スズメバチの攻撃を防ぐため、巣の入り口に動物の糞を貼り付けるベトナムのミツバチ
カナダ・グエルフ大学とベトナム国立農業大学などの研究グループによる研究成果によると、ベトナムのトウヨウミツバチ(Apis cerana)は大型のスズメバチ(Vespa soror)の攻撃を防ぐため、巣箱の入り口付近に動物の糞を点々と貼り付けていくそうだ(論文、 グエルフ大学のニュース記事、 SlashGearの記事)。これまで、ミツバチが採取する固形物は花粉や樹脂など植物性のもののみだと考えられていたが、動物(哺乳類・鳥類)の糞を採取して巣箱の入り口付近に貼り付ける行動は現地の養蜂家の間で知られており、スズメバチの攻撃を防ぐためだと考えられていたそうだ。ベトナムの養蜂場74軒を対象に行った調査では、トウヨウミツバチを飼育している67軒中63軒(94%)が巣箱の前面に糞を貼り付けた点々があると回答したという。
実験はハノイ市内の養蜂場3軒で行われ、巣箱についた糞の点々を清掃してから実験を開始。V. sororの攻撃を受けた巣では攻撃を受けていない巣と比べ、点々の数が大幅に増加した。またV. soror腹部の分泌腺から抽出した物質を濾紙にしみこませ、巣の入り口付近にピン留めしたところ、攻撃を受けた場合ほどではないものの点々の数が増加したという。
V. sororはオオスズメバチ(Vespa mandarinia)と近縁の大型のスズメバチで、オオスズメバチと同様に集団で他のハチの巣を攻撃する。巣箱の入り口は狭くそのままでは通れないため、V. sororは入り口をかじって広げようとする。糞の点々が多く付けられた巣箱では入り口付近に止まったV. sororの滞在時間や、入り口をかじる時間が大幅に短くなっている。
このように点々を付ける行動は中国東南部やタイ・ブータン・ネパールでも確認されており、これらの地域はオオスズメバチの生息域に重なることから、オオスズメバチに対しても用いられているとみられる。また、ニホンミツバチ(A. cerana japonica)はオオスズメバチの攻撃を防ぐため巣の入り口付近に植物の汁をなすりつけることが確認されており、使用する材料は異なるものの、同様の防御手段を用いているようだ。
この研究ではミツバチが植物由来の物体や水分(液体)以外の物体を採取することが初めて記録され、ミツバチが道具を使うことも明確に示された。一方、具体的に何がスズメバチの攻撃を弱めているのかといった点については研究の余地があるようだ。
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