さらに、複数種類の自己複製分子と寄生型分子を同時に扱えるようにすることで、より現実に近い分子系の振る舞いを解析可能にしました。

次に、自己複製RNAと寄生型RNAを用いて、油中に分散した微小液滴(油中水滴)からなる実験モデルを構築しました。この系では、それぞれの液滴が独立した区画として振る舞い、内部でRNAの複製が進行します。液滴間の混合の程度を制御して実験を行ったところ、混合が弱い場合には液滴ごとの分子組成のばらつきが強く残り、その結果として寄生型RNAが優勢になりやすい一方で、十分な混合がある場合には自己複製RNAと寄生型RNAが空間的に分離され、自己複製RNAが維持されやすくなることがわかりました。また、区画がよく希釈される条件では、自己複製RNAが維持されやすくなる傾向も確認されました。さらに、蛍光分子を用いた解析により、液滴間で実際にどの程度分子が混ざっているかを定量的に評価し、理論で導入した混合パラメータと対応づけることに成功しました。これらの結果は、構築した理論モデルとよく一致していました。

加えて、複数の自己複製RNAと寄生型RNAを組み合わせた長期的な複製実験を行ったところ、4種類のRNAが周期的に割合を変化させながら共存する振る舞いが観察されました (図2)。このような共存が起こることは過去の研究から予想されていましたが、その仕組みは明らかではありませんでした。本研究では、この振る舞いが液滴間の混合が中程度である条件において、理論モデルにより再現されました。この結果は、分子の共存に区画同士の混ざり方が影響していることを示唆しています。

図2 4種類のRNAの長期的な複製実験

以上の結果は、分子の振る舞いが単に区画化されているかどうかだけでなく、区画同士がどの程度混ざるか、そして過去の分子組成がどの程度引き継がれるかによって決まることを示しています。

研究の波及効果や社会的影響

本研究は、生命がどのような環境で成立し得たのかという根本的な問いに対して、分子の振る舞いに影響を与える具体的な要因を示した点で、生命の起源に関する理解を前進させるものです。これにより、生命の成立に適した初期の地球環境について、より現実的に議論できる基盤が整います。

また、液滴に分子を封入し、その混ざり方を制御することで挙動が変化するという知見は、人工細胞や合成生物学の分野への応用が期待されます。例えば、進化する人工細胞の設計指針としての活用が考えられます。

課題、今後の展望

本研究では、区画の混ざり方がRNA自己複製系の振る舞いに与える影響を明らかにしましたが、長期的な進化に与える影響については今後の課題です。例えば、混ざり方の違いによって進化するRNAの多様性がどのように変化するかについては、今後の検証が必要です。また、これまでに様々な原始細胞の構造が提唱されていますが、異なるタイプの区画構造においても同様の現象が見られるかどうかを調べることも重要な課題です。

研究者のコメント

生命の起源では、自己複製する分子がどのような条件で維持され、進化へとつながる振る舞いを示すのかが重要な問題です。本研究では、分子の混ざり方と過去の状態 (構成記憶) に着目することで、その振る舞いを理論的に理解できることを示しました。この結果は、初期生命が存在した環境を考える上で重要な手がかりになると考えています。

用語解説

※1 自己複製するRNA
RNA はリボ核酸(Ribonucleic acid)のことであり、遺伝情報を記録可能な分子である。本研究で用いたRNAは、自身を複製するウイルス由来の酵素(複製酵素)の遺伝子をコードしている。これを無細胞翻訳系と呼ばれる、タンパク質や小分子からなる反応液と混ぜることで、遺伝子が読み出されて複製酵素が生産され、その結果RNAが複製される。

※2 寄生型のRNA
RNAは複製の過程で変異が生じ、情報が書き換わったり失われたりすることがある。本研究で用いた寄生型のRNAは、複製酵素の遺伝子の一部領域を欠損している。そのため、自ら複製酵素をつくることができず、周囲の自己複製RNAが生産する複製酵素に依存して複製する。

論文情報

雑誌名:Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America
論文名:Compositional memory matters for early molecular systems
執筆者名(所属機関名):Barnabe Ledoux* (パリ市立工業物理化学高等専門大学)、桑原涼歌 (早稲田大学)、市橋伯一 (東京大学)、水内良* (早稲田大学)、David Lacoste (パリ市立工業物理化学高等専門大学)
掲載日時:2026年4月15日
掲載URL:https://doi.org/10.1073/pnas.2537522123
DOI:10.1073/pnas.2537522123
*:責任著者

