アメリカ近代傑作短編集 2
高校生にもこのアメリカ近代傑作短編集を「原文の英語」で読ませたかった理由の一つは「アメリカ人の本質は南部にある」と考えるからである。
大学1年時の教養課程の英語読解演習で渡されたのが、フラナリ-・オコナ-という女流作家の「高く昇って一点へ」
(Everything That Must Rises Converge)だった。
彼女の作品は、アメリカ南部を舞台にした人種差別や暴力をグロテスクなまでに暴き出すことで、特異な位置を占めている。
静高の巻島先生が薦めてくれたH.ジェイムスの作品はアメリカとヨーロッパを行き来する上流階級のエリ-ト層が主人公の物語で、当時の高校生には「欧米上流階級の厳格な恋愛倫理観」など、ピントとこないのは当たり前だった。
それに比べてオコナ-の作品群は、生でむき出しの人間の本性を、目の前に突き付けていて、これぞ本当の文学だろうと痛感させる。
今、アメリカ国内に渦巻いている黒人虐待、人種差別への反対運動の根っこあるものは、「保守的アメリカ人の本質」に対する怒りといきどうりだ。