
ガスレンジ使用によるベンゼン排出量と屋内のベンゼン濃度に関する研究成果を米スタンフォード大学などの研究グループが発表している
(
論文、
The Verge の記事)。
ベンゼンには発がんリスクおよび非発がんリスクがあり、各国の環境基準で大気中濃度が規制されている。基準値は最も厳しいフランスの 2.0 µg/m
3 (約 0.63 ppbv) から世界的に幅広く用いられている 5.0 µg/m
3 (約 1.6 ppbv) までの幅があり、
日本では 1 年平均値で 3.0 µg/m
3 (約 1 ppbv) 以下となっている。米カリフォルニア州では環境保健有害性評価局 (OEHHA) により、
短時間・8時間・長期の大気汚染物質曝露基準が設けられており、ベンゼンは短時間で 27 µg/m
3 (約 8 ppbv)、8 時間および長期間では日本の環境基準と同じ 3.0 µg/m
3 (約 1 ppbv) となる。
キッチンでのガスレンジ (天然ガス・プロパンガス) 使用によるベンゼン濃度の測定では、17 のキッチンで 33 のコンロ (最大火力) およびオーブン (約177℃) を 45 分間燃焼させている。その結果、すべてのキッチンでベンゼン濃度が通常値よりも上昇しており、9 件 (29%) ではタバコの副流煙によるベンゼン濃度 (0.34 ~ 0.78 ppbv) および、米国や日本などで測定された屋内でのベンゼン濃度中央値 (0.78ppbv) を上回ったという。また、6 軒の家では 1 時間半のオーブン (約 246℃) 使用によるベンゼン濃度の変化 (点火後 1.5 時間・消火後 6.5 時間) をキッチンから最も離れたベッドルームで測定している。その結果、家 4 ~ 6 では常に 1 ppbv を下回っていた一方、家 1 ~ 3 ではオーブン着火から 1 時間以内に 1 ppbv を超え、消火後も数時間は 1 ppbv を下回ることがなかった。また、家 1 では最高 8.9 ppbv に達し、消火後も 8 ppbv を超えた状態が 20 分ほど続いたとのこと。
家 1 と家 4 では屋外排気型の換気扇使用の有無によるベンゼン濃度変化も測定している。家 1 では換気扇使用により一定の効果がみられるものの、測定開始後 20 分以降はカリフォルニアの 8 時間基準値を上回っている。家 4 ではカリフォルニアの 8 時間基準値を上回ることはないが、換気扇使用の効果はあまりなかったようだ。人々が屋内で過ごす時間が増えていることもあり、屋内の大気汚染物質や空気品質を研究する必要があると論文は指摘。特に小さな家に住む人々を大気汚染物質から守るための政策が必要になるとのことだ。
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