キーワード

生命の起源、RNA、自己複製、進化、液滴、構成記憶、人工細胞

研究助成

研究費名:日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的研究 (萌芽)
課題番号:25K22442
研究課題名:原始細胞モデルにおける自己複製分子システムの進化
研究代表者名(所属機関名):水内 良(早稲田大学)

Gap theorems and achirality for automorphisms of K3 surfaces and Enriques surfaces (2026/5/22)

著者: staff
2026年4月17日 14:09

🤖 AI Summary

### タイトル:K3表面とエルネキ表面の自己同型のギャップ定理と非対称性

#### 主要な内容:
- **日時**:2026年5月22日(金)16:30-18:10
- **場所**:早稲田大学 西早稲田キャンパス 51号館 18-08室
- **講師**:高田佑太 (東京大学大学院数理科学研究科 特任研究員)
- **対象者**:一般
- **参加方法**:無料で直接会場にご来場ください。
- **主催者**:基幹理工学部 数学応用数理専攻
- **問い合わせ先**:
- 早稲田大学 理工センター 総務課
- TEL: 03-5286-3000
- URL: [ウェブサイト](https://sites.google.com/view/waseda-ag-seminar)

### 講演概要:
このセミナーでは、K3表面とエルネキ表面の自己同型についてのギャップ定理と非対称性について説明します。これらの数学的トピックは複素幾何学の重要な分野であり、特に自己同型関数の特性を理解する上で重要です。

### 関連記事:
- 2026年度理工オープンキャンパス (8月1日・2日開催)
- 探求、偶然、論理性—有機合成における基礎 (5月13日に開催予定)
- 感覚の基础と人間の運動学習 (4月20日に開催予定)

演題:Gap theorems and achirality for automorphisms of K3 surfaces and Enriques surfaces

日時:2026年5月22日(金) 16:30-18:10

会場:早稲田大学 西早稲田キャンパス 51号館 18-08室

講師:高田 佑太  (東京大学大学院数理科学研究科 特任研究員)

対象:一般

参加方法:入場無料、直接会場へお越しください。

主催:基幹理工学部 数学応用数理専攻

問合せ:早稲田大学 理工センター 総務課

TEL:03-5286-3000

URL: https://sites.google.com/view/waseda-ag-seminar

極超音速実験機のマッハ5燃焼実験に成功

著者: contributor
2026年4月17日 11:30

🤖 AI Summary

極超音速実験機のマッハ5燃焼実験に成功

学校法人早稲田大学(理事長:田中愛治)は、JAXAや東京大学、慶應義塾大学との共同研究で、国内初のマッハ5(時速約5,400km)燃焼実験を成功させました。この実験は、極超音速飛行において機体とエンジンの統合制御技術を開発するために行われ、太平洋横断時間短縮や高度100km以上に到達する「スペースプレーン」の開発につながる重要なデータを取得しました。

実験では、マッハ5飛行状態を模擬して極超音速風洞を使用し、耐熱構造や推進性能を確認しました。また、将来の極超音速機の実用化に向けた基礎データも集めました。

早稲田大学は、研究代表者である佐藤哲也教授が率いるチームで、極超音速気流を取り込む空気入口の設計と解析にも貢献しました。今回の成功により、極超音速技術の実用化に向けた一歩を踏み出せました。

今後は、観測ロケットを使用したさらに高度な飛行実験が計画されており、将来的には極超音速旅客機や「スペースプレーン」の開発につながる可能性があります。
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この要約では、実験の成功とその意義、そして今後の展開を簡潔にまとめています。必要であれば、さらに詳細な情報を追加することができます。例えば、具体的な結果や研究手法について詳しく説明することも可能です。

極超音速実験機のマッハ5燃焼実験に成功
~時速約5,400 kmで飛行する極超音速機の実現に向けた貴重なデータを取得~

発表のポイント

  • 国内初の極超音速実験機を用いたマッハ5(音速の5倍に相当する時速約5,400km)燃焼実験に成功しました。
  • 極超音速旅客機の実現に必要な主要技術を、マッハ5での飛行環境を模擬した試験で実証し、実用化に向けた貴重なデータの取得に成功しました。

学校法人早稲田大学(所在地:東京都新宿区、理事長:田中愛治)は、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(以下、「JAXA」)、東京大学、慶應義塾大学との共同研究において、JAXA角田宇宙センター(宮城県角田市)のラムジェットエンジン試験設備を用いて、我が国で初めて、極超音速実験機を用いた音速の5倍(時速約5,400km)に相当するマッハ5燃焼実験に成功しました。
本実験により、将来期待される太平洋を2時間で横断できる「極超音速旅客機」や、高度100km程度に到達する「スペースプレーン」の実現に向けた、貴重なデータを取得しました。
※ 早稲田大学の研究代表者は理工学術院 佐藤哲也教授です。

