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木星の雷、液体の水が存在できない高度で発生する

著者:headless
2020年8月9日 13:28
木星の雷がアンモニア水の雲により、これまで考えられていたよりも高い高度で発生することがNASAの木星探査機Junoの観測で判明したそうだ(ニュースリリース)。

木星の雷はVoyagerのミッションで1979年に初めて観測されて以来、地球の雷と同様に水が固体・液体・気体の3つの状態で同時に存在可能な温度条件(0℃付近)で発生すると考えられてきた。このような条件を満たすのは、木星を覆う雲の頂から45~65 km下になる。しかし、雲頂近くでフライバイしたJunoは、水の雲が存在する高度よりも25 km高い位置で発生する小ぶりで「奥行きの短い稲妻」(shallow-lightning)の観測に成功する。

この高度の温度は-88℃以下であり、純粋な水が液体で存在することはできない。そのため、上昇気流で吹き上げられた水の結晶(氷)にアンモニアが溶け込んで融点を下げ、アンモニア水溶液の雲が形成されるとみられる。ここでは落ちていくアンモニア水の粒と上昇してくる氷の粒が衝突し、雲に電荷が蓄積されていくことになる。地球上にアンモニア水の雲は存在しないため、驚くべき発見だったという。この発見についての研究成果はNatureに8月5日付で掲載された(論文アブストラクト)。

しかし、Junoのマイクロ波放射計は木星のほとんどの場所で大気中にアンモニアが存在しないことを確認しており、存在量の多い場所が移動していることも確認されているという。アンモニアのたまっている場所がどこかにあると考えられていたが、アンモニア水の雨だけでは説明がつかない。これについてJournal of Geophysical Research: Planetsに8月5日付で掲載された論文では、「みぞれ状のアンモニア水を核として外側を厚い氷の層が覆う雹」(mushball)が形成されるという説を提唱している(論文アブストラクト)。

mushballの核は3分の2が水、3分の1がアンモニアで構成されており、上昇するに従い氷が付着していく。上昇気流で支えられないほど大きくなると落下をはじめ、高度低下に伴って温度が上昇することで核が蒸発する。アンモニアはさらに沈み込んでいくため、Junoのマイクロ波放射計で測定できなくなるというわけだ。

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