米ニュージャージー州最高裁判所、押収した携帯電話のパスコード開示強制は不利な証言の強制にあたらないと判断
この裁判の被告は麻薬捜査に関する情報を捜査対象者に漏らしたことで起訴された保安官事務所の元職員。州は被告の所有する2台の携帯電話(iPhone 5sおよびiPhone 6 Plus)を令状により押収したが、パスコードなしで内容にアクセスすることが非常に困難だったという。捜査担当者はニューヨーク市警(NYPD)やCellebrite、連邦捜査局(FBI)に相談したものの、いずれもデータへのアクセスは不可能との結論に達する。
そのため、州は被告にパスコード開示を要求したが、被告は修正第5条やニュージャージー州法に違反すると主張して開示を拒否。1審ではアクセスするアプリケーションを「電話」と「メッセージ」に限定したうえで、ビデオ撮影および被告側弁護士、裁判所の立会いの下でパスコードの開示と捜査を行うよう命じた。2審でも1審判決を支持したため、被告側が上告していた。
修正第5条が除外される例として、政府が要求する証拠の存在を知っていること、その証拠が被告の所有または制御下にあること、証拠が本物であること、といった条件の「foregone conclusion (既定の結論)」というものがある。ただし、ペンシルベニア州最高裁判所やインディアナ州最高裁判所では、連邦最高裁が「foregone conclusion」を適用したのは召喚された紙の文書に関するものに限られることなどを理由にパスワード開示を強制できないとの判断を示している。
しかし、ニュージャージー州最高裁判所では、被告が携帯電話を押収された捜査令状の正当性に異議を申し立てておらず、捜査令状の目的を達するために必要なパスコード開示のみを拒否していることを指摘。パスコード開示が修正第5条で保護される証言にあたることを認めたうえで、パスコードには証言としての価値が低いこと、パスコード自体が「foregone conclusion」の適用される証拠になると判断した。
一方、ニュージャージー州法では不利な証拠の開示を拒否する権利を容疑者に認めているが、パスコード自体は不利な証拠にあたらないと判断。また、ニュージャージー州のコモンローでは修正第5条よりも幅広い権利を認めているが、捜査令状が正当であり、被告が異議申し立てをしていないため、携帯電話のデータの一部を開示させることは可能とのことだ。
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