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土星の衛星タイタンが従来の推定よりはるかに速く土星から遠ざかっているという研究成果

NASAとイタリア宇宙機関などの研究グループの研究成果によると、土星の衛星タイタンは従来考えられていたよりはるかに速く土星から遠ざかっているそうだ(JPL Newsの記事論文アブストラクトSlashGearの記事The Registerの記事)。

今回、研究グループはNASAの土星探査機カッシーニが撮影した写真を用い、背景に写った恒星をマッピングしてタイタンの位置を追跡した。さらにカッシーニがタイタンに最接近(フライバイ)した際に地球へ送った電波を用い、信号の周波数変化からタイタンの軌道の拡大を推定。これら2つのデータセットにより、タイタンは年に約11cmの速さで土星から遠ざかっていることが判明した。これは従来考えられていた速度の100倍に相当するという。

衛星が惑星を周回する軌道上を進む際、衛星の重力に引かれて惑星に一時的な膨らみが生じ、元に戻る。この繰り返しによるエネルギーが衛星に送られることで衛星は外側に押し出され、月の場合は年に約3.8cmずつ地球から遠ざかっている。土星は太陽系初期の46億年前に形成されたと考えられているが、土星の環や80以上の衛星が形成された時期は明確になっていない。現在のタイタンは土星から約120万kmの距離にある。今回判明した速度は、タイタンがこれまで考えられていたよりも土星にずっと近い位置で形成されたことを示唆し、土星系がずっと速く拡張していることを意味する。

従来、衛星が惑星から遠ざかる速度は惑星から遠いほど遅くなると考えられていた。しかし、今回の論文執筆者の一人は4年前、惑星からの距離にかかわらず同様の速度で衛星が遠ざることが示す研究成果を発表している。今回の発見はこの理論を裏付けるものとなる。新しい理論は衛星と惑星の相互作用が従来考えられていたよりも顕著になる可能性を示し、太陽系外を含む幅広い衛星系や連星系にも適用できる可能があるとのことだ。

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