図1. 将来期待される極超音速旅客機の構想図ⒸJAXA


(1)本研究による開発状況および実験内容について

日本が先行して研究開発を進めている極超音速空気吸込みエンジン技術について、本研究では、マッハ5環境下で飛行実証し、機体とエンジンを一体として制御する機体/推進統合制御技術の構築を目指しています。

早稲田大学、東京大学、慶應義塾大学とJAXAとの共同研究チームは、観測ロケット等による飛行実証を見据えた極超音速実験機の設計・製作を行い、音速の5倍(時速約5,400 km)に相当するマッハ5飛行環境を模擬した燃焼実験※1を実施しました。早稲田大学では、本研究の取りまとめと、極超音速気流を吸い込む空気取入口の設計・解析を担当しました。今回製作した実験機の特徴・新規性、実施した実験内容は次の通りです。

極超音速飛行では、機体とエンジンの相互干渉が非常に強いことが大きな特徴です。飛行マッハ数や機体の姿勢によって機体に形成される衝撃波が変化し、エンジンに取り込まれる気流の状態が大きく変わります。また、エンジンの推力は機体の運動に直接影響を与えるため、機体とエンジンは互いに強く結び付いたシステムとして振る舞います。このため、極超音速機では、機体の空力設計、エンジンの燃焼設計を個別に行うのではなく、一体のシステムとして取り扱う「機体/推進統合設計・制御」が必要になります。

本研究では統合的設計を行い、極超音速飛行環境においても安定したエンジン作動と機体制御が可能となる構成として、必要最小規模である全長2mの極超音速実験機を実現しました。その際、マッハ5の飛行状態では空気の圧縮加熱によって機体周囲の空気温度が1,000℃ 程度に達します。このような高温環境に対応するため、耐熱材料と遮熱構造を組み合わせた軽量耐熱構造として設計し、高温環境下でも機体および内部の電子機器が正常に動作できる構造を構築しました。

上述の極超音速実験機を用いた実験にあたっては、JAXA角田宇宙センター(宮城県角田市)のラムジェットエンジン試験設備を使用して、マッハ5の飛行状態を模擬した極超音速風洞での燃焼実験を実施しました。具体的な実験項目及びその様子は以下の通りです。

① 極超音速実験機の燃焼実験(試験設備でマッハ5飛行状態を模擬)ⒸJAXA

② ラムジェットエンジンの燃焼作動ⒸJAXA

③ 実験機の耐熱性能の測定ⒸJAXA

④ 実験機の操舵翼の動作ⒸJAXA

(2)本実験の成果と今後の展開

今回の実験によって、これらの空力、推進、構造の統合設計の妥当性を確認することができました。さらに、耐熱構造の設計解析手法を検証するための機体表面温度分布の計測や、水素燃料を用いるラムジェットエンジンの排気が地球環境に与える影響を調べるための排気温度場の計測等を実施し、将来の極超音速機の実用化に向けた基礎データを取得しました。

本実験結果を踏まえて、極超音速実験機を観測ロケット等に搭載してマッハ5程度の飛行実験の実施を構想しています。極超音速飛行技術が確立されれば、太平洋を2時間で横断できる「極超音速旅客機」や、高度100km程度に到達する「スペースプレーン」の実現につながることが期待されます。

(3)研究助成

研究費名:科学研究費補助金 基盤研究(S)
研究課題名:観測ロケットを用いた極超音速フライトテストベッドの構築と機体推進統合制御の実証
研究代表者名(所属機関名):佐藤哲也(早稲田大学)

(4)用語解説

※1 風洞実験
航空機などの模型を風洞装置内に設置して、模型周囲に実際の飛行状態を模擬した空気流を流すことで、飛行状態で起きる現象を調査するための実験。

2026年度 社会文化領域コース 進入説明会(6/11オンライン実施・要事前登録)のご案内

著者: staff
2026年4月17日 09:14

🤖 AI Summary

2026年度 社会文化領域コースへの入門説明会が6月11日(木)にオンラインで開催されます。興味のある学生は、事前にウェブサイト上の情報を確認し、必要な手続きを進めてください。

【要点】
- 日期:2026年6月11日(木)
- 地点:オンライン
- 主题:社会文化領域コース進入説明会

興味のある学生は、事前にウェブサイトの情報を確認し、必要な手続きを進めてください。

第2回社会文化領域コース進入説明会を、2026年6月11日 (木)にオンラインで開催します。
関心のある学生は、以下のポスターおよび社会文化領域ウェブサイト上の情報をよく確認し、必要な手続きをとってください。

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