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100分で名著「カミュ ペスト」(中条省平)医学科志望生必読の書

100分で名著「カミュ ペスト」のサブタイトルは「はてしなき不条理との闘い」である。
人生は不条理に満ちている。
貧困、病気、事故、災害、失業、離婚、受験や就職の失敗、戦争、そして死。
この全てを免れる人間は誰もいない。
カミュは幼くして父と死別し母子家庭の中で、極貧に苦しんだ。
貧困とはいつも隣り合わせにある結核を若くして患い、創刊した夕刊紙も当局から発禁処分を食らい、失業する。
たどり着いたパリではナチスドイツの侵攻にあい、レジスタンス運動に身を投じる。
ノ-ベル文学賞を受賞するも、その4年後に交通事故に会い46歳の若さで亡くなる。
まさに次々とわが身を襲う不条理と闘いながら、最後に「不条理な死」を遂げた。
「ペスト」は思想的にも奥の深い作品で、実存主義を掲げるサルトルとも論争となった。
いったんはサルトルとの論争に敗れる形となったが、のちに構造主義を主張する思想家たちに支持され、今では実存主義から構造主義へのパラダイムシフトを橋渡しした「偉大な思想家」と見なされている。
さて、本題は「医学科志望の生徒にぜひ読んでほしい要点」だ。
本書P76にペストからの引用文がある。
ペストに罹り死の間際にある少年に、医師リウ-が寄り添う場面だ。
「リウ-はときどき少年の脈を計っていたが、自分の置かれている無力な受動状態を脱するため、目を閉じて、少年の激しい脈拍が自分自身の血のざわめきと交じり合うのを感じようとしていた。すると、死刑に処せられている少年と自分が一つに溶けあって、リウ-はまだ健全な自分の力を尽くして少年をささえてやろうと思うのだ。」
P77には
死に行く少年の姿を通し、病気と懸命に「闘う」というイメ-ジが強く打ち出されています。
そうして、少年のきわめて悲惨な状態と、彼の果敢な闘いの姿が重ねて描かれるのです。
さらに「少年の激しい脈拍」と自分の「血のざわめき」の合一を願うリウ-の絶望的な希求には、「連帯」という主題が肉体化されるような迫力があります。
続く。






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